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そのころ王都では……。(視点が変わります)
======================
[だめです。この井戸の水も飲めません」
「どういうことだ?突然同時に井戸の水がだめになるなんて……」
学園で卒業パーティーが行われている裏で、宰相が部下の報告を受けて冷汗をかいていた。
「とりあえず、水は出さずに果実水とお酒だけに……毒味は徹底して、それから原因究明を迅速に」
「判明しました、どうやら毒蛙が大量発生しているようで」
宰相が驚きの声を上げる。
「なんだって?井戸の蓋はきちんと閉めていれば防げるだろう?なぜ同時に何か所も毒蛙が……まさか、誰かが故意に……」
宰相の言葉に、部下の報告が続く。
「いえ、10年以上被害がなかったため、蓋をしめる習慣が失われていたようです」
「なんと……。しかし、起きてしまったことは仕方がない。毒蛙が発生した井戸は早急に使用を中止し、毒蛙の駆除、それから浄化草で浄化を」
宰相に言われて部下は必要部署に指示を飛ばし、走り回っている。
学園では、卒業を迎えた貴族の子息令嬢たちが歓談中だ。
ダンスを踊っている者もいる。
まだ、聖女が姿を消してしまったことに気が付いている者はいない。
いつも目立たずひっそりと立っているので、参加していても気がつかれないことも多いのだ。
婚約者である皇太子殿下の隣にいなくとも、誰も不思議に思わなかった。
いつものように、美しい令嬢が数人殿下に侍っている。
殿下の側近の令息たちにもそれぞれ何人かのかわいらしい令嬢が話しかけている。
非常に華やかなグループが出来上がっていた。
「殿下、卒業式の日くらい、婚約者をエスコートしなくてもよろしいのですか?」
「あの大罪人との婚約は破棄したよ」
「まぁ!大罪人とは、何をなさったのです?」
「何もしなかったからだよ、聖女とは名ばかりで」
「確かに、名ばかりですわねぇ。浄化魔法が使えると言っても、何をしていたのか分かりませんもの」
パーティーを楽しんでいる裏では宰相が青ざめている。
「なんだと?浄化草がない?」
「はい、近隣の村の井戸に毒蛙が出たと言うときに渡していましたので」
「使った分の補充はしなかったのか?」
「それが、王都では必要がなかったため、年々予算が削られおり、備蓄数も少なく……。どうやら大雨の影響で今年は毒蛙の数が多いようで……」
宰相は頭を激しくかいた。
「5年前も同じように大雨が降っただろう、その時はどうだった」
「えーっと、やはり近隣から浄化草を必要とする村がいくつかありましたが、王都での被害はなく、問題ありませんでした。まさか、今回に限りこのように王都でも毒蛙が大量に発生するとは……」
「いざというときのための備蓄だろうに。すぐに浄化草の手配をしろ。このままでは、水が不足して王都の住民に死者が出かねない」
部下の一人が恐る恐る手を挙げた。
「あの……」
「なんだ?」
「聖女様は浄化魔法が使えるのですよね?井戸を浄化していただくことはできないのですか?」
宰相が立ち上がった。
「それだ!」
宰相はすぐに学園へと向かった。
パーティーに出席するために学園にいる陛下にまずは報告する。
「うむ、せっかくの卒業パーティーだが、ことがことだ。聖女に働いてもらおう」
陛下の言葉に、教師がマリアージュ(マリー)を探す。
「恐れながら陛下、姿が見えません」
「息子を……皇太子を呼んでこい」
こめかみを抑える陛下のもとへ皇太子がやってきた。
「お呼びですか父上」
「婚約者のエスコートはどうした?」
皇太子が顔を上げる。
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[だめです。この井戸の水も飲めません」
「どういうことだ?突然同時に井戸の水がだめになるなんて……」
学園で卒業パーティーが行われている裏で、宰相が部下の報告を受けて冷汗をかいていた。
「とりあえず、水は出さずに果実水とお酒だけに……毒味は徹底して、それから原因究明を迅速に」
「判明しました、どうやら毒蛙が大量発生しているようで」
宰相が驚きの声を上げる。
「なんだって?井戸の蓋はきちんと閉めていれば防げるだろう?なぜ同時に何か所も毒蛙が……まさか、誰かが故意に……」
宰相の言葉に、部下の報告が続く。
「いえ、10年以上被害がなかったため、蓋をしめる習慣が失われていたようです」
「なんと……。しかし、起きてしまったことは仕方がない。毒蛙が発生した井戸は早急に使用を中止し、毒蛙の駆除、それから浄化草で浄化を」
宰相に言われて部下は必要部署に指示を飛ばし、走り回っている。
学園では、卒業を迎えた貴族の子息令嬢たちが歓談中だ。
ダンスを踊っている者もいる。
まだ、聖女が姿を消してしまったことに気が付いている者はいない。
いつも目立たずひっそりと立っているので、参加していても気がつかれないことも多いのだ。
婚約者である皇太子殿下の隣にいなくとも、誰も不思議に思わなかった。
いつものように、美しい令嬢が数人殿下に侍っている。
殿下の側近の令息たちにもそれぞれ何人かのかわいらしい令嬢が話しかけている。
非常に華やかなグループが出来上がっていた。
「殿下、卒業式の日くらい、婚約者をエスコートしなくてもよろしいのですか?」
「あの大罪人との婚約は破棄したよ」
「まぁ!大罪人とは、何をなさったのです?」
「何もしなかったからだよ、聖女とは名ばかりで」
「確かに、名ばかりですわねぇ。浄化魔法が使えると言っても、何をしていたのか分かりませんもの」
パーティーを楽しんでいる裏では宰相が青ざめている。
「なんだと?浄化草がない?」
「はい、近隣の村の井戸に毒蛙が出たと言うときに渡していましたので」
「使った分の補充はしなかったのか?」
「それが、王都では必要がなかったため、年々予算が削られおり、備蓄数も少なく……。どうやら大雨の影響で今年は毒蛙の数が多いようで……」
宰相は頭を激しくかいた。
「5年前も同じように大雨が降っただろう、その時はどうだった」
「えーっと、やはり近隣から浄化草を必要とする村がいくつかありましたが、王都での被害はなく、問題ありませんでした。まさか、今回に限りこのように王都でも毒蛙が大量に発生するとは……」
「いざというときのための備蓄だろうに。すぐに浄化草の手配をしろ。このままでは、水が不足して王都の住民に死者が出かねない」
部下の一人が恐る恐る手を挙げた。
「あの……」
「なんだ?」
「聖女様は浄化魔法が使えるのですよね?井戸を浄化していただくことはできないのですか?」
宰相が立ち上がった。
「それだ!」
宰相はすぐに学園へと向かった。
パーティーに出席するために学園にいる陛下にまずは報告する。
「うむ、せっかくの卒業パーティーだが、ことがことだ。聖女に働いてもらおう」
陛下の言葉に、教師がマリアージュ(マリー)を探す。
「恐れながら陛下、姿が見えません」
「息子を……皇太子を呼んでこい」
こめかみを抑える陛下のもとへ皇太子がやってきた。
「お呼びですか父上」
「婚約者のエスコートはどうした?」
皇太子が顔を上げる。
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