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需用増加

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「あはは、そうだったんだ」
 大人しく、苦難に耐えていると思ってたハナだけど、ダーナやマチルダよりよほどたくましく、強かだったんだ。
「リョウナも、適当に提出してポーションは売ったほうがいいわよ」
「うん、そうする。ありがとう」
 ポーション屋の中庭に戻ると、まだダーナとマチルダは戻っていなかった。ほっとして、板の上に寝ころび、睡眠をとる。
 あ、そういえば、今日は月の精現れなかったなぁ。
 でもいいことを聞いたな。ポーションなら品質がとかで言いがかりつけられるかもしれないけれど、お金ならば借金の金額分払って贋金とか言われたりしないよね。

 次の日。いつものように固いパンをかじっているとマチルダがパンとリンゴ、それから干し肉を差し出してきた。
「え?」
「昨日、ポーションを渡して買ってきてくれって言ったでしょ?何よ、その顔。私がもらうだけもらって買ってこないとでも思ったの?」
 マチルダがちょっと怒ったような顔をする。
「ううん、違う。ありがとう」
 すっかり忘れていた。パンとポーションだけの食事にも慣れてきたのか、夜の作業中何本もポーションを飲んでいるせいなのか、空腹感をそれほど感じなくなっていたから。
「パンとリンゴだけじゃなくて干し肉も?いいの?」
「リョウナの作ったポーション、ずいぶん喜ばれたからね」
 そうなんだ。
 朝ごはんを食べて作業を開始してしばらくするとミミリアが乱暴にドアを開いて入ってきた。
「ちょっと、追加でポーション頂戴」
 今まで店長が1日の終わりに回収に来ていたけれど、今までも途中で売り子が補充のために取りに来ることがあるのかな?
「ほら、リョウナ、さっさと渡しな!」
 ダーナが私が作ったポーションをいくつか手にとってミミリアに渡した。
「あ、その5本はノルマに数えてもらえるんですか?」
 ダーナがふっと笑った。
「そりゃ、もちろんちゃんと報告してやるよ」
「だったらいいんですけれど、もしちゃんと報告してくださらないなら、こちらにも考えがあります」
 にっとダーナに笑って返す。
 昨日、ハナとマチルダにポーションを渡してダーナに渡さなかったことを思い出したのか、私がおとなしくしていない人間だとダーナは理解しているようだ。
「ミミリア、店長に報告しなよ、私らノルマが達成できなきゃ借金抱えるんだからね!」
「分かってるっ、でもできたらすぐに私に渡してよっ!いくらあっても足りないんだからっ!」
「なんだい?景気がいいね、太客でもついたか?」
 ミミリアがあきれたように声を出す。
「知らないの?月に橋が架かった話」
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