【完結】偽聖女め!死刑だ!と言われたので逃亡したら、国が滅んだ

富士とまと

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「ロアさん……あの……」
 あまりにもロアさんが言い人なので、これ以上騙すようなことはしたくないと思った。
 ……だから、悲しそうな顔をしないでほしい。
「その、ロアさんのことをロアお兄ちゃんと呼ぶことに関してなんですが……」
 ロアさんがショックで真っ白な顔になっている。
 ちょっと、私が悪者みたいになってるっ!
「ごめんね。無理強いでしたか?嫌なら、その……無理にとは言わないのですが……なんだか、僕にも家族が……みんなに避けられてしまう僕にも家族ができたみたいで……」
 【あーあ!】
 あーあじゃないよ、私が泣かせちゃったみたいな言い方しないで!
 なんでロアさん泣いちゃうのっ。
 っていうか、そんなにみんなに避けられてるの?
「ロアさんはいい人だし、顔もいいし、性格もいいし」
 【いい人と性格がいいはほぼ同じ!】
 もう、突っ込みはいいから。っていうかまだ知り合って1時間とか2時間でそんなに分からないでしょ!
 【一理ある。でも、そうするとロアの方はどうしてマリーにお兄ちゃんと呼ばれなかったくらいで泣くほどショックを受けるんだろうね?たかが1~2時間前に知り合っただけで】
「僕は……でも、気持ち悪くて、吐き気がして、そばにいたくない人間なんです」
 【気持ち悪いと吐き気がするはほぼ同じ!ってか、まぁ確かにお兄ちゃんと呼ばれてニヤニヤするのは気持ちが悪い……】
「初めは仲良くしようとしてくれるんですけど……みんなすぐに離れていきます。家族さえ、もう耐えれらえないから出て行ってくれと……」
「酷い……といっても、まぁ、普通にありますよね。もしかしてロアさんも養子だったんですか?」
「も?普通に?養子?えっと、もしかして、マリーも追い出されたのですか?家族に……?」
 【お互い個人情報隠す気ゼロか!ぼろが出てるよ。養子っていうのは割と特殊だから!】
「僕は養子ではないのですが……成長するに従い、人を寄せ付けない力が強くなってきたようで……」
「魔物よけみたいに人避けになってるの?」
 口に出してから、失礼なことを言ったと口を押える。
「ああ、そうですね、言いえて妙ですね。確かにそういう存在かもしれません。……それなのに、マリーは、僕のことを避けるでもなく、笑ってお兄ちゃんと親し気に呼んでくれて……」
 そうだったんだ。
 ロアさん良い人なのに、みんなに避けられてたら寂しいよね。
 【貴族っぽくて近寄りがたく近寄らなかったんじゃないんだね……まぁ、肉食女子なら何があろうと近づくだろうし……】
 別に全然ロアさんは変な感じしないけどなぁ。何でみんな避けるんだろう?
 【”私”が人間じゃないって言われてるみたいだねぇ】
 うーん、聖女って人間だったよね?
 【あ、聖女の力でロアさんに近づけるとか?】
 え?私の力?聖女って浄化しか使えないのに?
 【だからさ、例えばロアに近づいた女が降られた腹いせに呪いをかけてるとか】
 怖っ。
 【生霊となって実はロアに取りついているとか】
 怖いってば!
 【いやいや、だから聖女の浄化で大丈夫って話だから、大丈夫だって】
 そうなのかなぁ?
 あれ?でも……。
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