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「ただ……王都では顔を知っている者も多くて働きにくいでしょう」
ああそうか。侍女にしろ使用人にしろ働く先は貴族のお屋敷。そうなれば顔を合わせたことのある人たちがたくさんいる。
「あなたの顔を知らない地方で働くことは平気?王都を離れたくないなら他の道もありますよ」
「いいえ。むしろ、王都にはいたくありません」
「そう。では他に何か希望はある?」
うんと頷く。
「住む場所が欲しいです」
「それなら住み込みの仕事を紹介するから」
「いいえ、あの、家族と……生まれてくる子供と一緒に生活できる場所が」
私の言葉に、ジョアン様が立ち上がった。
「に、妊娠しているの?」
ずいぶん驚かせてしまったようだ。
「いえ……。私の子ではありませんが、数か月後に生まれる子を引き取る予定があって……」
「どういうこと?」
アイリーンのことは言わない方がいいだろう。父親のこととかいろいろ詮索されてしまうと困ることになりそうだ。
「その……親に捨てられ、子供の父親にも頼れない女性が子供を……産むので、助けてあげられたらと……」
こんな言葉でごまかせるのかと思ったら、ジョアン様がふふふと笑った。
「まぁ、本当に、親子というものは……。見て育っていないというのに、似るものなのね」
え?
「ソフィアも……孤児院への奉仕活動に力を入れていたわ。人を助けたいという気持ちの強い優しい子だった」
そうなんだ。お母様も……。じゃあ、やっぱり私の選択は間違ってないよね。
「だけど、一人で赤ちゃんを育てるのは大変よ?働いて生活するお金だけあればいいというものではないわ。頼れる者がいなければ……」
ジョアン様が言うことはもっともだ。
でも、きっと大丈夫。一人じゃないなら……。
アイリーンがいる。
そう。きっとあの子も家を出て一人で子供を育てようと決めたはずだ。
アイリーンと一緒に、赤ちゃんを育てよう。
私はアイリーンの産んだ子の親に……父親役になるんだ。お金を稼ぐ。そして家で赤ちゃんの面倒をみるアイリーンを支える。二人ならきっとできる。アイリーンとの関係も……きっと修復できる。だって、同じ血を引く兄弟に報われない恋をした姉妹だよ?顏だけじゃなくて趣味まで似てるなんて。ふふ。
アイリーンの産む子はルーノ様にとっても姪か甥にあたるのだ……。もしかしたら成長するにしたがってルーノ様の面影が強くなっていくのかもしれない。
「……わかったわ。そのあたりも考えておきます」
「あ、そこまでお世話になるつもりは……」
「ソフィアンナ、私はあなたの名付け親ですよ?
にこりとジョアン様が微笑んだ。
名付け親……。
============
ご覧いただきありがとうございます。
ラストスパート執筆中。
またまとめて数話の更新になるかと思います。
ところで、お願いがあります。なろうやカクヨムだと★や❤などモチベーション保てるのですが、アルファポリスだと感想とエールくらいしか仕組みがありません……。お気に入り人数は上下が激しく減るとテンションがとても下がってしまうのです……。そこで
感想は書くのがハードルが高いけど、何か立伝えようかなと思ってくださった方がいらっしゃいましたら、
例えば以下のような簡単な感想でもいいのでお願いできればと……
例:おもしろかった
例2:いいねor♥orハート
例3:good
などなど。
その一言がとても励みになります!
あと、完結後には評価を!!!といっても、システムがないので★★★★★的な感想を……完結後に……ちょっと遊んでもらえると嬉しいです。
我儘なお願いすいません。
では、主人公が動いているシーンなので筆がはかどる……苦笑。
では!
ああそうか。侍女にしろ使用人にしろ働く先は貴族のお屋敷。そうなれば顔を合わせたことのある人たちがたくさんいる。
「あなたの顔を知らない地方で働くことは平気?王都を離れたくないなら他の道もありますよ」
「いいえ。むしろ、王都にはいたくありません」
「そう。では他に何か希望はある?」
うんと頷く。
「住む場所が欲しいです」
「それなら住み込みの仕事を紹介するから」
「いいえ、あの、家族と……生まれてくる子供と一緒に生活できる場所が」
私の言葉に、ジョアン様が立ち上がった。
「に、妊娠しているの?」
ずいぶん驚かせてしまったようだ。
「いえ……。私の子ではありませんが、数か月後に生まれる子を引き取る予定があって……」
「どういうこと?」
アイリーンのことは言わない方がいいだろう。父親のこととかいろいろ詮索されてしまうと困ることになりそうだ。
「その……親に捨てられ、子供の父親にも頼れない女性が子供を……産むので、助けてあげられたらと……」
こんな言葉でごまかせるのかと思ったら、ジョアン様がふふふと笑った。
「まぁ、本当に、親子というものは……。見て育っていないというのに、似るものなのね」
え?
「ソフィアも……孤児院への奉仕活動に力を入れていたわ。人を助けたいという気持ちの強い優しい子だった」
そうなんだ。お母様も……。じゃあ、やっぱり私の選択は間違ってないよね。
「だけど、一人で赤ちゃんを育てるのは大変よ?働いて生活するお金だけあればいいというものではないわ。頼れる者がいなければ……」
ジョアン様が言うことはもっともだ。
でも、きっと大丈夫。一人じゃないなら……。
アイリーンがいる。
そう。きっとあの子も家を出て一人で子供を育てようと決めたはずだ。
アイリーンと一緒に、赤ちゃんを育てよう。
私はアイリーンの産んだ子の親に……父親役になるんだ。お金を稼ぐ。そして家で赤ちゃんの面倒をみるアイリーンを支える。二人ならきっとできる。アイリーンとの関係も……きっと修復できる。だって、同じ血を引く兄弟に報われない恋をした姉妹だよ?顏だけじゃなくて趣味まで似てるなんて。ふふ。
アイリーンの産む子はルーノ様にとっても姪か甥にあたるのだ……。もしかしたら成長するにしたがってルーノ様の面影が強くなっていくのかもしれない。
「……わかったわ。そのあたりも考えておきます」
「あ、そこまでお世話になるつもりは……」
「ソフィアンナ、私はあなたの名付け親ですよ?
にこりとジョアン様が微笑んだ。
名付け親……。
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ご覧いただきありがとうございます。
ラストスパート執筆中。
またまとめて数話の更新になるかと思います。
ところで、お願いがあります。なろうやカクヨムだと★や❤などモチベーション保てるのですが、アルファポリスだと感想とエールくらいしか仕組みがありません……。お気に入り人数は上下が激しく減るとテンションがとても下がってしまうのです……。そこで
感想は書くのがハードルが高いけど、何か立伝えようかなと思ってくださった方がいらっしゃいましたら、
例えば以下のような簡単な感想でもいいのでお願いできればと……
例:おもしろかった
例2:いいねor♥orハート
例3:good
などなど。
その一言がとても励みになります!
あと、完結後には評価を!!!といっても、システムがないので★★★★★的な感想を……完結後に……ちょっと遊んでもらえると嬉しいです。
我儘なお願いすいません。
では、主人公が動いているシーンなので筆がはかどる……苦笑。
では!
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