118 / 159
116 れっつだーんすをだーんしと
しおりを挟む
「二人が勝手におどりだしただけで、今、みんな休憩中なんだけどね?」
ちらりと女性徒を見れば、ああ、確かに。
忘れてた。……ってことは、なんだ。ほかのダンス経験者たち誰も踊ってないってことはだ……。
私と、マージだけが踊ってたってことか。
「って、フレッドも休憩すればいいだろ」
「時間がもったいないですし、それに、リザークはお兄様たちのダンスを見て目が肥えているんでしょう?何かアドバイスしてほしいんだけど」
……わかったよ。
「仕方がないな。じゃぁ、僕が相手するよ」
ふぅー。
早急に、男子パートを覚えないと。
「ん?マージと踊っていた時とは足運びが違うみたいだね?」
「ああ、マージはダイナミックな踊りをするみたいだし、それに合わせてボクも動きを派手にした。ちょっと優雅さに欠けるけれど、ああいう踊りも見ているのは楽しいだろ?」
フレッドが感心したようにつぶやく。
「なるほど。では、僕と踊る時は」
「王道。より優雅に、滑るように滑らかに」
フレッドがニッと笑う。
くるりとフレッドに回されると、パシッと私の手を取った人物がいた。
「ずるいですわ。私はまだ誰とも踊っていませんのよ。リザーク、次は私と踊ってください」
そうでした。7組とあぶれた女子1人で、サーシャはまだ一度も踊ってなかったんだ。
「あ、だったらフレッドと踊るといいよ。さすがにダンスも完ぺきだ。ボクは全然踊れないから」
サーシャは私の手を取ったままくるりと踊り始める。
「リザークは、マージとフレッドとは踊れても私とは踊れないっていうんですか?友達なのに……」
いやいや、まてまて。
だから、男パートは苦手なんだって。
「いや、あの、足を踏んだらごめんね……」
だからといって、女性からの申し出を断るのは男として最低なので、踊りますけど。
本当に苦手なんだよ。
「あ、ごめん」
「大丈夫です」
踏んだ。
見事に踏んだ。
マジで申し訳なくて、全然男パートできなくて、ぎくしゃくで……。
でもって、サーシャもずいぶんぎくしゃくした動きをしている。
そういえば、手を差し伸べた礼の取り方とかも、女性として扱われたことが少ないから……と、慣れてない動きだった。
ダンスも、あまり踊ったことがないのかな?
……だとすると、フレッドくらい上手な人間相手なら、ちゃんとリードしてくれるだろうに。
ごめんね、サーシャ。……せめて、女子パートならこのリザベーナに任せときな!
母様の厳しいレッスンにどれだけつき合わされたことか……。いや、だって……。せっかく女の子を生んだのに……うううってさ、口に出して言わなくても、剣を振っている姿を見ると悲しそうな顔をするんだよ……。
そりゃ、申し訳ない気持ちにもなって……。
「お母さま、ダンスを教えてくださいませ」
とか、言っちゃうでしょう。言っちゃうよね?
ああああ、なんだよ、飛んで火にいる夏の虫な私じゃないか……。
とかなんか考えて踊っていたら、いつの間にか次の曲に代わっていた。
おっと。……ん?
あれ?
========
フレッド、おまえ……。
そして、サーシャ、君ねぇ……。
ちらりと女性徒を見れば、ああ、確かに。
忘れてた。……ってことは、なんだ。ほかのダンス経験者たち誰も踊ってないってことはだ……。
私と、マージだけが踊ってたってことか。
「って、フレッドも休憩すればいいだろ」
「時間がもったいないですし、それに、リザークはお兄様たちのダンスを見て目が肥えているんでしょう?何かアドバイスしてほしいんだけど」
……わかったよ。
「仕方がないな。じゃぁ、僕が相手するよ」
ふぅー。
早急に、男子パートを覚えないと。
「ん?マージと踊っていた時とは足運びが違うみたいだね?」
「ああ、マージはダイナミックな踊りをするみたいだし、それに合わせてボクも動きを派手にした。ちょっと優雅さに欠けるけれど、ああいう踊りも見ているのは楽しいだろ?」
フレッドが感心したようにつぶやく。
「なるほど。では、僕と踊る時は」
「王道。より優雅に、滑るように滑らかに」
フレッドがニッと笑う。
くるりとフレッドに回されると、パシッと私の手を取った人物がいた。
「ずるいですわ。私はまだ誰とも踊っていませんのよ。リザーク、次は私と踊ってください」
そうでした。7組とあぶれた女子1人で、サーシャはまだ一度も踊ってなかったんだ。
「あ、だったらフレッドと踊るといいよ。さすがにダンスも完ぺきだ。ボクは全然踊れないから」
サーシャは私の手を取ったままくるりと踊り始める。
「リザークは、マージとフレッドとは踊れても私とは踊れないっていうんですか?友達なのに……」
いやいや、まてまて。
だから、男パートは苦手なんだって。
「いや、あの、足を踏んだらごめんね……」
だからといって、女性からの申し出を断るのは男として最低なので、踊りますけど。
本当に苦手なんだよ。
「あ、ごめん」
「大丈夫です」
踏んだ。
見事に踏んだ。
マジで申し訳なくて、全然男パートできなくて、ぎくしゃくで……。
でもって、サーシャもずいぶんぎくしゃくした動きをしている。
そういえば、手を差し伸べた礼の取り方とかも、女性として扱われたことが少ないから……と、慣れてない動きだった。
ダンスも、あまり踊ったことがないのかな?
……だとすると、フレッドくらい上手な人間相手なら、ちゃんとリードしてくれるだろうに。
ごめんね、サーシャ。……せめて、女子パートならこのリザベーナに任せときな!
母様の厳しいレッスンにどれだけつき合わされたことか……。いや、だって……。せっかく女の子を生んだのに……うううってさ、口に出して言わなくても、剣を振っている姿を見ると悲しそうな顔をするんだよ……。
そりゃ、申し訳ない気持ちにもなって……。
「お母さま、ダンスを教えてくださいませ」
とか、言っちゃうでしょう。言っちゃうよね?
ああああ、なんだよ、飛んで火にいる夏の虫な私じゃないか……。
とかなんか考えて踊っていたら、いつの間にか次の曲に代わっていた。
おっと。……ん?
あれ?
========
フレッド、おまえ……。
そして、サーシャ、君ねぇ……。
0
お気に入りに追加
3,172
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?
tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」
「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」
子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
えっ、これってバッドエンドですか!?
黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。
卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。
あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!?
しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・?
よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。
おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。
貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。
そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい?
あんまり内容覚えてないけど…
悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった!
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドを堪能してくださいませ?
********************
初投稿です。
転生侍女シリーズ第一弾。
短編全4話で、投稿予約済みです。
悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!
神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう.......
だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!?
全8話完結 完結保証!!
悪役令嬢はどうしてこうなったと唸る
黒木メイ
恋愛
私の婚約者は乙女ゲームの攻略対象でした。 ヒロインはどうやら、逆ハー狙いのよう。 でも、キースの初めての初恋と友情を邪魔する気もない。 キースが幸せになるならと思ってさっさと婚約破棄して退場したのに……どうしてこうなったのかしら。
※同様の内容をカクヨムやなろうでも掲載しています。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる