41 / 43
39 どんだけエロいの? テオ・ターン
しおりを挟む
◆どんだけエロいの? テオ・ターン
俺が目を覚ますと、サファが温かい濡れた手ぬぐいで体を拭いてくれていた。
うつ伏せだったから、手ぬぐいの当たる背中が、温かくて気持ちいい。
「ん、俺、寝てた?」
なんか、頭がボッファァァってしてる。目が覚めても、のぼせたままの感じ?
「俺がちょっと、やり過ぎた。ごめん」
甲斐甲斐しく、俺の世話を焼くサファが、軽くついばむキスをして。なんだか、許して許してというような、イカ耳ワンコになっている。
それで。あぁ、絶倫勇者がタガを外したのだったと、俺は思い出した。
「でも、ありがとう。俺とあんなに幸せなエッチをしてくれて」
顔を覗き込んで、フフっと笑われたら。
怒れないじゃないか。ズルいワンコめ。
「早く、起きなきゃな。ラスボスの部屋に裸でポイされたくない」
俺は口をへの字にしながらも、暴走の件には触れず。
まぁ、お互い様な部分もあるからな。
着替えをしようと、ベッドの上で、ウゴウゴ動いた。痛くはないけど、あちこち、体がギシギシするぅ。
「急がないで大丈夫。部屋の扉は開いているけど、アイテムを取らないと、元の部屋には戻らないみたい。いつものボス部屋と同じ感じだ」
そう言って、サファはやんわり俺をおさえつけて、濡れ手ぬぐいで俺の体を拭いていった。
前面はすでにさっぱりしているから、寝落ちしていた間に、綺麗にしてくれたみたい。
うぅ、恥ずかしいけど。
後始末をしてくれたことがありがたいし。まだ体がウゴウゴなので。しばらく、サファに身を任せた。
「アイテムが出た?」
「廊下にある。テオに鑑定してもらってから、取ろうと思って」
「罠かもしれないし。賢明な判断だな」
急がなくても大丈夫と言われても。いつまでも裸でいたくないので。あらかたサファが体を拭きあげてくれたのを機に、俺はノロリと体を起こす。
サファはすでに、装備まで整えた、万全の体勢だ。
「つか、猶予が与えられるのは、ありがたいが。あんなに腰を酷使したあとで、ラスボス戦できるのか?」
「もちろん、俺は今、最高に燃えている。ラスボスでも星でも、今なら壊せそうだ」
目をキラキラ輝かせ、拳を握るサファは。確かに最高の笑顔で俺を見やっている。
「…星を壊すのはよせ」
一応、忠告はした。濃厚な情事で頭がボヘボヘでも、それがヤバいことはわかる。
「ラブゲージを貯めるのに、精も根も尽き果てさせて、ヘロヘロの冒険者を踏み潰すというのが、ドラゴンの思惑なら。おあいにく様だな? 俺はまだまだメキメキだっ」
まだメキメキなんだ、と。呆れてジト目になる、俺。
サファが目の前に置いてくれる服に袖を通しながら、聞いた。
「てか、いつ、扉開いたんだ?」
「………さぁ」
おい。なんだ、その間は?
まさか、扉が開いているのを知っていて、享楽にふけっていたわけではあるまいな?
疑いの眼差しで見るが。まぁ、いいか。
俺も、サファと。幸せなエッチに溺れてしまったのだからな。
服を着つけていると。クリス先生たちが廊下に出てきたから。
急いで体裁を整えて。ベッドを降りた。
「大丈夫? 俺が抱っこしてやろうか?」
サファが、キラキラの目のままで、俺に手を差し出すから。顔が赤くなった。
そんな、いかにも激しいセックスしました、みたいな様子を。みんなの前で出したくないっつーの。
「恥ずかしいから、そういうのいらないっ」
「ホントに? 腰抜けてない? 俺のぶっとい凶器を、この小さなお尻で受け止めたんだから、心配だ」
そうして、腰を手で撫でてくる。やーめーろー。
「自分でぶっとい、言うな。恥ずかしいやつめ」
ウザがらみしてくる勇者を手で追い払いながら、廊下に出ると。
まぁ、気まずそうな顔をして、三人が俺たちを待っていた。
仕方がない。エッチしろと言われて、脱出できたということは。そういうことなのだからね。
大人は、そこには触れてはいけない。空気を読むよ、俺は。
それに、カピバラサンのところで、彼女たちがクリス狙いに切り替えたことは、わかっていたので。
三人でどうしたのかはわからないけど。
まぁ、なんとかしたのだろうと、思うのだった。アバウト。
それで、廊下には。スツールみたいな形の小さな机に、小瓶が乗っていた。
鑑定すると。
「ユメバクキャンディー。ひと粒舐めて、就寝すると、夢の中であなたの望みが叶います。ハーレム、国一番のお金持ち、グルメ食べ放題。なんでもオッケー。用法用量は正しくお使いください、だって」
「それって、先ほどのユメバクのドロップアイテムじゃないの? 使い回しするなんて、ケチねぇ」
ユーリがむむっとして、告げる。確かに。
「じゃあ、アイテムを取ったら。みんな、ラスボス戦だぞ。いいな?」
サファが聞くと。みんなが神妙な顔つきで、こくりとうなずく。
俺は、ちょっといろいろ、げっそりお疲れだが。
クリスもユーリもイオナも、なんかピカピカつやつやしているよ。みんな、精力的なんだね?
それで、サファがアイテムを手にしたら。
エッチしないと出られない部屋は、掻き消えて。
揉み手のドラゴンが、魔剣の後ろの方にいて。びっくり目でこちらを見た。
「は? 二時間でエロゲージ満タンにしたのに、なんで四時間後に出てくるのかしらぁ? あたし、待ちくたびれちゃったわよぉ。つか、あんたたち。どんだけエロいの?」
ラブゲージをエロゲージって言っちゃったよ、このドラゴン。
俺は、思わず苦笑した。
つか、やっぱり。時間はアレだったね。まぁ、そこには触れないでおこう。
「だけど、まぁ、オスの願望に近いお部屋を用意したからね? やっぱりあなたたちには簡単な試練だったようねぇ? サファはテオを一晩ペロペロしたかったのでしょう? クリスはアワアワ風呂でハーレムよぉ?」
ドラゴンの暴露に、女性陣はカカッと頬を染める。
想像したらまずいけどぉ。両手に花でアワアワ?
クリス先生、意外とむっつりなんだな?
「おぉ、アワアワぬるぬるパラダイスか? さすがだな、クリスッ。今度俺も、テオにしてもらおうっ」
空気読まないサファが、そんな発言するから。
もう、そこは言わないであげなよぉ。
つか、お、俺、やらないぞ??
てか、ラスボス戦に集中してっ。
「御託はここまでだっ、ドラゴン、覚悟っ」
サファは魔剣の柄を握ると、ラブゲージが満タンで、怪しげな魔力に満ち溢れた魔剣を引き抜いた。
それは、大柄なサファが持っても遜色のない、大きな柄に、ブリブリに彫刻されて飾り立てられた鍔、そして厚みと幅のある、長大なもろ刃の剣だった。
その魔剣で、サファは一度ドラゴンに斬りかかり。ドラゴンはギャギャアアアと叫ぶ。
そこにユーリが爆炎魔法をドーンと落とし。
クリスが激しい剣戟で斬りかかり。
イオナが聖なる光で、ドラゴンの魔力を弱らせ。
とどめに、サファが再び斬りかかる。勇者パワーでドラゴンを一刀両断した。
ドラゴンは、やーらーれーたー、と鳴いて。消滅した。
すごい。圧勝じゃないかっ、勇者一行!!
ゴトリと音をさせて落ちてきたのは。黄緑色の大粒の宝石だ。
「ペリドットドラゴンの宝玉。魔剣の飾りに出来るわぁ。大きな魔力も強力な物理攻撃も薙ぎ払う、レアアイテムよぉ。ぉ? なんか、オネェっぽい解説だけど、罠はなさそう」
「へぇ? ペリドットは、テオの瞳に色味が似ているから。俺には最高の装飾だな」
サファがアイテムを手に取り、魔剣の鍔の部分に取り付けると。ラスボスの部屋が一瞬にして掻き消えて。
俺たちは森の中にいた。
「外? エロダンジョンを攻略したってことだな?」
サファが言うと、みんなでわわっと喜びの声をあげた。
「やったわ、やったわ? 外に出れたわぁ」
でも。サファとクリスとユーリとイオナ、そして俺。とは違う声が聞こえて。
俺らは顔を見合わせる。
すると、サファの腰に下げられた魔剣が、ガタガタっと震えて。言った。
「あたしぃ、もう、三百年くらいダンジョンを守ってきたのだけどぉ、誰も攻略しに来てくれないから、飽きちゃったのぉ。絶倫勇者にくっついていたら、エロエネルギーも食い放題だしぃ? 最高じゃなぁい?」
「おまえは、さっきのドラゴンかっ??」
サファが叫んで。
俺は、あぁ、やっぱりぃ? と思った。
なんか、ドラゴンの討伐が、やけに簡単に終わったなぁ。やられたー、ってラスボスが言うかなぁ? 演技っぽいなぁ? なんて思っていたのだ。
それに、宝玉鑑定したとき文言が、めっちゃオネェだったじゃん?
で、あのオネェドラゴンがついてきちゃったようなのだ。ひえぇ。
「それって、ラスボスがダンジョンを捨ててきちゃったってことなのぉ? じゃあ、このエロダンジョンは、廃ダンジョン?」
イオナがドラゴンに聞く。
持て余してはいたようだが、モヨリ町の資源にもなるダンジョンだ。廃棄されるのは忍びない。
「それは大丈夫よ? 後継のピンクドラゴンを置いてきたわ? 今度は彼女が、このダンジョンを守っていくのよぉ?」
後継は、ピンクなんだ。エロ要素が高まりそうだな。
でも、廃ダンジョンにならなくて良かったよ。
ドロップアイテムが、なかなか物珍しい品ばかりだったからな。なくなるのは惜しい。
いや、俺は特に欲しいものはなかったけどぉ。
んん、ゲコヌメェのラブローションは、悪くない。
とはいえ。
「サファ、その剣、モヨリ町のギルドで売っちゃえばぁ?」
「うーん。しかし、テオの瞳と同じ、ペリドットを売っちゃうのは、もったいない」
「別に、今までの剣でいいじゃん? エロドラゴンぶら下げて、魔王討伐に行くのか?」
そうだ。エロダンジョンがあまりにも癖強いから、忘れていたけど。
勇者一行は魔王討伐の指令を受けているのだ。
せっかく、癖ツヨダンジョンを抜けて、ゲットした魔剣だが。
それ、捨てた方が良くね?
「ちょっとぉ、待ちなさいよぉ。魔王討伐に行くのなら、絶対、あたしは必要よぉ? どんな魔力も跳ね返すのよぉ? あたしが魔王からあなたたちを守ってあげるからぁ? 捨てないでぇ」
なんか、短い手を拝むように合わせて、くねくね懇願するドラゴンが、見えちゃった。
捨てるのは、ちょっと可哀想?
「ちっ、仕方ねぇなぁ。とりあえず、魔王城に行くまでは、持っててやるか。なんかの役に立つかもしれねぇからな。ただし、ベラベラしゃべんじゃねぇぞっ? ウザくなったら川に捨てるからなっ」
サファの言に、ドラゴンは、ひぇぇぇぇと鳴いて。そのあとは沈黙した。
よし。まぁ、いいでしょう。
で、ひとまず落ち着いて、辺りを見回したら。宝箱があって。
いわゆる、ダンジョン攻略を果たした者に与えられるご褒美アイテムみたいなものがあった。
魔剣自体が、そのようなものでもあるので。さらにもらえるのは、ありがたい。
というわけで、罠もなさそうなので、開けてみたら。
宝箱には、今までダンジョンで出た、ドロップアイテムがみっちり詰まっていた。
つまり、夜の営みグッズ?
これはぁ…全部ギルドに売ろう。
俺が目を覚ますと、サファが温かい濡れた手ぬぐいで体を拭いてくれていた。
うつ伏せだったから、手ぬぐいの当たる背中が、温かくて気持ちいい。
「ん、俺、寝てた?」
なんか、頭がボッファァァってしてる。目が覚めても、のぼせたままの感じ?
「俺がちょっと、やり過ぎた。ごめん」
甲斐甲斐しく、俺の世話を焼くサファが、軽くついばむキスをして。なんだか、許して許してというような、イカ耳ワンコになっている。
それで。あぁ、絶倫勇者がタガを外したのだったと、俺は思い出した。
「でも、ありがとう。俺とあんなに幸せなエッチをしてくれて」
顔を覗き込んで、フフっと笑われたら。
怒れないじゃないか。ズルいワンコめ。
「早く、起きなきゃな。ラスボスの部屋に裸でポイされたくない」
俺は口をへの字にしながらも、暴走の件には触れず。
まぁ、お互い様な部分もあるからな。
着替えをしようと、ベッドの上で、ウゴウゴ動いた。痛くはないけど、あちこち、体がギシギシするぅ。
「急がないで大丈夫。部屋の扉は開いているけど、アイテムを取らないと、元の部屋には戻らないみたい。いつものボス部屋と同じ感じだ」
そう言って、サファはやんわり俺をおさえつけて、濡れ手ぬぐいで俺の体を拭いていった。
前面はすでにさっぱりしているから、寝落ちしていた間に、綺麗にしてくれたみたい。
うぅ、恥ずかしいけど。
後始末をしてくれたことがありがたいし。まだ体がウゴウゴなので。しばらく、サファに身を任せた。
「アイテムが出た?」
「廊下にある。テオに鑑定してもらってから、取ろうと思って」
「罠かもしれないし。賢明な判断だな」
急がなくても大丈夫と言われても。いつまでも裸でいたくないので。あらかたサファが体を拭きあげてくれたのを機に、俺はノロリと体を起こす。
サファはすでに、装備まで整えた、万全の体勢だ。
「つか、猶予が与えられるのは、ありがたいが。あんなに腰を酷使したあとで、ラスボス戦できるのか?」
「もちろん、俺は今、最高に燃えている。ラスボスでも星でも、今なら壊せそうだ」
目をキラキラ輝かせ、拳を握るサファは。確かに最高の笑顔で俺を見やっている。
「…星を壊すのはよせ」
一応、忠告はした。濃厚な情事で頭がボヘボヘでも、それがヤバいことはわかる。
「ラブゲージを貯めるのに、精も根も尽き果てさせて、ヘロヘロの冒険者を踏み潰すというのが、ドラゴンの思惑なら。おあいにく様だな? 俺はまだまだメキメキだっ」
まだメキメキなんだ、と。呆れてジト目になる、俺。
サファが目の前に置いてくれる服に袖を通しながら、聞いた。
「てか、いつ、扉開いたんだ?」
「………さぁ」
おい。なんだ、その間は?
まさか、扉が開いているのを知っていて、享楽にふけっていたわけではあるまいな?
疑いの眼差しで見るが。まぁ、いいか。
俺も、サファと。幸せなエッチに溺れてしまったのだからな。
服を着つけていると。クリス先生たちが廊下に出てきたから。
急いで体裁を整えて。ベッドを降りた。
「大丈夫? 俺が抱っこしてやろうか?」
サファが、キラキラの目のままで、俺に手を差し出すから。顔が赤くなった。
そんな、いかにも激しいセックスしました、みたいな様子を。みんなの前で出したくないっつーの。
「恥ずかしいから、そういうのいらないっ」
「ホントに? 腰抜けてない? 俺のぶっとい凶器を、この小さなお尻で受け止めたんだから、心配だ」
そうして、腰を手で撫でてくる。やーめーろー。
「自分でぶっとい、言うな。恥ずかしいやつめ」
ウザがらみしてくる勇者を手で追い払いながら、廊下に出ると。
まぁ、気まずそうな顔をして、三人が俺たちを待っていた。
仕方がない。エッチしろと言われて、脱出できたということは。そういうことなのだからね。
大人は、そこには触れてはいけない。空気を読むよ、俺は。
それに、カピバラサンのところで、彼女たちがクリス狙いに切り替えたことは、わかっていたので。
三人でどうしたのかはわからないけど。
まぁ、なんとかしたのだろうと、思うのだった。アバウト。
それで、廊下には。スツールみたいな形の小さな机に、小瓶が乗っていた。
鑑定すると。
「ユメバクキャンディー。ひと粒舐めて、就寝すると、夢の中であなたの望みが叶います。ハーレム、国一番のお金持ち、グルメ食べ放題。なんでもオッケー。用法用量は正しくお使いください、だって」
「それって、先ほどのユメバクのドロップアイテムじゃないの? 使い回しするなんて、ケチねぇ」
ユーリがむむっとして、告げる。確かに。
「じゃあ、アイテムを取ったら。みんな、ラスボス戦だぞ。いいな?」
サファが聞くと。みんなが神妙な顔つきで、こくりとうなずく。
俺は、ちょっといろいろ、げっそりお疲れだが。
クリスもユーリもイオナも、なんかピカピカつやつやしているよ。みんな、精力的なんだね?
それで、サファがアイテムを手にしたら。
エッチしないと出られない部屋は、掻き消えて。
揉み手のドラゴンが、魔剣の後ろの方にいて。びっくり目でこちらを見た。
「は? 二時間でエロゲージ満タンにしたのに、なんで四時間後に出てくるのかしらぁ? あたし、待ちくたびれちゃったわよぉ。つか、あんたたち。どんだけエロいの?」
ラブゲージをエロゲージって言っちゃったよ、このドラゴン。
俺は、思わず苦笑した。
つか、やっぱり。時間はアレだったね。まぁ、そこには触れないでおこう。
「だけど、まぁ、オスの願望に近いお部屋を用意したからね? やっぱりあなたたちには簡単な試練だったようねぇ? サファはテオを一晩ペロペロしたかったのでしょう? クリスはアワアワ風呂でハーレムよぉ?」
ドラゴンの暴露に、女性陣はカカッと頬を染める。
想像したらまずいけどぉ。両手に花でアワアワ?
クリス先生、意外とむっつりなんだな?
「おぉ、アワアワぬるぬるパラダイスか? さすがだな、クリスッ。今度俺も、テオにしてもらおうっ」
空気読まないサファが、そんな発言するから。
もう、そこは言わないであげなよぉ。
つか、お、俺、やらないぞ??
てか、ラスボス戦に集中してっ。
「御託はここまでだっ、ドラゴン、覚悟っ」
サファは魔剣の柄を握ると、ラブゲージが満タンで、怪しげな魔力に満ち溢れた魔剣を引き抜いた。
それは、大柄なサファが持っても遜色のない、大きな柄に、ブリブリに彫刻されて飾り立てられた鍔、そして厚みと幅のある、長大なもろ刃の剣だった。
その魔剣で、サファは一度ドラゴンに斬りかかり。ドラゴンはギャギャアアアと叫ぶ。
そこにユーリが爆炎魔法をドーンと落とし。
クリスが激しい剣戟で斬りかかり。
イオナが聖なる光で、ドラゴンの魔力を弱らせ。
とどめに、サファが再び斬りかかる。勇者パワーでドラゴンを一刀両断した。
ドラゴンは、やーらーれーたー、と鳴いて。消滅した。
すごい。圧勝じゃないかっ、勇者一行!!
ゴトリと音をさせて落ちてきたのは。黄緑色の大粒の宝石だ。
「ペリドットドラゴンの宝玉。魔剣の飾りに出来るわぁ。大きな魔力も強力な物理攻撃も薙ぎ払う、レアアイテムよぉ。ぉ? なんか、オネェっぽい解説だけど、罠はなさそう」
「へぇ? ペリドットは、テオの瞳に色味が似ているから。俺には最高の装飾だな」
サファがアイテムを手に取り、魔剣の鍔の部分に取り付けると。ラスボスの部屋が一瞬にして掻き消えて。
俺たちは森の中にいた。
「外? エロダンジョンを攻略したってことだな?」
サファが言うと、みんなでわわっと喜びの声をあげた。
「やったわ、やったわ? 外に出れたわぁ」
でも。サファとクリスとユーリとイオナ、そして俺。とは違う声が聞こえて。
俺らは顔を見合わせる。
すると、サファの腰に下げられた魔剣が、ガタガタっと震えて。言った。
「あたしぃ、もう、三百年くらいダンジョンを守ってきたのだけどぉ、誰も攻略しに来てくれないから、飽きちゃったのぉ。絶倫勇者にくっついていたら、エロエネルギーも食い放題だしぃ? 最高じゃなぁい?」
「おまえは、さっきのドラゴンかっ??」
サファが叫んで。
俺は、あぁ、やっぱりぃ? と思った。
なんか、ドラゴンの討伐が、やけに簡単に終わったなぁ。やられたー、ってラスボスが言うかなぁ? 演技っぽいなぁ? なんて思っていたのだ。
それに、宝玉鑑定したとき文言が、めっちゃオネェだったじゃん?
で、あのオネェドラゴンがついてきちゃったようなのだ。ひえぇ。
「それって、ラスボスがダンジョンを捨ててきちゃったってことなのぉ? じゃあ、このエロダンジョンは、廃ダンジョン?」
イオナがドラゴンに聞く。
持て余してはいたようだが、モヨリ町の資源にもなるダンジョンだ。廃棄されるのは忍びない。
「それは大丈夫よ? 後継のピンクドラゴンを置いてきたわ? 今度は彼女が、このダンジョンを守っていくのよぉ?」
後継は、ピンクなんだ。エロ要素が高まりそうだな。
でも、廃ダンジョンにならなくて良かったよ。
ドロップアイテムが、なかなか物珍しい品ばかりだったからな。なくなるのは惜しい。
いや、俺は特に欲しいものはなかったけどぉ。
んん、ゲコヌメェのラブローションは、悪くない。
とはいえ。
「サファ、その剣、モヨリ町のギルドで売っちゃえばぁ?」
「うーん。しかし、テオの瞳と同じ、ペリドットを売っちゃうのは、もったいない」
「別に、今までの剣でいいじゃん? エロドラゴンぶら下げて、魔王討伐に行くのか?」
そうだ。エロダンジョンがあまりにも癖強いから、忘れていたけど。
勇者一行は魔王討伐の指令を受けているのだ。
せっかく、癖ツヨダンジョンを抜けて、ゲットした魔剣だが。
それ、捨てた方が良くね?
「ちょっとぉ、待ちなさいよぉ。魔王討伐に行くのなら、絶対、あたしは必要よぉ? どんな魔力も跳ね返すのよぉ? あたしが魔王からあなたたちを守ってあげるからぁ? 捨てないでぇ」
なんか、短い手を拝むように合わせて、くねくね懇願するドラゴンが、見えちゃった。
捨てるのは、ちょっと可哀想?
「ちっ、仕方ねぇなぁ。とりあえず、魔王城に行くまでは、持っててやるか。なんかの役に立つかもしれねぇからな。ただし、ベラベラしゃべんじゃねぇぞっ? ウザくなったら川に捨てるからなっ」
サファの言に、ドラゴンは、ひぇぇぇぇと鳴いて。そのあとは沈黙した。
よし。まぁ、いいでしょう。
で、ひとまず落ち着いて、辺りを見回したら。宝箱があって。
いわゆる、ダンジョン攻略を果たした者に与えられるご褒美アイテムみたいなものがあった。
魔剣自体が、そのようなものでもあるので。さらにもらえるのは、ありがたい。
というわけで、罠もなさそうなので、開けてみたら。
宝箱には、今までダンジョンで出た、ドロップアイテムがみっちり詰まっていた。
つまり、夜の営みグッズ?
これはぁ…全部ギルドに売ろう。
70
お気に入りに追加
901
あなたにおすすめの小説
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。
美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)
【完結】足手まといの俺が「史上最強パーティを離脱したい」と言い出したら、なぜか国の至宝と呼ばれる剣聖とその親友の大魔道士に囲い込まれる話
.mizutama.
BL
※完結しました!ありがとうございます!
「もう潮時だろう? いい加減に目を覚ませ! お前はあの二人に遊ばれているだけなんだ!」
勇敢な冒険者を目指すティト・アスティは、魔法学園の下男として働きながら、いつか難攻不落と言われる国内最大のダンジョン攻略の旅に出ることを夢見ていた。
そんなある日、魔法学園の最上級生で国の至宝とよばれる最強の魔剣士・ファビオが、その親友の魔導士・オルランドとともに、ダンジョン攻略のための旅に出るための仲間の選定を行うことになった。
皆が固唾を飲んで見守る中、どんなめぐりあわせかそこにたまたま居合わせただけのティトが、ファビオにパーティのメンバーとして指名されてしまった。
半ば強引にパーティに引き入れられ冒険の旅へ出る羽目になったティトだったが、行く先々での嘲笑や嫉妬、嫌がらせ、そして己の力のなさに絶望し、ついにはファビオとオルランドにパーティ離脱を申し出る。
――だが、ファビオとオルランドの反応は、ティトの予想だにしなかったものだった……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タイトルそのまま。ありがちな設定と展開。タイプの違う美形攻め二人×鈍感庶民受け
溺愛系を目指しています!
※注1 一対一嗜好の方には激しくオススメできない内容です!!
※注2 作者は基本的に総受け・総愛されを好む人間です。固定カプにこだわりがある方には不向きです。
作者の歪んだ嗜好そのままに書かれる物語です。ご理解の上、閲覧ください。
複数攻め・総受けが好きな人のために書きました! 同じ嗜好の人を求めています!!
腐男子(攻め)主人公の息子に転生した様なので夢の推しカプをサポートしたいと思います
たむたむみったむ
BL
前世腐男子だった記憶を持つライル(5歳)前世でハマっていた漫画の(攻め)主人公の息子に転生したのをいい事に、自分の推しカプ (攻め)主人公レイナード×悪役令息リュシアンを実現させるべく奔走する毎日。リュシアンの美しさに自分を見失ない(受け)主人公リヒトの優しさに胸を痛めながらもポンコツライルの脳筋レイナード誘導作戦は成功するのだろうか?
そしてライルの知らないところでばかり起こる熱い展開を、いつか目にする事が……できればいいな。
ほのぼのまったり進行です。
他サイトにも投稿しておりますが、こちら改めて書き直した物になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる