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「捕まえたか?」
「捕まえた!引き上げてくれ!」
村人たちが村の中央にある井戸の周りに集まって大騒ぎしている。
どうやら、小柄な子が井戸に降りて毒蛙を捕まえたようだ。
男たちがロープを引き上げ、井戸の下から蛙をつかんだびしょ濡れの子をねぎらっている。
「効果があるか分からないが、あの子が浄化石を持っていたんだ。これで効果があれば浄化草を買いに行かなくてもすぐに水が使えるようになる。浄化草のお金を効果があったら渡す約束なんだが試してみても構わないか?」
おじさんが石を片手に井戸に近づいていく。
あれはただの石なのだ。ぽちゃんと石が落ちる音を聞きながら、水よ綺麗になれ、浄化浄化と、浄化魔法を発動する。
「効果はあるのか?」
「どうやって確かめる?」
何人かが井戸の中を覗き込んでいる。
「僕が試そう」
ロアさんがすたすたと井戸に近づいた。そして、井戸の水をくみ上げると、バケツを傾け手で水を受けて口に運んだ。
「おい、大丈夫か?」
「試すにしたって、指先につけて口に運ぶとかちょっとずつとかあるだろう」
心配そうに村人がロアさんを見つめる。
「なんともない」
「本当か?……毒蛙の毒を飲むと、すぐに口の周りが赤くなって次第にぶつぶつが出て、手のひらや足の裏にもぶつぶつができると歩くことすら痛くてできなくなる……高熱も……」
【あれに似てるわねぇ、手足口病】
「口の周りが赤くなってますか?」
ロアさんが私に顔を近づけ口元を見せる。
うぐ。ロアさんとても顔が美しい。近くで見ても肌荒れ一つ見つからない……!
「いえ、綺麗なままです……私も試していいですか?」
と言うと、おばさんがコップを用意してくれた。井戸の水をコップにうつしてごくごくと飲む。
「ふあー、美味しい。何時間も水を飲んでなかったから染みわたる」
と、満足げな顔をする私を、村人がじーっと見ていた。
しまった。つい、普通に飲んじゃったけど……。
「浄化石は本物だったんだ!」
「助かったよ!」
村人たちが大騒ぎしている。
そうそう、そういうときだったんだ。
感謝され、浄化石を買うために村人が集めたお金を渡される。
「あ、お金はいらないです……もらいものですし、お水を分けていただけただけでありがたいですし」
ちょっと浄化魔法を使っただけで、私は何か特別なことをした感じが全くない。
王都では当たり前に毎日使い続けていたし。
「そんなわけにはいかないよ」
押し付けられそうなお金に困ってロアさんを見ると、ロアさんがにこっと微笑み、お金から数枚の硬貨を取った。
「もともと毒蛙が井戸に入ってしまったのは、その人のせいでしたよね?でしたら、その人が出したお金はありがたくいただきます。あなた方も被害者なのですから、村のためにお金は使ってください。またよそ者が同じことをしでかさないように見張りをしたりいろいろ大変でしょうから」
と、ロアさんがいい感じでまとめてくれた。
村を出て大きな道に歩いて戻りながら、ロアさんにお礼を言う。
「ありがとうロアさん」
ロアさんが悲しそうな顔をした。
……。
「ありがとう、ロアお兄ちゃん」
ロアさんの表情が戻った。
「ごめんね、勝手にお金を返してしまって。マリー……もしお金が必要なら代わりに僕が出すから言うんだよ?」
そう言いながら、ロアさんは先ほどの犯罪者が出した分のお金を渡してくれた。
===================
ひぃーん、ロア、お前、どうしてそうなった。
こんなはずじゃなかったんだのヒーロー。
お兄ちゃんと呼ばれたい変態……
木こりじゃないだろ、絶対、お前!
何?武器を持ち歩きたかったけど、剣だとすぐに正体がバレちゃうから、斧にした?知るか!
変装するなら気を遣うところはそこじゃない、そこじゃないんだよぉぉぉ!
引き続きよろしくお願いします。
「捕まえた!引き上げてくれ!」
村人たちが村の中央にある井戸の周りに集まって大騒ぎしている。
どうやら、小柄な子が井戸に降りて毒蛙を捕まえたようだ。
男たちがロープを引き上げ、井戸の下から蛙をつかんだびしょ濡れの子をねぎらっている。
「効果があるか分からないが、あの子が浄化石を持っていたんだ。これで効果があれば浄化草を買いに行かなくてもすぐに水が使えるようになる。浄化草のお金を効果があったら渡す約束なんだが試してみても構わないか?」
おじさんが石を片手に井戸に近づいていく。
あれはただの石なのだ。ぽちゃんと石が落ちる音を聞きながら、水よ綺麗になれ、浄化浄化と、浄化魔法を発動する。
「効果はあるのか?」
「どうやって確かめる?」
何人かが井戸の中を覗き込んでいる。
「僕が試そう」
ロアさんがすたすたと井戸に近づいた。そして、井戸の水をくみ上げると、バケツを傾け手で水を受けて口に運んだ。
「おい、大丈夫か?」
「試すにしたって、指先につけて口に運ぶとかちょっとずつとかあるだろう」
心配そうに村人がロアさんを見つめる。
「なんともない」
「本当か?……毒蛙の毒を飲むと、すぐに口の周りが赤くなって次第にぶつぶつが出て、手のひらや足の裏にもぶつぶつができると歩くことすら痛くてできなくなる……高熱も……」
【あれに似てるわねぇ、手足口病】
「口の周りが赤くなってますか?」
ロアさんが私に顔を近づけ口元を見せる。
うぐ。ロアさんとても顔が美しい。近くで見ても肌荒れ一つ見つからない……!
「いえ、綺麗なままです……私も試していいですか?」
と言うと、おばさんがコップを用意してくれた。井戸の水をコップにうつしてごくごくと飲む。
「ふあー、美味しい。何時間も水を飲んでなかったから染みわたる」
と、満足げな顔をする私を、村人がじーっと見ていた。
しまった。つい、普通に飲んじゃったけど……。
「浄化石は本物だったんだ!」
「助かったよ!」
村人たちが大騒ぎしている。
そうそう、そういうときだったんだ。
感謝され、浄化石を買うために村人が集めたお金を渡される。
「あ、お金はいらないです……もらいものですし、お水を分けていただけただけでありがたいですし」
ちょっと浄化魔法を使っただけで、私は何か特別なことをした感じが全くない。
王都では当たり前に毎日使い続けていたし。
「そんなわけにはいかないよ」
押し付けられそうなお金に困ってロアさんを見ると、ロアさんがにこっと微笑み、お金から数枚の硬貨を取った。
「もともと毒蛙が井戸に入ってしまったのは、その人のせいでしたよね?でしたら、その人が出したお金はありがたくいただきます。あなた方も被害者なのですから、村のためにお金は使ってください。またよそ者が同じことをしでかさないように見張りをしたりいろいろ大変でしょうから」
と、ロアさんがいい感じでまとめてくれた。
村を出て大きな道に歩いて戻りながら、ロアさんにお礼を言う。
「ありがとうロアさん」
ロアさんが悲しそうな顔をした。
……。
「ありがとう、ロアお兄ちゃん」
ロアさんの表情が戻った。
「ごめんね、勝手にお金を返してしまって。マリー……もしお金が必要なら代わりに僕が出すから言うんだよ?」
そう言いながら、ロアさんは先ほどの犯罪者が出した分のお金を渡してくれた。
===================
ひぃーん、ロア、お前、どうしてそうなった。
こんなはずじゃなかったんだのヒーロー。
お兄ちゃんと呼ばれたい変態……
木こりじゃないだろ、絶対、お前!
何?武器を持ち歩きたかったけど、剣だとすぐに正体がバレちゃうから、斧にした?知るか!
変装するなら気を遣うところはそこじゃない、そこじゃないんだよぉぉぉ!
引き続きよろしくお願いします。
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