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20 転校生に同情する。

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「うわ、マジかあ、そっちもバレてるのか。姉さん優秀だね。
 正直さあ、ゲームの姿とは似ても似つかないのに、『シャルロッテ』として学園に編入したら、レオと変な噂たてられるし最悪なんだよね。それってやっぱりゲームの変な強制力あるんじゃないのかなあ」
 シャルロッテは、頭を掻きながら首を竦めた。

「あれだけ殿下と一緒に行動してれば噂になるわよ。そもそも殿下があんたの行動を束縛してるように見えるけど。……あんたたち、本当にそういう関係じゃないのよね?」

 アリシアが問い詰めると、シャルロッテは苦虫を噛み潰したような顔をした。口がへの字になっている。

「……マジでキモいからその発想やめて。俺、レオの護衛も兼ねてるから一緒に行動せざるを得ないんだけど。
 レオが俺の行動を束縛し過ぎってのは多分単なる嫌がらせな気がするし。カミルと約束すると、何かしら用事っていうか、任務を言いつけられるんだよな」

 シャルロッテが頭を抱えて王子への文句を呟いていると「なるほど、単なる私情ね」とアリシアが納得したように言った。

 2人は軽快な会話を繰り広げていたが、僕は一人状況が分からず頭を捻っていた。

「……2人とも、一体何を言っているの?」
 僕が困惑して呟くと、シャルロッテとアリシアは、はっとした顔をしてお互いを見合った。

「え?もしかしてカミルも転生者?」
 シャルロッテが僕の頬を両手で挟んで覗き込む。僕は戸惑いながらも小さく首を傾げた。

「ちょ、至近距離でさっきからエロく煽られるし、あざとすぎる仕草も可愛いくて我慢できないんだけど。キスしていい?」
 シャルロッテが冗談なのか本気なのか分からない口調で呟き、顔を近づけてきた。僕は理解が追いつかず固まってしまう。

「ダメに決まってんでしょ!何ふざけたことぬかしてんのよ!!」

 アリシアは僕とシャルロッテの間に割って入り、僕を彼から引き剥がすと、シャルロッテの股間を蹴り飛ばした。

「ぐふっ……!」
 シャルロッテは悶絶してベンチから崩れ落ち、地面にしゃがみ込んだ。

 ア、アリシア……惨い……!!    

 僕は、股間を押さえて苦しんでいるシャルロッテを呆然と見下ろした。ちょっと、いや、かなり気の毒に感じてしまう。

「カミルは転生者じゃないわ。私の事情は説明してるけどね」
 アリシアが僕を庇うように立ち塞がり、シャルロッテを睨みつける。

「カミル。説明するから、あんたも後でちゃんと話すのよ」
 アリシアは、僕にベンチに座るよう促してから、自分も僕の隣に座った。

「まず、この男は『シャルロッテ』じゃないわ。本名はフランツ・アルスラン。アルスラン伯爵家の庶子よ。そして、彼は一応乙女ゲームの攻略対象キャラの一人で騎士団長の息子ポジション。」
 
「一応言うなよ」
 地面に蹲っているシャルロッテこと、フランツが不貞腐れた顔でぼやく。涙目になっている。
「まあ……でもよく調べたね。流石、悪役令嬢」

「その特徴的な外見ですぐに気が付くべきだったわ。あと、会話してハッキリしたけど、この男も私と同じ前世の記憶持ちで転生者みたい。
 で、カミル。あんたからの好感度をあげるべく、何も告げず、私に隠れていろいろと行動した男、……レオンハルト殿下も、多分転生者よ」


「えっ?」
 予想もしなかったアリシアの言葉に、僕は驚いて声を上げた。
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