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幕間 舐めてはいけませんっ(青桐side) ★
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◆舐めてはいけませんっ(青桐side)
青桐は、更なる奇跡に胸を高鳴らせていた。
誰もが目を引くであろう美形の堺が、龍鬼だという理由だけで、恋も知らない、キスもまだの、手付かず状態だったことを嬉しく思っていたが。
まさか夢精がなにか知らないほどに、性的なものに触れていなかったなんて。
「青桐様は博識なのですね。いろいろ教えてくださり、ありがとうございます。これからも私がわからないことを、教えてくださいますか?」
床板にペッタリと座り込んでいる堺に、キラキラした尊敬の眼差しでみつめられ。青桐は苦笑する。
これは、誰もが知っていることだ。
十歳も過ぎれば、己の体の変化に興味津々で、触ったりいじったりしていくうちに自然に覚えること。
青桐も他の者と接触してこなかったので、友達から教えてもらったというようなことはなかったが。
爺さんの存命中に、男の体の仕組みの基本は教わっていた。
女性の体に溺れて羽目を外さないように、厳重に注意された覚えがある。
おそらく将堂家に入る前に、子種をバラまくなということだろうが。
おかげでこちらも、まっさらな状態で堺に会うことができたから。その点は感謝してやろう、ジジイ。
しかし純粋無垢な堺に、己が一から教えていくのだ。
嬉しい反面、責任重大。
まだまだ恋の泉に足先をつけただけの堺だ。優しく、丁寧に、脅えさせないように、ゆっくり教えていかないとならない。
こちらも書物の知識だけの頭でっかちだから。
一緒に恋の階段を登っていこう。そんな気持ちで、堺の額にそっとくちづけた。
「夢精はある程度予防できるんだ。自慰をすれば…」
「自慰とは、なんですか?」
「自分で刺激して、精液を出してから寝れば、夜に出ることは少なくなる」
「どうすればいいんですか?」
すがるような目でみつめられ、青桐は胸がギュッとなって、せつなくなる。
なんとなく、この綺麗な人を汚してしまうような気もするが。
堺は困っているのだから。
恋人として。先生として。教え…てもいいかな?
いいよな? 堺は己より年上なのだし。
知っておかないと、このあとも苦労するんだから。そうだ。そうだ。
こんこんと自分に言い聞かせた青桐は、堺の髪をそっと撫でる。
しっとり濡れているのに気づき。
そういえば、堺が軍服を着ていることに気づいた。
「あれ、堺、風呂入ったのに、軍服を着ているのか?」
「寝間着で上官の部屋をたずねるのは失礼なので、着替えました」
「もう恋人になったんだ。上官の部屋じゃなくて、恋人の部屋をたずねるつもりで。楽な格好で来て」
「でも恋人でも、貴方は上官ですから。まだそこまで混同できません」
相変わらず、硬くて自分に厳しい堺に、青桐は苦笑してしまう。
己に少し甘えてくれるようになった気がしたけれど、まだまだのようだ。
「俺が頼んでいるのに…それに、堺の首筋にキスしたいな?」
意味深に、青桐は堺の首筋を指で触れた。
そこは防具に守られて、厚い革が堺の体温を遮っている。
「首に、キスしたいのですか?」
小首を傾げて、堺が聞く。
青桐の指のうごめきに、性的な意味合いを見出してはいないようだ。
「首だけじゃなくて、体中にキスしたいよ。そして堺を、いっぱい感じさせたい」
「体にキスしても、なにも感じないですよ?」
堺は、まだ知らないのだ。体のいたるところに性感があることを。
なにも知らない堺の体の、いいところを。ひとつひとつ暴いていく。
そんな想像をしただけで、たぎってくる。
「言ったな? じゃあ賭けをしよう。体の中で、唇以上に感じる場所があったら…堺と本気の手合わせをしてもらおうかな?」
エロいお願いじゃないことに、堺はホッとするだろうが。
もうすでに、体にキスすることが充分エロいと気づかない、純白の精霊さんだ。
「そんなの、いつでもお相手いたしますよ?」
「いいや、いつも手加減されてる。手加減なしの真剣勝負だ」
「ふふ、わかりました。受けて立ちます」
にっこり笑う堺は、どこか嬉しそうだ。
でも本題を忘れているんじゃないかな?
堺の手を引いて立ち上がらせると、青桐は寝台にうながした。
「その約束は明日な。まずは自慰を覚えないと。横になって、楽にして」
「しかし青桐様の寝台に、横になるなんて…」
「授業だと思って。堺も、自分の体のことをちゃんと知っておいた方がいいよ」
そう言って、青桐は先に寝台に横になって、その隣を示す。
それはそうだと、思ったのか。
躊躇しながらも、堺は青桐の隣に身を横たえた。
横向きの状態で向かい合う。頭の位置が同じところにある。
堺の頬にかかる髪を右手でそっとよけ、首元にたまった髪の束を背中に払うと。堺はくすぐったそうに首をすくめた。
可愛い。
枕を堺に使わせて、己は左手で手枕をする。
「堺、触れるよ」
緊張した顔ながら、堺はうなずいた。
青桐は堺の股間に手を伸ばし、ズボン越しに陰茎にそっと触れる。
そこはまだ息づいてはいなかった。
ズボンのひもをほどいて前をあらわにし、下着から性器を取り出す。
やんわり握り込んだ堺のソレは、片手ですべてをおさめられない大きさだった。
太さも長さも、堺の体格に見合った立派なモノ。
もしも堺に翼があったなら。女性にモテモテで、引く手あまただったろう。
この美貌と凶器で、何人もの女性を泣かせ、悦ばせたに違いない。
自信たっぷりで、女を食いまくる堺なんて、もはや堺ではないが。
でも今、この手の中にある堺は、己のもの。誰にも渡すつもりはないし。
この立派なモノが女性を悦ばすことはない。
そうはさせないよ。ごめんな。
でも俺が、めいっぱい可愛がってやるから。
きゅっと、手の中のぬくもりを握ると。
堺は少し息を詰め、せつなげに眉を寄せた。
「楽にして。怖いことはしないよ。気持ち良いことだけ。俺に体をゆだねて」
右手で堺のモノを握り、左手は堺の首の下にもぐり込ませ、彼の頭を引き寄せた。
最初はついばむようなキス。そうして堺の緊張をほぐしていく。
「堺、昨日教えた恋人のキス、してみて」
青桐は唇で、堺の唇の表面をくすぐりながら、囁く。
堺は小さく息をのんだが。青桐の言うまま、口を薄く開く。
そして青桐の口の中に舌を忍ばせ、舌の真ん中をたどたどしくくすぐった。そしてキスをほどくと、上目遣いで自信なさそうに聞いてくる。
「こう、ですか?」
「そう。上手だよ。もう一度」
褒めたら照れくさそうに笑って。唇を寄せてくる。
チュッと吸いつくキスをしてから、舌を絡めるくちづけに移行した。
おお、進化している。なんて素直な人なんだ。
青桐はキスを続けながら、右手を少し動かした。
すると堺の体が途端にこわばるが、なだめるように堺の舌の真ん中をくすぐっていると。ゆっくり体の力が抜けてきた。
陰茎を上下に擦りながら、キスできるようになり。
徐々に陰茎に芯が通ってくる感触がした。
「ん、んっ…」
なんか、つらそうな声を出すから。青桐は唇をいったん離した。
堺が荒く、息継ぎをしている。
「キスの間、息を止めている? 鼻で呼吸するんだよ」
「鼻で? できません」
「じゃあ、それも練習しよう。口をつけたら、二回、鼻で息して」
チュクッと音をさせて、堺の口をぴったりとふさいでしまうと。堺はフンフン鼻で息した。
可愛い。
語彙が少ないが。可愛いとしか言いようがない。
「うまいうまい。今の、続けて。今度は舌の先を触れ合わせるよ」
青桐が舌先を出すと、堺がそこに舌で触れてくる。舌先を動かして、堺の舌を誘うようにくすぐる。
本当にこそばゆいのか、堺はふふと小さく笑った。
「そうだよ、キスはそうして笑うくらい、楽しくて、気持ちの良いことなんだ」
「楽しい、もの?」
「そう、こうしてくすぐるの、楽しくない? 堺も俺の舌、くすぐってみて」
堺は青桐の舌先を舌で触れる。
こしょこしょ、というよりは。つるつると、不器用に舌を動かしている。
「ん、難しい、です。青桐様のように、うまくできません」
「大丈夫、上手にできているよ。もう一度…」
「ん、ふ…ん、ん」
一生懸命舌を動かして頑張っている堺を、ねぎらうように。堺の腕枕と化している左手の指先で、彼の頬をくすぐった。
耳や、顔の輪郭を指でたどると、堺の舌の動きがにぶる。
集中できなくなるのかな?
「楽しくなってきた?」
「楽しい、というより、なんだか、じんじんします。あの…下も」
下というのは、ゆっくり撫でこすっている、堺のモノだ。
屹立と言えるくらい、硬く張りつめてきた。
「それは、気持ち良い、だよ」
「気持ち、いい? じんじんして、熱くって、ピリピリするのですが」
「それで大丈夫だ。じんじんがいっぱいになると、もっとしてほしいって気になるよ」
「もっと青桐様に、してほしい、なん、て…ん、んん」
少し強めにこすり始めたら、堺が唇を噛みしめ、快感に耐えるような顔になってきた。
その顔は、ヤバい。
綺麗で可愛くて色っぽくて。
「ふ、堺、さっきから、俺のこと、様づけで呼んでるよ。いけないな。お仕置きしてやる」
青桐は堺の口に強く唇を押し当てて、じっくり舌を絡めて、吸いついた。
それに堺も、もう応えてくる。
舌先をヌルヌルさせる深いくちづけに、慣れてきたのか。下半身の快楽に溺れて、流されているのか。
どちらにしても、堺は大人の階段を一歩登れたってことだ。
「ん、ふ、あ、青桐、さま。お仕置きに、なっていません」
「どうして?」
「嬉しいこと、をさ、される、のは。お仕置きに、ならない、でしょう?」
「嬉しいのか? でも、いいんだ。俺が楽しいことを、する、お仕置きだから」
唇をくっつけたまま、囁き。言葉の端々で舌をくすぐった。
そうして長くキスをしているうちに、堺はくちづけしながら息継ぎをする技を会得したようだ。
のみ込みが早い。
「青桐、さま。き、気持ち、いい…です」
堺の薄青の瞳が、少し濃い色に変化した。
とろりと潤んで、熱っぽくなっている。
屹立の先端からも先走りの蜜があふれ、キスの濡れた音と蜜の濡れた音が、ふたりの耳を煽る。
「堺、いっぱい、じんじんする?」
「わ、わからない。あ、あの…お手洗いに、行きたい、です」
「うん。初めての射精は、尿意に似ているんだ。漏れると思っても我慢しないで。そのまま感じて」
右手の屹立をこすりたてる動きは、そのままに。青桐は堺をなだめるように、頬や目蓋にキスを落とす。
「怖い、です…青桐っ、貴方の前で、変に、なったら…」
初めて受ける強い快感に不安を感じたのか、堺は涙目でみつめてくる。
その表情がどれだけ男を駆り立てるのか、知らずに。
「堺がどんなに乱れても、変になっても、俺は堺のことが好きだ。だから恐れないで。しがみついていいから。大丈夫だから。俺を信じて。ね。上手だよ。そのまま…」
堺の耳に低く吹き込んで、青桐は堺の耳たぶを甘く齧る。
「いろいろな顔を見せて。あぁ、堺。可愛い。好きだよ。好きだ…」
「あ、青桐さま…ん、んんっ、ふ、ぁ、んぁ」
堺は青桐の襟元を握り込んで、胸に額をこすりつける。過ぎる悦楽から逃れようとしているかのように。
青桐は腕の中で身悶える堺を大事に抱え込んで、その痴態をつぶさにみつめた。
氷の化身のごとき表情を動かさなかった堺が、情欲に震える姿は。花が艶やかに花弁を開くサマを見るようだった。
色づいた頬、潤む薄青の瞳。しどけなく開く、薄い唇。その中に見える赤い舌。
なにもかもが扇情的だ。
普段まろやかに包み込むような心地よい声も、あえぎに変わると、なやましく青桐を誘う魅惑の音になる。
「あ、あ…我慢、できない…青桐、さまっ、青桐、ふ、う…んっ」
ビクンと体を跳ねさせた堺は、荒く息をついて、なんでか悲しげに青桐をみつめる。
「…粗相、を?」
堺は漏らしてしまったと思ったようだが。青桐の手を濡らすのは、白濁した精だった。
「大丈夫。ちゃんと射精できたよ。起きた状態で精を出したのは初めてなんだね? びっくりさせたな。ごめんな、堺」
「いえ、大丈夫です。私が、お願いしたことですから…」
初めての射精の余韻なのか、ぼんやりした眼差しでみつめてくる堺が、いとけなく見える。
氷の精霊のごとき美しい人は、この程度のことでは汚されない。尊い人だと、青桐は思った。
でも手のひらにあふれた堺の精は、とても熱くて。
精霊のような彼だけど、ちゃんと目の前で生きているのだと実感してしまう。
そして真っ白なその精が、天使のしずくのような気がしてしまって。
思わず、舐めてしまった。
「あっ…なっ!!」
精のついた指を舐めた青桐を見て、ぼんやりしていた堺の薄青の瞳が瞬時に光を宿した。
堺は慌てて、寝台を転げ落ちるかのように降りると、衣装箪笥に手を突っ込んだ。そこから手拭いを出し、再び寝台に上がって青桐の口元に持っていった。
「舐めてはいけませんっ、な、舐めるなんて…龍鬼の体液を、舐めるなんて。なにが起きるかわからないのにっ。早く吐き出してください。早くっ」
いつもの冷静沈着で、表情もあまり動かさない堺なのに。その慌てぶりが血の通った人間味にあふれていて。
思わずクスリと笑ってしまった。
「笑ってないで、早く…あっ」
青桐は堺が持つ手拭いを右手で奪い取り、もう飲んじゃった、と言わんばかりに口を開けて見せた。
そうしたら堺は、青桐の胸に思いきり飛び込んできて。深く唇を押し当ててきた。
青桐の口腔に舌を差し入れ、舐め拭うように、舌をこすり合わせる。
「もう、ないですか? 口の中に、残っていないですか?」
「…まだ、ん」
とっくに、口の中に精など残っていないが、青桐が『まだ残っている』と嘘をつこうとすると、すかさず堺が再び、ねっとりとくちづけてきた。
堺の方からそんな情熱的なキスをされたら、我慢できなくなる。
両の腕で、青桐は堺をきつく抱き締めて押し倒し、堺の気の済むまで存分に舌を絡ませ合った。
堺は己の精を青桐の口の中から回収したいだけだろうが。
舌先からまんべんなく、舌を撫で舐められ。歯列や上あごまで舌でたどられるのは、ヤバい。
理性がブッチギレそう。
でも、ダメダメ。
堺は今日、初めて射精したばかり。
勢いでなにもかもを奪ったら、堺が壊れてしまうかもしれないんだからな。
青桐はぶっとい鎖で己の理性をつなぎ止め。唾液が糸を引く濃厚なキスをほどいた。
「もう口の中に、ありませんか?」
「あぁ、ないよ…すっごい大胆なキスしてたけど、自覚ある?」
「す、すいません」
堺は謝って、身を起こす。
青桐も寝台の上に座って、今更ながら手拭いで手を拭きながら向かい合った。
「今のを自分でするのが、自慰だけど。とりあえずこれで、今日は夢精はしないと思うよ」
「ありがとうございました。貴方の御手をわずらわせるようなことは…もう…」
ズボンのひもを結び直して、堺も身だしなみを整える。
顔の赤みはなかなかひかない。よっぽど恥ずかしかったのだろうな。
「なに言ってんの? 俺以外の人にこんなことさせるのは駄目だからな?」
「もちろんです。これからは、自分でいたします」
「それも、駄目」
疑問の顔つきで、堺は青桐をみつめる。
そこにはもう、情欲の色は見えない。
本当に、真っ白な人なんだな。
「堺は、自慰をしちゃ駄目。毎日、俺がしてあげるから」
寝乱れた髪を、指ですいて直してあげると。
戸惑いと恥ずかしさと困惑で、堺は瞳を揺らした。
「そんな…その、ような…」
「絶頂に達するまで、堺が自分でいじってイけるとは思えない。中途半端で放置したら、余計つらくなるからな。俺と堺は恋人なんだから、堺の憂いは俺が晴らしてあげたいんだよ。これから毎日恋人のキスをするんだから、そうしたら夢に見てしまうだろう? その前に、俺が抜いてあげるよ」
「抜く?」
「精を出すことを、抜くと言うんだ。他にも性に関することや、キスの仕方や、愛の表現とか。堺が知らないことはまだまだいっぱいだからな。ひとつずつ、じっくり教えてあげるよ」
「あれ以上が、あるのですか? もうドキドキしすぎて、心臓が壊れそうだったのに…」
絶望の顔つきの堺を、青桐は抱き寄せ。宝物を磨くように、そっと彼の背を撫でた。
「大丈夫だよ。堺の心臓が壊れないように。ゆっくり、進むから。怖かったり、嫌だったら、言ってくれたら…触らないから」
青桐は、わざと触らないと言った。
堺がこの行為を嫌悪しているか、確かめるために。
「それは、嫌です。私は…触ってほしい」
賭けのような、追い詰められた気持ちになったが。
堺が嫌だと言ってくれて、良かった。ホッとした。
初めての、性感が伴う触れ合いに、堺が脅えてしまうことも考えられたが。堺はちゃんと己と向き合ってくれている。
それを感じることができて…。
「ありがとう、堺。嬉しいよ」
素直な気持ちを伝えた青桐は、感謝のしるしに、堺の頬、耳、鼻の頭、目元、こめかみと、ついばむキスを贈った。
そして唇には。
優しい、甘やかなくちづけを捧げる。
「毎日俺とキスするのは、嫌か?」
しっかり目を合わせて、堺にたずねると。
彼は小さく、首を横に振った。
「じゃあ。毎日、な?」
「はい」
短いが、はにかんで、でもはっきりと肯定する、堺の『はい』が。青桐は好きだった。
満足げにうなずいて、堺にもう一度甘い甘いキスをした。
★★★★★
堺が部屋を出たあと。
暴発寸前だった青桐が、ぶっとい鎖を引き千切って、寝台の上でのたうち回ったのは言うまでもない。
青桐は、更なる奇跡に胸を高鳴らせていた。
誰もが目を引くであろう美形の堺が、龍鬼だという理由だけで、恋も知らない、キスもまだの、手付かず状態だったことを嬉しく思っていたが。
まさか夢精がなにか知らないほどに、性的なものに触れていなかったなんて。
「青桐様は博識なのですね。いろいろ教えてくださり、ありがとうございます。これからも私がわからないことを、教えてくださいますか?」
床板にペッタリと座り込んでいる堺に、キラキラした尊敬の眼差しでみつめられ。青桐は苦笑する。
これは、誰もが知っていることだ。
十歳も過ぎれば、己の体の変化に興味津々で、触ったりいじったりしていくうちに自然に覚えること。
青桐も他の者と接触してこなかったので、友達から教えてもらったというようなことはなかったが。
爺さんの存命中に、男の体の仕組みの基本は教わっていた。
女性の体に溺れて羽目を外さないように、厳重に注意された覚えがある。
おそらく将堂家に入る前に、子種をバラまくなということだろうが。
おかげでこちらも、まっさらな状態で堺に会うことができたから。その点は感謝してやろう、ジジイ。
しかし純粋無垢な堺に、己が一から教えていくのだ。
嬉しい反面、責任重大。
まだまだ恋の泉に足先をつけただけの堺だ。優しく、丁寧に、脅えさせないように、ゆっくり教えていかないとならない。
こちらも書物の知識だけの頭でっかちだから。
一緒に恋の階段を登っていこう。そんな気持ちで、堺の額にそっとくちづけた。
「夢精はある程度予防できるんだ。自慰をすれば…」
「自慰とは、なんですか?」
「自分で刺激して、精液を出してから寝れば、夜に出ることは少なくなる」
「どうすればいいんですか?」
すがるような目でみつめられ、青桐は胸がギュッとなって、せつなくなる。
なんとなく、この綺麗な人を汚してしまうような気もするが。
堺は困っているのだから。
恋人として。先生として。教え…てもいいかな?
いいよな? 堺は己より年上なのだし。
知っておかないと、このあとも苦労するんだから。そうだ。そうだ。
こんこんと自分に言い聞かせた青桐は、堺の髪をそっと撫でる。
しっとり濡れているのに気づき。
そういえば、堺が軍服を着ていることに気づいた。
「あれ、堺、風呂入ったのに、軍服を着ているのか?」
「寝間着で上官の部屋をたずねるのは失礼なので、着替えました」
「もう恋人になったんだ。上官の部屋じゃなくて、恋人の部屋をたずねるつもりで。楽な格好で来て」
「でも恋人でも、貴方は上官ですから。まだそこまで混同できません」
相変わらず、硬くて自分に厳しい堺に、青桐は苦笑してしまう。
己に少し甘えてくれるようになった気がしたけれど、まだまだのようだ。
「俺が頼んでいるのに…それに、堺の首筋にキスしたいな?」
意味深に、青桐は堺の首筋を指で触れた。
そこは防具に守られて、厚い革が堺の体温を遮っている。
「首に、キスしたいのですか?」
小首を傾げて、堺が聞く。
青桐の指のうごめきに、性的な意味合いを見出してはいないようだ。
「首だけじゃなくて、体中にキスしたいよ。そして堺を、いっぱい感じさせたい」
「体にキスしても、なにも感じないですよ?」
堺は、まだ知らないのだ。体のいたるところに性感があることを。
なにも知らない堺の体の、いいところを。ひとつひとつ暴いていく。
そんな想像をしただけで、たぎってくる。
「言ったな? じゃあ賭けをしよう。体の中で、唇以上に感じる場所があったら…堺と本気の手合わせをしてもらおうかな?」
エロいお願いじゃないことに、堺はホッとするだろうが。
もうすでに、体にキスすることが充分エロいと気づかない、純白の精霊さんだ。
「そんなの、いつでもお相手いたしますよ?」
「いいや、いつも手加減されてる。手加減なしの真剣勝負だ」
「ふふ、わかりました。受けて立ちます」
にっこり笑う堺は、どこか嬉しそうだ。
でも本題を忘れているんじゃないかな?
堺の手を引いて立ち上がらせると、青桐は寝台にうながした。
「その約束は明日な。まずは自慰を覚えないと。横になって、楽にして」
「しかし青桐様の寝台に、横になるなんて…」
「授業だと思って。堺も、自分の体のことをちゃんと知っておいた方がいいよ」
そう言って、青桐は先に寝台に横になって、その隣を示す。
それはそうだと、思ったのか。
躊躇しながらも、堺は青桐の隣に身を横たえた。
横向きの状態で向かい合う。頭の位置が同じところにある。
堺の頬にかかる髪を右手でそっとよけ、首元にたまった髪の束を背中に払うと。堺はくすぐったそうに首をすくめた。
可愛い。
枕を堺に使わせて、己は左手で手枕をする。
「堺、触れるよ」
緊張した顔ながら、堺はうなずいた。
青桐は堺の股間に手を伸ばし、ズボン越しに陰茎にそっと触れる。
そこはまだ息づいてはいなかった。
ズボンのひもをほどいて前をあらわにし、下着から性器を取り出す。
やんわり握り込んだ堺のソレは、片手ですべてをおさめられない大きさだった。
太さも長さも、堺の体格に見合った立派なモノ。
もしも堺に翼があったなら。女性にモテモテで、引く手あまただったろう。
この美貌と凶器で、何人もの女性を泣かせ、悦ばせたに違いない。
自信たっぷりで、女を食いまくる堺なんて、もはや堺ではないが。
でも今、この手の中にある堺は、己のもの。誰にも渡すつもりはないし。
この立派なモノが女性を悦ばすことはない。
そうはさせないよ。ごめんな。
でも俺が、めいっぱい可愛がってやるから。
きゅっと、手の中のぬくもりを握ると。
堺は少し息を詰め、せつなげに眉を寄せた。
「楽にして。怖いことはしないよ。気持ち良いことだけ。俺に体をゆだねて」
右手で堺のモノを握り、左手は堺の首の下にもぐり込ませ、彼の頭を引き寄せた。
最初はついばむようなキス。そうして堺の緊張をほぐしていく。
「堺、昨日教えた恋人のキス、してみて」
青桐は唇で、堺の唇の表面をくすぐりながら、囁く。
堺は小さく息をのんだが。青桐の言うまま、口を薄く開く。
そして青桐の口の中に舌を忍ばせ、舌の真ん中をたどたどしくくすぐった。そしてキスをほどくと、上目遣いで自信なさそうに聞いてくる。
「こう、ですか?」
「そう。上手だよ。もう一度」
褒めたら照れくさそうに笑って。唇を寄せてくる。
チュッと吸いつくキスをしてから、舌を絡めるくちづけに移行した。
おお、進化している。なんて素直な人なんだ。
青桐はキスを続けながら、右手を少し動かした。
すると堺の体が途端にこわばるが、なだめるように堺の舌の真ん中をくすぐっていると。ゆっくり体の力が抜けてきた。
陰茎を上下に擦りながら、キスできるようになり。
徐々に陰茎に芯が通ってくる感触がした。
「ん、んっ…」
なんか、つらそうな声を出すから。青桐は唇をいったん離した。
堺が荒く、息継ぎをしている。
「キスの間、息を止めている? 鼻で呼吸するんだよ」
「鼻で? できません」
「じゃあ、それも練習しよう。口をつけたら、二回、鼻で息して」
チュクッと音をさせて、堺の口をぴったりとふさいでしまうと。堺はフンフン鼻で息した。
可愛い。
語彙が少ないが。可愛いとしか言いようがない。
「うまいうまい。今の、続けて。今度は舌の先を触れ合わせるよ」
青桐が舌先を出すと、堺がそこに舌で触れてくる。舌先を動かして、堺の舌を誘うようにくすぐる。
本当にこそばゆいのか、堺はふふと小さく笑った。
「そうだよ、キスはそうして笑うくらい、楽しくて、気持ちの良いことなんだ」
「楽しい、もの?」
「そう、こうしてくすぐるの、楽しくない? 堺も俺の舌、くすぐってみて」
堺は青桐の舌先を舌で触れる。
こしょこしょ、というよりは。つるつると、不器用に舌を動かしている。
「ん、難しい、です。青桐様のように、うまくできません」
「大丈夫、上手にできているよ。もう一度…」
「ん、ふ…ん、ん」
一生懸命舌を動かして頑張っている堺を、ねぎらうように。堺の腕枕と化している左手の指先で、彼の頬をくすぐった。
耳や、顔の輪郭を指でたどると、堺の舌の動きがにぶる。
集中できなくなるのかな?
「楽しくなってきた?」
「楽しい、というより、なんだか、じんじんします。あの…下も」
下というのは、ゆっくり撫でこすっている、堺のモノだ。
屹立と言えるくらい、硬く張りつめてきた。
「それは、気持ち良い、だよ」
「気持ち、いい? じんじんして、熱くって、ピリピリするのですが」
「それで大丈夫だ。じんじんがいっぱいになると、もっとしてほしいって気になるよ」
「もっと青桐様に、してほしい、なん、て…ん、んん」
少し強めにこすり始めたら、堺が唇を噛みしめ、快感に耐えるような顔になってきた。
その顔は、ヤバい。
綺麗で可愛くて色っぽくて。
「ふ、堺、さっきから、俺のこと、様づけで呼んでるよ。いけないな。お仕置きしてやる」
青桐は堺の口に強く唇を押し当てて、じっくり舌を絡めて、吸いついた。
それに堺も、もう応えてくる。
舌先をヌルヌルさせる深いくちづけに、慣れてきたのか。下半身の快楽に溺れて、流されているのか。
どちらにしても、堺は大人の階段を一歩登れたってことだ。
「ん、ふ、あ、青桐、さま。お仕置きに、なっていません」
「どうして?」
「嬉しいこと、をさ、される、のは。お仕置きに、ならない、でしょう?」
「嬉しいのか? でも、いいんだ。俺が楽しいことを、する、お仕置きだから」
唇をくっつけたまま、囁き。言葉の端々で舌をくすぐった。
そうして長くキスをしているうちに、堺はくちづけしながら息継ぎをする技を会得したようだ。
のみ込みが早い。
「青桐、さま。き、気持ち、いい…です」
堺の薄青の瞳が、少し濃い色に変化した。
とろりと潤んで、熱っぽくなっている。
屹立の先端からも先走りの蜜があふれ、キスの濡れた音と蜜の濡れた音が、ふたりの耳を煽る。
「堺、いっぱい、じんじんする?」
「わ、わからない。あ、あの…お手洗いに、行きたい、です」
「うん。初めての射精は、尿意に似ているんだ。漏れると思っても我慢しないで。そのまま感じて」
右手の屹立をこすりたてる動きは、そのままに。青桐は堺をなだめるように、頬や目蓋にキスを落とす。
「怖い、です…青桐っ、貴方の前で、変に、なったら…」
初めて受ける強い快感に不安を感じたのか、堺は涙目でみつめてくる。
その表情がどれだけ男を駆り立てるのか、知らずに。
「堺がどんなに乱れても、変になっても、俺は堺のことが好きだ。だから恐れないで。しがみついていいから。大丈夫だから。俺を信じて。ね。上手だよ。そのまま…」
堺の耳に低く吹き込んで、青桐は堺の耳たぶを甘く齧る。
「いろいろな顔を見せて。あぁ、堺。可愛い。好きだよ。好きだ…」
「あ、青桐さま…ん、んんっ、ふ、ぁ、んぁ」
堺は青桐の襟元を握り込んで、胸に額をこすりつける。過ぎる悦楽から逃れようとしているかのように。
青桐は腕の中で身悶える堺を大事に抱え込んで、その痴態をつぶさにみつめた。
氷の化身のごとき表情を動かさなかった堺が、情欲に震える姿は。花が艶やかに花弁を開くサマを見るようだった。
色づいた頬、潤む薄青の瞳。しどけなく開く、薄い唇。その中に見える赤い舌。
なにもかもが扇情的だ。
普段まろやかに包み込むような心地よい声も、あえぎに変わると、なやましく青桐を誘う魅惑の音になる。
「あ、あ…我慢、できない…青桐、さまっ、青桐、ふ、う…んっ」
ビクンと体を跳ねさせた堺は、荒く息をついて、なんでか悲しげに青桐をみつめる。
「…粗相、を?」
堺は漏らしてしまったと思ったようだが。青桐の手を濡らすのは、白濁した精だった。
「大丈夫。ちゃんと射精できたよ。起きた状態で精を出したのは初めてなんだね? びっくりさせたな。ごめんな、堺」
「いえ、大丈夫です。私が、お願いしたことですから…」
初めての射精の余韻なのか、ぼんやりした眼差しでみつめてくる堺が、いとけなく見える。
氷の精霊のごとき美しい人は、この程度のことでは汚されない。尊い人だと、青桐は思った。
でも手のひらにあふれた堺の精は、とても熱くて。
精霊のような彼だけど、ちゃんと目の前で生きているのだと実感してしまう。
そして真っ白なその精が、天使のしずくのような気がしてしまって。
思わず、舐めてしまった。
「あっ…なっ!!」
精のついた指を舐めた青桐を見て、ぼんやりしていた堺の薄青の瞳が瞬時に光を宿した。
堺は慌てて、寝台を転げ落ちるかのように降りると、衣装箪笥に手を突っ込んだ。そこから手拭いを出し、再び寝台に上がって青桐の口元に持っていった。
「舐めてはいけませんっ、な、舐めるなんて…龍鬼の体液を、舐めるなんて。なにが起きるかわからないのにっ。早く吐き出してください。早くっ」
いつもの冷静沈着で、表情もあまり動かさない堺なのに。その慌てぶりが血の通った人間味にあふれていて。
思わずクスリと笑ってしまった。
「笑ってないで、早く…あっ」
青桐は堺が持つ手拭いを右手で奪い取り、もう飲んじゃった、と言わんばかりに口を開けて見せた。
そうしたら堺は、青桐の胸に思いきり飛び込んできて。深く唇を押し当ててきた。
青桐の口腔に舌を差し入れ、舐め拭うように、舌をこすり合わせる。
「もう、ないですか? 口の中に、残っていないですか?」
「…まだ、ん」
とっくに、口の中に精など残っていないが、青桐が『まだ残っている』と嘘をつこうとすると、すかさず堺が再び、ねっとりとくちづけてきた。
堺の方からそんな情熱的なキスをされたら、我慢できなくなる。
両の腕で、青桐は堺をきつく抱き締めて押し倒し、堺の気の済むまで存分に舌を絡ませ合った。
堺は己の精を青桐の口の中から回収したいだけだろうが。
舌先からまんべんなく、舌を撫で舐められ。歯列や上あごまで舌でたどられるのは、ヤバい。
理性がブッチギレそう。
でも、ダメダメ。
堺は今日、初めて射精したばかり。
勢いでなにもかもを奪ったら、堺が壊れてしまうかもしれないんだからな。
青桐はぶっとい鎖で己の理性をつなぎ止め。唾液が糸を引く濃厚なキスをほどいた。
「もう口の中に、ありませんか?」
「あぁ、ないよ…すっごい大胆なキスしてたけど、自覚ある?」
「す、すいません」
堺は謝って、身を起こす。
青桐も寝台の上に座って、今更ながら手拭いで手を拭きながら向かい合った。
「今のを自分でするのが、自慰だけど。とりあえずこれで、今日は夢精はしないと思うよ」
「ありがとうございました。貴方の御手をわずらわせるようなことは…もう…」
ズボンのひもを結び直して、堺も身だしなみを整える。
顔の赤みはなかなかひかない。よっぽど恥ずかしかったのだろうな。
「なに言ってんの? 俺以外の人にこんなことさせるのは駄目だからな?」
「もちろんです。これからは、自分でいたします」
「それも、駄目」
疑問の顔つきで、堺は青桐をみつめる。
そこにはもう、情欲の色は見えない。
本当に、真っ白な人なんだな。
「堺は、自慰をしちゃ駄目。毎日、俺がしてあげるから」
寝乱れた髪を、指ですいて直してあげると。
戸惑いと恥ずかしさと困惑で、堺は瞳を揺らした。
「そんな…その、ような…」
「絶頂に達するまで、堺が自分でいじってイけるとは思えない。中途半端で放置したら、余計つらくなるからな。俺と堺は恋人なんだから、堺の憂いは俺が晴らしてあげたいんだよ。これから毎日恋人のキスをするんだから、そうしたら夢に見てしまうだろう? その前に、俺が抜いてあげるよ」
「抜く?」
「精を出すことを、抜くと言うんだ。他にも性に関することや、キスの仕方や、愛の表現とか。堺が知らないことはまだまだいっぱいだからな。ひとつずつ、じっくり教えてあげるよ」
「あれ以上が、あるのですか? もうドキドキしすぎて、心臓が壊れそうだったのに…」
絶望の顔つきの堺を、青桐は抱き寄せ。宝物を磨くように、そっと彼の背を撫でた。
「大丈夫だよ。堺の心臓が壊れないように。ゆっくり、進むから。怖かったり、嫌だったら、言ってくれたら…触らないから」
青桐は、わざと触らないと言った。
堺がこの行為を嫌悪しているか、確かめるために。
「それは、嫌です。私は…触ってほしい」
賭けのような、追い詰められた気持ちになったが。
堺が嫌だと言ってくれて、良かった。ホッとした。
初めての、性感が伴う触れ合いに、堺が脅えてしまうことも考えられたが。堺はちゃんと己と向き合ってくれている。
それを感じることができて…。
「ありがとう、堺。嬉しいよ」
素直な気持ちを伝えた青桐は、感謝のしるしに、堺の頬、耳、鼻の頭、目元、こめかみと、ついばむキスを贈った。
そして唇には。
優しい、甘やかなくちづけを捧げる。
「毎日俺とキスするのは、嫌か?」
しっかり目を合わせて、堺にたずねると。
彼は小さく、首を横に振った。
「じゃあ。毎日、な?」
「はい」
短いが、はにかんで、でもはっきりと肯定する、堺の『はい』が。青桐は好きだった。
満足げにうなずいて、堺にもう一度甘い甘いキスをした。
★★★★★
堺が部屋を出たあと。
暴発寸前だった青桐が、ぶっとい鎖を引き千切って、寝台の上でのたうち回ったのは言うまでもない。
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