上 下
78 / 159

77 成果が出だしたよ。ふふふ

しおりを挟む
 ソフィア先生が教頭を睨みつける。
「はっ。じゃぁ、ソフィア先生の言うことを信じて差し上げるとしましょう?卒業するときは、このFクラスが学年で1位になると言っていましたね?」
 え?信じる?
「きっとできますよ。できるでしょう」
 ニマニマと教頭が笑う。
 ぞわっと背筋が寒くなる。何だろう、嫌な悪寒。あ、予感と悪寒をかけてみた。
「もし、できなかったら、先生の指導力不足ということになりますからねぇ?先生をやめて私と結婚してもらいましょうか?」
 なっ!
 うわー。教頭と結婚なんて冗談じゃない。
「まさか、嫌だとは言いませんよね?だって、ソフィア先生は生徒たちは金の卵だというんでしょう?みんな能力があり、必ず1位になれると信じているんでしょう?」
 なんてことだ!
 生徒を前に、教頭への結婚を断るということは、私たちが卒業時に1位が取れないと思っていると言うようなものだ。
 ずるい。
 卑怯だ。
 辛そうな顔をしながらでもここは分かりましたってソフィア先生は了承するしか……。
「もちろんです。その代わり、もし1位で卒業できたら、教頭先生は何をしてくれます?」
 え?
 ソフィア先生ったら、すんごく嬉しそうに逆条件を出そうとしてます。
「私が教師の首をかけるなら、教頭先生も首をかけますか?私たちが1位で卒業するなんてこれっぽっちも思っていないんでしょう?」
 今度は教頭が口をつぐんだ。
「幸いにして、証人となりうる伯爵家以上の家の人間がここには3名以上いますから、口約束だったと私は言い逃れしませんよ?」
 教頭の額から一筋の汗が垂れた。
「いいでしょう。所詮はFクラスの生徒です。どれほど頑張ろうと、せいぜい順位を1つ2つ挙げるのがやっと。Sクラスはそんなに甘くはありませんよ?」
 そうだよ。教頭の言う通りだよ。
「では、4年後には結婚誓約書を持って卒業式に臨みましょうかね。はははははは」
 教頭が部屋を出ていった。
 ……ちょっと、葬式みたいな雰囲気になってますよ。教室がっ!
「せ、先生……」
 涙目の女生徒たち。
 うん。自分にソフィア先生の立場を置き換えて、教頭と結婚するというあまりにもおぞましいことを想像して涙しているんだよね。
「大丈夫だって。暗くなってる暇があれば、早速勉強しようぜ?」
 マージがドーンと胸を叩いた。
 マージの言葉に、我に返ったように、皆が席で姿勢を正す。
「ふふふ、そうですわよ。ねぇ、ほら、見てください。模擬テストの採点が終わりました」
 ソフィアせんせいは輝かんばかりの笑顔で、答案用紙を生徒たちに向けた。
「なんと、満点が8人。90点以上が4人、そして、クラス全員が70点以上ですっ!」
 まぁ、なんだ。足し算引き算だけの40問テストで、時間は1時間となれば……。
 しかし、先生は生徒たちの点数を見たから、Fクラスが卒業までにSクラスに勝てると思ったのかな?
 ううん、違うよね。だって、剣術大会の前から、第一訓練場を目指すって言ってるもん。
「う、うそ、私が、数学で70点以上……」
 生徒が1人立ち上がる。
「そうですよ、ほら」

======
教頭……(´・ω・`)あわれ
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたので王子様を憎むけど息子が可愛すぎて何がいけない?

tartan321
恋愛
「君との婚約を破棄する!!!!」 「ええ、どうぞ。そのかわり、私の大切な子供は引き取りますので……」 子供を溺愛する母親令嬢の物語です。明日に完結します。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

えっ、これってバッドエンドですか!?

黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。 卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。 あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!? しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・? よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。

おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 サロン勤めで拘束時間は長く、休みもなかなか取れずに働きに働いた結果。 貯金残高はビックリするほど貯まってたけど、使う時間もないまま転生してた。 そして通勤の電車の中で暇つぶしに、ちょろーっとだけ遊んでいた乙女ゲームの世界に転生したっぽい? あんまり内容覚えてないけど… 悪役令嬢がムチムチしてたのだけは許せなかった! さぁ、お嬢様。 私のゴットハンドを堪能してくださいませ? ******************** 初投稿です。 転生侍女シリーズ第一弾。 短編全4話で、投稿予約済みです。

悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!

神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう....... だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!? 全8話完結 完結保証!!

悪役令嬢はどうしてこうなったと唸る

黒木メイ
恋愛
私の婚約者は乙女ゲームの攻略対象でした。 ヒロインはどうやら、逆ハー狙いのよう。 でも、キースの初めての初恋と友情を邪魔する気もない。 キースが幸せになるならと思ってさっさと婚約破棄して退場したのに……どうしてこうなったのかしら。 ※同様の内容をカクヨムやなろうでも掲載しています。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?

プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。 小説家になろうでも公開している短編集です。

処理中です...