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「でも」
「でも、なあに?」
「皆、光魔法は……明るくするだけで何の役にも立たないって……」
「しかも、昼間のように明るくできてもちょっとの時間だし……あってもなくてもどっちだってかまわないって」
 ふむふむ。
「っていうことは、明るくするだけじゃなければ役立たずって言われないのね?昼間のように明るくする時間を長くできれば役立たずって言われないのね?」」
 まずはLEDで長く明るくすることはできるわけだから、役立たずという理由が一つ減る。
 それから、もう一つは明るくするだけっていう言葉ね。
 どう伝えたらいいのかなぁ。光ができることってたくさんある。灯台も夜間飛行する飛行機も車のヘッドライトも無いから言ってもだめよね。イルミネーションなんてあってもなくてもいいものだ。
 もっと身近な……光で、この世界でも当たり前にあって、すでに役に立っているもの……。暗いところを照らす以外の……。月の光や太陽の光……の明るい以外の……。何があったかなぁ……。
 もぐもぐとパンを食べながら考える。さっき、口に物を入れながら話をしてはいけないと言っておいてよかった。考える時間ができた。
 あ。
 ごくりと飲み込んだとき、思い出した!
「あのね、皆が食べてるパンの材料は知ってる?」
「知ってる!麦!」
 うんと頷く。
「じゃあ、麦を育てるには何が必要か分かる?」
「土と水と種だ!」
 打てば響くように答えが帰って来る。元気でいい子たちだ。光属性というだけで冷遇されていいわけがない。
「他にも必要なんだけど、分かる?」
 子供たちが考え始めた。それから一人の子が手を上げた。
「あと、草むしりして、魔物から守るんだ!世話が必要なんだろう!」
 世話は確かに必要だけど……魔物から守るっていうのはこの世界、いえ、この領地ならではの答えにちょっとびっくりする。
 やっぱり子供たちにも魔物は身近な存在なのだろう。孤児になったのだって、もしかしたら魔物関係の理由なのかも
「そうね、確かに。でも、まだ一つ大切なものを忘れてる」
 えーなんだろうって、子供たちが顔を合わせながら考えている。
「分かりました、気温ですね?冬は麦は育てられない!」
 いつの間にか追加の料理を買って踊って来たカイが会話に参加した。
「おお、兄ちゃんすごい!寒いと育たないもんな!」
 うん。確かにそうだった。気温もいるんだ。雪深い土地……なんだっけか。……こりゃ一本取られたな。
 だけど、私の求めている答えとは違うのだ。カイよ……。
「あのね、土が必要なのは、土から栄養を取るためなの。でも栄養のある水をあげれば実は土は必要じゃない」
「うそだー!」
 水耕栽培とかあるから。嘘じゃないけど、土に植えるのが当たり前で、肥料の概念も少ないと信じられないよね。
「土よりももっと大切な物……水と同じくらい大切な物をみんな忘れてるわ」
「え~そんなのあるの?」



==========
皆さま、お分かりですね!
そう、二酸化炭素!って、そっちじゃない!
('◇')ゞ
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