検索魔法で助けたもふもふ奴隷が伝説の冒険者だったなんて聞いてませんっ

絡まれました

　空がオレンジ色に染まりだしました。そろそろ販売開始の時間でしょうか。
　看板を設置して、呼び込みを開始しようとしたその時。
　ガツンっと、看板を蹴り倒されました。
「おい、お前ら！誰に許可を得てここで商売をしてるんだ！」
　ガラの悪そうな男が３人現れました。
　うご。絡まれてしまいました。
「勝手されると困るんだよ。ルールってもんがあるからなぁ」
　これ、ショバ代よこせとかいう系なあれでしょうか。
　ど、どうしましょう。
「おい、お前、誰に許可を取ればこんなことができるんだ？」
　ガラの悪そうな３人組の後ろに、ルクマールさんが立っています。
「はぁ、俺様に決まってるだろ！このあたりの場所は俺たちバードウイングの場所って……」
　看板を蹴り倒した男が振り返ります。
「バードウイング？へー。そうか。しっかり覚えたよ。俺の作った看板を蹴り倒した男の所属するパーティー名」
　ルクマールさんが、倒れた看板を立て直しました。
「え？ル、ル、ルクマールさんが、作った？」
　男が、明らかにうろたえだします。
「ここに、俺のサイン入ってるのが見えない？」
　そうなんですね。文字が読めないから何が書いてあるのか分からなかったけど、板の下の方にナイフでちょっと何か書いてあります。。
　ルクマールさんが、逃げようとした他の二人の襟首をつかんで、看板の文字に顔を近づけました。
「文字読めない？ほら、ここ、俺が作った看板。な？で、何？ここで商売するのに誰の許可が必要だったんだっけ？」
「ひー、す、すいません、あの、そのっ、まさか、灼熊の店だとは……」
　ん？何か勘違いしてますよ。この店はダタズさんの店なんですけど。
「何のもめごとかしら？ダンジョンやその周辺の管理は、私たちギルドの管轄です。問題があれば私たちが処理しますけれど」
　ほう、出張買取所のフィーネさんです。ギルドからの出張だったんですね。
「いえ、あの……」
「なぁ、店出すのに許可って必要か？こいつら、ここは俺らの場所だからとか言ってたが？」
「いいえ。許可は必要ありません。問題があるような店であれば出て行ってもらうようには言いますが、美味しい食事を出す店だと調査済みなので何も問題ありません……むしろ、問題なのは……」
　フィーネさんが男たちを見ました。
「ひぃー、すいません、その、あの、俺たち、ずっとこのあたりで野営してたんで、なんか場所を取られたような気持ちになって……」
「わ、悪気は、悪気はなかったんです」
　男たちが後ずさります。
　ルクマールさん、ぽんっと手を打ちました。
「そうそう、勘違いしてるみたいだけど、ここは俺の店じゃないから、あっち見てみな」
　ルクマールさんに指さされた方向を３人が同時に見ます。
　ダタズさんと奥さんとバーヌが下ごしらえをしています。
　バーヌがこちらを睨んでいます。
「金の……」
　一人が腰を抜かしました。
　他の２人がガタガタと震えだします。