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「そりゃ、もしアイリーン様が亡くなってしまったら、評判の悪いヴァイオレッタが生き残るよりは、アイリーン様が生きていることにした方が旦那様も得……」
……アイリーンは死んだりしないのに。
それに……。どうして、お父様はアイリーンが死んでしまったあとの損得しか考えないって思うの?
アイリーンが本当に生きるか死ぬかという病に侵されていたら、お父様だってもっと心配するだろうし、亡くなった後の損得を考えて行動をするわけが……。
「父親もあんたを利用しているだけ」
お茶会でどこかの令嬢に言われた言葉を思い出す。
単にアイリーンを馬鹿にしようと出た言葉だと思っていたけれど。
だって、私から見れば、アイリーンは私と違ってお父様に大切にされていると思っていたから。
「ねぇ、教えて……。お父様はアイリーンが亡くなったら悲しむわよね?」
ふんっと、侍女が鼻を鳴らした。
「悲しむ?ははは、怒り狂うでしょうね。アイリーン様が死んで残ったのがあんななら」
それから自信満々に語りだした。
「ええ、そうだわ。きっと。あんたがアイリーンの代わりになんて慣れるわけないのよ。旦那様はきっとアイリーン様が亡くなれば、すぐに離婚して新しい若い妻を迎えるでしょうね。子爵家の跡取りを産ませるために。きっとそうよ。どう転んだって、あんたが大きな顔なんてできないのよ。分かったわね!」
子爵家の使用人からはアイリーンとお父様はそんな関係に見えてたの?
嘘だ。
アイリーンはお父様にかわいがられて……。
本当にそう?
侯爵夫人にいただいたドレスを見て、アイリーンが持っているドレスではないと気が付かなかった。
アイリーンとして着るにもヴァイオレッタとして着るにもデザインがおかしいのに。
それに、お茶会で他の令嬢からあんな風に言われていることを知らないの?
知っていてお茶会に行かせているの?
だめだ。考えることが疲れてきた。
お父様はアイリーンが死んでも本当に悲しまないの?
そんなはずないわよね?
だって、アイリーンはお父様と同じ髪の色をしているから……私と違って愛されているのだもの。
「全部間違いよ……。私は大きな顔なんてしていない。侍女が辞めたのは私のせいじゃない。それに、私は忠告しようとしただけ。早く子爵家の使用人をやめた方がいいと」
赤ちゃんを産んだのはアイリーンだという秘密を知る前の今なら、冤罪をかけられて辞めさせられることはないだろう。
もう少しすれば、私がお腹が大きくならなかったことで嫌でも秘密を知ることになる。
==========
侍女ざまぁ2までカウントダウン。
もうこのターンは終わろう。自立を考えるようになってきた主人公。
がんばれ。
しかし、情報がないと、動きようがないですよね。
……アイリーンは死んだりしないのに。
それに……。どうして、お父様はアイリーンが死んでしまったあとの損得しか考えないって思うの?
アイリーンが本当に生きるか死ぬかという病に侵されていたら、お父様だってもっと心配するだろうし、亡くなった後の損得を考えて行動をするわけが……。
「父親もあんたを利用しているだけ」
お茶会でどこかの令嬢に言われた言葉を思い出す。
単にアイリーンを馬鹿にしようと出た言葉だと思っていたけれど。
だって、私から見れば、アイリーンは私と違ってお父様に大切にされていると思っていたから。
「ねぇ、教えて……。お父様はアイリーンが亡くなったら悲しむわよね?」
ふんっと、侍女が鼻を鳴らした。
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それから自信満々に語りだした。
「ええ、そうだわ。きっと。あんたがアイリーンの代わりになんて慣れるわけないのよ。旦那様はきっとアイリーン様が亡くなれば、すぐに離婚して新しい若い妻を迎えるでしょうね。子爵家の跡取りを産ませるために。きっとそうよ。どう転んだって、あんたが大きな顔なんてできないのよ。分かったわね!」
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嘘だ。
アイリーンはお父様にかわいがられて……。
本当にそう?
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そんなはずないわよね?
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赤ちゃんを産んだのはアイリーンだという秘密を知る前の今なら、冤罪をかけられて辞めさせられることはないだろう。
もう少しすれば、私がお腹が大きくならなかったことで嫌でも秘密を知ることになる。
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侍女ざまぁ2までカウントダウン。
もうこのターンは終わろう。自立を考えるようになってきた主人公。
がんばれ。
しかし、情報がないと、動きようがないですよね。
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