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「学んだから?」
侯爵家に引き取られ、聖女としての教育を受けさせられた。
庶民上がりで何もしらない、人一倍努力しても足りないと……。厳しく教育されただけで……。
あ、貴族としては当たり前でも庶民としては珍しいってことか……。
【まぁでも、庶民でも商人とか文字が読める人もいるだろうから大したことないよね】
「学んだ……?えーっと、これは、読めますかな?」
おつきの者が、懐から本を1冊取り出した。
「あ、これ……」
タイトルも作者名もない本だけれど1ページ目に目を通してすぐに分かった。
「バーキュリー博士の兵法論ですか?……でも、少し違うような?」
「なぜバーキュリーの兵法論など知っている、そして違いまで分かるのはなぜだ」
「読んだから?」
何故と言われても。ここにある本はすべて読みなさい。後でちゃんと読んだかテストしますと、侯爵家で私についた家庭教師が命じたんだよね。
離れには他に誰もいないし、やることもなかったので言われたままあった本を何度も繰り返して読んでいたから……。
ただ、それでも学園の図書館には私が読み切れないほどの大量の本があって、まだまだ私は全然勉強が足りてないのだと自覚したけれど。
ぱらりとめくると、紙が1枚挟まっている。
「えーっと……これ、計算がここ違うみたいですけど……」
なにかの購入履歴のような紙。数字が並んでいたので思わず計算してしまった。
【この計算力は”私”が役に立ってるわよね~!行っててよかった〇〇式!ってね!計算は早いわよぉ!】
「計算まで……」
おつきのものが計算をし直して驚いている。
そして、辺境伯がわははと笑った。
「なんだ、何も問題がないじゃないか。よく見たらとても姿勢もよい。どこの貴族のお嬢さんかな?」
「私、貴族じゃないです……」
辺境伯から笑顔が消えた。
「僕は、マリーが貴族じゃなくても、マリーと一緒にいるつもりです。マリーのためなら身分など捨てます」
「いやいや、待て待て、貴族じゃないなら、俺の養子にしよう。で、俺の養女とロアーノが結婚すれば、俺はロアーノの義父だ。ははは、心おきなくお父さんと呼んでいいぞ!うん、なかなか素敵な案じゃないか?なぁ?」
辺境伯がおつきの者に尋ねた。
「叔父上……!でも、まだ、マリーにプロポーズの返事をもらってないんです」
ロアの言葉に皆の視線が私に集まる。
「ダメなんです、私……私、迷惑をかけてしまいます」
ロアと一緒にいたい。
でも。
「迷惑?何も迷惑などしてないが?」
もう、隠しておけない。貴族が関わってしまったからには……。
「私、実は浄化魔法が……使えて」
「何?だから、ロアーノが人と近づけるようになったのか!それは素晴らしい!」
「……聖女と呼ばれ、かつてはその……皇太子の婚約者だったんですけど……婚約破棄され、王都を追い出されたときにロアと出会ったんです」
ロアが嬉しそうな顔をする。
「運命的ですね。婚約を破棄してくれた皇太子に感謝したいところですが、マリーを追い出す馬鹿に感謝はしたくないですね」
侯爵家に引き取られ、聖女としての教育を受けさせられた。
庶民上がりで何もしらない、人一倍努力しても足りないと……。厳しく教育されただけで……。
あ、貴族としては当たり前でも庶民としては珍しいってことか……。
【まぁでも、庶民でも商人とか文字が読める人もいるだろうから大したことないよね】
「学んだ……?えーっと、これは、読めますかな?」
おつきの者が、懐から本を1冊取り出した。
「あ、これ……」
タイトルも作者名もない本だけれど1ページ目に目を通してすぐに分かった。
「バーキュリー博士の兵法論ですか?……でも、少し違うような?」
「なぜバーキュリーの兵法論など知っている、そして違いまで分かるのはなぜだ」
「読んだから?」
何故と言われても。ここにある本はすべて読みなさい。後でちゃんと読んだかテストしますと、侯爵家で私についた家庭教師が命じたんだよね。
離れには他に誰もいないし、やることもなかったので言われたままあった本を何度も繰り返して読んでいたから……。
ただ、それでも学園の図書館には私が読み切れないほどの大量の本があって、まだまだ私は全然勉強が足りてないのだと自覚したけれど。
ぱらりとめくると、紙が1枚挟まっている。
「えーっと……これ、計算がここ違うみたいですけど……」
なにかの購入履歴のような紙。数字が並んでいたので思わず計算してしまった。
【この計算力は”私”が役に立ってるわよね~!行っててよかった〇〇式!ってね!計算は早いわよぉ!】
「計算まで……」
おつきのものが計算をし直して驚いている。
そして、辺境伯がわははと笑った。
「なんだ、何も問題がないじゃないか。よく見たらとても姿勢もよい。どこの貴族のお嬢さんかな?」
「私、貴族じゃないです……」
辺境伯から笑顔が消えた。
「僕は、マリーが貴族じゃなくても、マリーと一緒にいるつもりです。マリーのためなら身分など捨てます」
「いやいや、待て待て、貴族じゃないなら、俺の養子にしよう。で、俺の養女とロアーノが結婚すれば、俺はロアーノの義父だ。ははは、心おきなくお父さんと呼んでいいぞ!うん、なかなか素敵な案じゃないか?なぁ?」
辺境伯がおつきの者に尋ねた。
「叔父上……!でも、まだ、マリーにプロポーズの返事をもらってないんです」
ロアの言葉に皆の視線が私に集まる。
「ダメなんです、私……私、迷惑をかけてしまいます」
ロアと一緒にいたい。
でも。
「迷惑?何も迷惑などしてないが?」
もう、隠しておけない。貴族が関わってしまったからには……。
「私、実は浄化魔法が……使えて」
「何?だから、ロアーノが人と近づけるようになったのか!それは素晴らしい!」
「……聖女と呼ばれ、かつてはその……皇太子の婚約者だったんですけど……婚約破棄され、王都を追い出されたときにロアと出会ったんです」
ロアが嬉しそうな顔をする。
「運命的ですね。婚約を破棄してくれた皇太子に感謝したいところですが、マリーを追い出す馬鹿に感謝はしたくないですね」
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