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36 俺を罰して ★
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◆俺を罰して
十二月十七日、紫輝は村に戻ってきた。
お願いしたとおり、天誠は村に滞在してくれたようで。玄関で紫輝を出迎える。黒い着流しに丹前を羽織る、ラフなスタイルで。雪景色に、彼の姿がくっきり浮かび上がり。格好いい。
「天誠、ただいま」
ライラから降りると、紫輝は一直線に天誠に向かっていく。
フードをかぶったマント姿で駆けてくる紫輝を、天誠はしっかりと抱き止めた。
「おかえり、兄さん」
紐をほどいて、天誠は紫輝のフードを外し。顔をあらわにする。
防寒していても、ライラの高速の風にさらされれば。どうしても、顔は凍りつくほどに、冷たくなってしまう。
両手で紫輝の頬を温め、愛しげに額と額をくっつけた。
そうして、離れていた時間を埋めるような挨拶をしたあと。紫輝の肩を抱いて、かたわらに置いた天誠は。
ギロリと千夜を睨みつけた。
千夜は、覚悟していた叱責を受けるつもりで、頭を下げる。
「天誠、千夜を叱らないでくれ。俺が、我慢できなかったんだ」
紫輝は、赤穂を治したことを、後悔はしていない。
けれど、するなと言われていたことをしてしまった、そのことに対しては。天誠に申し訳なく思っている。
だがそれは、紫輝の責任で。強い口調で千夜をとどまらせた自分が、すべて悪いのだ。
兄が、意外と頑固で、頑ななことを知っている天誠は。怒りをおさえて天を仰ぐ。
怒鳴りたい想いを、間を置くことで鎮め、大きく息を吐き出した。
「ふたりとも、よく聞け。もし次に同じことをしたら。俺は望月を殺す」
紫輝はギョッとして、身をすくめるが。
天誠から感じる、みなぎる殺意は本物で。紫輝は、息をのむしかなかった。
「ライラを通して聞いていたが。赤穂の言い分には、俺も同意する。紫輝。俺が死にそうでも、あの技を使うことは許さない。望月がその場にいたら、命懸けで紫輝を止めるんだ」
「え? やだよ。天誠を見殺しにできるわけない」
即座に、紫輝は首を横に振る。
今回、赤穂が死にそうになったときでさえ、心が引き千切れるような痛みが襲った。
本能が、父を助ける行動を起こさせたのだ。
なのに、己の伴侶である天誠が、もしも命の危機になどなったら。
己の心が、どうなってしまうのかわからない。一も二もなく、なにがどうなっても、助けるに決まっている。
しかし天誠は。紫輝に厳しい目を向け、断固とした態度で拒否するのだ。
「以前は。技のあと、五時間寝ていたが。今回は、十五時間以上だぞ。次は、眠りから目覚めないかもしれない。万が一、死んでしまったらどうする? 俺は、紫輝のいない世界で暮らさないとならないのか? 二度と俺の手を離さないと、誓っただろう? あの約束だけは、必ず守ってもらうよ、兄さん」
天誠に、冷たく言い放たれて。紫輝は下唇を噛んだ。
不服なのではない。
約束を忘れていたわけでもない。
天誠の言い分は正しい。そう約束したのだから。
けれど。もしも天誠の命の危機が目の前で起きたら。自分は。己の命を懸けて、助けてしまいそうで。
天誠を、ひとりにはできないと。わかっているのに。
すると天誠は、ふと白い息を吐き。紫輝の頭をくしゃくしゃ撫でた。
「起きていないことを、今ここで、二者択一することはない。でも、駄目だから。兄さんには、俺の気持ちを知っておいてもらいたい。わかった?」
答えなど出ていないが。紫輝は天誠に、うなずきを返した。
そして天誠は。千夜に目を移す。
「このとおり、紫輝は自分の命に関して、無頓着だ。だから、おまえが紫輝を護れ。たとえそれが、紫輝の意志に反しても、だ。次はない」
一礼して、千夜は紫輝たちの前から姿を消した。
「兄さんは、あとで説教な。でもその前に、風呂だ。冷えただろう?」
天誠は紫輝の顎を、親指と人差し指ではさみ、ぷよぷよと動かした。
紫輝の頬がつままれ、指が動くたびに唇が前に飛び出る。
己にされるがままの紫輝を見て、説教だと息巻いていた天誠の心は。グラグラ揺れ揺れだ。
「兄さん…そんな可愛い顔しても、誤魔化されないから」
目を吊り上げた天誠は、甘くしっとりした声で凄んだ。
いやいや。
「俺、なにもしてないんですが」
とがり唇で、紫輝は理不尽と思うのだった。
★★★★★
寒風吹きすさぶ中、ライラジェットコースターに一時間乘り、体の芯まで冷え冷えだった紫輝は。ヒノキ風呂に入って、生き返った。
ちなみに、風呂に寄りつかないライラは。すみれに、優しく肉球を拭いてもらい。囲炉裏の間で、女性の働き手たちにちやほやされながら、寝ている。
女帝ハーレムかよっ。
というわけで、湯に肩まで浸かりながら。紫輝は天誠に、一連の顛末を報告している。
今回は、ライラを通して天誠に報告する間がなく。帰ってから、直接報告した方が早いと思い。赤穂たちと軽い打ち合わせをしたあと、すぐに村に帰ってきたのだ。
おおよそは、剣についている宝石から、天誠の持つライラ爪に映るから。天誠にも、伝わっていると思うのだが。ちゃんと己の口から伝えたかった。
「瀕死の重傷だった赤穂は、死んだという偽装をすることになった。大和が運転する馬車に、赤穂の棺を乗せ。月光さんとともに、長野方面に一度向かう。そこで監視の目を巻いてから、この村に来る手はずになっているから」
「そうか。別の棟に彼らが住めるよう、用意させよう」
天誠は紫輝の隣、ヒノキの浴槽に腕をかけ、正面からもたれかかっている。背中で寄り掛かることはできるが、やはり羽が邪魔ではあるのだろう。羽を湯につけないよう、適度に翼を広げ浮かせている。
やっぱり、お湯に、びちょっと羽をつけたくないのかもしれないな。
「井上先生は、軍に戻った。それだけで、金蓮には、赤穂が死んだという示唆になるらしい。でも、もし、誰かにそのことを聞かれたら、死んだと言うように、指示してある」
うなずいた天誠は、翼も動かす。
羽の先が、紫輝の肩に触って…くすぐったいんですけど。
「ふ…、金蓮は。赤穂の身代わりを立てるみたいだが。どうするのかは、わからない。でも、堺は誤魔化せないだろう? 堺は今、前線基地にいる。赤穂と俺が親子だって、堺は知っているから。赤穂が死んだって知ったら、動揺すると思うんだ。だから井上先生に手紙を託した。落ち着いたら連絡を入れる、と」
「うん。それなら、赤穂の死に立ち会った、ともとれる。時間稼ぎができるな。その間に緻密な計画を立てて、堺をどう動かすか、決めよう」
肩に触れる天誠の羽先を、指でいじりながら。紫輝は無念そうにつぶやく。
「堺は、巻き込みたくなかったのに…」
「紫輝が巻き込んだんじゃない。やつは、もはや当事者だ。わかるだろう?」
「やっぱり、そうなんだ。不破は、藤王なんだね?」
手裏軍にいる龍鬼は、不破と、安曇。
でも安曇眞仲は、もう龍鬼ではない。でも藤王は手裏の刀を持ち、基成を連れて、その場を去ったのだ。
基成と懇意にしている龍鬼は、今はひとりだけだ。
「俺も、はっきり聞いたわけではないから、推測だったが。龍鬼は、そんなに数多くはない。不破という龍鬼は、俺が手裏軍に入ったときには、もう亡くなっていたが。その名ごと、奴が引き継いだらしい。本名を聞いたら、それは言えないと言われた。つまり、本名を聞けば、誰だかわかるということなのだ。そういうところ、あいつもクソ真面目というか。適当な名前を言っておけば、わかりゃしないのにな」
天誠なら、息を吸うかのように偽名を名乗れるので。
不破は、天誠よりも素直で実直ということなのだ。
「あと、今は離れているが。可愛い弟がいると言っていた。そして、将堂に尋常でない敵意がある。そんなの、将堂から来ましたと言っているようなものだ。そして将堂には、行方不明の龍鬼がいる。決定だ」
紫輝も、薄々は感づいていたから、驚きは少ない。
でも堺に、ずっと探していたお兄さんが、不破じゃないかとは言えなくて。
紫輝も天誠に聞かないことで、決定的事実を遠ざけていたのだ。
「だね。でも、堺は当事者なのか?」
「あぁ。不破は、龍鬼が不当な扱いを受けることには、かなりの憤りを示す。その起因が、弟を守ることから来ているのは明白だ」
「でも、だったらどうして、堺を迎えに来ないのかな? 将堂に堺を残していくのは、良い策じゃない。現に堺は、肩身の狭い思いをしているよ」
「それは…やはり一番に考えられるのは、時雨家の事件だろう。あのときになにかがあった。不破…藤王は、堺を迎えに行けない事情がある」
なんだか、それらしいことを天誠は言っているが。要は…。
「…わからないんだね?」
「興味なかったし。今まで俺たちに関わりのある話じゃなかったからな」
そうは言っても、知らないことがあるのが不満なのか。天誠は激しく、翼をバサバサと羽ばたかせた。
湯が、バチバチと、紫輝に飛び散る水玉となって、襲い掛かる。
「ぷはっ、痛い痛い、待て待て、怒るなよ、天誠っ」
「しかし、俺は聞けないんだ。不破が藤王だと、奴の方から言わない限りは」
黒い翼を器用に動かして、天誠は紫輝を己に引き寄せる。
翼をとばり代わりにして、隠れて紫輝にキスした。
温かくなった、唇の先をついばんで。みずみずしいフルーツのような、紫輝の柔らかい舌を食む。
ちゅぽっと音をさせて、くちづけをほどくと。紫輝が、なにやらキリリとした目をして、言った。
「魔王様モードで、こう言えばいい。不破、なにか隠し事をしていないか? って」
「ふふ。そろそろ湯がぬるくなってきた。話の続きは部屋でしよう」
己の真似をする、超絶可愛い兄を。誰にも見せないよう。天誠は寝室までの道をシミュレーションするのだった。
★★★★★
寝室に入り、ベッドに腰かける天誠の髪を、紫輝はかいがいしく手拭いで拭きあげている。
風呂上がりのルーティーンのようになっていた。
とりあえず、話すべきことは、風呂場で話したので。紫輝は。己の憂いを晴らすため、思い切って告げた。
「天誠、俺を罰して」
驚いたのか、背中を向けて紫輝に髪をゆだねていた天誠が振り返った。
「…なんだ? いきなり」
あらかた髪が乾いたようで、紫輝は手拭いを寝台脇の戸棚に置き。彼と向き合って座った。
「今回のこと、俺は兄として、ダメダメすぎた。おまえの手を払ったのも、言いつけを守らなかったのも、ダメ。全部、ダメ。おまえがここにいてくれることこそが、奇跡なのに。俺は、それをないがしろにして…天誠と再会して、そばに長くいられたから、おまえがいることを当たり前だと思って、慣れちゃったのかな? いや、ダレちゃったんだ。俺は、おまえの上で胡坐をかいたんだっ」
「いや、そこまで思い詰めなくても…」
「甘やかすな。ダメな兄貴だって、叱ってくれなきゃ。俺のこと、見ろって。いつも言うのに…」
「だって。見てくれてるから。兄さんは、俺のことを見てくれている。大事にしてくれている。だから、俺は心が満たされていて。なにも怒ることなんかないよ」
天誠は紫輝をそっと抱き寄せて、慰めるように頭を撫でた。
「誰だって、親になにかあれば、慌てふためくものだ。あの技は、確かに使ってほしくないが。それは紫輝の命を守るためだ。俺が言ったから従うのではなく。ちゃんと、あの技は危険なものだと、紫輝には認識してほしい」
胸の中で、こくこくとうなずく兄が、愛おしくて。天誠はギュッと抱え込んだ。
この宝物は、決して誰にも渡さないのだ。
たとえ生みの親だろうと、育ての親だろうと、親友だろうと、師匠だろうと。
渡したくないから、弟というだけの地位では足らず、唯一無二の恋人の称号も手にしたかったのだ。
紫輝に、愛していると叫んでも良い者に。天誠はなりたかった。
「ないがしろになんか、されていない。兄さんは、ちゃんと、俺を一番にしてくれているだろう? 愛してる、兄さん。俺の、大好きな兄さん。俺を、離さないで」
「あぁ、離さない。この手を離さないと、約束した」
襟元をギュッと握って、再び誓ってくれる紫輝を見て、天誠はうっそりと笑う。
離さないで、と言って、紫輝に己を縛るよう、うながすが。
実際は。天誠が己に、紫輝を縛りつけているのだ。
『離さないで』は、離さないと同義。
「でも、兄さんの気が晴れるなら…罰してあげようか?」
甘く、妖しく、耳元で囁くと。胸元で、紫輝が顔をあげた。
無邪気であどけない顔ではなく。
瞳を潤ませた、少し情事を期待するような、色っぽい顔。
兄として、弟に組み敷かれることに抵抗を持っていた。
兄弟で体を合わせることに禁忌を感じていた。
男同士という、世間ではまだ受け入れられていない空気にひるんでいた。
そんな兄だったけれど。
でも。もう、紫輝は。
己と体を合わせることを、自然なことだと思っている。
それを感じて、天誠は鼓動を高鳴らせた。
「なにをされても、我慢できる?」
なにをされるのか、という少しの脅えと。少しの高揚。
そんな表情を、紫輝は見せた。
でも、紫輝が罰してと言ったのだから。なんでも受けなければね。
一拍、戸惑ったあと。兄はうなずいた。よしよし。
そうして、天誠は。戸棚の引き出しから、あるものを取り出した。
「…なんだ、それは」
「見ればわかるだろう? クリスマス用に作っておいたのだが…」
革紐に、黒い革で作られた、三角形の物体が取り付けられている。
それを見て。
紫輝は、もう一度言った。
「なんだ、これはっ?」
「だから、黒猫耳だ」
紫輝が呆気に取られている間に、天誠は紫輝の頭にそれを乗せ、革紐をうなじの辺りで縛った。
「この世界には、フェイクファーとかはないのでな。でもさすがに、マジの毛皮だと、引くだろうと思って。革で、作ってみたが。つるつるした光沢が、逆に耳っぽくなって、正解だった。耳の中のふさ毛は、糸でそれっぽく作ったぞ?」
「いやいや、情熱の使いどころが、激しく間違っている…」
俺がいない間に、なに作ってんだ? と、紫輝は胸のうちでつぶやいた。
そんな紫輝を、天誠がまじまじと見やり。
弟は鼻で笑って、言ったのだ。
「ふっ、ダメだな、兄さん」
そうだろう。似合っていないんだろう?
だいたい猫耳なんてつけて、可愛いのは、すみれみたいな可愛い女の子だと、相場が決まっている。
極悪ノラ猫顔の自分が耳をつけたところで、極悪ノラ猫が出来上がるだけである。
そう、紫輝は思ったのだが。
「クリスマスなんて、大勢の人の前で、こんなあられもない格好の兄さんを見せたら、血迷う連中が、紫輝に寄ってたかって、あんなことやこんなことまで…駄目だ、やはり、これは駄目だった」
ノンブレスで言い切ると。天誠は威厳を持った魔王モードで、宣言した。
「猫耳は、今日限りで封印しよう」
「馬鹿だろ。そんなん思うのは、前から言っているけれど、天誠だけだから」
腕を組んで、紫輝は天誠を諭すように言うが。彼は紫輝の浴衣の帯をほどいて、寝台の中ほどに押し倒した。
聞いちゃいない。
そして天蓋の布を引いてしまう。
「紫輝、作ったのはこれだけじゃないよ。耳は罰するうちに入らないからね」
そう言って、黒くて長い革がついたものを見せた。
「黒猫には尻尾がないとね?」
革の先には木製の棒がついていて、丸い球が三つ連なっているかのような造形だ。
そこに、天誠はアロエのジェルをまとわせる。
まさか?
「あと、語尾は、にゃ、な?」
浴衣を紫輝から剥ぎ取った天誠は、紫輝をうつぶせにして。蕾に、ジェルをまとわせた指を差し入れた。
いきなり。なんの愛撫もなく。そこに触れられたのは、初めてで。
紫輝は、身をすくませる。
いつもは他の、胸や鎖骨や、いろんなところを触られて、性感を高められたあとに触れられる場所だから。まだ、感じるところまでいっていない。
けれど、それほどいじられることもなく。天誠は尻尾の先を蕾に押し当てた。
「ゆっくり、入れるよ。上手にのみ込んでみて」
「のみ込むって…は、あ」
入り込んでくる木の棒は、硬くて、冷たくて、異物感が半端ない。
大きさとしては、紫輝の屹立よりも細いし、小さいものだった。
紫輝の後ろには、天誠の剛直が入るのだから。そんなもの、たいしたことないはずなのに。
ただただ、なんとなく嫌だった。
「天誠、なんか、変だよ。これ、嫌だ」
「嫌なことをしないと、罰することにならないだろう? 我慢して。あと、にゃあ、は?」
そうだった。これは罰なのだ。
紫輝は我慢して、身を起こす。でもお尻を動かすだけで、すごく気持ち悪くて。
ベッドヘッドにいっぱいの枕を置いて寄り掛かる天誠の胸に、紫輝はしがみついた。
「苦しい…にゃ」
言うと、天誠の羽が少し動いた。
え? これでいいの? これ、好きなの?
「可愛いなぁ、兄さん。俺だけの、兄さん」
情欲に燃える瞳で、天誠は熱く囁き。紫輝にくちづけた。
興奮しているのか、舌の動きが激しくて。
紫輝は彼の襟元にしがみついて、情熱的なくちづけに酔いしれた。
すると、背中を撫でていた天誠の手が、お尻の方まで下がっていき、尻尾を動かされる。木の棒がくちゅくちゅと出し入れされ、突然来た刺激に、ビクついてしまう。
「ん、にゃ、天誠…硬いの、いや、にゃ」
「でも、兄さんは、いつも硬いの好きって、言ってるよ?」
「これは…硬すぎっ、にゃー」
余裕の笑みを浮かべる天誠の体の上で、紫輝は身悶える。
天誠が、紫輝の中を、いつも激しく抜き差しし、翻弄する。その感覚とは、まるで別物で。
でも、木の棒でも。出し入れされれば、中を擦られ、強引に官能は引き出され。気持ちは良いけれど。
いつものように、我を失うような、気持ち良さに溺れるような、そんな感覚にはなれない。
「お願い、にゃ。天誠のが、イイ、にゃ…」
涙目で紫輝は天誠に懇願した。
「罰は、他のがいい、にゃ。なんでもする、にゃ。だから…」
こんな冷たい、無機質なもので、中をかき回されたくない。
そばに、天誠がいるのに。
己を、荒々しく蹂躙し。情熱の業火に焼く、彼がいるのに。
罰なんだから、我慢しなければならないのはわかるけれど。
お願いだから。
なんでもするから。天誠に抱かれたい。
「わかった。わかったよ、兄さん。泣かないで? な? 抜いてあげるから。お尻、こっちに向けて?」
もう、すぐにも、外してもらいたくて。紫輝は笑顔でうなずくと。天誠の上で体を動かして、お尻を彼の顔の前に持ってきた。
すると、ちょうど彼の股間の辺りに、紫輝の顔が来る。
天誠は、まだ着流しを脱いでいないから。着物の裾の間から、彼の剛直が顔を出していた。
天誠も、興奮していたようだ。
紫輝は、尻尾がすぐになくなると思っていた。けれど、天誠は。尻尾をくねくねと動かしながら、紫輝の蕾に舌を這わせている。
木の棒の、ジンジンする感覚と、天誠の舌がグネグネと動く感覚が、紫輝に愉悦をもたらす。
「んんっ、早く、取って? 天誠? 抜いてくれるって…ん、は、ぁ」
「あぁ、今、抜いてるよ。わかるだろ? 傷つけないように、ゆっくり、な?」
「は、早くぅ。天誠、早くぅ」
「…じゃあ、もっと、お尻を突き出して、高く上げて?」
紫輝はそれが、はしたない格好だとわからず、天誠の言うなりに、腰を上げる。
おもちゃをくわえ込んだ、紫輝の桃色の蕾が。見せつけるように、目の前にさらされ。天誠はごくりと、唾をのむ。
そして、再び、紫輝の蕾を舌で舐め濡らす。
「や、や、舐めなくて、いいからぁ」
「濡らした方が、抜きやすいから。ほら、暴れると、また中に入っていっちゃうよ」
ヌクッと、天誠はおもちゃを奥まで挿入する。
そうしてまた最初から、尻尾をゆっくり引き抜く。
「んん、ま、まだぁ? 尻尾、ぬいてぇ」
くちゅくちゅと音をさせて、天誠は紫輝の蕾の襞を舌先でくすぐる。
紫輝は抜いてと言いながらも、気持ち良さを追い求め、臀部を揺すった。
天誠の胸に、紫輝の屹立から蜜がしたたり落ちている。その張り詰めた屹立も、手で撫でてやる。
ひとりで達してしまわないように、ゆるゆると加減して。
するといつの間にか、紫輝が剛直に舌を這わせていた。
そうして、ふたりで官能の階段を駆け上がっていく。
「あぁ、いいよ、兄さん。とても上手だよ」
くちゅりと音をさせて、天誠が尻尾を引き抜いたとき。紫輝は快感に溺れて、トロトロになって。剛直にすがりついていた。
全く、エロ可愛らしい黒猫さんだ。と、天誠は自然、笑みを浮かべる。
「さぁ、兄さん。尻尾の代わりの罰を与えてあげるからね」
天誠は紫輝の下から抜け出すと、お尻を持ち上げたままの紫輝の後ろに、隆々とみなぎった剛直を押し当てた。
おもちゃと舌の刺激で、とろりとほぐされた蕾は。天誠の突端を、柔らかく受け入れる。
「尻尾じゃなくて、これが欲しかった?」
「ん、欲しい。早くぅ…天誠」
聞くまでもなく、後孔はひくひくとうごめいて、天誠を求めている。
天誠の方が、その卑猥なサマに陥落し。たぎった己をズブリと挿入した。
「あ…は、ぁ」
欲しいものをようやく与えられた。そんな嬉しさを感じるあえぎを、紫輝は漏らした。
敷布にすがりながらも、背を反らし、なやましげに身をくねらせる。
そんな紫輝の中へ、天誠は剛直を突き入れていく。
紫輝が己を迎え入れてくれるときは、いつも己のすべてを、慈しみ、大事に、大切に、包み込んでくれる、というイメージだ。
自分が攻めているのではない。紫輝に優しく受け止められている。
「あ、熱っ、あ、いい。天誠が、イイ。天誠が、好きっ、にゃっ」
天誠の言いつけを守って、律儀ににゃと言い続ける紫輝が、いじらしくて。
天誠は、剛直をさらに隆起させる。
あんなおもちゃよりも、太くて熱い、コレを好きだという紫輝に。
元よりメロメロだが。
もっともっと、惚れ直してしまうのだ。
服を脱ぐ間も惜しいほど、天誠は腰を前後に揺さぶり、紫輝を貪る。そして紫輝のなまめかしい姿態をみつめた。
この頃、少し身長が高くなった兄は。柔らかそうな少年体型から、すらりと手足の伸びた、スレンダーな青年に成長した。
肩幅は、まだまだ華奢だが。戦場で鍛えられた分、引き締まった体つきになり。
背中にも筋肉がついて、触ると若木のようにしなやかにしなる。
そして小ぶりの臀部は、きゅっと上がって。そのラインがセクシーだ。
誰にも見せたくない。
その背中とお尻は、剣の鞘で、いつも隠しておいてほしいところだ。
そう思って、紫輝の臀部を揉む。
親指が食い込み、その柔らかさを楽しんだ。
「あ、そこ…だめ…イ、ちゃいそう。よすぎて、だめぇ」
顔を少し横に向け、天誠に視線を向ける。その潤んだ瞳をすがめる顔は、壮絶に艶っぽい。
ほがらかな、太陽の笑顔の兄とは別の。誘うような顔を。セックスのときに見せるようになった。
このエロい顔は、自分だけのもの。
でも、最近。普段のときでも、たまにぞくりとする色っぽさを見せることがあって。天誠は気が気じゃない。
やっぱり、部屋に閉じ込めておきたい。
「天誠、イく。も、イ、くぅ…っ」
でも、こうして紫輝が快楽に素直なのは、健やかな証拠だから。
天誠は、暗い欲望を封じ込める。
「いいよ。罰はもう終わり。ふたりで一番、気持ち良いこと、しよ?」
そうして、天誠は。ひと際強く、紫輝に突き入れ。
ふたり同時に、絶頂の歓喜を味わった。
十二月十七日、紫輝は村に戻ってきた。
お願いしたとおり、天誠は村に滞在してくれたようで。玄関で紫輝を出迎える。黒い着流しに丹前を羽織る、ラフなスタイルで。雪景色に、彼の姿がくっきり浮かび上がり。格好いい。
「天誠、ただいま」
ライラから降りると、紫輝は一直線に天誠に向かっていく。
フードをかぶったマント姿で駆けてくる紫輝を、天誠はしっかりと抱き止めた。
「おかえり、兄さん」
紐をほどいて、天誠は紫輝のフードを外し。顔をあらわにする。
防寒していても、ライラの高速の風にさらされれば。どうしても、顔は凍りつくほどに、冷たくなってしまう。
両手で紫輝の頬を温め、愛しげに額と額をくっつけた。
そうして、離れていた時間を埋めるような挨拶をしたあと。紫輝の肩を抱いて、かたわらに置いた天誠は。
ギロリと千夜を睨みつけた。
千夜は、覚悟していた叱責を受けるつもりで、頭を下げる。
「天誠、千夜を叱らないでくれ。俺が、我慢できなかったんだ」
紫輝は、赤穂を治したことを、後悔はしていない。
けれど、するなと言われていたことをしてしまった、そのことに対しては。天誠に申し訳なく思っている。
だがそれは、紫輝の責任で。強い口調で千夜をとどまらせた自分が、すべて悪いのだ。
兄が、意外と頑固で、頑ななことを知っている天誠は。怒りをおさえて天を仰ぐ。
怒鳴りたい想いを、間を置くことで鎮め、大きく息を吐き出した。
「ふたりとも、よく聞け。もし次に同じことをしたら。俺は望月を殺す」
紫輝はギョッとして、身をすくめるが。
天誠から感じる、みなぎる殺意は本物で。紫輝は、息をのむしかなかった。
「ライラを通して聞いていたが。赤穂の言い分には、俺も同意する。紫輝。俺が死にそうでも、あの技を使うことは許さない。望月がその場にいたら、命懸けで紫輝を止めるんだ」
「え? やだよ。天誠を見殺しにできるわけない」
即座に、紫輝は首を横に振る。
今回、赤穂が死にそうになったときでさえ、心が引き千切れるような痛みが襲った。
本能が、父を助ける行動を起こさせたのだ。
なのに、己の伴侶である天誠が、もしも命の危機になどなったら。
己の心が、どうなってしまうのかわからない。一も二もなく、なにがどうなっても、助けるに決まっている。
しかし天誠は。紫輝に厳しい目を向け、断固とした態度で拒否するのだ。
「以前は。技のあと、五時間寝ていたが。今回は、十五時間以上だぞ。次は、眠りから目覚めないかもしれない。万が一、死んでしまったらどうする? 俺は、紫輝のいない世界で暮らさないとならないのか? 二度と俺の手を離さないと、誓っただろう? あの約束だけは、必ず守ってもらうよ、兄さん」
天誠に、冷たく言い放たれて。紫輝は下唇を噛んだ。
不服なのではない。
約束を忘れていたわけでもない。
天誠の言い分は正しい。そう約束したのだから。
けれど。もしも天誠の命の危機が目の前で起きたら。自分は。己の命を懸けて、助けてしまいそうで。
天誠を、ひとりにはできないと。わかっているのに。
すると天誠は、ふと白い息を吐き。紫輝の頭をくしゃくしゃ撫でた。
「起きていないことを、今ここで、二者択一することはない。でも、駄目だから。兄さんには、俺の気持ちを知っておいてもらいたい。わかった?」
答えなど出ていないが。紫輝は天誠に、うなずきを返した。
そして天誠は。千夜に目を移す。
「このとおり、紫輝は自分の命に関して、無頓着だ。だから、おまえが紫輝を護れ。たとえそれが、紫輝の意志に反しても、だ。次はない」
一礼して、千夜は紫輝たちの前から姿を消した。
「兄さんは、あとで説教な。でもその前に、風呂だ。冷えただろう?」
天誠は紫輝の顎を、親指と人差し指ではさみ、ぷよぷよと動かした。
紫輝の頬がつままれ、指が動くたびに唇が前に飛び出る。
己にされるがままの紫輝を見て、説教だと息巻いていた天誠の心は。グラグラ揺れ揺れだ。
「兄さん…そんな可愛い顔しても、誤魔化されないから」
目を吊り上げた天誠は、甘くしっとりした声で凄んだ。
いやいや。
「俺、なにもしてないんですが」
とがり唇で、紫輝は理不尽と思うのだった。
★★★★★
寒風吹きすさぶ中、ライラジェットコースターに一時間乘り、体の芯まで冷え冷えだった紫輝は。ヒノキ風呂に入って、生き返った。
ちなみに、風呂に寄りつかないライラは。すみれに、優しく肉球を拭いてもらい。囲炉裏の間で、女性の働き手たちにちやほやされながら、寝ている。
女帝ハーレムかよっ。
というわけで、湯に肩まで浸かりながら。紫輝は天誠に、一連の顛末を報告している。
今回は、ライラを通して天誠に報告する間がなく。帰ってから、直接報告した方が早いと思い。赤穂たちと軽い打ち合わせをしたあと、すぐに村に帰ってきたのだ。
おおよそは、剣についている宝石から、天誠の持つライラ爪に映るから。天誠にも、伝わっていると思うのだが。ちゃんと己の口から伝えたかった。
「瀕死の重傷だった赤穂は、死んだという偽装をすることになった。大和が運転する馬車に、赤穂の棺を乗せ。月光さんとともに、長野方面に一度向かう。そこで監視の目を巻いてから、この村に来る手はずになっているから」
「そうか。別の棟に彼らが住めるよう、用意させよう」
天誠は紫輝の隣、ヒノキの浴槽に腕をかけ、正面からもたれかかっている。背中で寄り掛かることはできるが、やはり羽が邪魔ではあるのだろう。羽を湯につけないよう、適度に翼を広げ浮かせている。
やっぱり、お湯に、びちょっと羽をつけたくないのかもしれないな。
「井上先生は、軍に戻った。それだけで、金蓮には、赤穂が死んだという示唆になるらしい。でも、もし、誰かにそのことを聞かれたら、死んだと言うように、指示してある」
うなずいた天誠は、翼も動かす。
羽の先が、紫輝の肩に触って…くすぐったいんですけど。
「ふ…、金蓮は。赤穂の身代わりを立てるみたいだが。どうするのかは、わからない。でも、堺は誤魔化せないだろう? 堺は今、前線基地にいる。赤穂と俺が親子だって、堺は知っているから。赤穂が死んだって知ったら、動揺すると思うんだ。だから井上先生に手紙を託した。落ち着いたら連絡を入れる、と」
「うん。それなら、赤穂の死に立ち会った、ともとれる。時間稼ぎができるな。その間に緻密な計画を立てて、堺をどう動かすか、決めよう」
肩に触れる天誠の羽先を、指でいじりながら。紫輝は無念そうにつぶやく。
「堺は、巻き込みたくなかったのに…」
「紫輝が巻き込んだんじゃない。やつは、もはや当事者だ。わかるだろう?」
「やっぱり、そうなんだ。不破は、藤王なんだね?」
手裏軍にいる龍鬼は、不破と、安曇。
でも安曇眞仲は、もう龍鬼ではない。でも藤王は手裏の刀を持ち、基成を連れて、その場を去ったのだ。
基成と懇意にしている龍鬼は、今はひとりだけだ。
「俺も、はっきり聞いたわけではないから、推測だったが。龍鬼は、そんなに数多くはない。不破という龍鬼は、俺が手裏軍に入ったときには、もう亡くなっていたが。その名ごと、奴が引き継いだらしい。本名を聞いたら、それは言えないと言われた。つまり、本名を聞けば、誰だかわかるということなのだ。そういうところ、あいつもクソ真面目というか。適当な名前を言っておけば、わかりゃしないのにな」
天誠なら、息を吸うかのように偽名を名乗れるので。
不破は、天誠よりも素直で実直ということなのだ。
「あと、今は離れているが。可愛い弟がいると言っていた。そして、将堂に尋常でない敵意がある。そんなの、将堂から来ましたと言っているようなものだ。そして将堂には、行方不明の龍鬼がいる。決定だ」
紫輝も、薄々は感づいていたから、驚きは少ない。
でも堺に、ずっと探していたお兄さんが、不破じゃないかとは言えなくて。
紫輝も天誠に聞かないことで、決定的事実を遠ざけていたのだ。
「だね。でも、堺は当事者なのか?」
「あぁ。不破は、龍鬼が不当な扱いを受けることには、かなりの憤りを示す。その起因が、弟を守ることから来ているのは明白だ」
「でも、だったらどうして、堺を迎えに来ないのかな? 将堂に堺を残していくのは、良い策じゃない。現に堺は、肩身の狭い思いをしているよ」
「それは…やはり一番に考えられるのは、時雨家の事件だろう。あのときになにかがあった。不破…藤王は、堺を迎えに行けない事情がある」
なんだか、それらしいことを天誠は言っているが。要は…。
「…わからないんだね?」
「興味なかったし。今まで俺たちに関わりのある話じゃなかったからな」
そうは言っても、知らないことがあるのが不満なのか。天誠は激しく、翼をバサバサと羽ばたかせた。
湯が、バチバチと、紫輝に飛び散る水玉となって、襲い掛かる。
「ぷはっ、痛い痛い、待て待て、怒るなよ、天誠っ」
「しかし、俺は聞けないんだ。不破が藤王だと、奴の方から言わない限りは」
黒い翼を器用に動かして、天誠は紫輝を己に引き寄せる。
翼をとばり代わりにして、隠れて紫輝にキスした。
温かくなった、唇の先をついばんで。みずみずしいフルーツのような、紫輝の柔らかい舌を食む。
ちゅぽっと音をさせて、くちづけをほどくと。紫輝が、なにやらキリリとした目をして、言った。
「魔王様モードで、こう言えばいい。不破、なにか隠し事をしていないか? って」
「ふふ。そろそろ湯がぬるくなってきた。話の続きは部屋でしよう」
己の真似をする、超絶可愛い兄を。誰にも見せないよう。天誠は寝室までの道をシミュレーションするのだった。
★★★★★
寝室に入り、ベッドに腰かける天誠の髪を、紫輝はかいがいしく手拭いで拭きあげている。
風呂上がりのルーティーンのようになっていた。
とりあえず、話すべきことは、風呂場で話したので。紫輝は。己の憂いを晴らすため、思い切って告げた。
「天誠、俺を罰して」
驚いたのか、背中を向けて紫輝に髪をゆだねていた天誠が振り返った。
「…なんだ? いきなり」
あらかた髪が乾いたようで、紫輝は手拭いを寝台脇の戸棚に置き。彼と向き合って座った。
「今回のこと、俺は兄として、ダメダメすぎた。おまえの手を払ったのも、言いつけを守らなかったのも、ダメ。全部、ダメ。おまえがここにいてくれることこそが、奇跡なのに。俺は、それをないがしろにして…天誠と再会して、そばに長くいられたから、おまえがいることを当たり前だと思って、慣れちゃったのかな? いや、ダレちゃったんだ。俺は、おまえの上で胡坐をかいたんだっ」
「いや、そこまで思い詰めなくても…」
「甘やかすな。ダメな兄貴だって、叱ってくれなきゃ。俺のこと、見ろって。いつも言うのに…」
「だって。見てくれてるから。兄さんは、俺のことを見てくれている。大事にしてくれている。だから、俺は心が満たされていて。なにも怒ることなんかないよ」
天誠は紫輝をそっと抱き寄せて、慰めるように頭を撫でた。
「誰だって、親になにかあれば、慌てふためくものだ。あの技は、確かに使ってほしくないが。それは紫輝の命を守るためだ。俺が言ったから従うのではなく。ちゃんと、あの技は危険なものだと、紫輝には認識してほしい」
胸の中で、こくこくとうなずく兄が、愛おしくて。天誠はギュッと抱え込んだ。
この宝物は、決して誰にも渡さないのだ。
たとえ生みの親だろうと、育ての親だろうと、親友だろうと、師匠だろうと。
渡したくないから、弟というだけの地位では足らず、唯一無二の恋人の称号も手にしたかったのだ。
紫輝に、愛していると叫んでも良い者に。天誠はなりたかった。
「ないがしろになんか、されていない。兄さんは、ちゃんと、俺を一番にしてくれているだろう? 愛してる、兄さん。俺の、大好きな兄さん。俺を、離さないで」
「あぁ、離さない。この手を離さないと、約束した」
襟元をギュッと握って、再び誓ってくれる紫輝を見て、天誠はうっそりと笑う。
離さないで、と言って、紫輝に己を縛るよう、うながすが。
実際は。天誠が己に、紫輝を縛りつけているのだ。
『離さないで』は、離さないと同義。
「でも、兄さんの気が晴れるなら…罰してあげようか?」
甘く、妖しく、耳元で囁くと。胸元で、紫輝が顔をあげた。
無邪気であどけない顔ではなく。
瞳を潤ませた、少し情事を期待するような、色っぽい顔。
兄として、弟に組み敷かれることに抵抗を持っていた。
兄弟で体を合わせることに禁忌を感じていた。
男同士という、世間ではまだ受け入れられていない空気にひるんでいた。
そんな兄だったけれど。
でも。もう、紫輝は。
己と体を合わせることを、自然なことだと思っている。
それを感じて、天誠は鼓動を高鳴らせた。
「なにをされても、我慢できる?」
なにをされるのか、という少しの脅えと。少しの高揚。
そんな表情を、紫輝は見せた。
でも、紫輝が罰してと言ったのだから。なんでも受けなければね。
一拍、戸惑ったあと。兄はうなずいた。よしよし。
そうして、天誠は。戸棚の引き出しから、あるものを取り出した。
「…なんだ、それは」
「見ればわかるだろう? クリスマス用に作っておいたのだが…」
革紐に、黒い革で作られた、三角形の物体が取り付けられている。
それを見て。
紫輝は、もう一度言った。
「なんだ、これはっ?」
「だから、黒猫耳だ」
紫輝が呆気に取られている間に、天誠は紫輝の頭にそれを乗せ、革紐をうなじの辺りで縛った。
「この世界には、フェイクファーとかはないのでな。でもさすがに、マジの毛皮だと、引くだろうと思って。革で、作ってみたが。つるつるした光沢が、逆に耳っぽくなって、正解だった。耳の中のふさ毛は、糸でそれっぽく作ったぞ?」
「いやいや、情熱の使いどころが、激しく間違っている…」
俺がいない間に、なに作ってんだ? と、紫輝は胸のうちでつぶやいた。
そんな紫輝を、天誠がまじまじと見やり。
弟は鼻で笑って、言ったのだ。
「ふっ、ダメだな、兄さん」
そうだろう。似合っていないんだろう?
だいたい猫耳なんてつけて、可愛いのは、すみれみたいな可愛い女の子だと、相場が決まっている。
極悪ノラ猫顔の自分が耳をつけたところで、極悪ノラ猫が出来上がるだけである。
そう、紫輝は思ったのだが。
「クリスマスなんて、大勢の人の前で、こんなあられもない格好の兄さんを見せたら、血迷う連中が、紫輝に寄ってたかって、あんなことやこんなことまで…駄目だ、やはり、これは駄目だった」
ノンブレスで言い切ると。天誠は威厳を持った魔王モードで、宣言した。
「猫耳は、今日限りで封印しよう」
「馬鹿だろ。そんなん思うのは、前から言っているけれど、天誠だけだから」
腕を組んで、紫輝は天誠を諭すように言うが。彼は紫輝の浴衣の帯をほどいて、寝台の中ほどに押し倒した。
聞いちゃいない。
そして天蓋の布を引いてしまう。
「紫輝、作ったのはこれだけじゃないよ。耳は罰するうちに入らないからね」
そう言って、黒くて長い革がついたものを見せた。
「黒猫には尻尾がないとね?」
革の先には木製の棒がついていて、丸い球が三つ連なっているかのような造形だ。
そこに、天誠はアロエのジェルをまとわせる。
まさか?
「あと、語尾は、にゃ、な?」
浴衣を紫輝から剥ぎ取った天誠は、紫輝をうつぶせにして。蕾に、ジェルをまとわせた指を差し入れた。
いきなり。なんの愛撫もなく。そこに触れられたのは、初めてで。
紫輝は、身をすくませる。
いつもは他の、胸や鎖骨や、いろんなところを触られて、性感を高められたあとに触れられる場所だから。まだ、感じるところまでいっていない。
けれど、それほどいじられることもなく。天誠は尻尾の先を蕾に押し当てた。
「ゆっくり、入れるよ。上手にのみ込んでみて」
「のみ込むって…は、あ」
入り込んでくる木の棒は、硬くて、冷たくて、異物感が半端ない。
大きさとしては、紫輝の屹立よりも細いし、小さいものだった。
紫輝の後ろには、天誠の剛直が入るのだから。そんなもの、たいしたことないはずなのに。
ただただ、なんとなく嫌だった。
「天誠、なんか、変だよ。これ、嫌だ」
「嫌なことをしないと、罰することにならないだろう? 我慢して。あと、にゃあ、は?」
そうだった。これは罰なのだ。
紫輝は我慢して、身を起こす。でもお尻を動かすだけで、すごく気持ち悪くて。
ベッドヘッドにいっぱいの枕を置いて寄り掛かる天誠の胸に、紫輝はしがみついた。
「苦しい…にゃ」
言うと、天誠の羽が少し動いた。
え? これでいいの? これ、好きなの?
「可愛いなぁ、兄さん。俺だけの、兄さん」
情欲に燃える瞳で、天誠は熱く囁き。紫輝にくちづけた。
興奮しているのか、舌の動きが激しくて。
紫輝は彼の襟元にしがみついて、情熱的なくちづけに酔いしれた。
すると、背中を撫でていた天誠の手が、お尻の方まで下がっていき、尻尾を動かされる。木の棒がくちゅくちゅと出し入れされ、突然来た刺激に、ビクついてしまう。
「ん、にゃ、天誠…硬いの、いや、にゃ」
「でも、兄さんは、いつも硬いの好きって、言ってるよ?」
「これは…硬すぎっ、にゃー」
余裕の笑みを浮かべる天誠の体の上で、紫輝は身悶える。
天誠が、紫輝の中を、いつも激しく抜き差しし、翻弄する。その感覚とは、まるで別物で。
でも、木の棒でも。出し入れされれば、中を擦られ、強引に官能は引き出され。気持ちは良いけれど。
いつものように、我を失うような、気持ち良さに溺れるような、そんな感覚にはなれない。
「お願い、にゃ。天誠のが、イイ、にゃ…」
涙目で紫輝は天誠に懇願した。
「罰は、他のがいい、にゃ。なんでもする、にゃ。だから…」
こんな冷たい、無機質なもので、中をかき回されたくない。
そばに、天誠がいるのに。
己を、荒々しく蹂躙し。情熱の業火に焼く、彼がいるのに。
罰なんだから、我慢しなければならないのはわかるけれど。
お願いだから。
なんでもするから。天誠に抱かれたい。
「わかった。わかったよ、兄さん。泣かないで? な? 抜いてあげるから。お尻、こっちに向けて?」
もう、すぐにも、外してもらいたくて。紫輝は笑顔でうなずくと。天誠の上で体を動かして、お尻を彼の顔の前に持ってきた。
すると、ちょうど彼の股間の辺りに、紫輝の顔が来る。
天誠は、まだ着流しを脱いでいないから。着物の裾の間から、彼の剛直が顔を出していた。
天誠も、興奮していたようだ。
紫輝は、尻尾がすぐになくなると思っていた。けれど、天誠は。尻尾をくねくねと動かしながら、紫輝の蕾に舌を這わせている。
木の棒の、ジンジンする感覚と、天誠の舌がグネグネと動く感覚が、紫輝に愉悦をもたらす。
「んんっ、早く、取って? 天誠? 抜いてくれるって…ん、は、ぁ」
「あぁ、今、抜いてるよ。わかるだろ? 傷つけないように、ゆっくり、な?」
「は、早くぅ。天誠、早くぅ」
「…じゃあ、もっと、お尻を突き出して、高く上げて?」
紫輝はそれが、はしたない格好だとわからず、天誠の言うなりに、腰を上げる。
おもちゃをくわえ込んだ、紫輝の桃色の蕾が。見せつけるように、目の前にさらされ。天誠はごくりと、唾をのむ。
そして、再び、紫輝の蕾を舌で舐め濡らす。
「や、や、舐めなくて、いいからぁ」
「濡らした方が、抜きやすいから。ほら、暴れると、また中に入っていっちゃうよ」
ヌクッと、天誠はおもちゃを奥まで挿入する。
そうしてまた最初から、尻尾をゆっくり引き抜く。
「んん、ま、まだぁ? 尻尾、ぬいてぇ」
くちゅくちゅと音をさせて、天誠は紫輝の蕾の襞を舌先でくすぐる。
紫輝は抜いてと言いながらも、気持ち良さを追い求め、臀部を揺すった。
天誠の胸に、紫輝の屹立から蜜がしたたり落ちている。その張り詰めた屹立も、手で撫でてやる。
ひとりで達してしまわないように、ゆるゆると加減して。
するといつの間にか、紫輝が剛直に舌を這わせていた。
そうして、ふたりで官能の階段を駆け上がっていく。
「あぁ、いいよ、兄さん。とても上手だよ」
くちゅりと音をさせて、天誠が尻尾を引き抜いたとき。紫輝は快感に溺れて、トロトロになって。剛直にすがりついていた。
全く、エロ可愛らしい黒猫さんだ。と、天誠は自然、笑みを浮かべる。
「さぁ、兄さん。尻尾の代わりの罰を与えてあげるからね」
天誠は紫輝の下から抜け出すと、お尻を持ち上げたままの紫輝の後ろに、隆々とみなぎった剛直を押し当てた。
おもちゃと舌の刺激で、とろりとほぐされた蕾は。天誠の突端を、柔らかく受け入れる。
「尻尾じゃなくて、これが欲しかった?」
「ん、欲しい。早くぅ…天誠」
聞くまでもなく、後孔はひくひくとうごめいて、天誠を求めている。
天誠の方が、その卑猥なサマに陥落し。たぎった己をズブリと挿入した。
「あ…は、ぁ」
欲しいものをようやく与えられた。そんな嬉しさを感じるあえぎを、紫輝は漏らした。
敷布にすがりながらも、背を反らし、なやましげに身をくねらせる。
そんな紫輝の中へ、天誠は剛直を突き入れていく。
紫輝が己を迎え入れてくれるときは、いつも己のすべてを、慈しみ、大事に、大切に、包み込んでくれる、というイメージだ。
自分が攻めているのではない。紫輝に優しく受け止められている。
「あ、熱っ、あ、いい。天誠が、イイ。天誠が、好きっ、にゃっ」
天誠の言いつけを守って、律儀ににゃと言い続ける紫輝が、いじらしくて。
天誠は、剛直をさらに隆起させる。
あんなおもちゃよりも、太くて熱い、コレを好きだという紫輝に。
元よりメロメロだが。
もっともっと、惚れ直してしまうのだ。
服を脱ぐ間も惜しいほど、天誠は腰を前後に揺さぶり、紫輝を貪る。そして紫輝のなまめかしい姿態をみつめた。
この頃、少し身長が高くなった兄は。柔らかそうな少年体型から、すらりと手足の伸びた、スレンダーな青年に成長した。
肩幅は、まだまだ華奢だが。戦場で鍛えられた分、引き締まった体つきになり。
背中にも筋肉がついて、触ると若木のようにしなやかにしなる。
そして小ぶりの臀部は、きゅっと上がって。そのラインがセクシーだ。
誰にも見せたくない。
その背中とお尻は、剣の鞘で、いつも隠しておいてほしいところだ。
そう思って、紫輝の臀部を揉む。
親指が食い込み、その柔らかさを楽しんだ。
「あ、そこ…だめ…イ、ちゃいそう。よすぎて、だめぇ」
顔を少し横に向け、天誠に視線を向ける。その潤んだ瞳をすがめる顔は、壮絶に艶っぽい。
ほがらかな、太陽の笑顔の兄とは別の。誘うような顔を。セックスのときに見せるようになった。
このエロい顔は、自分だけのもの。
でも、最近。普段のときでも、たまにぞくりとする色っぽさを見せることがあって。天誠は気が気じゃない。
やっぱり、部屋に閉じ込めておきたい。
「天誠、イく。も、イ、くぅ…っ」
でも、こうして紫輝が快楽に素直なのは、健やかな証拠だから。
天誠は、暗い欲望を封じ込める。
「いいよ。罰はもう終わり。ふたりで一番、気持ち良いこと、しよ?」
そうして、天誠は。ひと際強く、紫輝に突き入れ。
ふたり同時に、絶頂の歓喜を味わった。
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