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「掲示板に何かあったんですか?」
急いで着替えて掲示板を確認する。
隣には、大きなシールを貼る方式のアンケート用紙が貼られていました。
「クリーニングのやつだろう、あれ。学生相談室も、かなり本気で学生の意見を取り入れて計画するみたいだね」
「そうですね」
もう、作ったんですね。
黒崎さん、本気のようです。
……なんて、私が黒崎さんのことを考えていたのが悪いのか……。
「そうそう、また学生相談室から白井ちゃんご指名」
うっ。
「えーっと……また、ですか?今日は食堂の仕事は……」
「うん、いつもの時間に戻ってきてもらえれば大丈夫だけど、白井ちゃん大丈夫かい?……その、学生相談室ってちょっと特殊だから……」
「大丈夫なのですが、ちょっと、気を遣うので疲れます」
と、思わず本音が漏れました。
師匠とか呼ぶ変態がいるのですという言葉は何とか飲み込みました。
「ああ、そうだろうねぇ……。気を遣うよねぇ。……食堂としても、何度も何度も白井ちゃん呼ばれるのも迷惑だけれど、断りにくいんだよねぇ……」
すいません。どうにも、チーフにも迷惑をかけているようです。
「もういっそのこと、月曜のこの時間だけ学生相談室用の時間としてしまおうか?」
「え?チーフ、それって……」
まさか、毎週定期的に学生相談室に行かないといけないっていうことでしょうか?
「用事がなければ呼ばれないだけだと思うんだよ。用事があるなら、この時間にしてくれって先手を打って言っておけば、あとは食堂の仕事が忙しいから無理だと行っておいたらどうかと思うんだよ。さすがに食堂の仕事よりこちらを優先しろとまでは言わないだろう?」
「あ、なるほど……そうですね。毎日のように呼ばれるより、いいかもしれません……」
月曜への出勤が億劫になってしまうかもしれませんが……。
逆に、さっさと嫌なことを済ましてしまえば、あとは気が楽になります。
嫌なことはさっさと済ませるために、学生相談室にさっそく足を運びます。
ノック。
いっそ、返事がなければ、このままメッセージを残して「来たけどいませんでした」で済むのですが。
という期待もむなしく、ドアが待ってましたとばかりに開きました。
「待ってたよ」
はっと、息をのみます。
黒崎さんの声。
和臣さんの声とそっくりだと、忘れていました。まるで一瞬和臣さんが言ったのかと思って……息が詰まりました。
……私を、待っているわけはないのに。
家で和臣さんを待っているのは菜々さんなのでしょ……。
「掲示板の横に、立派なコインランドリーのアンケート設置してあるのを見ました」
もうさっさと用事を済ませたくて、先に口を開きます。
「ああ、白井さんのくれたアイデアのおかげ。あの方式のアンケートなら、大学側も文句はないみたいだ。業者もいくつかに絞ったし、それからほかの大学の情報も入手しているところだ。学生寮に設置されていることはあっても、大学というとなかなか情報が見つからないけれど」
「順調そうですね。でしたら、もう、私が手伝えるようなことはないようです。では、失礼いたします」
ぺこりと頭を下げて、黒崎さんに背を向ける。
急いで着替えて掲示板を確認する。
隣には、大きなシールを貼る方式のアンケート用紙が貼られていました。
「クリーニングのやつだろう、あれ。学生相談室も、かなり本気で学生の意見を取り入れて計画するみたいだね」
「そうですね」
もう、作ったんですね。
黒崎さん、本気のようです。
……なんて、私が黒崎さんのことを考えていたのが悪いのか……。
「そうそう、また学生相談室から白井ちゃんご指名」
うっ。
「えーっと……また、ですか?今日は食堂の仕事は……」
「うん、いつもの時間に戻ってきてもらえれば大丈夫だけど、白井ちゃん大丈夫かい?……その、学生相談室ってちょっと特殊だから……」
「大丈夫なのですが、ちょっと、気を遣うので疲れます」
と、思わず本音が漏れました。
師匠とか呼ぶ変態がいるのですという言葉は何とか飲み込みました。
「ああ、そうだろうねぇ……。気を遣うよねぇ。……食堂としても、何度も何度も白井ちゃん呼ばれるのも迷惑だけれど、断りにくいんだよねぇ……」
すいません。どうにも、チーフにも迷惑をかけているようです。
「もういっそのこと、月曜のこの時間だけ学生相談室用の時間としてしまおうか?」
「え?チーフ、それって……」
まさか、毎週定期的に学生相談室に行かないといけないっていうことでしょうか?
「用事がなければ呼ばれないだけだと思うんだよ。用事があるなら、この時間にしてくれって先手を打って言っておけば、あとは食堂の仕事が忙しいから無理だと行っておいたらどうかと思うんだよ。さすがに食堂の仕事よりこちらを優先しろとまでは言わないだろう?」
「あ、なるほど……そうですね。毎日のように呼ばれるより、いいかもしれません……」
月曜への出勤が億劫になってしまうかもしれませんが……。
逆に、さっさと嫌なことを済ましてしまえば、あとは気が楽になります。
嫌なことはさっさと済ませるために、学生相談室にさっそく足を運びます。
ノック。
いっそ、返事がなければ、このままメッセージを残して「来たけどいませんでした」で済むのですが。
という期待もむなしく、ドアが待ってましたとばかりに開きました。
「待ってたよ」
はっと、息をのみます。
黒崎さんの声。
和臣さんの声とそっくりだと、忘れていました。まるで一瞬和臣さんが言ったのかと思って……息が詰まりました。
……私を、待っているわけはないのに。
家で和臣さんを待っているのは菜々さんなのでしょ……。
「掲示板の横に、立派なコインランドリーのアンケート設置してあるのを見ました」
もうさっさと用事を済ませたくて、先に口を開きます。
「ああ、白井さんのくれたアイデアのおかげ。あの方式のアンケートなら、大学側も文句はないみたいだ。業者もいくつかに絞ったし、それからほかの大学の情報も入手しているところだ。学生寮に設置されていることはあっても、大学というとなかなか情報が見つからないけれど」
「順調そうですね。でしたら、もう、私が手伝えるようなことはないようです。では、失礼いたします」
ぺこりと頭を下げて、黒崎さんに背を向ける。
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