86 / 176
69 心のよすが(イアンside)
しおりを挟む
◆心のよすが(イアンside)
クロウを残して死にゆく運命を、嘆く日々は。永遠のようでもあり。刹那のようにも感じる。
ある日は、城の敷地内を散策し。騎士の目を盗んで、路地の陰に隠れて、彼の痩躯を情熱的に抱き締めたり。
ある日は、森の中で。ゆるりと手をつなぐだけの、優しさに満ちたひとときに、心を和ませた。
「…たまに、青い鳥を見かけるのだ。鉄のような光沢があって、鮮やかで、美しいぞ?」
「青い鳥? 見てみたいです」
好奇心のあるクロウは、我の言葉に、ぴかりと瞳を輝かせる。
その、無防備な笑顔が、我の心をいつも癒してくれるのだ。
可愛らしくて。守りたいのに、支えられている。そんな感じだ。
「あぁ、この森に生息しているのだろう。ほら、あの枝に、リスがいるぞ」
指し示す先に、首をキョロキョロさせるリスがいたのだが。
クロウがみつけ出す前に、どこかへ行ってしまった。
しょげ返る彼の表情、残念そうな目の色や、口をへの字にするところが、印象的だ。
クロウはそれほど、派手な容貌ではないのだが。表情はよく動く。
それが、見ていて飽きないというか。いろいろな彼の表情を見たいと思ってしまう。
いつまでも。いつまでも…。
悲しげなクロウに、慰めのキスを贈る。
最初は、優しい、触れるだけのくちづけ。だが、次第に燃え上がってしまい。
吐息を奪うほどに、熱く、くちづけるたび。離れたくないと、切実に思う。
彼と触れ合うたびに、我は、内に潜む、野蛮な本能を思い知らされた。
もっと、深く。もっと、淫らに。クロウを引き裂くほどに。抱き潰すほどに。彼と交わりたい。混ざり合いたい。そう思ってしまう。
だが、どんなに荒れ狂った、血迷ったキスをしても。クロウはやんわりと受け止めてくれる。
我は。クロウによって、美味で、刺激的な、悦楽をもたらす触れ合いに誘われるのだ。
だが、彼のすがる手を強く感じると。クロウのことだけを、愛する者の幸せだけを考えてやれない、王の業を背負う己が、忌々しくて…。
そんな、甘さと苦々しさが交互に訪れる、毎日だった。
クロウが手掛ける衣装が、出来上がりに近づくにつれ。自分で作り上げろと命じたくせに、その衣装を引き裂いてしまいたい衝動に駆られる。
あの衣装は、クロウがネックレスをバミネから取り返すために、必要なもの。
そう思って、感情のままに動くようなことはなかったが。
クロウも、我と同じ気持ちがあるようで。
サロンに行くと、衣装がかかる人台の前で、ハサミを手に、思い詰めた顔つきで立ち尽くすクロウを見ることがあった。
だが、そんな彼を目にすると。我の心は、逆に凪いだ。
己の死に、心を痛める者が、確実にひとりはいる。
それを実感すると、我の心には幸福感があふれた。
幼くして即位したあとから、今まで。どうにもならない状況下で暮らしてきたから。生きること、それ以上を望む心も、枯れ果てている。
だから、クロウという存在が我をみつめる、ただそれだけで、我は充分満たされるのだ。
我が顔を出すと、クロウは仕事の手を止めて、我とともに過ごす時間を作ってくれる。
手を止めなくても。クロウが仕事をしていても。我は、別に構わない。
彼が思いを込めて縫物をする姿も、好きだから。
仕事をする彼の、真剣な表情も、好きだから。
ただ、なるべく、そばにいたいだけだから。
優しい時間を、クロウと共有したいだけ。
でも、クロウは手を止め、我の近くに少しでもいようとするのだ。
そばにいてくれるのは、それはそれで嬉しいのだが。
我といる時間を、クロウが作るということは。その時間を、他のところから取ってくるしかないということ。
彼が寝る間を惜しんで、無理をして、衣装作りをしているのだと。わかっていた。
日に日に、疲れがにじんでくる顔つきを見ていれば、察せられることだ。
それでも、離せなくて。
彼と寄り添う時間が欲しくて。
一分、一秒でも長く、一緒にいたいと思ってしまう。
だけど、やっぱり疲れているのだな。
カウチに、ふたり並んで座っていたら。クロウはいつの間にか、我の肩に寄り掛かって、寝てしまった。
だいぶ気温が、温かくなってきているから。今は、暖炉に火がついていない。
麗らかな春の日が、部屋の中に射し込んで。のどかなぬくもりが、室内に広がっているから。火がなくても心地よかった。
そして、我の肩を温めてくれる、クロウの重みは。幸せの重み。格別だ。
日向ぼっこをしていた黒猫が、クロウが寝てしまったのに気づいて、我たちの前に歩いてくる。
飼い主に声をかけようとするのを、我は人差し指を口に当てて、止めた。
「静かに。起こすのは、忍びないだろう?」
少し口を開けて、今にも、あの甲高い声を出そうとしていた黒猫は。
我の言葉に。口を引き結ぶ。
おかしな猫だな。我の言葉が通じているみたいだ。
黒猫は、ソファセットの小さなテーブルの上に乗って。前足をきっちりと揃えて座り、我とクロウを黙って見ている。
黒猫…チョンは、最初から我を敵視して、全然可愛くなかったが。
思えば、クロウを大事に想う同志である。
そんな子猫に。我は、言葉をつむぐ。
理解などしなくて良いのだ。ただ、言葉に、彼への想いを乗せたかっただけ。
「なぁ、チョンよ。恋というのは、楽しくて、癒されて、温かくて、胸が弾むものだが。痛くて、苦しくて、つらい方が多いな。だが、クロウは、我にとって、心のよすがだ。苦しくても。そばにいたい」
王として、威厳を保つように、教育されてきた。
弱音など、決して、誰にも、告げられなかったが。
猫相手だと、ぽろぽろと本音が漏れてしまう。
でもそれは。思いがけなく、心の重しが取れるような効果があった。
「我は。クロウを愛しているのだ。おまえの飼い主を、このように苦しめ。疲れさせるばかりの、愚かな我を、許してくれ、チョンよ」
いつも。我に、文句のような鳴き声を発する黒猫だが。
うたた寝をするクロウを、気遣ってか。今回はなにも言わずに、窓辺に歩いていってしまった。
日のさす窓の外をみつめ。我に背を向ける猫は、黒くて長い尻尾をパタリと動かすだけだ。
ふたりの時間をくれてやる、とでも言っているのか?
空気を読むが。なんとなく偉そうだな、チョンよ。
クロウと猫と、我の。奇妙な三角関係。
やはり、このほのぼのとした時間は、我のかけがえのない宝物だ。
さて。いつも真面目に、仕事に取り組んでいるクロウが。こうして手を止めて、我のそばにいようとするのは。
おそらく、死に装束を作っているという、後ろめたさがあるからなのだろう。
クロウは、我の願いを叶えようとして、辛苦の想いをのみ込んで。それでも一生懸命手を動かしている。可哀想に。
だがこれは、クロウのためにもなることだから、頑張ってもらわなければならないのだ。
せめて、負の物を手掛けるという意識だけでも、拭い去ってやらなければな。
クロウを残して死にゆく運命を、嘆く日々は。永遠のようでもあり。刹那のようにも感じる。
ある日は、城の敷地内を散策し。騎士の目を盗んで、路地の陰に隠れて、彼の痩躯を情熱的に抱き締めたり。
ある日は、森の中で。ゆるりと手をつなぐだけの、優しさに満ちたひとときに、心を和ませた。
「…たまに、青い鳥を見かけるのだ。鉄のような光沢があって、鮮やかで、美しいぞ?」
「青い鳥? 見てみたいです」
好奇心のあるクロウは、我の言葉に、ぴかりと瞳を輝かせる。
その、無防備な笑顔が、我の心をいつも癒してくれるのだ。
可愛らしくて。守りたいのに、支えられている。そんな感じだ。
「あぁ、この森に生息しているのだろう。ほら、あの枝に、リスがいるぞ」
指し示す先に、首をキョロキョロさせるリスがいたのだが。
クロウがみつけ出す前に、どこかへ行ってしまった。
しょげ返る彼の表情、残念そうな目の色や、口をへの字にするところが、印象的だ。
クロウはそれほど、派手な容貌ではないのだが。表情はよく動く。
それが、見ていて飽きないというか。いろいろな彼の表情を見たいと思ってしまう。
いつまでも。いつまでも…。
悲しげなクロウに、慰めのキスを贈る。
最初は、優しい、触れるだけのくちづけ。だが、次第に燃え上がってしまい。
吐息を奪うほどに、熱く、くちづけるたび。離れたくないと、切実に思う。
彼と触れ合うたびに、我は、内に潜む、野蛮な本能を思い知らされた。
もっと、深く。もっと、淫らに。クロウを引き裂くほどに。抱き潰すほどに。彼と交わりたい。混ざり合いたい。そう思ってしまう。
だが、どんなに荒れ狂った、血迷ったキスをしても。クロウはやんわりと受け止めてくれる。
我は。クロウによって、美味で、刺激的な、悦楽をもたらす触れ合いに誘われるのだ。
だが、彼のすがる手を強く感じると。クロウのことだけを、愛する者の幸せだけを考えてやれない、王の業を背負う己が、忌々しくて…。
そんな、甘さと苦々しさが交互に訪れる、毎日だった。
クロウが手掛ける衣装が、出来上がりに近づくにつれ。自分で作り上げろと命じたくせに、その衣装を引き裂いてしまいたい衝動に駆られる。
あの衣装は、クロウがネックレスをバミネから取り返すために、必要なもの。
そう思って、感情のままに動くようなことはなかったが。
クロウも、我と同じ気持ちがあるようで。
サロンに行くと、衣装がかかる人台の前で、ハサミを手に、思い詰めた顔つきで立ち尽くすクロウを見ることがあった。
だが、そんな彼を目にすると。我の心は、逆に凪いだ。
己の死に、心を痛める者が、確実にひとりはいる。
それを実感すると、我の心には幸福感があふれた。
幼くして即位したあとから、今まで。どうにもならない状況下で暮らしてきたから。生きること、それ以上を望む心も、枯れ果てている。
だから、クロウという存在が我をみつめる、ただそれだけで、我は充分満たされるのだ。
我が顔を出すと、クロウは仕事の手を止めて、我とともに過ごす時間を作ってくれる。
手を止めなくても。クロウが仕事をしていても。我は、別に構わない。
彼が思いを込めて縫物をする姿も、好きだから。
仕事をする彼の、真剣な表情も、好きだから。
ただ、なるべく、そばにいたいだけだから。
優しい時間を、クロウと共有したいだけ。
でも、クロウは手を止め、我の近くに少しでもいようとするのだ。
そばにいてくれるのは、それはそれで嬉しいのだが。
我といる時間を、クロウが作るということは。その時間を、他のところから取ってくるしかないということ。
彼が寝る間を惜しんで、無理をして、衣装作りをしているのだと。わかっていた。
日に日に、疲れがにじんでくる顔つきを見ていれば、察せられることだ。
それでも、離せなくて。
彼と寄り添う時間が欲しくて。
一分、一秒でも長く、一緒にいたいと思ってしまう。
だけど、やっぱり疲れているのだな。
カウチに、ふたり並んで座っていたら。クロウはいつの間にか、我の肩に寄り掛かって、寝てしまった。
だいぶ気温が、温かくなってきているから。今は、暖炉に火がついていない。
麗らかな春の日が、部屋の中に射し込んで。のどかなぬくもりが、室内に広がっているから。火がなくても心地よかった。
そして、我の肩を温めてくれる、クロウの重みは。幸せの重み。格別だ。
日向ぼっこをしていた黒猫が、クロウが寝てしまったのに気づいて、我たちの前に歩いてくる。
飼い主に声をかけようとするのを、我は人差し指を口に当てて、止めた。
「静かに。起こすのは、忍びないだろう?」
少し口を開けて、今にも、あの甲高い声を出そうとしていた黒猫は。
我の言葉に。口を引き結ぶ。
おかしな猫だな。我の言葉が通じているみたいだ。
黒猫は、ソファセットの小さなテーブルの上に乗って。前足をきっちりと揃えて座り、我とクロウを黙って見ている。
黒猫…チョンは、最初から我を敵視して、全然可愛くなかったが。
思えば、クロウを大事に想う同志である。
そんな子猫に。我は、言葉をつむぐ。
理解などしなくて良いのだ。ただ、言葉に、彼への想いを乗せたかっただけ。
「なぁ、チョンよ。恋というのは、楽しくて、癒されて、温かくて、胸が弾むものだが。痛くて、苦しくて、つらい方が多いな。だが、クロウは、我にとって、心のよすがだ。苦しくても。そばにいたい」
王として、威厳を保つように、教育されてきた。
弱音など、決して、誰にも、告げられなかったが。
猫相手だと、ぽろぽろと本音が漏れてしまう。
でもそれは。思いがけなく、心の重しが取れるような効果があった。
「我は。クロウを愛しているのだ。おまえの飼い主を、このように苦しめ。疲れさせるばかりの、愚かな我を、許してくれ、チョンよ」
いつも。我に、文句のような鳴き声を発する黒猫だが。
うたた寝をするクロウを、気遣ってか。今回はなにも言わずに、窓辺に歩いていってしまった。
日のさす窓の外をみつめ。我に背を向ける猫は、黒くて長い尻尾をパタリと動かすだけだ。
ふたりの時間をくれてやる、とでも言っているのか?
空気を読むが。なんとなく偉そうだな、チョンよ。
クロウと猫と、我の。奇妙な三角関係。
やはり、このほのぼのとした時間は、我のかけがえのない宝物だ。
さて。いつも真面目に、仕事に取り組んでいるクロウが。こうして手を止めて、我のそばにいようとするのは。
おそらく、死に装束を作っているという、後ろめたさがあるからなのだろう。
クロウは、我の願いを叶えようとして、辛苦の想いをのみ込んで。それでも一生懸命手を動かしている。可哀想に。
だがこれは、クロウのためにもなることだから、頑張ってもらわなければならないのだ。
せめて、負の物を手掛けるという意識だけでも、拭い去ってやらなければな。
39
お気に入りに追加
985
あなたにおすすめの小説
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
【完結】魔法薬師の恋の行方
つくも茄子
BL
魔法薬研究所で働くノアは、ある日、恋人の父親である侯爵に呼び出された。何故か若い美人の女性も同席していた。「彼女は息子の子供を妊娠している。息子とは別れてくれ」という寝耳に水の展開に驚く。というより、何故そんな重要な話を親と浮気相手にされるのか?胎ました本人は何処だ?!この事にノアの家族も職場の同僚も大激怒。数日後に現れた恋人のライアンは「あの女とは結婚しない」と言うではないか。どうせ、男の自分には彼と家族になどなれない。ネガティブ思考に陥ったノアが自分の殻に閉じこもっている間に世間を巻き込んだ泥沼のスキャンダルが展開されていく。
婚約破棄と言われても・・・
相沢京
BL
「ルークお前とは婚約破棄する!」
と、学園の卒業パーティーで男爵に絡まれた。
しかも、シャルルという奴を嫉んで虐めたとか、記憶にないんだけど・・
よくある婚約破棄の話ですが、楽しんで頂けたら嬉しいです。
***********************************************
誹謗中傷のコメントは却下させていただきます。
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
噂の冷血公爵様は感情が全て顔に出るタイプでした。
春色悠
BL
多くの実力者を輩出したと云われる名門校【カナド学園】。
新入生としてその門を潜ったダンツ辺境伯家次男、ユーリスは転生者だった。
___まあ、残っている記憶など塵にも等しい程だったが。
ユーリスは兄と姉がいる為後継者として期待されていなかったが、二度目の人生の本人は冒険者にでもなろうかと気軽に考えていた。
しかし、ユーリスの運命は『冷血公爵』と名高いデンベル・フランネルとの出会いで全く思ってもいなかった方へと進みだす。
常に冷静沈着、実の父すら自身が公爵になる為に追い出したという冷酷非道、常に無表情で何を考えているのやらわからないデンベル___
「いやいやいやいや、全部顔に出てるんですけど…!!?」
ユーリスは思い出す。この世界は表情から全く感情を読み取ってくれないことを。いくら苦々しい表情をしていても誰も気づかなかったことを。
寡黙なだけで表情に全て感情の出ているデンベルは怖がられる度にこちらが悲しくなるほど落ち込み、ユーリスはついつい話しかけに行くことになる。
髪の毛の美しさで美醜が決まるというちょっと不思議な美醜観が加わる感情表現の複雑な世界で少し勘違いされながらの二人の行く末は!?
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる