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97 不正の有無
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「ミルガレットさん、97点、ジョン君、90点、」
それからも次々に採点しては点数を読み上げていく。
「――君、86点」
「やった!最後10問くらい時間がなかったけど、80点以上取れた!やった!やった!」
ん?教師陣ですか?もう白目ですよ。白目。
クラスの半分くらいまでは、信じられないだの、何か不正をしたんじゃないのかとか、クラス分けテストで手を抜いていたんだとか、いろいろごちゃごちゃ言ってたけど。それ以降は、ただただ、もう何も言えなくなっていた。
「さて」
すべての採点を終え、呪われし裁判官が姿勢を正した。
「不正はなかったと、判断する。異論がある者はいるか?」
やったぁと、Fクラスは小さく喜び合う。
「とすると、このトランプで不正を働いたという疑いは小さくなるな。むしろ、このトランプで不正を働いたとFクラスを陥れようとした誰かが盗んだ疑いが深まるわけだが……」
教師陣に冷えたざわめきが走る。
「そ、そのトランプを持ってきたのはあいつです、あいつが犯人に違いない」
「そんな、初めにトランプを見て不正を働いたと言い出したのはセルシーオ先生じゃないですか」
「いや、主任もそうだと認めて」
ああ。責任の擦り付け合い。
「あっれー?よく見たら、これ、王家のトランプに似せて作った偽物じゃないかな?」
と、突然フレッドが声を上げた。
トランプをじーっと見て、ボクの目の前に持ってきた。
「ほら、ここ、よく見ると違うよねぇ?おみやげ物売り場とかで売ってるやつじゃない?」
は?いや違うと思うけどな。
しっかり王家の印だ。そもそも、似せて作るにしても、似せすぎたら罰せられるじゃん。こんなそっくりなものは……
「って」
つねった。フレッドが手をつねってきたぁ!
そういうことか。わかったよ。もうっ。
「あー、たしかに、これは、よく似てるけど、土産物のやつじゃないかなぁ?王家の紋章って、もっとかっこいいよねぇ。こんなみょうちきりんじゃな」
痛い、またつねりやがった。くそ、フレッド、この貸しはいつか返してもらうからな、あ、うん、死亡フラグ立った時にでも、あの時協力してやっただろ、だから助けてっていうからな!恩に着せるからなぁーーーーっ!覚えてろよっ!覚えててくれるよね?覚えててよっ!
「そうか?ならば裁判は無効だな」
呪われし裁判官が立ち上がる。
「待ってください、裁判官、何の証拠もないのに生徒の不正を疑い、いや、不正だと決めつけ、テストの点数を操作した罪はどうお考えになるのか聞かせてください!」
あ、挙手忘れた。……ちらりと補佐官見ると無言。せ、セーフ。
「うむ……難しい問題ではあるな。不正を怪しいだけではと見逃してしまっても問題になる。かといって、不正をでっちあげるのは問題だ。今回の件は……王家の宝盗難事件ということで私が動くことができたが、いつもそういうわけにはいかないだろう。学校側で、教師からも生徒からも距離を保てる審議組織があればいいのだが……そうだなぁ、一度法務省として検討してみよう」
おお!やった。すぐに実現はできなくても、後々そのような組織ができるということだけでも教師たちの行動に制限がかかるはず。
数学科の教員たちを見る。
……かかるといいなぁ……。
それからも次々に採点しては点数を読み上げていく。
「――君、86点」
「やった!最後10問くらい時間がなかったけど、80点以上取れた!やった!やった!」
ん?教師陣ですか?もう白目ですよ。白目。
クラスの半分くらいまでは、信じられないだの、何か不正をしたんじゃないのかとか、クラス分けテストで手を抜いていたんだとか、いろいろごちゃごちゃ言ってたけど。それ以降は、ただただ、もう何も言えなくなっていた。
「さて」
すべての採点を終え、呪われし裁判官が姿勢を正した。
「不正はなかったと、判断する。異論がある者はいるか?」
やったぁと、Fクラスは小さく喜び合う。
「とすると、このトランプで不正を働いたという疑いは小さくなるな。むしろ、このトランプで不正を働いたとFクラスを陥れようとした誰かが盗んだ疑いが深まるわけだが……」
教師陣に冷えたざわめきが走る。
「そ、そのトランプを持ってきたのはあいつです、あいつが犯人に違いない」
「そんな、初めにトランプを見て不正を働いたと言い出したのはセルシーオ先生じゃないですか」
「いや、主任もそうだと認めて」
ああ。責任の擦り付け合い。
「あっれー?よく見たら、これ、王家のトランプに似せて作った偽物じゃないかな?」
と、突然フレッドが声を上げた。
トランプをじーっと見て、ボクの目の前に持ってきた。
「ほら、ここ、よく見ると違うよねぇ?おみやげ物売り場とかで売ってるやつじゃない?」
は?いや違うと思うけどな。
しっかり王家の印だ。そもそも、似せて作るにしても、似せすぎたら罰せられるじゃん。こんなそっくりなものは……
「って」
つねった。フレッドが手をつねってきたぁ!
そういうことか。わかったよ。もうっ。
「あー、たしかに、これは、よく似てるけど、土産物のやつじゃないかなぁ?王家の紋章って、もっとかっこいいよねぇ。こんなみょうちきりんじゃな」
痛い、またつねりやがった。くそ、フレッド、この貸しはいつか返してもらうからな、あ、うん、死亡フラグ立った時にでも、あの時協力してやっただろ、だから助けてっていうからな!恩に着せるからなぁーーーーっ!覚えてろよっ!覚えててくれるよね?覚えててよっ!
「そうか?ならば裁判は無効だな」
呪われし裁判官が立ち上がる。
「待ってください、裁判官、何の証拠もないのに生徒の不正を疑い、いや、不正だと決めつけ、テストの点数を操作した罪はどうお考えになるのか聞かせてください!」
あ、挙手忘れた。……ちらりと補佐官見ると無言。せ、セーフ。
「うむ……難しい問題ではあるな。不正を怪しいだけではと見逃してしまっても問題になる。かといって、不正をでっちあげるのは問題だ。今回の件は……王家の宝盗難事件ということで私が動くことができたが、いつもそういうわけにはいかないだろう。学校側で、教師からも生徒からも距離を保てる審議組織があればいいのだが……そうだなぁ、一度法務省として検討してみよう」
おお!やった。すぐに実現はできなくても、後々そのような組織ができるということだけでも教師たちの行動に制限がかかるはず。
数学科の教員たちを見る。
……かかるといいなぁ……。
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