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「くふふっ、ふふっ」
 私、幸せじゃん。働かなくても食事食べられるし。あとは推しがいれば最高だけど。それはそのうちってことで。
 人って知らないことを知ると情報による刺激でドーパミンが出て気持ちよくなるらしい。情報中毒って言葉もあるくらい。
 魔法なんて新しい情報、脳が喜んで仕方がない!
 ……さ、実験の続きでもしますか。
 光魔法……魔力が電池みたいな役割をするってことは……。
 電気で光ってる感じだと思えばいいのかな?
 ならば、消費電力が少ないLEDみたいな光の玉ができれば、長持ちする?
 魔力小で結果が早くわかるように明るい小さな光の玉を出し、次にLEDを思い浮かべながら同じような魔力量と明るさの光の玉を出した。
 どっちが長持ちするかなぁ。というか、ちゃんとLEDになってるのかな?
 確かLEDって光が直線的に進んで拡散力が弱いとか。だから小さな光のもとを集めた感じで作られてるんだよね?いや、もしかしたらピンポン玉のような形の光の玉の中にLEDの小さな光が詰まってるとか?
 うーん、わからん。とりあえず
 首を傾げたところで、ノックの音。
「奥様、起きていらっしゃったのですね」
 マーサだ。
 ……マーサも、私の世話が面倒だとか、旦那様がかわいそうとか思ってるのかなぁ?と一瞬思ったけれど……これ、一番だめな思考だよね。
「おはよう。お水をもらえる?」
「はい」
 ニコリと笑って、マーサはコップに水魔法で美味しい水を出してくれる。
 毒を入れられなきゃ問題ない。いちいち飲食店の店員やコンビニのレジ係が私を好きかどうかとか考えながら生活したりしないもんね。
 彼女たちは仕事。仕事を全うしてくれる。プロとして。何も問題はない。仲良くなれたら嬉しいけど。
「美味しい。ありがとう」
 コップを返すと、マーサが嬉しそうに笑った。
「奥様、旦那さまからお手紙が届いております」
 マーサはポケットから手紙を取り出して私に渡した。
「えっと……」
 貴族……仮にも公爵であれば、手紙ってもう少しこう、綺麗な封筒に入れて、ちゃんと印とかするものじゃないかな?
 4つに折りたたまれただけの紙を手渡された。
 旦那様にも……歓迎されてないってことかな?
 開いて見ると、とても乱暴な字で書かれている。
 紙にペンが引っかかったのかところどころダマになっていたりインクが飛び散ったりしているし、変な染みまでついてる。
 嫌がらせ?
 読みにくい文字を目で追っていく。
 えーっと……。
「君を愛することはない」
 思わず声に出して読んでしまい、それを聞いたマーサが驚いた顔をしている。
 しまった。
 私よりも驚いている。
『この結婚は、王命で断ることができなかったものだ』
 ですね。私の方もそうですよ……たぶん。親が勝手に決めたんだけど。
『君には申し訳ない』
 ん?
 私に申し訳ない?
『3年耐えてほしい』
 3年?
 耐える?
 あ……。
 3年白い結婚であれば貴族と言えども離婚ができるってそんなルールがあったっけ。そうする気なの?
 アルフレッド様は今20歳。3年後離婚してからも十分世継ぎを世残せる年齢だよね。

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