24 / 105
バーヌ視点「拾われました」
しおりを挟む
人に寄っては残虐だと感じる描写が含まれておりますので、閲覧にお気をつけください。
あ、執筆が前後しちゃって、まだ「バーヌ」って出てきませんが、犬じゃなくて破棄奴隷のけも耳君のことです。スイマセンー。うごごご、ごごご。
なお、バーヌ(破棄奴隷)視点となりますので、読み飛ばしても本編に影響はありませんが、バーヌ視点をご覧いただいたほうが、ニヨニヨできるかと思います。
ただし、奴隷苦手な人、それからヤンデレやばい人は、回避。すたたたっ。
=====================
一番初めに失ったのは、耳だった。音が籠って聞こえるようになった。
次に、栄養状態が悪いせいか単に病のせいなのか、目が見えにくくなった。
ああ、食べ物とは呼べないものを口にするよううになって味覚も壊れただろうか。
皮膚もあちこちひどい状態でか痒さも痛みも痺れも何も感じなくなった。
不思議なことに、最後まで残ったのは嗅覚だ。
もともと僕の種族は鼻がいい。
他の感覚が鈍くなっていくにしたがって、逆に嗅覚は鋭くなっていった。
病が進行し、ついには歩行すら困難になったとき、ご主人様……とも呼びたくもない男に破棄された。
どこの街とも分からない。倒れた瞬間、憎しみのこもった感情を向けられそのまま放置されてしまった。
もう、動けない。
このまま死ぬのだろう。
道端に体を丸めて小さくなる。
邪魔だろう、道の真ん中。
負の感情が、臭いとなって感じ取れる。
道の端に寄るだけの力も残っていない。ああ、命尽きた後、誰かがギルドに死体処理を頼んでくれるだろうか。
ギルドに所属している人間であれば、誰かが僕の持ち物から、昔の仲間に連絡が行くかもしれない。
いいや、連絡などいかないほうがいいだろうか。
ああ、臭い。
人の感情が、これほど臭いなんて。
感情が臭いとして感じ取れるなんて……早く嗅覚も壊れてしまえばいいのに。
汚い、邪魔、見苦しい、見たくない……蔑み、憐れみ、嘲り……道に丸まり、死を待つだけの僕に向けられる感情のなんと臭いこと。
ふわりと、大人の女性の匂いが近づいてきた。
なんだ?なぜ、僕に近づいてくる?と、思った瞬間、ドンっと上に何かが乗る衝撃と、焦った感情の匂いがした。
目でも見えない女性だろうか?僕に気が付かずに躓いてしまった?
ごめんなさい、大丈夫ですかと……、心配そうな臭いが届く。
ああ、こんな僕に、誰もが目を背けて遠巻きにする僕に、まだ人としての感情を向けてくれる人がいるなんて。
……もう一つ、腕の立つ冒険者が近づいてきた。
匂いで分かる。
冒険者の匂いはいやというほど嗅いでいたから。
彼もまた、僕をさげすむ感情をにおわせない。ただ、死を悼む感情だろうか。手に、何かを持たされた。
二人が、立ち去るのが臭いで分かる。
このまますぐに呼吸が止まらないだろうか。
人生最後に関わったのがあの二人であれば、そう悪くない終わり方だ。
それからすぐに死は訪れるわけもなく、誰かがけしかけた獣に指をかじられたようだ。面白がる感情の匂いを感じた。
必死に、あの女性の匂いを思い出そうとする。心安らかに死にたい。
思い出そうとすると、女性の匂いを強く感じることができた。
いや、違う、実際に近くにあの女性がいる。近づいてくる。
心配、緊張……張り詰めた感情が匂いとなって伝わる。ああ、なんだろう。彼女の匂い意外に、怒り、嘲り、揶揄い、たくさんの臭いにおいもする。
ふわりと、彼女の香りが強くなる。
ああ、すぐ近くに来てくれた。
きっと、僕のすぐ横に彼女はいる。
いい匂いだ。
少し緊張が混じっているけれど、僕のことを心配してくれている。優しくて暖かな匂い。
口に、何かが押し当てられる。ああ、この匂いは薬草。ポーションかな……。
無駄だよ。
僕の侵された病は、ポーションでは治らない。高価の高いポーションをいくつも試したけれど……。
それなりにお金を稼げる冒険者だったから、あらゆるレアポーションも試したけれど……。
無駄なんだ。だけど、彼女の香りが。
これを僕が飲んだら、少しは喜びの香りを発してくれるだろうか。
無駄だと知れば悲しみの香りに変化してしまうかもしれない。
だけれど、最後に少しでも誰かを喜ばせることができるなら……。
彼女の嬉しさの香りに包まれて死ねるのならば……。
ポーションをごくごくと飲み干した。
=========
はいそうです。
バーヌはユーキのこと、初めから大人の女性だって知ってます。
男の子だなんてこれっぽっちも思ってません(≧▽≦)
臭いで分かりますよ。そりゃぁ……。
あ、執筆が前後しちゃって、まだ「バーヌ」って出てきませんが、犬じゃなくて破棄奴隷のけも耳君のことです。スイマセンー。うごごご、ごごご。
なお、バーヌ(破棄奴隷)視点となりますので、読み飛ばしても本編に影響はありませんが、バーヌ視点をご覧いただいたほうが、ニヨニヨできるかと思います。
ただし、奴隷苦手な人、それからヤンデレやばい人は、回避。すたたたっ。
=====================
一番初めに失ったのは、耳だった。音が籠って聞こえるようになった。
次に、栄養状態が悪いせいか単に病のせいなのか、目が見えにくくなった。
ああ、食べ物とは呼べないものを口にするよううになって味覚も壊れただろうか。
皮膚もあちこちひどい状態でか痒さも痛みも痺れも何も感じなくなった。
不思議なことに、最後まで残ったのは嗅覚だ。
もともと僕の種族は鼻がいい。
他の感覚が鈍くなっていくにしたがって、逆に嗅覚は鋭くなっていった。
病が進行し、ついには歩行すら困難になったとき、ご主人様……とも呼びたくもない男に破棄された。
どこの街とも分からない。倒れた瞬間、憎しみのこもった感情を向けられそのまま放置されてしまった。
もう、動けない。
このまま死ぬのだろう。
道端に体を丸めて小さくなる。
邪魔だろう、道の真ん中。
負の感情が、臭いとなって感じ取れる。
道の端に寄るだけの力も残っていない。ああ、命尽きた後、誰かがギルドに死体処理を頼んでくれるだろうか。
ギルドに所属している人間であれば、誰かが僕の持ち物から、昔の仲間に連絡が行くかもしれない。
いいや、連絡などいかないほうがいいだろうか。
ああ、臭い。
人の感情が、これほど臭いなんて。
感情が臭いとして感じ取れるなんて……早く嗅覚も壊れてしまえばいいのに。
汚い、邪魔、見苦しい、見たくない……蔑み、憐れみ、嘲り……道に丸まり、死を待つだけの僕に向けられる感情のなんと臭いこと。
ふわりと、大人の女性の匂いが近づいてきた。
なんだ?なぜ、僕に近づいてくる?と、思った瞬間、ドンっと上に何かが乗る衝撃と、焦った感情の匂いがした。
目でも見えない女性だろうか?僕に気が付かずに躓いてしまった?
ごめんなさい、大丈夫ですかと……、心配そうな臭いが届く。
ああ、こんな僕に、誰もが目を背けて遠巻きにする僕に、まだ人としての感情を向けてくれる人がいるなんて。
……もう一つ、腕の立つ冒険者が近づいてきた。
匂いで分かる。
冒険者の匂いはいやというほど嗅いでいたから。
彼もまた、僕をさげすむ感情をにおわせない。ただ、死を悼む感情だろうか。手に、何かを持たされた。
二人が、立ち去るのが臭いで分かる。
このまますぐに呼吸が止まらないだろうか。
人生最後に関わったのがあの二人であれば、そう悪くない終わり方だ。
それからすぐに死は訪れるわけもなく、誰かがけしかけた獣に指をかじられたようだ。面白がる感情の匂いを感じた。
必死に、あの女性の匂いを思い出そうとする。心安らかに死にたい。
思い出そうとすると、女性の匂いを強く感じることができた。
いや、違う、実際に近くにあの女性がいる。近づいてくる。
心配、緊張……張り詰めた感情が匂いとなって伝わる。ああ、なんだろう。彼女の匂い意外に、怒り、嘲り、揶揄い、たくさんの臭いにおいもする。
ふわりと、彼女の香りが強くなる。
ああ、すぐ近くに来てくれた。
きっと、僕のすぐ横に彼女はいる。
いい匂いだ。
少し緊張が混じっているけれど、僕のことを心配してくれている。優しくて暖かな匂い。
口に、何かが押し当てられる。ああ、この匂いは薬草。ポーションかな……。
無駄だよ。
僕の侵された病は、ポーションでは治らない。高価の高いポーションをいくつも試したけれど……。
それなりにお金を稼げる冒険者だったから、あらゆるレアポーションも試したけれど……。
無駄なんだ。だけど、彼女の香りが。
これを僕が飲んだら、少しは喜びの香りを発してくれるだろうか。
無駄だと知れば悲しみの香りに変化してしまうかもしれない。
だけれど、最後に少しでも誰かを喜ばせることができるなら……。
彼女の嬉しさの香りに包まれて死ねるのならば……。
ポーションをごくごくと飲み干した。
=========
はいそうです。
バーヌはユーキのこと、初めから大人の女性だって知ってます。
男の子だなんてこれっぽっちも思ってません(≧▽≦)
臭いで分かりますよ。そりゃぁ……。
6
お気に入りに追加
2,852
あなたにおすすめの小説
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
チートな王太子は身分をひた隠す〜聖獣の契約者である王子のお忍び冒険者生活〜
はいだ ゆを
ファンタジー
精霊や聖獣が存在し、魔法が主な動力であるこの世界。
とある国のエルフの血を引く王族であるユリウスは王宮を飛び出し、お忍び冒険者生活を送っていた。その生活に付き合っているのは、深紅の英雄と呼ばれる元近衛騎士団団長と、元孤児の騎士。ユリウスと契約している真っ白でふわふわな聖獣、天虎だった。
ある日、いつも通り冒険者として生活している中で、ユリウスたちは魔物たちの異変に気づいた。それは人為的なものの可能性があり――
ユリウスが、冒険者と王族の仮面を使い分け、大切な民や国を守るため奮闘する物語。
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる