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◆◆視点が戻る◆◆
仲良く二人で道を歩く。
立ち寄った村で水をもらい、食べ物を買い、時々嘘をついて石を渡す。
ロアが斧をふるえば、木は簡単に倒せるけれど、旅では倒した木はさほど使い道はない。薪とするには倒したばかりの木は水分を含みすぎているのだ。
ロアは役立たずだと落ち込む。
「ロアがいてくれるから、私は旅ができるんだよ、ロアが居なかったら、一人だったら、絶対にすぐ死んでた」
励ますつもりで言うと、ロアは泣く。
「やだ、マリー死なないで!」
【めんどくさっ、3歳児か!】
……そうだね。人間関係では3歳児くらいなのかもしれない。
でも、ロアがいないと死んでたかもしれないというのは本当だよ。
立ち寄る村で時々聞こえてくる聖女の噂。
「聖女が逃亡したことで王都では大変なことになっている。殿下が血眼で探している」
「聖女を追放したことで王都では大変なことになっている。殿下が廃嫡された」
二つの噂が流れている。
どちらも本当といえば本当なのだろう。
私は学園を追放されたので、二度と戻らなくていいように逃亡している。殿下は廃嫡されて、それを撤回したいがために私を探している。
【いや、違うよきっと。廃嫡されたのはお前のせいだと逆恨みして殺そうとしてるのよ!】
怖っ。
【よかったね、ロアと一緒に旅してるおかげで、聖女を見なかったか?っていう捜索隊の質問に、誰も見たって言わないもんねぇ。ロアのような魅力的な人物を見たあとだと、聖女様はもっと素敵な人に違いないなんて思い込みが生まれるし。まさか、聖女がモブ顔の目立たない女なんて想像もしないんだろうね】
……複雑。
一緒に旅を続けて1年がたち、お互いに18歳になった。
「僕の国では18歳が成人なんです……」
国境を前に、ロアが立ち止まってそんな話をし始める。
「もしかして、この先の国がロアの生まれた国なの?」」
南に接している隣国は、この大陸でも一番大きな国だ。とても強い力を有している。
王妃教育という名で、いろいろと教えられたことの一つに地理もあった。
「そうなんだ……。マリー、えっと、この国を出て僕の国に入ってもいい?」
「もちろん」
聖女探しはまだ続いている。国を出た方が安全だろう。
それに、この1年で随分と国が荒れてきている。王都から距離が離れれば離れるほど正確な情報は入手できないけれど、いい噂は聞かない。近く国がどうにかなってしまうんじゃないかと……この国境の関所にもたくさんの人が国を捨て隣国へ行こうと並んでいる。
こちら側に立つ人間のチェックは甘い。出ていきたきゃ勝手に出ていけというスタンスなのだろう。
一方、受け入れる側の隣国のチェックは厳しく行われている。
そりゃ、犯罪者に押しかけられても困るのだから当たり前だ。
それに、働けない者も弾かれているようだ。
かなり厳しい。
「私、通れるかな?」
ロアは、魔物も倒せるし、木も簡単に切り倒せるから木こりとして優秀だ。見た目も悪い人にどう見ても見えないから、問題なく通れるだろう。
「……いざとなったら……」
浄化魔法が使えますと伝えようか。
【や、聖女だとバレちゃうよ、流石に隣国も浄化魔法が使えるのが聖女だって知ってるから】
そっか。
「大丈夫。いざとなったら、僕が……僕が、何とかするから……」
ロアが私の手をぎゅっと握った。
=============
もうすぐ完結~
今回は本当にもうすぐ~
仲良く二人で道を歩く。
立ち寄った村で水をもらい、食べ物を買い、時々嘘をついて石を渡す。
ロアが斧をふるえば、木は簡単に倒せるけれど、旅では倒した木はさほど使い道はない。薪とするには倒したばかりの木は水分を含みすぎているのだ。
ロアは役立たずだと落ち込む。
「ロアがいてくれるから、私は旅ができるんだよ、ロアが居なかったら、一人だったら、絶対にすぐ死んでた」
励ますつもりで言うと、ロアは泣く。
「やだ、マリー死なないで!」
【めんどくさっ、3歳児か!】
……そうだね。人間関係では3歳児くらいなのかもしれない。
でも、ロアがいないと死んでたかもしれないというのは本当だよ。
立ち寄る村で時々聞こえてくる聖女の噂。
「聖女が逃亡したことで王都では大変なことになっている。殿下が血眼で探している」
「聖女を追放したことで王都では大変なことになっている。殿下が廃嫡された」
二つの噂が流れている。
どちらも本当といえば本当なのだろう。
私は学園を追放されたので、二度と戻らなくていいように逃亡している。殿下は廃嫡されて、それを撤回したいがために私を探している。
【いや、違うよきっと。廃嫡されたのはお前のせいだと逆恨みして殺そうとしてるのよ!】
怖っ。
【よかったね、ロアと一緒に旅してるおかげで、聖女を見なかったか?っていう捜索隊の質問に、誰も見たって言わないもんねぇ。ロアのような魅力的な人物を見たあとだと、聖女様はもっと素敵な人に違いないなんて思い込みが生まれるし。まさか、聖女がモブ顔の目立たない女なんて想像もしないんだろうね】
……複雑。
一緒に旅を続けて1年がたち、お互いに18歳になった。
「僕の国では18歳が成人なんです……」
国境を前に、ロアが立ち止まってそんな話をし始める。
「もしかして、この先の国がロアの生まれた国なの?」」
南に接している隣国は、この大陸でも一番大きな国だ。とても強い力を有している。
王妃教育という名で、いろいろと教えられたことの一つに地理もあった。
「そうなんだ……。マリー、えっと、この国を出て僕の国に入ってもいい?」
「もちろん」
聖女探しはまだ続いている。国を出た方が安全だろう。
それに、この1年で随分と国が荒れてきている。王都から距離が離れれば離れるほど正確な情報は入手できないけれど、いい噂は聞かない。近く国がどうにかなってしまうんじゃないかと……この国境の関所にもたくさんの人が国を捨て隣国へ行こうと並んでいる。
こちら側に立つ人間のチェックは甘い。出ていきたきゃ勝手に出ていけというスタンスなのだろう。
一方、受け入れる側の隣国のチェックは厳しく行われている。
そりゃ、犯罪者に押しかけられても困るのだから当たり前だ。
それに、働けない者も弾かれているようだ。
かなり厳しい。
「私、通れるかな?」
ロアは、魔物も倒せるし、木も簡単に切り倒せるから木こりとして優秀だ。見た目も悪い人にどう見ても見えないから、問題なく通れるだろう。
「……いざとなったら……」
浄化魔法が使えますと伝えようか。
【や、聖女だとバレちゃうよ、流石に隣国も浄化魔法が使えるのが聖女だって知ってるから】
そっか。
「大丈夫。いざとなったら、僕が……僕が、何とかするから……」
ロアが私の手をぎゅっと握った。
=============
もうすぐ完結~
今回は本当にもうすぐ~
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