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お父様のゲットは意味が違う

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「皇太子が王位を継ぐ決意をしてくれるか、もしくは第二王子の成長を待ち皇太子の地位を譲るしなければま皇太子は婚約者を持たないのではないかと思うんだ……」
 そんな事情があったんですね。20歳にもなって婚約者もいないのには……。そうか。王妃になるつもりで婚約したのに!って上位貴族の娘だといろいろ禍根を残しそうです。かといって、事情を説明しないまま下位貴族に話を持って行けば、何かあるのではないかと色々探られますよね。
 ならば、王位を継ぐのかやめるのかはっきりしてから婚約した方が問題はなさそうです。
「あるいは、心から愛しあえる相手に出会えば、婚約するかもしれない」
 だからお見合い目的の舞踏会に顔を出しているんですね。
「陛下も、どうやら愛する人ができればやる気が出るのではと期待している面もあるみたいだ」
 まぁ、本当に好きで好きでたまらない人の頼みなら、叶えてあげたくなるかもしれない。王様になるのは大変だと思うけど、私も支えるから頑張って!みたいに言われたら……。素敵よ。政務を行っているときの貴方。大好きだわと言われたら……。
 確かに、気が変わるかもしれない。うん、だから政略結婚の相手ではなく、舞踏会で好きな人を見つけてきなさいと……。
 あ、ある意味私と同じ立場ですねぇ。本来なら家の格だとかなんだとかで選べるようで相手は選べないはずなんですが。
 お兄様も、公爵家令息ということで、年齢の合う伯爵令嬢の中から選ばれたという感じでしたし。
「お父様、とにかくですね、私、皇太子殿下には興味はございません。本当に興味があれば、会いたいとお願いしますし」
 お父様がほーっと、大きく息を吐きだした。
「そ、そうか。うん、任せておけ、その、皇太子殿下ではなくとも、その、会いたいと思った、アレルギーがあまり出ない相手が見つかれば、私が何としてもゲットしてやる」
 ゲットって。
 ……間違いなく、権力使っていいなりにするって意味ですよね。いえ、あの……。それは後々まで禍根が残って、私、幸せになれなさそうなんですけど。
 ぞっとして身震いする。
 もし、アレルギーがあまり出ない相手が見つかったらゆっくり自分で愛をはぐくんで、そのうえで事情を話してそれでも一緒になってくれるなら……という感じにした方がいいんじゃなかろうか?
「それで、リリー、なぜ突然オレンジ色のドレスを作りたいなどと……」
「目立つのですわ!ピンクでフリフリのドレスを着ているご令嬢など、他には全くいなくて」
 本当は悪目立ちして、変なのに絡まれたり、陰口を叩かれたりしたのですが、もし、そんなことをお父様に言おうものなら。



=============
いつもご覧いただきありがとうございます。
そういえば「公爵様」とかが「自分の欲のために不正を行う」っていう話はありがちですが、「愛する娘のために不正を行う」とかあまりありませんよね。

愛が深すぎて、娘のために権力使いまくって没落してしまった……。お父様の暴走を止めるための2度目の人生が今始まる……とかありそうなんだけどな。
そして、できれば、そこは、死ぬ間際に実は義父だったと知り、2度目の人生では愛をはぐくむってのもありですねーwwwww
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