【完結】異世界行ったら龍認定されました

北川晶

文字の大きさ
上 下
115 / 159

番外 右次将軍、美濃幸直 6   ★

しおりを挟む
 年が明け、二三〇二年。
 青桐たちとともに、本拠地に戻ってきた幸直は。右次うじ将軍になった。
 赤穂の死去に伴い、側近も引退し、空席が出たからだ。
 昇進ではあるが、喜べない。複雑人事だな。

 青桐のため、しばらくはひとつの屋敷に、幹部が集まり。指導と教育を行おうということになり。
 今は、堺の屋敷を拠点にしている。
 瀬間が、ひと月休みを取り。来月は、己が休暇に入るので。その旨を、実家に報告しに行くことになった。

 本拠地から美濃の実家までは、馬で一時間もかからない。
 書類仕事を巴に任せてしまうことになるが、報告だけだから、すぐに帰るつもりだった。

 そう、幸直の中では、もう、巴のいる場所が帰る場所になっている。
 まだ、恋人ではないけれど。
 巴は、心の故郷だ。
 戻れば癒され。心が安らぎ。楽しくて、笑顔が絶えない。そんなところ。

 屋敷の門番に馬を預け、敷地の中に入ると。妻が庭を歩いていた。
 隣には父が。
 すでに、熟年夫婦の空気感を出している。
 つか、使用人や側仕えに、隠す気もないようだ。

 幸直は、わかっていた。
 ふたり目の子は、父の子だと。

 いや、もしかしたら、己の子など、ひとりもいないのかもしれない。

 玄関に行く途中の、通路から庭を見ていた幸直に。父の方が、先に気づいた。
 彼女になにかを囁き、ふたりでこちらに歩いてくる。

「お帰りなさいませ、旦那様」
 気持ち、頭を下げた妻が、顔を上げる。
 こんな顔をしていたんだ、と幸直は思ってしまった。
 明るいところで、彼女の顔を見たのは、初日の一回キリ。あとは薄暗がりで、うつ伏せの彼女の顔など、見えやしない。

「私、妊娠五ヶ月ですの。旦那様は夏の休暇に帰ってきましたよね?」
 あぁ、なるほどと思った。
 妻は、共寝の事実が、あってもなくてもいいのだ。
 幸直の子だと言い張れるのなら、もう己に疑心を持たれても構わない。

 七月、己は。ここに帰っていない。

「確かに、夏に休暇をもらった」
「幸直…」
 父は、さすがに後ろめたそうだ。
 心当たりのある父は、七月に、己が帰ってきていないことも気づいているだろうから。
 休暇の知らせがあったのに、肝心の当主が戻ってこないから。ふたりは、さぞ焦ったことだろう。
 でも、むしろ。
 あの苦行が、これでなくなるのだと思うと、父上様様だ。

「いいではないですか。クマタカ血脈の子供がバンバン生まれる、それこそが美濃家の使命なのでしょう? どんどん励んでください。その代わり、俺も好きにさせていただきます」
「幸直、おまえ…姫様を差し置いて、他の女を抱いているのか? それで実家に寄りつかなかったのか?」
「自分たちを棚に上げて、俺を責めるとはね。俺は貴方たちのように、恥知らずではない。ずっと戦場にいるのですよ? 基地か、本拠地か、どちらかに行けば、俺はいますが?」

 巴に恋心を持ち、しかも手は出さない幸直は。誰より、禁欲的な生活をしているのだ。
 己のことをなにも知らず、逆切れするなんて…腹立たしい。
 なにが腹立たしいのか、自分でもよくわからないくらい。もう、全体的に腹立たしい。
 つか、己が姫様抱いても、父上はいいと言うのか?
 このふたりの関係性も、よくわからない。

 ま…どうでもいいか。

「ひどいわ。私は、貴方様が愛してくださらないから。私、寂しかったんです、おじさま…」
 そう言って、彼女は父の胸にしなだれかかる。
 え? 全部俺のせい?
 なにを言っているのだろうか、この女。

「それは、こちらの台詞だ。俺に笑いかけもしないで。話をしようと言っても、断ってきたのは、そちらだ。初日に、花束を受け取らなかったことも、覚えておられないらしい」
「花束のことは…貴方様が、とても美しい方だったから、気後きおくれしてしまって。それに、簡単に笑いかけてはならぬと、教えられてきました。名家の威厳だと…」

 己の顔が原因だと?
 美しいと、ツンツンするのか?
 百歩譲って、それが彼女特有の恥じらいだとして。
 威厳を保つために笑うな、なんて。なに情報?
 知らんがな。

「貴方の言い分は、わかりました。でも俺は、美しい花を見て、美しいと笑う、素直な人が好きだ。自分の間違いに気づいたら、すぐに謝罪し。俺が悲しんでいるときは、黙って、そっと寄り添ってくれる…」
 幸直の脳裏には、巴の姿があった。

 彼を愛している。

 目の前のふたりが、愛し合っているというのなら、それでいいではないか。
 己には関係ないことだ。

「俺と貴方の間に、愛は生まれなかった。父上と仲良くされたらいい」
 そう言って、幸直はきびすを返した。
 ここはもう己の家ではない。そんな気分になって。

     ★★★★★

 翌日、幸直は何事もなかったかのように、書類仕事にいそしんだ。
 しかし、昼過ぎから、雲行きが怪しくなり、大粒の雨が降ってきた。
 夕方にやんでくれたら、帰れたのだが。
 雨は、激しくなる一方。

 これは、帰るのは無理だなと判断し、指令本部の施設に勤める職員に、宿泊の用意を頼んだ。
 他にも、帰れなくなっている職員がいるようなので。一泊してもいいだろう。

「巴、今日は、ここに泊まろう。この雨じゃ帰れない」
 同じく、書類仕事をしていた巴に声をかけると、彼はハッと顔を上げた。
 雨が降っていることにも気づかないくらい、没頭していたみたいだ。

「日が落ちる前に、教えてくれれば良かったのに」
 巴はいったん集中すると、周りが見えなくなる性質だ。
 自分のせいで、帰る機会を逃したのだと、思ったらしい。

「日が落ちる前だって、雨がひどくて帰れなかったよ…」
 ふたりは仕事を終了し、宿泊の準備がされた別室に移動した。
 軽い夕食を食べ、清拭用の湯と手拭いがあったので軽く体を拭き。さっぱりしてから、浴衣に着替えた。
 布団の上に座り込み、あとは寝るだけだが。夜は長い。

「巴、ちょっと話していいか?」
 そして、昨日の出来事を話した。
 妻が妊娠五ヶ月で、七月に休暇がありましたよね、と言われたことを。
 ちょっとした、愚痴だ。

「え? 幸直は、七月の休暇に帰郷はしなかったよな?」
 その意味を、巴は正確に読み取った。
 七月の休暇はふたりで、奇襲隊で使えそうな立地の下見に行ったのだ。
 休暇は取ったが、家には帰っていない。

「ぶっちゃけ、親父に寝取られたんだ。お姫様は屋敷から出ないし。親父はまだまだ男盛り。俺の母親が亡くなって久しいしな。クマタカ血脈なら、誰だって構わないんじゃね?」

 せいせいするくらいの気持ちで言ったのだが。巴は心配して、僕の前で強がるな、と言ってくれる。
 もしかして…これは。いい機会なのではないか?
 赤穂が亡くなったとき、ひと晩中慰めてくれた、優しい巴なら。ここで押したら、ほだされてくれるかも。

 己を、抱き締めてくれないだろうか?

「なんて顔をしているんだ? 僕の知っている幸直は、快活明朗で、堂々としていて、威厳があって、美しい。僕の自慢の友達だぞ」
 自信なんか、ないよ、巴。
 ずっと、巴に愛してもらえるのかわからなくて、手をこまねいている。
 脅えている。
 だって、巴のことは、絶対に手放したくないんだ。
 失敗したくないんだ。

 だけど、巴が己のことを、そんなふうに想ってくれていると知ったら。
 もう、たまらない。

 様子見などする余裕もなく、幸直は本能に従って、巴を抱き締め、くちづけた。
 いつも、巴が気持ちいいと感じるように、嫌だと思われないように、優しく、甘く、舌を絡めていたが。気が急いて、欲望のままに、きつく舌を巻きつけてしまう。
 欲しくて。求めて。
 好きだという感情が暴走して。巴の体を押した。

 すると巴は、翼を広げて、あおむけに押し倒されてくれた。
 己の望みどおりに。

「いいのか? このままじゃ、俺はおまえを抱くぞ。男に犯られるの、嫌なんじゃないのか?」
 巴は、一瞬、瞳を揺らした。
 やっぱり、男にのしかかられるのは、怖いよな?
 でも、あきらめきれなくて。
 巴の言葉を待った。

「好きでもない男に、犯られるのが嫌なんだ。幸直のことは、好きだよ。こうして、幸直の気が晴れるなら、それでいいと思うくらいには、な。好き…」
 幸直は、巴の言葉が終わる前に、くちづけてしまった。
 なんでもいい。
 巴が己を好きなら。

 巴は優しいから、怖くても、己を慰めるために我慢してくれるのだろう。
 あぁ、こんなの。もう、欲しいよ。
 好き。好きだ、巴。
 同情でもいいから、ここで巴を己のものにする。
 心は、後からでもいいんだ。

 そんな気持ちで、激しく、くちづける。
 好きだと言う、舌の動きで、巴の口腔をかき回す。
 ぐちゅぐちゅと音が鳴るほど、情熱的にキスしても、巴は嫌がったりしなかった。嬉しい。

 キスをほどいて、ずっと舐めたいと思っていた、巴の細い首筋に、舌を移動させた。
 髪を短くしたときに、その襟足に噛みつきたいと思った、それをようやく実行できる。
 もう、己のもの。
 己のものに、するからっ。

 子供もいる、既婚者でありながら。童貞のような気分で。幸直は、巴の体を夢中で貪ってしまった。
 こんなんじゃ、ずっと巴を狙っていたって、バレバレかもしれない。
 それでも巴は、己に体を差し出してくれるのだ。
 愛されていると、思ってしまうよ。

 そんな、欲望に溺れた己を、巴はジッとみつめている。
 その黒い瞳に、男がやられるって、わかってんの?
 巴の黒真珠に、己が映り込んでいる。

 襟元をはだけさせ、巴の乳首に舌を這わせる、獣の姿が。

 年末のときは、触れられなかった、その桃色の乳輪を。親指で撫で回し。突起を起こすように、尖った舌でつつく。
 あぁ、浴衣が邪魔だ。早く、巴のすべてを目にしたい。
 想いがあふれる苦しさに、幸直は彼の胸に頭をすりつける。

「すまない、巴。俺、おまえに甘えているよな? でも、俺がこんな弱味見せられんの、巴だけだ。巴だけが…俺の」
 己のことをわかってくれるのは、巴だけ。
 名家を背負う重圧に、耐えてきたことも。愛のない夫婦生活が、苦痛なことも。堺にかえりみられて、喜んだことも。些細な心の動きを、汲み取ってくれる。
 そんな貴重な存在、離せない。
 絶対に、嫌われたくない。

 でも、帯を解いて浴衣を脱がしたら。黒い翼を背景に、乳白色の肢体が光って見えた。
 色づく乳首に。均整の取れた細身の体に。目が釘付けになった。
 早く食べたい。飢えた狼になった心地だ。

 己にもある、男の平らな胸。
 だが、それが巴だと思うだけで、腰がギュンとなった。
 簡単に、欲情する。
 この胸を舐めしゃぶって、巴をあえがせたい。

「…ふ、うぁ」
 耐えるような、ひそやかな声が聞こえたら、がぜん、やる気になる。
 感じてる? もっと感じて。
 舌先をとがらせて、乳頭を弾いていじめる。

「そ、れ…や、ぁ…幸直」
 官能に打ち震える声を聞くのも、幸直は初めてだった。
 巴に幸直と呼ばれる、それがひどく、己を興奮させた。

「声、聞かせて。巴。巴を抱いてるって、実感したい」
 そうしたら、フッと小さく笑って。くすぐったいって。
 なにそれ。すっごい可愛い。

 いたずらっ子をあやすみたいに、巴が己の頭を撫でる。
 巴の体を貪ってばかりの、欲望にまみれた己を、慈愛の微笑みで見守っているよう。
 なんでも許されているような気がする。

 男に組み敷かれるのは、怖いだろうに。己に抱いてもいいと、許しを与えてくれる。神様のような巴。
 あぁ、これは。最高に、良い思いだけさせてあげなきゃ。

 そんな気持ちで、巴の頬を両手で、大事に包み込み。キスを贈った。
「あおむけで、痛くないか? 初めては…後ろからの方が楽だと聞くが」
 翼があるから、情交は後背位でするのが基本だと、教育では教わった。
 本心は、巴の顔を見ながらしたい。
 決まっている。
 でも、痛い思いをしてほしくないから、聞いたのだが。

 巴は、首を横に振る。
「このままが、いい。幸直の顔、見たい」

 それは、見知らぬ男に抱かれていると、思いたくないということか?
 己の顔を見ながらだと、安心するのだろうか?
 抱いているのは、己であると、感じたい?

 他の男の顔など、思い浮かべる隙もないほど、巴の頭を、己で埋め尽くしてやる。

 幸直は、巴を強く抱き締め。屹立に手を伸ばした。
 そこはもう、張り詰めていて。撫でこすれば、すぐにも達してしまいそうだ。

 幸直は紐をほどいて、下着を取り払うと。巴の膝を立たせて、足の間に己の体を入れ込んだ。
 そして、手と舌で、屹立をじっくり愛撫する。
 男を抱くのは初めてだが、男根に触れても、巴のモノだからか、全然抵抗感がない。
 というか、気持ち良さだけを与えたい。という気持ちが、強かった。

 屹立の、根元から先端まで、舌を這わせていく己を、巴がつぶさにみつめている。
 今、巴に触れているのは己だと、見て、感じて、覚えてほしい。

「んっ、出る…イく、幸直っ」
 口を離して、うながすように手でこすり上げると。巴は精を飛ばした。
 良かった。己を相手に達してくれて。

 ひくひくと体を震わせ、快感を味わう巴は、すごく扇情的だ。
 できれば、一緒に達したかったが。ここには香油などがないから。後ろをほぐすのに、体液が必要だったのだ。
 クソ。嗜みとして、常備しておくべきだったな。

 こんな色っぽい巴を見せられて、己のモノはギチギチだ。
 猶予はない。

 巴の腹を濡らした白濁を手に取り、性急に後ろに塗り込める。巴の表情を確認しながら、中を探っていった。
 良いも悪いも、こうして見て、確認して、相手を思いやって。
 そのやり取りが、この行為には必要なのだな?

「顔見て、睦み合うの、初めてなんだが。いいな。巴がいい場所とか、よくわかる」
 中指を奥深くまで挿入し、内壁をなぞりながら、ゆっくり引き抜いていく。すると、とびきり反応する場所がある。
 男の体の中に、局部と同じくらい感じる部分があると、知っていたから。みつけた、と。思わず喜んでしまった。
 そこを念入りに撫でこすっていくと、巴の声が艶を帯びる。

 己の愛撫に、ちゃんと感じてくれている。と、実感して。
 なんか、感動した。
 あぁ、早く欲しい。

 幸直は指を二本に増やした。
「いいよ、来て」
 両手を広げ、巴が誘う。ゆるりとまばたきをする、慈愛にあふれた眼差しで。への字の口元をそっと開いて。

 その表情に、悩殺された。

 天使が、己の腕の中にいるんですけどっ。
「口、三角にして…煽るな。傷つけたくないし。痛くしたら、二度目はないかも」
 指二本しか挿入していない、ほぐれ切っていない蕾を、無理にこじ開けられない。まだ早いと思って。
 でも、入れたい気持ちは、ガンガンに高まっているから。
 欲望をおさえ込むのに、奥歯を噛んだ。

 巴は、無防備に口を開けると、三角になる。
 そういうときは、すごくエロく見えるのだ。

 普段は薄く、引き結ばれている唇が。なまめかしく、強調されるから。
 幸直は、その口元を見ると。いつも、指を突っ込んでしゃぶらせたり、己のモノをくわえさせたいという妄想に駆られてしまう。

 いつか、お願いしたい…。

 すると巴は、その唇を一度引き結んで。でも薄く笑って、うなずいた。
「そんな意地悪言わないから。ほら、来い」
 痛くても、いいのか?
 二度目も許してくれるのか?
 そんな男前な巴に、幸直は泣きそうになる。

 どれだけ、己を包み込んでくれるのだ?
 本当に、天使なのか? あぁ、好きだっ。

 幸直は、巴の後ろから指を引き抜き。手早く紐をほどいて己の下着を取り去ると、彼の胸に飛び込んだ。
 巴は優しく、己を抱き返してくれる。

「俺の巴…大好きだよ」
 だから、痛くしてしまっても、嫌わないで。
 幸直は巴の中に、己を挿入していった。
 理性を飛ばさないように、慎重に。

 巴の膝裏を持って、足を押し広げ。奥までヌッと入れ込む。
 すごく、きつい。
 温かい。
 気持ち良い。

 本能のままに、ズクズクと突き入れたいけれど。馴染むまでは、ゆるりとした動きで、我慢する。
 痛い思いは、絶対にさせない。
 先ほど探し当てた前立腺を、剛直の突端を行き来させてこすり、巴から官能を引き出していく。

 でも、もう、マジで、全然、余裕がないのだ。
 無意識にだろうけど、巴は剛直をキュンキュン締めつけてきて。そのたびに頭のてっぺんから足先まで、電撃みたいな快感が走り抜ける。
 その悦楽に追い立てられるように、幸直は情熱的に律動した。
 そそり立つ己で、巴のまといつく粘膜に突き入れて、抜いて、また突く。

「ん、幸直ぉ、ん、イく、ぅ」
 耳元で、そんな艶声を出され、幸直はぞくぞくと背筋を震わせる。
 愛しくて、止まらなくなる。でもおさえて、巴の前に手を伸ばした。
 男は、達するのに、そこの刺激が必要だ。
 腰の動きはそのままに、屹立を握り、摩擦すると。すぐに巴の体は跳ねさせて、二度目の精をほとばしらせた。

 隘路がひくひくと痙攣し、剛直をまんべんなく刺激する。
 たまらず、幸直は剛直を強く奥に突き入れ。そして巴の中に、勢いよく白濁を放射した。
 二度、三度と、あふれる精を、すべて出し切ると。ブルリと羽がわなないて…。
 射精で、羽が動くほど強烈な感覚を味わったのは、生まれて初めてだった。

 巴と誰かを比べたくはないが、今までの情交は、ごっこ遊びのようなもので。これが本物なのだと、本能的に思えた。
 だって、なにもかも、すべてが初めての感覚なのだ。
 甘いくちづけも、肌のなめらかさも、熱く感じる体温も、精を中に注ぎ入れる体感も。
 頭の中が真っ白になるような、なにかが突き抜けたような、爽快感。

 一度じゃ、全然足りなかった。今度は肌を合わせたい。

 達したあとの巴は、とろりととろけた眼差しで、ぼんやり己をみつめている。
 絶頂の余韻に身を委ねているのか、唇がゆるく開いて…魅惑的だ。

 幸直が浴衣を脱ぐと、巴は、まるで見惚れているみたいに、うっとり瞳を潤ませる。
 その、誘うような黒い瞳に、吸い込まれるように。幸直は、巴にくちづけた。
 舌を絡めていくと、彼も積極的に応じてくれて。

 もう一度、いいの?
 求める己を許しているのだと、勝手に解釈した。

「もっと、欲しい。巴…俺に全部、くれよ」
 心も体も、なにもかも、欲しい。
 幸直は、肩に引っかかる巴の浴衣を脱がせ、上半身を引き起こす。
 一糸まとわぬ巴を、己の腿に乗せると。向かい合わせで、胸と胸が合わさるほどに、巴との距離が近くなる。
 抜いていない剛直は、いまだ巴の中で抱き締められているから、じわりと官能も感じるが。
 それだけではない。

 巴を、なにより近くに感じることで、心が満ち足りる思いがしたのだ。

 胡坐をかく幸直は、巴の膝裏を手で持ち上げ、力強く、彼の体を揺さぶる。
 恥ずかしさからか、声をおさえてあえぐ巴が、可愛かった。
 巴はまた、己の顔をみつめてくる。

 いいな。
 己も巴も、顔を合わせて互いを認識し、気持ちを確かめ合い、許して、愛して。鼓動が重なり合うほど、近くで、体温の熱を分かち合い、そばにある唇に唇を重ねる。
 一番敏感な体の部分を、混ざり合わせて、ひとつになる。

 あぁ、なんという多幸感だ。

 心が打ち震えるほどに感動し、泣きそうになる。
 そうしたら、巴が。己の眉間に指を当て、さわさわと撫でた。
「大丈夫、幸直。僕がそばにいるから。ひとりにしないから」

 いつだって、巴は。己が一番欲しい言葉をくれる。
 ひとりに、しないでくれるのか?
 幸直は、ずっと、唯一が欲しかった。
 愛などないと強がっていたのは、誰かに愛してほしかったから。
 誰かを愛したかったから。
 ひとりでいいんだ。己を一番に想ってくれる人がいるなら。

「なにがあっても、離さねぇからっ」
 気持ちを込めているのに、自分が言うと、どうしても言葉が軽く聞こえる。
 でも、巴はきっとわかってくれる。
 己の些細な心根も拾ってくれる、優しい人だから。

 幸直はもう巴のことを離せなくなって、外の雨が上がるまで、飽くことなく、何度も愛し合った。
 巴もそれに応えてくれたから。

 幸直は…巴と恋人になれたのだと思っていたのだ。

     ★★★★★

 昨日の午前中までは、幸せだった。
 そう思い。
 幸直は、書類仕事の手を止めた。

 堺と紫輝に、巴が手裏基成であることを知らされて、驚愕したが。それだけだった。
 だって、巴が何者だろうと、己には関係ないのだ。
 己が美濃であることが、巴に関係なかったように。

 だから、今までどおり、やれる。
 そう巴に言ったのに。
 巴は基成であることを理由に、己から離れようとした。

 己が、美濃だからっ。

 彼の言い分は、少しはわかるのだ。
 美濃家は代々、手裏家を宿敵としてきた。
 手裏の祖先を殺し、美濃の祖先を殺されてきた。
 そんな家同士だから。

 もしも巴がそばにいたら、己が困る立場になるのではないか。
 巴は優しいから、きっとそんなことを考えてくれたのだろう。

 でも。だけど。
 そんなの、許せない。
 もう、離せないよ。

 四歳で、初めて恋を知ってから。二十二の今まで、ずっと追い求めてきた、最高の恋なのだ。
 だけど、己が好きになる者は、いずれも、己から離れていった。
 今回も、そうなのか?
 やはり、そういう運命なのか?
 いいや、今度こそ離さない。もしも、それが運命なのだとしても。

 巴のことだけは、捻じ曲げてでも離しはしない。

 だから、命を盾に、脅したんだ。
 巴の命を握るというのは、幸直に一瞬、愉悦をもたらした。
 幸直が手放さない限り、絶対に、巴はそばにいるのだ。
 己のそばから、離れられない。

 串刺しにしてやる、と凄めば。巴の黒い瞳が濡れる。
 その悲壮な感じは、幸直の加虐心を煽った。
『ごめんなさい…』と謝る姿を、可哀想に思う裏で。己の言うことに従う巴に、幸直の心は満たされた。

「絶頂のときに、殺してやろうか?」

 だが。首を振る巴から、脅えの色が見え。
 すぐに幸直の心はしぼむ。

 巴を支配するのは、孤独だった幸直が導き出した、正解の形だった。
 これで、いいのだ。
 これでいい、はずなのだ。
 しかし。

「俺だけを、愛すると誓えっ」
「幸直だけを、愛している」

 己の言葉に、打てば響くように返される言葉は、棒読みのよう。
 当たり前だ。強要しているのだ。
 巴が、心から望んだことではない。無理矢理引き出した、温度のない言葉。

 元々、巴は。とつとつと言葉をつむぐ。
 今まで、巴の言葉を、棒読みだと思ったことはないけれど。

 でもそのときは、感情を殺した声に聞こえたのだ。

 脅したとおり、巴を本当に殺すわけじゃない。
 本気で、彼の素性を明かすつもりなんかない。
 ただ、そばにいてほしいだけなのだ。
 けれど幸直が脅したことで、巴の心は死んでしまったのか?
 己が大事な者を殺したのか?

 ぽつりと、涙が落ち。書類の上に染みを作った。
 幸直は、手のひらで顔を覆い、うつむく。

 どこで、間違えてしまったのか。
 ただ、巴を愛したいだけなのに。

「…幸直」
 斜め前の席で、書類仕事をしていたはずの巴が、いつの間にか背後に立っていた。
 もしかしたら、殺されるのだろうか?
 そうだ。己がいなくなれば、巴の命を脅かす者はいなくなるのだから。

 でも、それでいい。
 巴に嫌われるくらいなら、死んだ方がマシだ。
 巴に殺されるなら、本望だし。

「幸直、羽を広げてくれないか?」
 なにをするつもりなのか、わからないまま翼を開くと。翼の付け根の羽毛が生えている部分に、巴が顔を押しつけた。
 そこは意外と敏感なので、くすぐったいと思ってしまう。

「幸直の匂いがする」
 そんなことを言われ、幸直は。不謹慎ながら、あそこがギンとみなぎった。
 いや、つでしょ、それは。

「もしかして、幸直は。僕のことが、好きなのか?」
「好きですっ」
 巴の問いかけに、食い気味に、幸直は答えた。
 もう、隠す意味もない。

「…そうか。幸直は、妻の不義に傷ついて、僕にすがったのかと思っていた」
「好きだ。巴のことが、ずっと好きだったから、抱いたんだ。俺を種馬扱いするやつらに、心など微塵みじんも動かない。俺の心はずっと…巴のものだ。巴だけを愛している」
「僕も、幸直が好きだよ」

 羽毛に頬擦りしているから、巴の声はくぐもって聞こえるけれど。
 近いから。
 幸直の耳に、はっきり届いた。

 思わず羽が、ワサッと動く。

「初めて会ったとき、僕を助けてくれただろ? あのときから好きだよ。表情がよく動く、美男子に。目を奪われた。顔のことを言われるのは、嫌いだっけ?」
「巴が俺の顔を好いてくれるなら、美男子で良かったと思うよ」
「僕は、美しいものが好きなんだ。月も、蝶も、幸直も。そう言ったろ?」
 確かに、年末辺りに、そんなことを言っていた。
 記憶に新しい。

「幸直、僕は。人として、欠陥品なんだ。空も風も、動植物も、美しいと感じ、心が震えるが。人に対して、心が動かない。家族の死に相対しても、心は凪いでいた。絵を描いていたい、そういう自己中心的なことを考えて…人情のない男なんだ」

「でも、巴は。俺のことよく考えてくれた。俺が悲しいのも、苦しいのも、わかってくれたじゃん? 欠陥品なんかじゃない」
「うん。幸直のことは好きだからかな? 君のこと、なんとなくわかったな。名家の跡継ぎという境遇が似ていたからかもしれないが…とにかく。僕の心は普通じゃない。君以外の人は、滅びてもいいと思うくらい、他者には興味ない」

 なにそれ…。

 幼い頃から、自分のことだけを見てくれる誰かがほしいと、幸直はずっと願っていた。
 美濃ではない、幸直という個人を。
 そんな己に。
 自分以外の者には興味がないと、言ってくれる人が現われるなんて。
 それが、巴だなんて。

 それって、最高すぎるじゃないか?

「僕の命は、今はもう、なんの価値もない、ちっぽけなものだ。手裏基成は別にいるし。人としてもどうかと、自分でも思うくらいだからな。けど、こんな僕でもいいのなら、君にあげるよ。できれば…絵を描く時間を、少しもらえるとありがたいのだが。多くは望まない。僕は君に従う者だからね?」
「…巴」
 従えと言った、昨日のことが悔やまれる。
 あんなに乱暴に扱ったのに。巴はどこまで優しいんだっ。

「だから。なにも傷つくことはない。幸直は、なにも悪くない。ひとりにしないと誓ったのに、離れようとした僕が悪かった。大丈夫。幸直は悪くない」

 いいや、誰がどう見ても、昨日の行いは自分が悪いのだ。
 それでも、巴は許してくれるのか?
 こんな。妻を愛せない、冷たい男で。子供を愛せない、情のない男で。
 愛する巴にも、思い通りにならないと乱暴するような男で。
 美濃でなければ、なんの価値もない、誰も見向きもしない男を。

「っ巴、顔、見たい。振り向いて、いいか?」
 うなずいて、巴は身を離した。
 すかさず幸直は立ち上がって、巴と向かい合う。
 大事な話は、顔を見て、したい。

「巴、俺のものにしていいのか? ずっとそばにいてくれるか?」
「あぁ。幸直の望みを、僕は叶えたい。幸直も、ずっと…いろいろ苦しんできたのだから、そろそろ幸せになってもいいじゃないか。僕が幸せにするというのは、少しおこがましいが。そばにいることぐらいはできる」

「巴っ」
 感極まって、幸直は巴をギュギュッと抱き締めた。

「昨日のことは、みんな嘘だから。巴のこと、誰にも言ったりしない。もう、脅したりしないし。巴がっ、巴さえ、そばにいてくれたら、俺はなにもいらないっ」
 幸直は、巴の顔が見たくなって、少し身を離し。巴の頬を、手ですりすり撫でた。

「あっ、でも、髪は伸ばしてもらいたいかな。巴の黒髪は、とても綺麗だよ。それに、巴のうなじは魅力的だから、隠しておきたいんだ。この色っぽいうなじを見ていいのは、俺だけだから。なぁ、巴? いっぱい愛してもいい? 溺れるくらい、可愛がってもいい? こうして、あちこち撫でてもいい? 手をつないで歩いてもいい? 巴が絵を描いている間、邪魔しないから、そばにいてもいい?」

 愛おしい巴の顔を、うっとりみつめながら。脳裏に浮かぶ言葉を、すべてぶちまける。
 なにもいらないと言ったけど、巴とやりたいことが、次から次にあふれてきちゃって。
 長年おさえていた愛情が、歯止めがかからず、漏れ出しているようだった。

「顔がっ、美っ! 破壊力があり過ぎで、目が潰れそうっ」

 び?
 巴の言葉は、よくわからなかったが。
 目が潰れそうと言うにも関わらず、いつも眠そうな重い目蓋が、カッとガン開きしていた。
 黒い瞳の中には、星のようなきらめきが、チカチカしているから。嫌がっているわけではないのだろう。

 そういうの、わかる。

しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……? ※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...