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「いえ、私、いい人じゃないですよっ!その、私もどちらかといえば、知っている話をついついしちゃうタイプなのです」
話を聞くくらいでいい人だと思われるなんて、買いかぶりもいいところですよ……。
「そうなの?じゃぁ、似たもの同士?」
丸山君の声は弾んでいる。
「似てもいないと思います。あの、私はそんなむつかしい話はできなくて……」
「結梨絵さんはどんな話をするの?」
和臣さんの言葉に促されて、さっき思い浮かんだことを話します。
「初夏ちゃん、山わさびを食べたことがないと言いましたよね?」
「はい。わさびっていうと、普通のしか食べたことがなくて」
「さっきの和臣さんの話で知ったんですが、山わさびは西洋わさびのことだそうです。西洋わさびは食べたことありますか?」
「ないと思います。わさびは、お寿司や刺身くらいにしか使わないので……あ、チューブやパックに入ったわさびしか」
私の欲しかった言葉を初夏ちゃんが口にするので、思わず口元が笑ってしまいました。
「今度、チューブやパックの原材料を見てみてください。商品に本わさびと書いてないものの多くは、西洋わさびが原料になっているはずですから」
「そうなのか?」
「知らなかった」
初夏ちゃんより前に声を上げたのは和臣さんでした。
「ええ。だから西洋わさびはむしろ食べなれた味……あ、私の場合は本わさびじゃないわさびのチューブを結構使うので……」
安いので。
「ほら、私も結構うんちく魔ですよね?商品を裏返していろいろ見ちゃういますし……めんどくさいですか?」
和臣さんを見ます。表情は見えないけれど、首を横に振るのが分かりました。
「知らない話を聞くのは楽しい」
「一緒ですね」
思わず二人で思わず笑ってしまいました。
丸山君が、笑っている和臣さんの背中を2度ほど叩きます。
「いやぁ、菜々ちゃんの言う通りだなぁ」
「でしょ!」
「え?菜々ちゃんは丸山君になんて言ったんですか?」
「初夏ちゃんにはあとで教えてあげるわ。っていうか、丸山君に聞いてくれる?」
「ああ。初夏ちゃんにはいろいろ面白い話教えてやるよ。この件も含めて」
「面白い話ですか?楽しみです」
と、みんなは別の話題で盛り上がりだしました。
その様子を見ると、初夏ちゃんと丸山君の仲は、前よりも近くなっているような気がします。よかった。
「結梨絵さんは、どんな男性が好み?その、顔がよくて頭がよくて背が高くてお金持ちとか……好きかな?」
和臣さんの質問に、菜々さんが隣でぶっと噴き出した。
「バカじゃないの、何その質問っ!」
「ふふふっ。和臣さんは面白いことを聞くんですね?」
一部の女性は、確かにそういう男性が好みかもしれません。
ずっと昔、3高とかはやったそうですし。
高収入高身長高学歴でしたでしょうか。
「好み、ですか……」
改めて問われると、私はどういう人が好きなのでしょう?ずいぶん恋もしていません。
昔好きになった人は……どうして好きだったのかな?
「一緒にいて疲れる人は駄目ですね」
「疲れる……?背が高い相手だと、見上げていないといけないから首が疲れるとか……?」
和臣さんの言葉に、再び菜々さんがぶっと噴き出した。
「そうですね、ある意味そうかもしれません」
私がそう言うと、菜々さんが少しだけ腰を浮かせた。
「結梨絵ちゃん、どんな基準なの、それっ!」
「あ、いえ。物理的というか肉体的に疲れる話ではなくて……。首が疲れるよねって気が付いて、目線を合わせてくれたら疲れないですよね?いつも見上げていることを当たり前だと思って、首が疲れることに気が付いてくれない相手といたら、精神的にきついと思うんです」
菜々さんが椅子の背に体重をかけました。
「そういうことかぁー。なるほど。確かに、自己中で相手のこと考えない男は疲れるわ」
話を聞くくらいでいい人だと思われるなんて、買いかぶりもいいところですよ……。
「そうなの?じゃぁ、似たもの同士?」
丸山君の声は弾んでいる。
「似てもいないと思います。あの、私はそんなむつかしい話はできなくて……」
「結梨絵さんはどんな話をするの?」
和臣さんの言葉に促されて、さっき思い浮かんだことを話します。
「初夏ちゃん、山わさびを食べたことがないと言いましたよね?」
「はい。わさびっていうと、普通のしか食べたことがなくて」
「さっきの和臣さんの話で知ったんですが、山わさびは西洋わさびのことだそうです。西洋わさびは食べたことありますか?」
「ないと思います。わさびは、お寿司や刺身くらいにしか使わないので……あ、チューブやパックに入ったわさびしか」
私の欲しかった言葉を初夏ちゃんが口にするので、思わず口元が笑ってしまいました。
「今度、チューブやパックの原材料を見てみてください。商品に本わさびと書いてないものの多くは、西洋わさびが原料になっているはずですから」
「そうなのか?」
「知らなかった」
初夏ちゃんより前に声を上げたのは和臣さんでした。
「ええ。だから西洋わさびはむしろ食べなれた味……あ、私の場合は本わさびじゃないわさびのチューブを結構使うので……」
安いので。
「ほら、私も結構うんちく魔ですよね?商品を裏返していろいろ見ちゃういますし……めんどくさいですか?」
和臣さんを見ます。表情は見えないけれど、首を横に振るのが分かりました。
「知らない話を聞くのは楽しい」
「一緒ですね」
思わず二人で思わず笑ってしまいました。
丸山君が、笑っている和臣さんの背中を2度ほど叩きます。
「いやぁ、菜々ちゃんの言う通りだなぁ」
「でしょ!」
「え?菜々ちゃんは丸山君になんて言ったんですか?」
「初夏ちゃんにはあとで教えてあげるわ。っていうか、丸山君に聞いてくれる?」
「ああ。初夏ちゃんにはいろいろ面白い話教えてやるよ。この件も含めて」
「面白い話ですか?楽しみです」
と、みんなは別の話題で盛り上がりだしました。
その様子を見ると、初夏ちゃんと丸山君の仲は、前よりも近くなっているような気がします。よかった。
「結梨絵さんは、どんな男性が好み?その、顔がよくて頭がよくて背が高くてお金持ちとか……好きかな?」
和臣さんの質問に、菜々さんが隣でぶっと噴き出した。
「バカじゃないの、何その質問っ!」
「ふふふっ。和臣さんは面白いことを聞くんですね?」
一部の女性は、確かにそういう男性が好みかもしれません。
ずっと昔、3高とかはやったそうですし。
高収入高身長高学歴でしたでしょうか。
「好み、ですか……」
改めて問われると、私はどういう人が好きなのでしょう?ずいぶん恋もしていません。
昔好きになった人は……どうして好きだったのかな?
「一緒にいて疲れる人は駄目ですね」
「疲れる……?背が高い相手だと、見上げていないといけないから首が疲れるとか……?」
和臣さんの言葉に、再び菜々さんがぶっと噴き出した。
「そうですね、ある意味そうかもしれません」
私がそう言うと、菜々さんが少しだけ腰を浮かせた。
「結梨絵ちゃん、どんな基準なの、それっ!」
「あ、いえ。物理的というか肉体的に疲れる話ではなくて……。首が疲れるよねって気が付いて、目線を合わせてくれたら疲れないですよね?いつも見上げていることを当たり前だと思って、首が疲れることに気が付いてくれない相手といたら、精神的にきついと思うんです」
菜々さんが椅子の背に体重をかけました。
「そういうことかぁー。なるほど。確かに、自己中で相手のこと考えない男は疲れるわ」
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