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 無理やり女性に引っ張られてきた男性もいるようだ。
 たくさん集まってきているけれど、もう顔と名前が一致する人が見つからない。
 ポケットから手紙を取り出す。
「こちらのカードはシャルム様にいただいたもので」
 一人の男性が声を上げた。
 あれがシャルム様だろうか?
「騙されるな!あの女は、自分が被害者みたいな顔をしているが、男を誘って罠にはめたんだ!無理やりとか嫌々とか嘘に決まっている!」
「そうだ!そうだ!大方思い通りにならなくなって嫌がらせのためにありもしないデマを流してるんだ!」
「その手紙をよこせ!まだあるんだろう!どうやって偽造したか知らないが」
 私の手を一人の男がつかむ。
 別の男が、ポケットから手紙を奪い取ろうと手を入れる。
「やめろ!女性に対して行うことか?」
 制止の声に、男たちが動きを止めた。
「女性の手を乱暴につかむことも、勝手にポケットに手を突っ込むことも、許されることではない。そのような行為を平気で行うことが、彼女に無理やり関係を迫っていた証拠ではないのか?」
 騒動の渦中に飛び込んできたのは……。
「ハルーシュ様……」
 ハルーシュ様が私の前に立った。
「僕が承認になろう。彼女が自分から男性に迫ったことはないと。彼女が男性から必死に逃れようとしているところは確かに僕がこの目で目撃している」
 集まった人々をにらみつけるように見回した。
 黙りこくる人たちの中から声を上げるものがいた。人の陰にかくれて姿も見せずにだ。
「ヴァイオレッタの愛人の言葉なんて信用できるか!」
 その一言がきっかけとなり他の者も声を上げる。
「そうだ!自分が誘惑されててよくゆうぜ」
「その通りだよなぁ。自分だってヴァイオレッタに誘惑されて愛人になってるじゃないか!」
 ぐっと奥歯をかみしめる。
「彼は、愛人ではないわ!私があなたたちのような下種な男に襲われないように、私を守るために愛人のフリをしてくれていただけよ!」
 ハルーシュ様の名誉を傷つけるわけにはいかない。
「どうせ、証拠は?というのでしょう。夜会の行われた屋敷の使用人にでも聞けばいいわ。私たちが二人で入った部屋にベッドの乱れがあったかどうか。私の服を整えるために侍女が呼ばれたかどうか。聴取しなさい。納得するまですればいい」
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 困るのはこちらばかリではないはず。
「ただし、私が嫌がって逃げようとしていたことや、部屋で私がひどい仕打ちを受けていたことも、使用人からの証言からはっきりするでしょうね……ああ、もちろん使用人は記憶をたどるうちに、別の誰かと誰かが部屋を使ったことまで思い出すでしょうけれど」
 後ろ暗い人間が、わざわざ証言を取るとは思えない。
 まだ何か言いたげな者もいる。
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