【完結】偽聖女め!死刑だ!と言われたので逃亡したら、国が滅んだ

富士とまと

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「ロアさん、幼馴染の子と騎士ごっこしてたとか……その子とは仲が良かったんですよね?」
 ロアさんが泣きながら私の顔を見る。
「ごめんなさい。嘘です。僕に仲がいい子は一人もいません……」
 【なんだかかわいそうになってきた】
「一人で、騎士ごっこをしていたのですか?」
 想像したら泣きそうになる。
「いえ、あの、短時間、かわるがわるいろいろな先生にエスコートの仕方は教わりました。一人の先生が耐えられる時間は短かったので……」
 【だからぁ!個人情報隠す気ないでしょう!先生にエスコートとか習う立場って、限られてるから!しかも、短時間でかわるがわる先生がって、結構お金がないとできないよね!】
「あの、木こりがいろいろな先生に教わったのですか?」
 ロアさんがあわてた。
「あ、いえ、あの、き、木こりになる前に、家を……追い出される、前に……えっと……今は、本当に木こりで……。旅をしながら、木こり仕事で日銭を稼いでいます。あと、移動する商隊の護衛をしたり……なるべく人に近づかずにできる仕事を……」
 家を追い出される前のことには触れない方がいいんじゃない?
 【あ、うん。例え情報駄々洩れでも触れない方がいいかも】
「……えーと、まぁ、それで、話を戻しますね。ロアさん……あの、私……ロアお兄ちゃんと呼ぶことはその……」
 ぶわっとまたロアさんの目から涙が。
「ご、ごめんなさい。あ、というか、そもそも僕が近くにいると気持ち悪くないですか?調子に乗りました。ごめんなさい……そもそも近づいて話しかけてごめんなさい」
「大丈夫です、気持ち悪くないですし、親切で話かけてくれたのは知ってますし」
 【お兄ちゃんと呼ばせたいところは気持ち悪いけど】
 ……まぁそれは、えっと……。
「自分から誰かに近づくなんて普段はしていないんです。でも、困っていそうなのをほっとけなくて……。それに、なぜかマリーには吸い寄せられるみたいで……」
 【ロアが魔物よけならぬ人間よけなら”私”はロアホイホイか!】
 ホイホイ?
 【あ、なんでもない】
「困っていることを解決したらすぐに距離を取ろうと思ったんですけど、マリーは一向に平気そうで……。もう少し一緒にいていいかな、もう少し一緒にいたいな、もうずっと一緒にいられたらいいなって」
 【きもっ!】
「お兄ちゃんと呼ばれて、このまま兄妹として一緒に旅ができたらどんなに素敵だろうって……。もう、これからは一人じゃないんだって……ああ、もちろん、マリーに無理強いをする気はないんです。マリーが一緒にいてくれると言うのなら、一緒にいてもらいたいと思っているだけで……ごめんなさい。そろそろ近くにいると気分が悪くなってきませんか?というか、だから、ロアお兄ちゃんと呼んでくれないんですよね……」
 【そりゃずっと一人で両親にも遠ざけられて友達もいなくて、周りにいる人たちはきっと入れ替わり立ち代わりで……孤独で寂しかったのは分かるけれど……はぁー】
 ……私も両親から引き離されて、侯爵家に引き取られてからはずっと孤独だった。一人だった。でも、私には前世の”私”がいた。もし、”私”が居なかったら……。
 ”私”、いてくれてありがとう。


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なんだか思っていた方向と違ってきてたのでサクッと終わります💛もうしばらくお付き合いください❤
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