死神と呼ばれた俺は聖母と呼ばれた彼女に恋をした。

尾高 太陽

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~始まりの異変~

ー契約書ー

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「はは、ははははは!!!!!やっぱり!!やっぱりあの人はやらかしてくれた!!!」
「行け。」
 するとタナトス様の声が聞こえた。
 温度を見るというピット器官対策だろうか。全身が隠れるほどの黒い布を被った3人が何処からか現れた。
 しかしその布も意味なく、3人が蛇を囲うようにグルグルと回ると蛇はそれを目で追いかける素振りを見せた。
 いや、〈目で〉と言うのは正しくない。あの蛇の目はこの手で潰したのだ。ピット器官と言うのが正しい。
「脱げ!」
 そのタナトス様の掛け声に、走っていた3人のうちの2人が黒い布を脱ぎ捨てる。
 その2人はビッショリと濡れたインとボックスだった。
「マズイ!!」
 あの2人は付き人は付き人でも思考を得意とするタイプの2人だ。
 付き人としての護衛は最低限のライン。ましてやあんな未知数の生物と戦うには向かない。
 いくら人がいなかったとしても、あの2人では太刀打ち出来な……い!?
 しかしインとボックスは戦うどころか動くそぶりすら見せず、その場に片膝をついた。
「何をして!!………?」
 しかはさ蛇は絶好の獲物であるインとボックスを襲わず、未だに走り続けるもう1人をピット器官で追いかけていた。
 ?というかあの走ってる人。
「タナトス様!?」
 顔は見えないがあの前傾姿勢であまり手を振らず、足音のない走り方。
 間違いない、タナトス様だ!!
「あの人は!!!」
 すぐに無茶をする!!
「待て。」
「グェッ。」
 タナトス様を怒ってやろうと走り出した瞬間、ジグムンドが僕の襟首を掴んだ。
「何をするんだ!!」
「見てろ。」
 するとタナトス様は貯水地すぐ横に立つ小屋のゴミ箱を足場にして小屋の上に立った。
「さぁ来い。」
 そう言い放ったタナトス様の顔はこれ以上無いほどの不敵な笑みだった。
「~~~!!!」
 その笑みを見た瞬間、快楽にも似た感覚に襲われた。
 全身を毛は逆立ち、瞬きすらもったいない。そんな僕の顔はいつの間にか笑みをこぼしている。
 次の瞬間、蛇は体をバネのように使い高速でタナトス様へと飛んでいった。
 しかし、今はもうタナトス様への心配は微塵もないない。
 飛んで来た蛇の口がタナトス様を飲み込む寸前。タナトス様は横の貯水地へと飛び込んだ。
 何故ならあの人いつも……。
 蛇の進行方向に、もうタナトス様はいない。
 だが飛んだ勢いの殺せない蛇はもう、タナトス様の投げた着火済みの爆薬を飲み込む以外にもう未来はない。
 いつも…。
「やらかしてくれる!!!」
 爆薬は蛇の口の中で爆発した。



「やはりタナトス様の思考能力は頭一つ飛び抜けていますね!」
 誰とも知らない男がそう言った。
 今回の報酬目当てなのだろう。
「今から行くところがある。」

 男をあしらって目的地へと向かっていると、スケール管理棟から拡声器でシェルター内に響き渡るジジイの演説が聞こえた。
「今回の事故では6つの命を失い。多数の負傷者を生んだ。我々は命を賭して戦ったもの生きようとしたものに冥福を祈る。また今回のような事が起こった原因は予測不可能な事の積み重ねである。よって次は何も失わぬように、次は誰もが今回のような事立ち向かえるように、強化訓練に力を入れる事を宣言する。」
 そのジジイの演説には拍手など起こらない。
 それを聞く市民達は誰もが俯き、誰もが拳を握る。
 悪いなジジイ。俺はジジイでも市民の味方でもない、俺は俺の考えを進めてやる。
 そう自分に言い聞かせて右手に持ったカゴの持ち手を強く握りしめた。

 農作地で俺が死を選ばせた男の家族。
 爆薬を持たせ、蛇に食われろと俺が命令した。
 そこに解放政策は関係なく、ただ俺一個人を信じ、取引に応じた男。
 その男の住む第3居住地の1つの扉を叩く。
 〈爆薬を持ってアレに食われろ。ここで死を選べばお前の家族は飢え死にさせない。〉
 その約束は果たさなければならない。
 すると中から、男の配偶者であろう目を腫らした女とその足に抱きついている幼子が出てきた。
「っ!!」
 解放政策とでも思ったのか、女は後ずさりをした。
「安心しろ。別件だ。」
 まずはそう言い切り。次に上着の内ポケットに入れていた契約書を女に渡す。
「これは?」
「お前の旦那との契約書だ。例の事件でお前の旦那に死を命じた時にお前の旦那が持ちかけた契約だ。」
 女は少し驚いた様子で契約書に目を通して行く。
「お前は見たか分からないが。今回の事件では巨大な生物が現れた。その生物を倒すにはどうしてもお前の旦那の死が必要だった。俺が死を命じるとお前の旦那は条件を出してきた。その条件がそれだ。」
「奴を倒すために私は死を選ぶ。ただし、死後は家族を養えない。よって私は条件を1つ提示する。私の死を確認した後、私の家族の生活を保障すること………っ。」
 女の目には涙が溜まっていく。
 そして涙をこぼしながら優しく微笑むと俺に目を向ける。
「私の夫は……人のためになりましたか?」
「当たり前だ。それは揺るがない事実で、俺がその証明をしてやる。お前の旦那……いいや〈誰よりも弱かった〉男は最後の捨て身の攻撃で勝利を手に入れた。最後は誰よりも強くあったんだ。」
 女は首を傾げたが、何かを理解したのか微笑み深く頭を下げた。
「生活の保護とは言っても、その子の父の代わりになれるわけではない。保護できるのは、あくまでも生きていくのに必要な食材や備品だという事は分かってくれ。」



「儚いものですね。」
 今回の犠牲者を見てベルセルクはそう呟いた。
「奴を予測、対処出来なかったスケールの責任だ。」
「こんな事、予測も対処も出来る方がどうかしてます。」
 違いない。
「俺はあっちを見てくる。お前は寝ろ。終わってからスケールに呼ばれて眠れてないだろ。」
「それはタナトス様も、いえタナトス様こそ!」
 ベルセルクの見る、三角巾に吊るされた俺の右手を軽く持ち上げる。
「俺はいい、これが終わればいつでも寝れる。」
 そうベルセルクに言い聞かせて、蛇の元へと向かう。



「やった!!」
 そんなベルセルクの歓声を裏切るように蛇は口から血を流しながら頭を持ち上げた。
「………2発だぞ。」
 男に持たせた1発目は周りに金属板を巻きつけ威力は落ちる代わりに金属片が口の中に刺さるように細工した物。そしてその口内の傷を中心に留めを刺すはずだった2発目は失敗に終わった。
「マズイ!!」
 すると蛇は爆発を恐れたのか、まるで逃げるかのように居住地に入っていった。
 水から上がるとベルセルク、ジグムンド、イン、ボックスが集まっていた。
「どうする。」
 ジグムンドの質問への答えは1つしかない。
「追う。出来るだけ住民に被害が出ないように囮になって居住地から離すぞ。」
 ベルセルク以外は頭を縦に振る。
「ちゃんと命令に従えは暴れさせてやる。」
 すると少し不満気ながらも「分かりました。」と言った。
「インとボックスは基本避難指示と人命救助をしてくれ。なんなら住民に水をかけて蛇から見えなくしてもいい。」
「「分かりました。」」
 「先に行け。」と合図すると二人は迷いなく居住地へと走っていった。
「俺たちは囮だ、出来るだけ蛇の目を引いて居住地から離す。」
「ジグムンド。」
 するとジグムンドは俺やイン達が脱ぎ捨てた布を拾いベルセルクに被せた。
「熱っ!!?え!?この布は温度を隠すためじゃ…。」
「いや、その反対だ。この温度の高い布を被って蛇の標的を3人用意し、そのあと二人に布を脱がせ俺一人に集中させる。もしもの時のためにインとボックスには冷水を浴びておいてもらった。そして俺が爆薬を食わせて終わり……のはずだったんだが。」
「………。」
 ベルセルクは顔を俯かせる。
「今はそんな事を言っても仕方がない。早く行くぞ。」
 そう言って布を被ると、ジグムンドも同じく布を被った。



「タナトス!!」
 居住地に入ってすぐ。パニックを起こしている住民たちを対処しきれていない警備者の中からテミスが現れた。
「状況は聞いてる。だがこれだと奴をどうにもできん。今は貯水地側が安全だ、どうにかそっちに避難させろ。」
「分かった。一応やってはみるが、これだけのパニックだ、期待はするなよ。」
「期待してるぞ。」
 これである程度の住民は避難できるだろう。
 問題は今奴が何処にいるかだが、あれだけの巨体だ。すぐに……。
「いました!!」
 こうなる。
 住居の陰で全体は見えなかったが住居と住居の隙間から長く鞭打つ様に動く尾が見えた。
「行っ、クソ!」
 蛇のいる場所へ行こうしても、パニックの住民達が壁になり、動けなかった。
「タナトス様!!」
 仕方ない。
「先に行け!もう一度言うが今は居住地から離すことが目的だ。今テミスが住民を貯水地側へ避難させているから、その反対の農作地、最初に誘い込んだ農作地へと追い込め!」
「分かりました!!」
 そう言ってベルセルクとジグムンドは高く飛び上がった。
 一度の跳ねで3階の高さまで飛び上がり、壁を蹴ってさらに飛び上がる。
 それを繰り返して屋上へとたどり着いた二人は蛇の方へと向かい、見えなくなった。



「おいベルセルク!俺の指示通りに動け!!」
 タナトス様がいなくなったとたん話し出すからコイツは…。
 でも、いつも冷静だ。
「分かった。一応耳をすませせておくがジグムンドも声は大きめで頼む。」
 ベルセルクは頷くと、蛇とその周りを見渡せるマンションの屋上へと飛んで行った。
「蛇の頭を左から全力で殴れ!」
 おいおい。
「先輩に命令はやめな……さいっ!!!」
 蛇は数十メートル飛んでいくと、その勢いのままT字路の突き当たりのマンションへと打ち付けられた。
「逃げるぞ!右の道に逃がすな!!」
 僕はT字路の右の道に立つと、蛇は少し鈍くなった動きで左の道へと体をくねらせて行く。
「そのまま壁まで追い込め!!」
「了解!」

 蛇が曲がろうとするたびに、僕はジグムンドの命令通り先回りした。
 温度だけで〈僕〉を見分けているのか〈人間〉というものを恐れるようになったのかはわからないが、事実蛇は僕の事を恐れている。
 そうなれば簡単な仕事だ。

 蛇がとうとう突き当たりの壁に追い込まれた。
 あとは左右に道が広がるだけ。
 周りには古書館やら教会やらがあるが、もう人はいないだろう。
「右に追い込め!」
 僕が左の道に立つとほぼ同時、教会の裏から一人の子供が泣きながら歩いてきた。
〈住民に被害が出ないように〉
「マズイ!!」
 蛇は子供に飛びかかったが、子供に触れるよりも早く蛇の頭に蹴りを入れる。
 蛇は教会の壁にめり込むと動かなくなった。
「ジグムンド!!」
 指示がなければこの子供を殺してしまう方法を取ってしまう。そう考えていた時だった。
 蛇が突然動き出した。
 壁はガラガラと崩れ、ステンドグラスを通った色とりどりの光が蛇を照らす。
「こ、こっちに来ないでください!!」
 そして、壁のなくなった教会の中からは1人の女の声がした。
「ジグムンド!人がいる!」
「分かっている。こうなれば今までのような力押しでは行けない。とにかく守る事に集中しろ!」
 それは分かってる!
「どう守ればいいんだ!!」
 教会の中をよく見ると臆する事なく手を広げ仁王立ちで蛇に向かう1人の女、そしてその奥にはまるで1つの団子のように集まった数の分からない子供達がいた。
「子供がいる!!別の道から行った方がいいんじゃ!!」
「ダメだ!もう一つ隣の道はまだ人がいる!」
 あぁ!どうすれば!
 こんな時タナトス様なら。
「おい!!」
 すると蛇が協会の中の女に向かって飛びかかった。
 って、マリア!?
 さっきは土煙で顔が見えなかったが、蛇に立ち向かっていたのは育児者のマリアだった。
 蛇の口にマリアが入るよりも早くにマリアを抱き抱え飛び上がろうと。
「子供が!!」
「っ!!」
 今からマリアを下ろして拳を振っても………。
 ダメだ、間に合わない。
 こんなところで。
 タナトスのためでもなく、マリアのためでもない。子供ために死ぬ?
 でもまぁ、まだマシか。


 とでも思っているのだろう。
 させるか。
 遠隔のスイッチを押すと3発目の爆発が蛇の口の中で起こった。
 爆発の勢いで蛇は後方へ吹き飛び動かなくなり、「え!?」っとマリアを抱き抱えたままのベルセルクが声を出した。
「まだだ!!呼吸してる!!」
 すると少し離れたマンションの屋上からジグムンドの声が聞こえた。
「クソッ!」
 ベルセルク、今はそんな事を言っても意味はない。
 が、かなりマズイ。
 今の爆薬で最後だ。来る途中、いつの間にか戦闘から抜けていたヘーパイストスからこの遠隔起爆の爆薬を貰った。
 おまけに超高温で口の中を焼く新型。
「それを食らってもまだ…。」
「タナトス様!!」
 すると教会隣のマンション3階にいた俺にベルセルクが気がついた。
「マリア!今のうちに子供達を避難させろ!!」
「わ、分かりました!」
「ベルセルクは何でもいい、武器を持ってこい!!」
 持って来たところで倒せるかどうか。
 するとベルセルクではなくマリアが声を上げた。
「武器なら教会の奥にあります!!旧文明の物なので古いですが、シェルターで作ったものよりかはマシです!!」
 マンションから飛び降りて教会の中に入る。
 するといつもは聖書台の真上の壁に飾られている、研ぎ澄まされた剣を持ったマリアがいた。
「これなら使えるかと…。」
「…あぁ、問題ない。むしろ近接武器としては完璧だ。」
 問題はこれをいつ使うか…。
 剣を眺めていると小さくジグムンドの声が聞こえた。
「動きはじめたぞ!!」
 振り返った瞬間、そこには大きく口を開けた蛇がいた。
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