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番外編
番外編 ガルン隊長視点 3
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「何?一緒にいる時間が長くなれば、自制が利かなくなる心配でも?」
まったく、第二隊長の頭の中は色恋しか入ってないんだろうか?
「断ったからだ」
「は?」
「だから、告白されたが、断った。だから、見たことも聞いたことも、周りには言うなよ」
シャルが聞いてないといったが、話してないのは話す必要がないというよりも、わざわざ誰々を振ったなんて言いふらすのがどうかしてるからだ。
「な、な、な、なにしてるんですか!隊長!スベリアちゃんですよ?巫女一かわいい、いや、歴代の派遣巫女一かわいいスベリアちゃんを……!」
第二隊長が激しく取り乱している。
「そうか、彼女はかわいいのか」
「はぁ?何言ってるんですか!かわいいなんてもんじゃなくて、言葉では言い尽くせないほどの」
「そうなのか?」
本気で分からなくてシャルに確認する。第二隊長は話を大きくすることもあるからな。
「ええ、そうですね。確かに人口の多い王都でもなかなか見つけられないほどの可愛さだと思いますよ」
「そうか」
「シャル補佐官、ちょっと、何冷静に隊長に答えてるんですか!あの可愛さを分からない隊長はどうなってるんですか!」
コップに残ったエールを飲み干す。
「あー、美醜とかよくわからないんだ」
「は?え?嘘でしょう?」
「分からないというか、顔のパーツや作りよりも、俺は顔つきを見る」
シャルがふふっと笑う。こいつは、俺のことよく知っているからな。
「新入隊員が入ってきたら、その時の実力ではなく、顔つきで配置を決める」
俺の言葉に、第二隊長がポンっと手を打った。
「ああ、あれ、実力じゃなくて何を見て配属を決めてるのか、疑問だったんですよね。実力もないのに大抜擢することもあるじゃないですか?でも、必ず数年後には実力をつけて台頭してくる。人を見る目があるのか、野生の勘なのか、何なんだろうってみんなで話してたんっすよ」
シャルがくくっと笑った。
「野生の勘だって、聞いたかガルン」
「まぁ、野生の勘に近いかもしれないぞ?とにかく顔つきを見ればそいつのことがよくわかる。一言でやる気のある顔と言うことがあるだろう?」
第二隊長はこくんと頷いた。
「だが、野心のある顔と、目標のある顔と、夢のある顔は違う――。一見するとどれもやる気のある顔だが、一番成長するのは」
第二隊長があー、そういうことかとうなずいた。
「なるほど。俺からするとやる気があるな!よし!と思うところも、隊長が見れば違いがあって……具体的な目標を持つ者に期待をするということですか」
シャルがさすがに、第二隊長を任されるだけのことはあって察しが早いというような顔をする。
「で、そのスベリアちゃんの顔は気に入らなかったから断ったってことですか」
「何と言うか……欲望が表に出ている感じで……」
正直、ちょっと怖かった。
自分より10も下の娘を怖がるなんてどうかと思うが。
「隊長、そりゃかわいそうっしょ。好きな人に告白するんだから、そりゃ恋をかなえたいって欲望が出るってもんで」
うっ。
いや、なんか、違う気がしたんだけどな……。
長年の勘が……あ、野生の勘じゃないぞっ!
「そんなこと言ってたら、もう一生独身ですよ!あ、そうだ、いっそハナ巫女なんてどうですか?彼女なら隊長に欲望をむき出しにすることもないでしょう?」
「ハナは、駄目だ」
脊髄反射のように即答する。
==============
ガルン隊長視点次回で終わりです。
まったく、第二隊長の頭の中は色恋しか入ってないんだろうか?
「断ったからだ」
「は?」
「だから、告白されたが、断った。だから、見たことも聞いたことも、周りには言うなよ」
シャルが聞いてないといったが、話してないのは話す必要がないというよりも、わざわざ誰々を振ったなんて言いふらすのがどうかしてるからだ。
「な、な、な、なにしてるんですか!隊長!スベリアちゃんですよ?巫女一かわいい、いや、歴代の派遣巫女一かわいいスベリアちゃんを……!」
第二隊長が激しく取り乱している。
「そうか、彼女はかわいいのか」
「はぁ?何言ってるんですか!かわいいなんてもんじゃなくて、言葉では言い尽くせないほどの」
「そうなのか?」
本気で分からなくてシャルに確認する。第二隊長は話を大きくすることもあるからな。
「ええ、そうですね。確かに人口の多い王都でもなかなか見つけられないほどの可愛さだと思いますよ」
「そうか」
「シャル補佐官、ちょっと、何冷静に隊長に答えてるんですか!あの可愛さを分からない隊長はどうなってるんですか!」
コップに残ったエールを飲み干す。
「あー、美醜とかよくわからないんだ」
「は?え?嘘でしょう?」
「分からないというか、顔のパーツや作りよりも、俺は顔つきを見る」
シャルがふふっと笑う。こいつは、俺のことよく知っているからな。
「新入隊員が入ってきたら、その時の実力ではなく、顔つきで配置を決める」
俺の言葉に、第二隊長がポンっと手を打った。
「ああ、あれ、実力じゃなくて何を見て配属を決めてるのか、疑問だったんですよね。実力もないのに大抜擢することもあるじゃないですか?でも、必ず数年後には実力をつけて台頭してくる。人を見る目があるのか、野生の勘なのか、何なんだろうってみんなで話してたんっすよ」
シャルがくくっと笑った。
「野生の勘だって、聞いたかガルン」
「まぁ、野生の勘に近いかもしれないぞ?とにかく顔つきを見ればそいつのことがよくわかる。一言でやる気のある顔と言うことがあるだろう?」
第二隊長はこくんと頷いた。
「だが、野心のある顔と、目標のある顔と、夢のある顔は違う――。一見するとどれもやる気のある顔だが、一番成長するのは」
第二隊長があー、そういうことかとうなずいた。
「なるほど。俺からするとやる気があるな!よし!と思うところも、隊長が見れば違いがあって……具体的な目標を持つ者に期待をするということですか」
シャルがさすがに、第二隊長を任されるだけのことはあって察しが早いというような顔をする。
「で、そのスベリアちゃんの顔は気に入らなかったから断ったってことですか」
「何と言うか……欲望が表に出ている感じで……」
正直、ちょっと怖かった。
自分より10も下の娘を怖がるなんてどうかと思うが。
「隊長、そりゃかわいそうっしょ。好きな人に告白するんだから、そりゃ恋をかなえたいって欲望が出るってもんで」
うっ。
いや、なんか、違う気がしたんだけどな……。
長年の勘が……あ、野生の勘じゃないぞっ!
「そんなこと言ってたら、もう一生独身ですよ!あ、そうだ、いっそハナ巫女なんてどうですか?彼女なら隊長に欲望をむき出しにすることもないでしょう?」
「ハナは、駄目だ」
脊髄反射のように即答する。
==============
ガルン隊長視点次回で終わりです。
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