【完結】異世界行ったら龍認定されました

北川晶

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18 出陣します

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      ◆出陣します

 前線基地から出撃するとき、門前の広場に、兵たちは整列する。
 二十四組の兵たちが、組長である廣伊の元に集まっていた。

 小さな木箱の上に、廣伊は乗る。
 出陣の前に、兵を鼓舞するため、演説する組長は多いが。廣伊がなにかを言うのは、珍しいことだった。

「このまま、おとなしくしてくれたら良かったのだが。残念なことに、手裏軍が再び、侵攻を始めた。我らと入れ替わる大隊が到着するのは、ひと月後だ。それまでは、みんな頑張れよ。目の前に迫った休暇を、手裏ごときに奪われてはならない」
 廣伊の軽口に、二十四組に笑いが起きた。

「本来。人事は、本拠地に戻ってから行うが。手裏の猛攻と、我らの移動が重なり、雑事が増えると予想される。そこで、本日付で、望月千夜を組長補佐に任ずる」
 おおっと、組の中が盛り上がりを見せた。

「さらに、望月の後任として、間宮紫輝を九班班長に任ずる」
 その廣伊の言葉には、どよっと、困惑のざわめきが湧く。
 ですよね。だから無理だと言ったのに。
 と、紫輝は。内心で、ため息をつく。

「今までと、形態が変わるわけではない。いつもどおり、戦場で存分に戦うこと。以上だ」
 壇上から降りた廣伊の後ろに、千夜が、そして二十四組の猛者たちが続いていく。
 二十四組の出陣風景は、肩の力が抜けた、整然としたものだった。

 だが、紫輝を班長に格上げした、組長の爆弾発言に、まだ浮足立つ兵も見られる。
 当事者である九班の班員たちが、思ったよりも平然と受け止めていることが、少し救いになった。
 班長になったとはいえ、戦場で、紫輝がすることといったら。今までと、なにも変わらない。
 自分が死なないようにしつつ、仲間の窮地を見過ごさずに、敵を追い払うことだ。

 戦場では、ほぼ個人戦だ。
 各々が、自らの力を発揮して、敵を倒す。または追い払う。
 少し余裕があれば、仲間に気を配れるのだけど。
 なかなか千夜のようにはできず、目の前の敵に集中してしまうものだ。

 今は、周囲に、敵の群れはいない。
 しかし、ひとりひとり、息つく間もなく襲い掛かってくる。
 紫輝が敵と剣を合わせると、相手は腰から崩れるようにして倒れる。ライラが敵の生気を吸い、昏倒させるのだ。
 ただ、一定時間、動けなくなるだけなので、敵は死んでいない。
 つまり、紫輝は。ライラのおかげで、まだ人を殺してはいないのだ。
 そんなところが、噂となり。敵からも味方からも『殺さずの雷龍』というあだ名で、密かに呼ばれていた。

 ということを、昨日、大和に教えてもらった。
 ええぇ、知らない間に変なあだ名ついてたよ。

 目の前の敵が、あらかた倒れ。紫輝はやっと息をつく。
 班員は、目の届く範囲にみんないた。
 各自、剣を振るう、ある距離感を保って戦闘に当たっている。やはり、基本個人戦だ。

 そうして日が暮れ。今日もなんとか生き延びた。
 前線基地の中に入ると、安心感が湧いてくる。もう大丈夫。怖くないって。

 あと天誠に、生きてるよって報告できることが、一番嬉しい。
 班長として、廣伊に、今日の戦場での兵たちの様子などを報告し。
 食堂で晩御飯を貰ったら、いつもの場所でライラとふたり、おにぎりを食べる。
 いつものルーティーンだ。

 今、ちょっと紫輝が気になっていることといえば、月光のことだった。
 親子の名乗りをして、十日ほどは、毎日顔を合わせていた。
 紫輝の組が休息日のときは、月光の宿舎に招かれたりもしたし。親子というよりは友達感覚なのは仕方がないことなんだけど。
 とにかく、円満にやっていたと思う。

 けれど、このところ、全く顔を見ない。
 いや、全くではない。
 今日の出陣のときなんか、陰ながらこちらを見ていた。でも、声は掛けてこない。
 あと、月光の隠密は、紫輝にいつも張りついている。
 だから、月光に嫌われたとか、放任してるとか、そういう感じではない。

 いや、もう十八だし、元の世界の親なんかは、もっと放任だったから。それならそれで、構わないんだけど。
 どちらかというと、常に気に掛けられているが、顔は合わせない、みたいな。
 謎。

 謎といえば、もうひとり。
 そこにいるのに、なんで一緒にご飯を食べないのか?

「大和、そこにいるんだろ? 一緒に食べようよ」
 紫輝は、別にボッチ飯が好きなわけじゃない。千夜がいるなら千夜と食べるし。
 そこにいるのに、個々でご飯を食べていること、ないだろう?

 月光の隠密の気配がわかるくらいには、紫輝も敏感だ。
 今は、己の能力で敵を倒していることになっているから、ライラの説明が難しい…。っていうか面倒だから、ライラのことを、多くの者に知られたくないのだ。
 だから周囲に気を配っている。
 月光には、紫輝のあらかたのことが知られていて、隠密も承知しているだろうから、泳がしている。

 そして、大和は。結構前から、紫輝についていることを知っていた。
 いや、紫輝についていた者が、大和だと知ったのは、昨日だけど。

 赤茶のゴールデンレトリバー…もとい、アカモズの大和が、闇に染まる木々の間から、姿を現した。
「あれ、バレちゃいました? いつから?」
「昨日、廊下で。俺のこと、ガン見してたろ? あのとき、見られてる感じが。いつもついている人と、同じだなと思って」
 大和は、紫輝の近くにあった切り株に腰かけ、やはりおにぎりを食べる。

「いつもついてる人って…それはいつから?」
「うーん、九班、入った頃かな? 最初は、龍鬼だから見られているのかと思ったんだけど。天誠と再会したあと、あぁ、天誠の隠密だったんだなって、わかったんだ。見てくるけど、危害加える感じじゃないし。ライラが、ひとりだけスルーするんだよ。そばに誰か来るときとか、千夜が来ても、知らせてくれるのに。君だけスルー。それって、天誠の言いつけだろ?」
「あい」
 紫輝の問いかけに、ライラが短く返答した。

「わぁ、鋭いんっすね」
 隠密の誇りをくじかれたのか、大和は半目で、棒読みで言った。
「俺、空気読むのうまいんだ」
 そういう問題かなぁと、大和は思った。

「昨日、大和のこと確信して。わぁ、近くまで来たなぁって思ったから。天誠に報告したんだよ。そうじゃなきゃ、新しい班員のことなんか、いちいち彼に言ったりしないよ」
 その言葉で、大和は。紫輝のことを、そら恐ろしく感じた。
 昨夜のことも、みんな、お見通しだったとは。
 凡庸に見えても、やはり安曇の兄なのだなと実感し。ビビった。

「天誠の隠密ってことは、俺のこと知ってるんだよね? どれくらい?」
「三百年過去から来て、安曇様とラブラブなとこまで」
「それって全部じゃんっ」
 照れ隠しでツッコむが。
 恥ずかしさはなくならず、紫輝は顔を赤くしつつ、おにぎりをかじった。

「安曇様に殺されるので、エッチシーンは見てません。キスシーンは、しょっちゅう見てますが」
「わかった、やめろ、もう言わないでくれ。俺は聞かないぞ」
 頭から湯気が出そうだ。くっそう、天誠のやつめっ。

「まぁ、でも。そばにいるのが、全部知っている人なら、心強いよ。大和は、天誠といつ出会ったの?」
 十一歳のとき、大和が安曇眞仲に拾ってもらったところから。彼は、かいつまんで紫輝に話してくれた。
 眞仲に施された隠密の修業は、厳しかったようで。大和の眉間のしわは、ずっと消えなかった。
 それでも礼儀作法、家事全般、一般教養、さらには医療の知識まで、あらゆるものを叩き込まれたので。もう、食うには困らない。それがありがたいのだと言って。孤児であった彼は、笑った。

 大和が語る、眞仲は。長く、殺伐としていた。
 だが一年前、そこから百八十度転換したのだという。
 紫輝が現れる希望が見えたから。

 大和の話を聞いて、紫輝は知らぬ間に泣いていた。いつの間にか、頬が濡れている。
「し、紫輝様。俺、なにか変なこと言いましたか?」
 大和は狼狽した。紫輝を泣かせたと知られたら、首が飛ぶ。
 比喩でなく。

「ううん、嬉しかったから。天誠が、ずっと、ひとりだったわけじゃ、ないんだって、わかって」
「いえ、俺たちは部下なので。貴方のような存在とは違うんです」
「なんだっていいんだよ。家の中に、誰かの気配があるだけで。完全な孤独ではないから。マジで、良かった」
 紫輝は、心底ホッとしていた。
 兄を見失った天誠は、ずっと闇の中でもがいていただろう。
 でも、大和たちを教育しているときは、気が紛れていたんじゃないかと思うのだ。

「あの、怒らないでくださいね、安曇様が、貴方に隠密をつけていたこと」
「怒らないよ。昨日、彼が言っていただろ? 今も守っていると。大和は、天誠なんだ」
 にっこりと紫輝に笑いかけられ、大和はぶわわっと、血が頭に駆け上るのを感じた。
 安曇への愛のかけらを、大和にもくれたみたいな感覚だった。
 目の前の紫輝は、全然、色恋めいた雰囲気を出していない。
 けれど、感じたのだ。信頼とか親愛の情を。

「大和は、天誠を守ってくれた家族だから。俺にとっても家族だよ。これからよろしくな? あと、紫輝様は駄目だから。紫輝って呼べよ」
 おにぎりを食べ終わった紫輝が、ちょっと潤んだ目で、大和をみつめる。
 わかっている。これは安曇を想って流した涙の名残だと。
 でも、己に言い聞かせなければならないほどには…ドキドキしてしまった。

 大和が、ひとりでどぎまぎしていたとき。
 紫輝は、天誠のことを考えていた。
 将堂軍に入り、戦場へ出た、あのとき。紫輝は天誠のことを探し出すことができなくて。嘆き悲しんだ。
 自分が倒した手裏兵の中に、天誠がいるんじゃないかと、不安になったりした。
 俺を守ると言ってくれた弟は、どこにいるのだ?
 何故、そばにいないのか?
 何故…俺を守ってくれないのか、と。

 でも、天誠はあのときから。いや、紫輝がこの世界に現れたときから、ずっと守ってくれていたのだ。

 ライラを紫輝に授けたのも、大和を派遣したのも、天誠の采配だ。
『兄さんは僕が守る』その、三百年前の誓いは。今も変わらず、果たされている。

「貴方は何故、安曇様を許すのですか?」
 大和に問われ、紫輝は小首を傾げる。
 なにか、許したっけ?

「貴方は、三百年前の、平和な時代からやってきた。殺傷は、ご法度の世界だったのでしょう? 安曇様が言うには、清廉潔白な方だと…安曇様は貴方に嫌われることを、ひどく恐れている」
「天誠が人を殺めたことを、俺が許さないって? 今は戦争中なのに。人を殺すなと言うのは、おまえは死ねと言っているのと同じことじゃないのか? そんなの、綺麗ごと通り越して、傲慢だ」
「…まぁ、そうですね」
 うなずいて。大和は考えを巡らせる。
 敵も味方も、死に物狂いで戦っているのだ。その相手を殺すなということは、死ねということ。
 この世界では、正論だ。

 ただ、平和な世界で暮らしていた紫輝が、その境地に到達しているということが、すごいと思う。
「俺は、聖人君子の良い子ちゃん、じゃない。確かに、以前の社会の常識に、未だ縛られているところもある。ライラのおかげで、人を殺さないで済むことに、安心もしているよ。でもさ、俺は、本当に人を殺していないのかな? 違うよ。仲間たちが戦ってくれるから、俺は生きてられる。だったら、千夜が斬った相手も、野際が斬った相手も、俺が斬ったも同然だ。もちろん、天誠が生きるために斬った相手も。俺は天誠が生きていてくれて、嬉しいんだから」

 そう、紫輝は天誠が生きていてくれて、嬉しいのだ。
 だから、昔の常識からは、目をそらし。愛する者と生きるために、この世界の常識に向き合うと決めたのだ。

「許したんじゃない。天誠の重荷の半分を、俺も背負うということだ。天誠と俺は同じもの。同じなのに、許すも許さないも、ないんだよ」
 己の気持ちを真剣に述べて、紫輝は、次の瞬間は軽く笑って見せた。

「だから、殺さずの雷龍ってあだ名、ちょっと、俺的には不本意。俺、そんなに出来た人物じゃないもん。いつまでも弟頼りの、ダメダメな兄貴だしな。あぁ、天誠が言う、俺の賛辞は真に受けないで。話半分以下だからな。変なフィルターかかってて、盛り盛りの増し増しになっているんだ。どうせ、天使とか清いとか、変なこと言ってんだろ? 嘘、嘘、そんなの柄じゃないって見ればわかるだろ?」
「ふぃるたあ…」
「あぁ、えっと…膜? 『兄貴大好き』っていう膜を通り抜けると、どんな感情にも『兄貴大好き』ってのがコーティング…く、くるまるような…キモッ。想像したら、キモッ」
 紫輝は説明している最中に、天誠のハイパーブラコンのキモさに当てられてしまった。

「なぁ、あいつ、おかしいと思わないか? 冷静に考えて、なんで俺みたいのを、可愛いとか天使とか思えるんだ? あいつの審美眼、なんとか修復できねぇかな?」
「無理っす」
 即答され、紫輝は疑問符を飛ばす。

「安曇様の審美眼は正確です。だって、あなたは綺麗な人だ」
「…は?」
「姿も心も美しい。だから安曇様は、貴方に惚れているんです。安曇様の審美眼が正確だというのは、俺もそう思うからです」
 真顔で大和が力説するものだから。
 紫輝は引いた。

「え、大和も、極悪ノラ猫顔が可愛いとか思う口?」
「極悪ノラ猫顔は、見れば見るほど味が出ると思っています」
「あぁ、そう…」
 同じ釜の飯を食べていたから、天誠と似てしまったのか。
 可哀想に。大和の審美眼もどうかしちゃったのだな。

 無駄な説得をするのを、紫輝はやめた。

「俺も軍服、紫にしていいっすか?」
「ええぇ? 軍服の色、変えていいなら、俺、茶色にしたいんだけど。目立ちたくない」
「ダメっす。似合ってるっす。紫にするっす。紫輝を守り隊、会員番号一番っす…あ、一番は、安曇様に譲るっす」
 急におどおどし始めた大和が、切り株から腰を上げて、闇に染まる木々の間に消えていった。

 紫輝が振り返ると、近くに大きなライラの顔があった。
 いや、目がキリリとしているから、天誠だ。
「あいつ、紫輝を口説きやがった」
「ライラの可愛い声で、そういうこと言ってはいけません。つか、口説かれてない」
「おんちゃん、ちゅー、して」
 どんな顔で、ライラに成りきっているんだと。イケメン弟を思い浮かべたら、笑えた。

 笑えたから、鼻チューしてやった。

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