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もふもふしたい……もふもふしたいです、もふも……我慢です

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「では、夜のメニューはモモシシの焼いた肉と、肉をはさんだパンと、モモシシと野菜たっぷりシチューにしましょう。さっそく必要な材料を街へ戻って仕入れてきますが……」
 ダタズさんがちらりとモモシシを見た。
「肉の下処理はその間に僕がしておきますよ」
 バーヌがトンっと自分の胸を叩きました。
 ダタズさんが街に向かって歩き出し、バーヌがモモシシの解体作業を始めました。
 私は何をしたらいいのでしょう?そうそう、さっき自分で言っていたものをいろいろと準備しましょう。看板とメニューと……あ、文字が書けません。
「おう、坊主、うまかったぞ。夜はあれ食べさせてくれるんだよな?」
 と、肉だけ大量に買っていった冒険者さんに話かけられました。
 ムキムキで、いかにも「肉命」っていうついでに「筋肉命」っていう感じの人です。
 良く焼けた肌に、濃い茶色の瞳と髪の、大きな体だけど優しそうなくりっとした目をしたイケメン青年冒険者です。
「はい。あの、文字書けますか?」
「ん?ああ、そりゃぁ、うまくはないが、冒険者だからな。一応依頼書を読んだり、依頼達成報告書を書いたりするときに必要な文字は覚えてるぞ?」
 子供だと思われていることを利用して、脈絡なくどんどん話をしていきます。
「夜のメニュー表を書きたいんですけど、ボクは文字が書けなくて手伝ってもらえませんか?あの、お礼に半額券を差し上げますので。夜に並ばずに半額で買える券なんですが……」
 と言ったら、冒険者さんの目がきらーんと光りました。かわいい瞳が少しだけ怖くなりました。
「手伝うぜ!なんだ、何を書けばいいんだ?」
「えっと、こう板と棒を組み合わせて支えあうような形で自立する看板を作って、並んでいてもその看板を見れば何がいくらで売っているか分かるようなものを作りたいんです」
 せっかくなので文字だけじゃなくて、看板本体のこともこそっと口にしてみた。
「なるほど、ちょっと待ってな!」
 冒険者さんがどこかから腕くらいの太さの木を何本か持ってきました。薪っぽいように見えます。それに剣を当ててスパーンスパーンと切って、どこから調達してきたのか別の木の棒に釘で打ち付けて板を作り、その裏に斜めに溝を掘って、そこに長い木の棒が引っかかるようにして、巨大なスマホホルダーみたいなものが出来上がりました。
 ああ、目が釘付けです。
 釘打ちしてる冒険者さんにくぎ付けです。
 何旨い事言っているんでしょう。だって、背の高い冒険者さんがかがんで作業をし始めたら……。
 見えなかった頭の上に、ひょこんと……ひょこんと……。
 小さなかわいいお耳が!熊っぽいかわいいお耳が!
 ふ、ふわわわわっ。
 ふわわわわわわ。
 ぴょこぴょこぴょんぴょこっ。
「なんだ?そんなにじーっと見て」
 ぎくりっ。
 耳に触りたいとか、頭なでなでしたいとか、もふもふもふもふもふとか、もももふふふふとか、思ってないですよ……。えっと、えーっと。


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大きな体に小さなお耳。ギャップ萌えですねぇ。それがぴこぴこ動くんですから……。
ぐふふ。
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