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71 シロツメ草の指輪 ②
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年齢詐称を強要する陛下がおかしくて、いつまでもクスクス笑っていたら。
そこに、殿下とアイリスがやってきた。
「お兄様、これをどうぞ」
殿下は陛下の首に、シロツメ草を長く編んだ首飾りをかけ。
アイリスはぼくの頭に、シロツメ草の冠を乗せた。
そうして、またキャッキャ言いながら、少し離れたところに、花を摘みに行ってしまう。
「あぁ、可愛いなぁ。冠を乗せた、王妃様?」
「おうひ?」
シャーロット様とアイリスが可愛いのは、同意なのだが。
なんか、脳みそにすぐに入ってこない単語に、首をかしげると。
陛下はフフッと笑って。ぼくの膝に頭を乗せて寝っ転がってしまった。
緑のじゅうたんに金の髪が広がって、とてもゴージャス。
ぼくの膝枕で、気持ち良さそうに目を閉じて。あぁ、長いまつ毛が。高い鼻梁が。すぐそばに。なんてご褒美。
ヤベェ、カッケー、シュキィィ。
一応、こ、こ、恋人ですから。触れても大丈夫ですかね? ちょっとだけでも。
指先で、陛下の顔にかかる金の髪を、そっと梳いて。高い鼻筋を、ちょんちょんなぞる。
陛下はくすぐったそうに、喉奥で笑った。
今更だけど、うわぁぁ、動いてるぅ。感動。
笑みの振動が、膝に伝わると。これはリアルなんだとしみじみ思える。
ゲーム世界で、現実味が薄いけれど、この世界は、今ぼくが生きている世界で。陛下が生きている世界。
ほんのすぐそばに。触れれば実体がそこにある、世界。
この穏やかな世界を奪われるなんて、絶対に嫌だった。最大限に、抗ってやる。
「今日、陛下は帯剣していますが。バミネを警戒しているのですか?」
聞くと、陛下は目をつぶったままだが、答えてくれた。
「あぁ。先日のように、前触れもなく現れることもあるからな。外でバミネと会っても、おまえや仲間を守ってやりたいのだ。やつを傷つけられないが、追い払うことくらいはできるだろう」
「…カザレニア国民は、王家への信頼が厚く。王の境遇を知れば、みんな、胸を痛めると思います。それほどに、民は陛下を敬愛しているのですよ? 陛下のお命を救うためなら、民も、少々のリスクは承知するはずです。イアン様、御命を守る選択を、してはいただけませんか?」
陛下は、しばし黙っていたが。静かに目を開けて、ぼくをみつめた。
「なにも成していない王ひとりの命と、無辜の大勢の国民の命。選ぶべくもない」
ぼくは答えを知っていた。
陛下は、国民の命を決してないがしろにはしない。
優しい、それゆえ、バミネにそこを突かれてしまった。
陛下の無垢なお心を、バミネに食い荒らされていることが。とにもかくにも、腹立たしいっつうの。
「イアン様は、たったおひとり。でも、かけがえのないおひとりです。国民の中に、陛下の死を望む者など、おりません。人として…いや、僕は。僕が。貴方に、生きていてもらいたいのです」
そばにいる者を代表して、情に訴えてみるが。
やはり陛下は、首を縦に振らない。腕を上げて、ぼくの頬を、悲しげな顔つきでそっと撫でた。
「すまない、クロウ。おまえを選んでやれなくて。おまえを守りたいという、我のこの気持ちは、真実だ。我がただの若者だったなら、恋人のクロウを、この腕でしっかりと守ってやれたのだが…しかし、王家に生まれた者が、国民に背を向けてはならないのだ。我が一族、遠い祖先の中にも、そのような愚か者はひとりもいない。それが、王家の誇り。我も、その矜持を曲げられないのだ…」
悲しい顔をさせてしまったことが、ぼくは悔しい。
なので、今度は正攻法で疑問をぶつける。
ぼくはとにかく、陛下に御自身を守ってもらうよう、仕向けたかったのだ。
ぼくが席を外す間、バミネに攻められても。できうる限り抵抗してほしいからだ。
「陛下は、バジリスク公爵にお会いしましたか? 公爵は、十年ほど表舞台に立っておりません。もしかしたら、公爵を取り込んだというのは、バミネの虚言かもしれませんよ?」
「公爵とは、会っていない。だが予想で動くには、あまりにもリスクが大きすぎる。バミネが嘘をついているというのは、大いにあり得る話だ。しかし嘘とみなして行動を起こし、多くの死者が出たらどうするのだ? 我には、そのような危険は犯せない」
ですよねぇ?
あぁ、やっぱり、陛下は聡明です。
そして、おそらく、この手のシミュレーションを何度も頭の中でして、可能性を打ち消してきたのだろう。
問いに対しての答えが、早すぎるもの。
希望を見出し、それを打ち消す、その行為が。どれほど残酷で悲壮なことか。
もうっ。いったい、この苦境に、どう立ち向かえばいいんだっ?
「クロウ、おまえが我を救おうとして、いろいろ考えてくれるのは、とても嬉しい。でも、それで顔を、心を、曇らせないでほしい。我は、おまえの笑顔が好きなのだ」
膝の上にある陛下の顔を見下ろすと。なんだか、とても晴れやかな笑みを浮かべている。
「クロウ、我は今、最高に幸せだ。おまえが、この幸せをもたらしてくれた」
やめてよ。
最高に幸せ、なんて。そんな死亡フラグは、ぼくがへし折ってやるから。
ぼくが、陛下をお救いしてみせるから。
「ひとつだけ。たったひとつだけでいいから。僕のお願いを聞いてくれませんか?」
「あぁ、我にできることならな」
「四月一日に、僕はこの島を出なければならない。でも。すぐに。必ず戻ってくるので。それまでは、御命をつないでいただけませんか? 陛下の腕なら、バミネを傷つけず、己の身を守ることができるでしょう?」
ちょっと挑発的に言うと、陛下はハハッと軽く笑った。
「難しいことを言うな。だが、善処しよう。元より、そう簡単に、バミネに我の命をくれてやる気などない。国民の命が脅かされない範囲で、我は抗ってやる。おまえの願いを叶えるためにな?」
王の矜持を曲げられなくても。
ちっぽけなぼくのお願いを、叶えるために頑張ってくれるって。
嬉しい。もう、泣かないと思っていたのに。また涙が出てきちゃった。
ポロリとこぼれる前に。膝の上の陛下の唇に、キスした。
「ふふ、ということは。我が死する前に、クロウは我の元へ舞い戻ってくれるということだな? 我の死神だものな?」
くすぐるようなキスに、小さく笑って、陛下がそう言う。
ぼくは…貴方の死を見届けに行くわけではない。
死神として、お迎えに行くわけでもない。守るために、戻るのだけど。
「必ず、馳せ参じます。僕は貴方の死神だから。貴方が眠る場所は、僕の、この胸の中だけですよ?」
そう返事をすれば、陛下は安心したような顔で、そっと目を閉じるのだ。
ふざけんなっ。簡単に、貴方を死なせたりしませんよ?
貴方が死を覚悟しても。ぼくは貴方の分まで、死の運命から逃げ果せてみせる。
陛下が民を想う御心は、とても尊いもの。
民にとっても、そのような高潔な王を失うことなど、あってはならない。
ならぼくは、陛下の、王としての矜持を守りつつ。陛下をお助けする。
陛下とカザレニア国民、そしてぼくの…幸せのために。本当に、本当の、最高の幸せのために。
ぼくがそうやって人知れず決意を固めているというのに、陛下はガバリと身を起こし。シロツメ草の花を三本ブチブチブチっと摘んだ。
「じゃあ、結婚しよう」
「…は?」
思わず、素で、問い返してしまった。
だって、話に脈絡がないんだもの。
陛下はぼくのきょとんに、お構いなしで、自分の首にかかっている首飾りを、チラチラ見ながら。花を編んでいる。
「今、この場で、結婚するのだ。我の体は、国民に捧げなければならないかもしれないが。心は全部、おまえにやろう。クロウ、我のすべては、おまえのものだ」
陛下は、その場に片膝をつくと。手を差し伸べた。
地べたにペッタリ座っているぼくは、その手に、両方の手を置くのだが。
陛下は軽く眉間を寄せて、ぼくの右手をペッと払った。乱暴だなぁ。
でもそのあとは、すごく丁寧に。ぼくの指先に陛下の指先が添い。左手の薬指の付け根にくちづけた。
「我の伴侶に…王妃に、なってくれるか?」
「喜んで」
これ以外の言葉がなかった。
陛下のプロポーズに、なにか、もっと気の利いたことを言いたかったけれど。本当に、喜びしか浮かばないから。言葉もそれしかなくて。
言葉に詰まるというより。胸がいっぱいになった。
幸せが、体中に詰まってパンパン、みたいな?
陛下は満足そうに、にっこりと笑うと、今編み上げたシロツメ草の指輪を、ぼくの薬指にはめた。
そのとき、シャッターが切られたみたいな音がして。ぼくの脳裏に、一場面がバンと浮かび上がる。
緑地に、白くて丸い花が咲き乱れる丘で。跪いた陛下と、花冠をかぶる主人公ちゃんの、ほのぼの美麗スチルだ。
あぁ、これは。
ぼくは初手で成敗組だから、ここまでたどり着くことはなかったけれど。
主人公が陛下ルートを攻略したら出てくる、ワンシーンなのだろうな? と思い浮かんだ。
そうだよねぇ、プロポーズシーンだもの。
絶対、イベントアンド最高スチルが欠かせないっしょ。
モブで冴えない男のぼくが、相手では。申し訳ないような気もするけれど。
でも、頭に思い浮かんだシーンの主人公ちゃんは、オレンジ髪ではなく、なぜか黒髪のボブカットで。
それゆえ、シロツメ草の白くて丸い花が、その頭に映えている。
一瞬だったから、顔は見えなかったが。
黒髪バージョンの主人公ちゃんもいるのかなぁ?
でも、白い花で飾れば、黒髪も可愛らしいね?
ぼくは、自分の指に、はめられた花の指輪をみつめる。
ポンポンみたいな丸い花が三つ、そして茎の部分が編まれて、結構しっかりした強度がある。
ちょっとの時間で、こんなものを作っちゃうなんて、陛下はすごいな?
この指輪は、いつまでも取って置ける物ではないけれど。
陛下は、口約束ではなくて、本気の誓いをしてくれているのだと、ちゃんとわかっている。
すぐにも消えゆく己だけど、消えない部分は…魂は、ぼくにくれるって。そういう意味合いを感じたのだ。
それって、究極じゃないか?
陛下の、一番大切なものを、ぼくにくれるのだものね?
「おまえの作る婚礼衣装で、式を上げよう。我を支えてくれる、親愛なる仲間たちの前で。クロウへの愛を誓い、皆に祝福してもらいたいのだ」
「婚礼衣装で…」
あぁ、陛下は。ぼくが、死に装束を作るのに、テンションダダ下がりなことを。気づいていたのですね?
だから、唐突に、結婚しようなんて言い出したのか。
ぼくのこの手は、陛下を窮地に追い込む物しか作り出せない。そんなふうに嘆いて。
やっぱり衣装を消し去ってしまおうかと。ハサミを片手に。本当に、何度も、何度も思ったんだ。
ペンダントを奪い返すことが、陛下のためにも、なるかもしれないのだからと。頭では、そう思っているよ?
けれど。感情は、そうではない。
陛下に、死を運びかねない物が、そこにあるのが、ただただ忌まわしいと感じてしまうのだ。
でも。陛下は、ぼくが作るものはあくまで婚礼衣装なのだと言ってくれた。
そして、ぼくの気持ちを軽くして、浮上させようとしている。
なんて、心の器が大きくて、気配りの達人なのでしょう?
陛下の、そのお気持ちを知ってしまったら。いつまでもウジウジしていられないな。
「じゃあ、三月三十一日に、絶対に仕上げなければなりませんね? 僕の作った婚礼衣装を着て、誰よりも輝く、華々しい陛下のお姿を見るのが、今からとても楽しみになりました」
心の底から、ぼくはそう思った。
ずっと、つらい気持ちを抱えていたけれど。
死に装束は現時点で、死に装束ではなくなったのだ。
陛下とぼくの、婚礼衣装。
だったら、今まで培ってきた技能を駆使して、腕を唸らせないとなっ。
満面の笑みのぼくに。陛下はチュッと、音の鳴るキスをしてくれた。
そして、ふたりで立ち上がり。ランチの用意が済んだテーブルへと、足を向ける。
白いテーブルクロスがかかった机が、丘の上にあって。ちょっとキャンプっぽい。
机は、今はもぬけの殻になっている、近くの農家から借りてきたらしい。
このシロツメ草は、元々牧草用ということで。
ちゃんと詳細設定されているんだね?
今日は、無礼講ということで。執事も料理人も護衛騎士も、みんなテーブルについて、ランチを食べた。
サンドイッチ、唐揚げと卵焼き、フルーツ盛り合わせ。葡萄酒、オレンジジュース。
葡萄酒は、この世界では飲料扱いで、あまり厳密に年齢制限されていないんだ。自己責任的な。アルコール度数もかなり低いしね。
つか、唐揚げっ? アイリスが伝授したの? 醤油、あるの?
「お、お、お、美味しいですね。アルフレド、これってなんの味?」
キョドりながらもアルフレドに聞くと。
彼は垂れ目を微笑ませて、得意げに説明してくれた。
「ショウガにニンニクに魚醤と粉だぞ? アイリスが教えてくれたんだ。外では焼き物ができないが、これなら持ち運ぶことができて、ピクニックに最適だよな? 美味しいし」
ぎょ、魚醤?
なるほど。ここの世界で、醤油を見たことがなかったから。和食はあきらめていたんだが。魚醤で代用可能なのか。
魚醤は、海産物から取れる液体だ。醤油に比べたら、癖があるが。大豆を加工するより、海が近いカザレニアでは魚醤の方が手に入りやすいんだな?
今度、自分でも作ってみよう。
だって、美味い。
うみゃいよ、唐揚げ。懐かしの味すぎて、涙出るぅ。
そうして、みんなでワイワイ昼食を食べていたら。その席で、陛下が告げた。
「みんな、聞いてくれ。我は本日、クロウと結婚した。クロウは我の妻になった」
すると、アイリスとシャーロットという女性陣が、きゃあと、嬉しい悲鳴を上げた。
若干一名、ふざけんな、聞いてないぞ、勝手に決めんな、と怪獣のようにぎゃーぅぎゃーぅと鳴く者がいるが…静かにっ。
「三月三十一日に式を上げる。みんな、準備を進めてもらいたい」
その言葉には、全員が息をのんだ。
ぼくが翌日、島を出なければならないとわかっているからだ。
「僕は必ず、陛下の元へ戻って来ます。それまで、どうか。みなさんで、陛下のお命を守ってください」
安心させるように、ぼくは宣言した。
ぼくと陛下の気持ちは、おままごとなんかじゃない。
互いに互いを守り合う、そして生きるために力を合わせる。
だから、ここに帰ってくる。
そのつもりなのだと、目に力を込めて告げた。
「言われるまでもない。クロウ、おまえは、陛下の大事な者なのだから。早く戻って、陛下のお心を支えてやってくれ」
セドリックが、皆を代表して。太陽のような明るさが突き抜ける笑顔で、言い。
ぼくは元気いっぱいに、はいっ、と返事をした。
事情を知っているラヴェルだけは、心配そうな顔をしていたけど。
みんなは、ぼくの返事に微笑んでくれたよ?
そうして、おめでとうの声と、祝杯の声が上がって。ランチのテーブルは、笑顔であふれた。
主人公のアイリスが、蛍光オレンジの三つ編みをほどき、ゆるやかなウェーブを風になびかせて。アルフレドと笑い合う。
シャーロット様は、チョンにミルクを与えながら、勝ち気な目を柔和に微笑ませている。
赤髪のセドリックは、銀髪のクールビューティーのシヴァーディと肩を組んで乾杯し。
ラヴェルはぼくを心配そうに見ながらも、黙々と給仕にいそしんでいる。
そしてぼくの隣には、麗しの王、イアン様が。ぼくの旦那様が。きらめく海色の瞳で、愛しげにぼくをみつめている。
アイキンのメインキャラが、一堂に会する、和気あいあいシーン。
レアな場面に、モブがひとりもぐり込むという…違和感半端ないのは重々承知です。
でも、陛下が笑っている。
みんなも笑っている。
ただそれだけで。ぼくは幸せを深く噛み締めるのだ。今日はなんて、いい日だろう。
そこに、殿下とアイリスがやってきた。
「お兄様、これをどうぞ」
殿下は陛下の首に、シロツメ草を長く編んだ首飾りをかけ。
アイリスはぼくの頭に、シロツメ草の冠を乗せた。
そうして、またキャッキャ言いながら、少し離れたところに、花を摘みに行ってしまう。
「あぁ、可愛いなぁ。冠を乗せた、王妃様?」
「おうひ?」
シャーロット様とアイリスが可愛いのは、同意なのだが。
なんか、脳みそにすぐに入ってこない単語に、首をかしげると。
陛下はフフッと笑って。ぼくの膝に頭を乗せて寝っ転がってしまった。
緑のじゅうたんに金の髪が広がって、とてもゴージャス。
ぼくの膝枕で、気持ち良さそうに目を閉じて。あぁ、長いまつ毛が。高い鼻梁が。すぐそばに。なんてご褒美。
ヤベェ、カッケー、シュキィィ。
一応、こ、こ、恋人ですから。触れても大丈夫ですかね? ちょっとだけでも。
指先で、陛下の顔にかかる金の髪を、そっと梳いて。高い鼻筋を、ちょんちょんなぞる。
陛下はくすぐったそうに、喉奥で笑った。
今更だけど、うわぁぁ、動いてるぅ。感動。
笑みの振動が、膝に伝わると。これはリアルなんだとしみじみ思える。
ゲーム世界で、現実味が薄いけれど、この世界は、今ぼくが生きている世界で。陛下が生きている世界。
ほんのすぐそばに。触れれば実体がそこにある、世界。
この穏やかな世界を奪われるなんて、絶対に嫌だった。最大限に、抗ってやる。
「今日、陛下は帯剣していますが。バミネを警戒しているのですか?」
聞くと、陛下は目をつぶったままだが、答えてくれた。
「あぁ。先日のように、前触れもなく現れることもあるからな。外でバミネと会っても、おまえや仲間を守ってやりたいのだ。やつを傷つけられないが、追い払うことくらいはできるだろう」
「…カザレニア国民は、王家への信頼が厚く。王の境遇を知れば、みんな、胸を痛めると思います。それほどに、民は陛下を敬愛しているのですよ? 陛下のお命を救うためなら、民も、少々のリスクは承知するはずです。イアン様、御命を守る選択を、してはいただけませんか?」
陛下は、しばし黙っていたが。静かに目を開けて、ぼくをみつめた。
「なにも成していない王ひとりの命と、無辜の大勢の国民の命。選ぶべくもない」
ぼくは答えを知っていた。
陛下は、国民の命を決してないがしろにはしない。
優しい、それゆえ、バミネにそこを突かれてしまった。
陛下の無垢なお心を、バミネに食い荒らされていることが。とにもかくにも、腹立たしいっつうの。
「イアン様は、たったおひとり。でも、かけがえのないおひとりです。国民の中に、陛下の死を望む者など、おりません。人として…いや、僕は。僕が。貴方に、生きていてもらいたいのです」
そばにいる者を代表して、情に訴えてみるが。
やはり陛下は、首を縦に振らない。腕を上げて、ぼくの頬を、悲しげな顔つきでそっと撫でた。
「すまない、クロウ。おまえを選んでやれなくて。おまえを守りたいという、我のこの気持ちは、真実だ。我がただの若者だったなら、恋人のクロウを、この腕でしっかりと守ってやれたのだが…しかし、王家に生まれた者が、国民に背を向けてはならないのだ。我が一族、遠い祖先の中にも、そのような愚か者はひとりもいない。それが、王家の誇り。我も、その矜持を曲げられないのだ…」
悲しい顔をさせてしまったことが、ぼくは悔しい。
なので、今度は正攻法で疑問をぶつける。
ぼくはとにかく、陛下に御自身を守ってもらうよう、仕向けたかったのだ。
ぼくが席を外す間、バミネに攻められても。できうる限り抵抗してほしいからだ。
「陛下は、バジリスク公爵にお会いしましたか? 公爵は、十年ほど表舞台に立っておりません。もしかしたら、公爵を取り込んだというのは、バミネの虚言かもしれませんよ?」
「公爵とは、会っていない。だが予想で動くには、あまりにもリスクが大きすぎる。バミネが嘘をついているというのは、大いにあり得る話だ。しかし嘘とみなして行動を起こし、多くの死者が出たらどうするのだ? 我には、そのような危険は犯せない」
ですよねぇ?
あぁ、やっぱり、陛下は聡明です。
そして、おそらく、この手のシミュレーションを何度も頭の中でして、可能性を打ち消してきたのだろう。
問いに対しての答えが、早すぎるもの。
希望を見出し、それを打ち消す、その行為が。どれほど残酷で悲壮なことか。
もうっ。いったい、この苦境に、どう立ち向かえばいいんだっ?
「クロウ、おまえが我を救おうとして、いろいろ考えてくれるのは、とても嬉しい。でも、それで顔を、心を、曇らせないでほしい。我は、おまえの笑顔が好きなのだ」
膝の上にある陛下の顔を見下ろすと。なんだか、とても晴れやかな笑みを浮かべている。
「クロウ、我は今、最高に幸せだ。おまえが、この幸せをもたらしてくれた」
やめてよ。
最高に幸せ、なんて。そんな死亡フラグは、ぼくがへし折ってやるから。
ぼくが、陛下をお救いしてみせるから。
「ひとつだけ。たったひとつだけでいいから。僕のお願いを聞いてくれませんか?」
「あぁ、我にできることならな」
「四月一日に、僕はこの島を出なければならない。でも。すぐに。必ず戻ってくるので。それまでは、御命をつないでいただけませんか? 陛下の腕なら、バミネを傷つけず、己の身を守ることができるでしょう?」
ちょっと挑発的に言うと、陛下はハハッと軽く笑った。
「難しいことを言うな。だが、善処しよう。元より、そう簡単に、バミネに我の命をくれてやる気などない。国民の命が脅かされない範囲で、我は抗ってやる。おまえの願いを叶えるためにな?」
王の矜持を曲げられなくても。
ちっぽけなぼくのお願いを、叶えるために頑張ってくれるって。
嬉しい。もう、泣かないと思っていたのに。また涙が出てきちゃった。
ポロリとこぼれる前に。膝の上の陛下の唇に、キスした。
「ふふ、ということは。我が死する前に、クロウは我の元へ舞い戻ってくれるということだな? 我の死神だものな?」
くすぐるようなキスに、小さく笑って、陛下がそう言う。
ぼくは…貴方の死を見届けに行くわけではない。
死神として、お迎えに行くわけでもない。守るために、戻るのだけど。
「必ず、馳せ参じます。僕は貴方の死神だから。貴方が眠る場所は、僕の、この胸の中だけですよ?」
そう返事をすれば、陛下は安心したような顔で、そっと目を閉じるのだ。
ふざけんなっ。簡単に、貴方を死なせたりしませんよ?
貴方が死を覚悟しても。ぼくは貴方の分まで、死の運命から逃げ果せてみせる。
陛下が民を想う御心は、とても尊いもの。
民にとっても、そのような高潔な王を失うことなど、あってはならない。
ならぼくは、陛下の、王としての矜持を守りつつ。陛下をお助けする。
陛下とカザレニア国民、そしてぼくの…幸せのために。本当に、本当の、最高の幸せのために。
ぼくがそうやって人知れず決意を固めているというのに、陛下はガバリと身を起こし。シロツメ草の花を三本ブチブチブチっと摘んだ。
「じゃあ、結婚しよう」
「…は?」
思わず、素で、問い返してしまった。
だって、話に脈絡がないんだもの。
陛下はぼくのきょとんに、お構いなしで、自分の首にかかっている首飾りを、チラチラ見ながら。花を編んでいる。
「今、この場で、結婚するのだ。我の体は、国民に捧げなければならないかもしれないが。心は全部、おまえにやろう。クロウ、我のすべては、おまえのものだ」
陛下は、その場に片膝をつくと。手を差し伸べた。
地べたにペッタリ座っているぼくは、その手に、両方の手を置くのだが。
陛下は軽く眉間を寄せて、ぼくの右手をペッと払った。乱暴だなぁ。
でもそのあとは、すごく丁寧に。ぼくの指先に陛下の指先が添い。左手の薬指の付け根にくちづけた。
「我の伴侶に…王妃に、なってくれるか?」
「喜んで」
これ以外の言葉がなかった。
陛下のプロポーズに、なにか、もっと気の利いたことを言いたかったけれど。本当に、喜びしか浮かばないから。言葉もそれしかなくて。
言葉に詰まるというより。胸がいっぱいになった。
幸せが、体中に詰まってパンパン、みたいな?
陛下は満足そうに、にっこりと笑うと、今編み上げたシロツメ草の指輪を、ぼくの薬指にはめた。
そのとき、シャッターが切られたみたいな音がして。ぼくの脳裏に、一場面がバンと浮かび上がる。
緑地に、白くて丸い花が咲き乱れる丘で。跪いた陛下と、花冠をかぶる主人公ちゃんの、ほのぼの美麗スチルだ。
あぁ、これは。
ぼくは初手で成敗組だから、ここまでたどり着くことはなかったけれど。
主人公が陛下ルートを攻略したら出てくる、ワンシーンなのだろうな? と思い浮かんだ。
そうだよねぇ、プロポーズシーンだもの。
絶対、イベントアンド最高スチルが欠かせないっしょ。
モブで冴えない男のぼくが、相手では。申し訳ないような気もするけれど。
でも、頭に思い浮かんだシーンの主人公ちゃんは、オレンジ髪ではなく、なぜか黒髪のボブカットで。
それゆえ、シロツメ草の白くて丸い花が、その頭に映えている。
一瞬だったから、顔は見えなかったが。
黒髪バージョンの主人公ちゃんもいるのかなぁ?
でも、白い花で飾れば、黒髪も可愛らしいね?
ぼくは、自分の指に、はめられた花の指輪をみつめる。
ポンポンみたいな丸い花が三つ、そして茎の部分が編まれて、結構しっかりした強度がある。
ちょっとの時間で、こんなものを作っちゃうなんて、陛下はすごいな?
この指輪は、いつまでも取って置ける物ではないけれど。
陛下は、口約束ではなくて、本気の誓いをしてくれているのだと、ちゃんとわかっている。
すぐにも消えゆく己だけど、消えない部分は…魂は、ぼくにくれるって。そういう意味合いを感じたのだ。
それって、究極じゃないか?
陛下の、一番大切なものを、ぼくにくれるのだものね?
「おまえの作る婚礼衣装で、式を上げよう。我を支えてくれる、親愛なる仲間たちの前で。クロウへの愛を誓い、皆に祝福してもらいたいのだ」
「婚礼衣装で…」
あぁ、陛下は。ぼくが、死に装束を作るのに、テンションダダ下がりなことを。気づいていたのですね?
だから、唐突に、結婚しようなんて言い出したのか。
ぼくのこの手は、陛下を窮地に追い込む物しか作り出せない。そんなふうに嘆いて。
やっぱり衣装を消し去ってしまおうかと。ハサミを片手に。本当に、何度も、何度も思ったんだ。
ペンダントを奪い返すことが、陛下のためにも、なるかもしれないのだからと。頭では、そう思っているよ?
けれど。感情は、そうではない。
陛下に、死を運びかねない物が、そこにあるのが、ただただ忌まわしいと感じてしまうのだ。
でも。陛下は、ぼくが作るものはあくまで婚礼衣装なのだと言ってくれた。
そして、ぼくの気持ちを軽くして、浮上させようとしている。
なんて、心の器が大きくて、気配りの達人なのでしょう?
陛下の、そのお気持ちを知ってしまったら。いつまでもウジウジしていられないな。
「じゃあ、三月三十一日に、絶対に仕上げなければなりませんね? 僕の作った婚礼衣装を着て、誰よりも輝く、華々しい陛下のお姿を見るのが、今からとても楽しみになりました」
心の底から、ぼくはそう思った。
ずっと、つらい気持ちを抱えていたけれど。
死に装束は現時点で、死に装束ではなくなったのだ。
陛下とぼくの、婚礼衣装。
だったら、今まで培ってきた技能を駆使して、腕を唸らせないとなっ。
満面の笑みのぼくに。陛下はチュッと、音の鳴るキスをしてくれた。
そして、ふたりで立ち上がり。ランチの用意が済んだテーブルへと、足を向ける。
白いテーブルクロスがかかった机が、丘の上にあって。ちょっとキャンプっぽい。
机は、今はもぬけの殻になっている、近くの農家から借りてきたらしい。
このシロツメ草は、元々牧草用ということで。
ちゃんと詳細設定されているんだね?
今日は、無礼講ということで。執事も料理人も護衛騎士も、みんなテーブルについて、ランチを食べた。
サンドイッチ、唐揚げと卵焼き、フルーツ盛り合わせ。葡萄酒、オレンジジュース。
葡萄酒は、この世界では飲料扱いで、あまり厳密に年齢制限されていないんだ。自己責任的な。アルコール度数もかなり低いしね。
つか、唐揚げっ? アイリスが伝授したの? 醤油、あるの?
「お、お、お、美味しいですね。アルフレド、これってなんの味?」
キョドりながらもアルフレドに聞くと。
彼は垂れ目を微笑ませて、得意げに説明してくれた。
「ショウガにニンニクに魚醤と粉だぞ? アイリスが教えてくれたんだ。外では焼き物ができないが、これなら持ち運ぶことができて、ピクニックに最適だよな? 美味しいし」
ぎょ、魚醤?
なるほど。ここの世界で、醤油を見たことがなかったから。和食はあきらめていたんだが。魚醤で代用可能なのか。
魚醤は、海産物から取れる液体だ。醤油に比べたら、癖があるが。大豆を加工するより、海が近いカザレニアでは魚醤の方が手に入りやすいんだな?
今度、自分でも作ってみよう。
だって、美味い。
うみゃいよ、唐揚げ。懐かしの味すぎて、涙出るぅ。
そうして、みんなでワイワイ昼食を食べていたら。その席で、陛下が告げた。
「みんな、聞いてくれ。我は本日、クロウと結婚した。クロウは我の妻になった」
すると、アイリスとシャーロットという女性陣が、きゃあと、嬉しい悲鳴を上げた。
若干一名、ふざけんな、聞いてないぞ、勝手に決めんな、と怪獣のようにぎゃーぅぎゃーぅと鳴く者がいるが…静かにっ。
「三月三十一日に式を上げる。みんな、準備を進めてもらいたい」
その言葉には、全員が息をのんだ。
ぼくが翌日、島を出なければならないとわかっているからだ。
「僕は必ず、陛下の元へ戻って来ます。それまで、どうか。みなさんで、陛下のお命を守ってください」
安心させるように、ぼくは宣言した。
ぼくと陛下の気持ちは、おままごとなんかじゃない。
互いに互いを守り合う、そして生きるために力を合わせる。
だから、ここに帰ってくる。
そのつもりなのだと、目に力を込めて告げた。
「言われるまでもない。クロウ、おまえは、陛下の大事な者なのだから。早く戻って、陛下のお心を支えてやってくれ」
セドリックが、皆を代表して。太陽のような明るさが突き抜ける笑顔で、言い。
ぼくは元気いっぱいに、はいっ、と返事をした。
事情を知っているラヴェルだけは、心配そうな顔をしていたけど。
みんなは、ぼくの返事に微笑んでくれたよ?
そうして、おめでとうの声と、祝杯の声が上がって。ランチのテーブルは、笑顔であふれた。
主人公のアイリスが、蛍光オレンジの三つ編みをほどき、ゆるやかなウェーブを風になびかせて。アルフレドと笑い合う。
シャーロット様は、チョンにミルクを与えながら、勝ち気な目を柔和に微笑ませている。
赤髪のセドリックは、銀髪のクールビューティーのシヴァーディと肩を組んで乾杯し。
ラヴェルはぼくを心配そうに見ながらも、黙々と給仕にいそしんでいる。
そしてぼくの隣には、麗しの王、イアン様が。ぼくの旦那様が。きらめく海色の瞳で、愛しげにぼくをみつめている。
アイキンのメインキャラが、一堂に会する、和気あいあいシーン。
レアな場面に、モブがひとりもぐり込むという…違和感半端ないのは重々承知です。
でも、陛下が笑っている。
みんなも笑っている。
ただそれだけで。ぼくは幸せを深く噛み締めるのだ。今日はなんて、いい日だろう。
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