【本編完結】公爵令嬢は転生者で薔薇魔女ですが、普通に恋がしたいのです

卯崎瑛珠

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最終章 薔薇魔女のキセキ

番外編4 薔薇魔女の結婚式 後

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「ゼルさんは、連れてこなくてよかったんです?」
「血で汚れたら、式場には入られへん。お祝い事やからなあ。て言うて止めといた。な、師団長」
「そういうこっちゃ。ま、しゃあない」


 結婚式二日前。
 第三騎士団師団長リンジーと、その補佐を担うヒルバーアとテオが、王都南の郊外にある狩猟小屋に着いたのは、昼前だった。
 
 イゾラ聖教会と、タウィーザを追い落としたいアザリーの前国王派が協力して、タミーマを誘拐したという情報を掴んだフィリベルト。この際一気に叩けとばかりに、リンジー経由でイゾラ聖教会に『ローゼン公爵家への敵意と受け取った。然るべき対応を取るが良いか』と通達させた。はたしてフィリベルトの思惑通り『関知していない』とトカゲの尻尾切りをされたわけだが、中の司祭は当然知らないだろう。
 
 太陽神殿がアザリーの前国王と癒着ゆちゃく関係にあったことも、長い間証拠がなかった。『生き証人』を得られると、当然ヒルバーアはこの任務への参加を願い出た。
 そうして、ユイから所在地を知らせる魔道具を受け取ったため、三人でやってきたのだが――

「ハーリドがいるとか、知らんやん!」
 ガシガシと頭をかくリンジーが、苦笑しながらぼやく。
「あいつ、わざとこの場所にしたな……しかもただの調理人の気配ちゃうやんか。おっかな!」
「真面目やしなぁ。鍛錬続けとったんやな」
 腕を組んでうんうんと頷くヒルバーアに、
「うわぁ~学院にいる時と全然違うんですけど……」
 テオは、素直に感心している。

 狩猟小屋周辺には、他国王族対応の面目を保つため、副団長ジャンルーカ、魔術師団長ラザールの率いる部隊が展開している。静かにそこかしこで、バタバタと人間の気配が絶たれる音がしていた。
 二人を誘拐した山賊もどきの勢力は、あっという間に制圧されたようだ。その証拠に、森の中でラザールの杖の先が一瞬緑色に光る――つまりは『全滅』だ。
 
「はああ。しゃあない。ハーリドはワイが止めるよって、タミーマをテオ、ユイをヒルが救出」
「いや逆やろ!?」
「いんや。師団長命令」
「ヒルさんじゃないと、ユイ動かないですよ、きっと」
「うぐ」
「ねえヒルさん。僕、ヒルさんとも義兄弟になれたら嬉しいんですけどね?」

 ニコニコとテオがヒルバーアを見る。その後ろからリンジーもニヤニヤしている。

「したら、第三騎士団家族隊、結成やなあ~」
「おいリンジー。うっかりほっこりする隊名つけんなや」
「あはは! うっかりほっこり!」
「テオ、笑い事ちゃうて……」
「ねえヒルさん。僕ら、こういう影の仕事だから。せめて一緒にいるっていう形がないと、不安じゃないですか?」
「っ」

 リンジーが、テオの丸い頭を後ろから乱暴に撫でる。

「ん。テオの言う通りや。さ、いくで」

 じわり、と足元からにじみ出てくる黒霧。
 あっという間にリンジーの姿が消え、ヒルバーアもそれに続き、テオは
「ユイ、怒ってるよなぁ~……嫌だな~」
 溜息をつきつつ、風魔法で屋根へと飛んだ。
 
 そろり、と上から窓を覗きこみ、中の様子を窺うと――さすがリンジーとヒルバーアだ。
 既に内部制圧に動いていたので、慌てて室内に飛びこみ、タミーマの安全を確保する。
 
「殿下、ご安心を」
「ありがとう!」

 が、リンジーはハーリドと交戦状態になり気が抜けず、背後にユイを庇い立つヒルバーアに対しては、司祭が一方的に激高していた。

「イゾラの司祭を、結婚式に招かないなどとはありえん! だからこのような不幸が起こるのだ!」
「薔薇魔女は、イゾラの現身うつしみって奈落戦争で判明したやろがい。知らんのかいな? 神様自身の結婚式ぐらい好きにさしたらええやんか」
「現身などと、嘘を言うなああああああ!」
「あほうが。であっても神職が人間に危害加えてどないすんねん。司祭失格やぞ」

 ギラリ、とヒルバーアの目が黒紫に光り出す。

「あ……あ……」
「奈落の三神のうちが一神、ジズはこの通り健在や。自分の目で見てみぃ。それも知らんかったんか?」
 
 めきめきと伸びる黒い爪と牙。腕にはわしわしと黒紫の羽根が生えてくる。
 
「ひい、いいい」
「しっかしなんやねん、その腹は。どうせ神殿奥で食っちゃ寝して、ダラダラ過ごしてただけやろ。誰にそそのかされた? 前国王の一派か、前摂政の息子か?」
「しら、しら、ない! しらない!」

 ぶんぶんと頭を振ると、脂汗が飛び散る。
 不快さに顔を歪ませるヒルバーアは、会話を切り上げることにした――本当に知らなかったであろうことが、見て取れたからだ。

「ち。役立たずが……眠れ」

 カカッと光るジズの眼力を浴びて、司祭は白目を剥く。
 誰もその身体を受け止めなかったため、彼は床にしたたかに両膝を打ち、さらに全身が崩れて前倒しになり、顔面を床に打った。じわり、と流れ出る鼻血が木の床材を汚している。
 
「あー。どうやユイ。恐ろしかろう」

 異形の姿で気まずそうに振り返るヒルバーアに、ユイは
「来るの遅い!」
 とだけ言って、頬を膨らませながら抱き着いた。
「あ?」
「おなか減った!」
「お、おお……?」
「ふふ。ヒル兄様ったら。ユイはとっくに受け入れていますのに」
「タミーマ……」
「怖がらなくて良いのですよ。ね?」
「!」
 
 ――ガキン、キィン!

 と、その和やかな雰囲気を金属音がぶち破った。
 
「ちょ、なんや解決したみたいになってるけどやなあっ」
 リンジーが叫ぶ。
「もー、手ぇゆるめんかい、ハーリド!」
「腕、衰えたんですか? 伝説の隠密ともあろうお方が」
「ああん?」

 たちまちぞわり、と立ち上るリンジーの禍々しい殺気に、タミーマは思わず「ひっ」と悲鳴を上げた。

「そない煽るんやったら、本気だしたろか」
「望むところです」
 
「あー、はいはい……外でどうぞ」
 テオが窓を大きく開けると、ふたりは瞬時にそこから外へと躍り出た。
 
 当然のことながら、ジャンルーカとラザールが身構えたので「大丈夫ですよー!」とテオが声を張り上げる。ふたりは不思議そうな顔をしつつも武器を下ろして、小屋へと向かってきた。
 
「ちょ、テオ!? 止めないの!?」
「うん、ユイ。きっと師団長なりの、入団試験だよあれ」
「あー。せやな」

 ヒルバーアは、すっかり元に戻った顔で笑った。

「ハーリドは、真面目過ぎんねん。ローゼンに恩を返す場所を探してたんやな」
 
 
 ――後日、ハーリドは調理人ハリーとして働きつつではあるが、第三騎士団員として採用された。数年間真面目に学院に勤務していた実績でもって、ジョエルもすぐにサインをしてくれたのだ。
 兄の形見については「そんなもの……あるわけがないし、あったとしても思い出だけで十分です」と笑っていた。
 
 また、当然タウィーザはこの事件をもって、前国王及び前摂政勢力をさらに追い詰めていくのだが――反対勢力も必要だろう、と全てを断罪はせず、広く意見を取り入れるための『オアシス議会』を作っていく。そしてそれは、小規模勢力が集まって一国を成すための『ノウハウ』として、後世にその名を残していくのだ。砂漠の守護神は、賢王でもあった、と。
 
 
 
 ※ ※ ※

 
 
 結婚式前日の夜、王宮の迎賓室。
 長テーブルには真っ白なテーブルクロスが掛けられ、その上には色とりどりの花々が、これでもかと飾られている。
 ローゼン公爵令嬢のために集まった友好国の面々のために、マーカム王太子アリスター主催で開かれた晩さん会。
 開始前のこの時間は、それぞれ思い思いに歓談していた。

 この日のレオナのドレスは、ローゼンカラーの瑠璃色。
 デビュタントのドレスとはまた違ったデザインで、ワンショルダーのマーメイドライン。裾にはたっぷりめの同布フリルがアシメトリーにつけられ、首には『皇帝の赤』のチョーカーを付けている。奈落戦争でアリスターとの賭けに負けたベルナルドが、約束通り王太子妃であるミレイユにも『皇帝の赤』を贈っていて、「ふたりも身に着けてくれているのか」とラドスラフが大いに喜んだ。
 
「ほんっとレオナって、びっくりするぐらい顔が広いわね」
 
 シャルリーヌがそう言って呆れるのも無理はない。
 国を挙げての式典ですら滅多にそろわない顔ぶれが、今ここで一堂に会しているのだから。
 
「シャルー! なんでこうなっちゃうのかな!?」
「安定の無自覚。相変わらずねえ」
「どういう意味!?」
「はは。圧倒されるなあ。シャルがいて良かったぞ」
「そういうゼルだって、王弟でしょうよ」
「んむむう」
「ゼル様がそのようにタジタジになられるお姿、初めて見ましたわ!」
「うぐ。フランソワーズ嬢にまで……」
「殿下。ザーラにはわたくしからもお話をさせて頂きましたから。ご安心くださいね」
「! すまん。助かる」
「問題ございません。女は、したたかですのよ――ですがこれだけ、お伝えを。ザーラが貴方様をお慕い申し上げておりましたことは、事実です。そして、後悔しておりません」
「うん……ありがとう」
 しょぼんとするゼルの傍らで、タミーマがその二の腕をさすって慰めてくれたので、ゼルはその手に自身の手を重ねた。

 やがて儀典官がやってきて、出席者を読み上げ始める。
 上座にはブルザーク帝国。その向かいにガルアダ王国とマーカム王国。帝国の隣にアザリー、の順で席に案内をしていく。
 席次に当然悩んだアリスターに、レオナが「丸テーブルがないのなら、くじ引きで!」と言ったのもまた語り草になっているのは余談だ。
 特に、ブルザーク皇帝ラドスラフは「くく。席がくじとはな! 毒殺防止にもなって良いな!」とひとしきり笑っていた。
 
 ブルザーク帝国
  皇帝ラドスラフ 陸軍大佐マクシム
 
 ガルアダ王国
  国王カミーユ マーカム王太子妃ミレイユ
 
 アザリー王国
  王弟ゼルヴァティウス 王妹タミーマ
 
 マーカム王国
  国王ゴドフリー 王太子アリスター 宰相ベルナルド 公爵令息フィリベルトと妻フランソワーズ 王国騎士団長ジョエルと妻シャルリーヌ
 
 レオナとルスラーンを入れて総勢十五名のこの顔ぶれは、眺めるだけでメイドたちが緊張するのも分かるな、とレオナはそっと溜息をつく。まさに豪華絢爛、だ。
 
 全員席に着いた頃を見計らって、中央席に座るアリスターが椅子から立ち上がり、グラスを掲げる。

「今宵、集まってくれたことに感謝する。世界の救世主と、薔薇魔女。そして大陸四国に!」
「「「「「乾杯!」」」」」

 食事に使われている調味料を会話のきっかけにして、大いに盛り上がるディナーであるものの、終始浮かない顔をしているのはやはりゼルだ。

「どうしたの? ゼル」
 レオナが気遣うが
「ん? ああいや……」
 言葉を濁してしまう。
「あ、わかったー。ザーラ嬢の嫁ぎ先が気になる、とかー?」
 こういう時、無遠慮なジョエルが逆にありがたかったりする。
「ん……そ、そう……だな。おほん」

 その声を耳ざとく拾ったアリスターが、食事の手を止めて再び立ち上がった。

「食事中にすまないが、せっかくだ。この祝いの席で、さらに祝い事の発表をしようか!」
 
 金髪碧眼の王太子が、ちらりとカミーユを窺うと、にっこりと頷いた。

「さて。我が弟のエドガーが、現在ガルアダ王国に留学中なのは皆も知っていることだろう」
 
 全員が静かに次の発言を待つ中、ゼルだけが「まさか……」と小さく呟いた。
 
「カミーユ陛下にも認められるぐらい、真面目に勉強に取り組んでいるようだ。帰国後は、公爵の爵位をマーカム国王より拝領予定であるのだが、さらになんと、婚約することになった!」
「おお」
「それはめでたい」
 方々から湧き上がる祝いの言葉と拍手に、アリスターは笑顔を返す。
「弟の結婚式に来い、とは言わないが、祝いの手紙ぐらいはくれたら嬉しい!」

 どっと笑う全員を見て、アリスターは満足そうに席に着き――ゼルにウインクした。
 
「なるほど、ザーラの相手はエドガーか!」
「えええええ!」

 ゼルとともに、レオナもはしたなく口を開けて驚きながら、ルスラーンの横顔を見上げる。
 
「あれほどルスがキレてたのって……そういうこと……」
「な! 俺の仕事、すんげえ増えるだろ?」
「僕の仕事もねー」

 げんなりするルスラーンが、ジョエルと一緒に苦笑した。

 近衛筆頭として、帰国する第二王子はもちろん、その婚約者の警護も監督しなければならなくなったのだ。
 はっきり言って同情する。たかが一人増えたところで――では片づけられないのが、要人警護の難しさ。婚約者であると発表されたと同時に、王族に準じる体制をザーラにも敷く必要がある。

「デスネ」
「でも、よかったわよね、ザーラ」
 
 シャルリーヌがグラスを傾けながら言う。

「うん?」
「だって公爵夫人として、フランソワーズとふたりで協力しあえるじゃない?」
 それを受けてフランソワーズも「ええ、心強いわ。芯のしっかりした方だから」と微笑んでいる。

「さあ。花嫁が寝不足になってもいけない。そろそろお開きにしようか」

 ラドスラフと歓談していたベルナルドが全員に声を掛けると、それぞれが頷いた。
 レオナはルスラーンと共に扉口へ移動し、出席者たちを見送る姿勢を取る。

「レオナ……明日は楽しみにしておるぞ」

 ラドスラフが優しい顔をしているのが嬉しく、レオナは自ら右手を差し出した。
 皇帝は熱い視線を交わしてからその手の甲に、キスを落とす――さすがにルスラーンがヤキモチを妬いたが、続けざまにマクシムやカミーユたちもキスを捧げ始めて、場が和んだ。

「我が娘ながら……誇りだな」
 ベルナルドが、その様子を離れた場所から眺めて、目頭を熱くしている。
「父上。本番は明日ですよ?」
 あきれるフィリベルトがハンカチを差し出したが、そのフィリベルトの瞳も眼鏡越しに潤んでいることに、フランソワーズは気づいていた。



 ※ ※ ※



 良く晴れた日の、朝。
 
 緊張の面持ちで控室に立つレオナは、何度もマリーとユイに
「おかしくない? 私、大丈夫かしら?」
 と確認をしている。
「自信をお持ちください、レオナ様」
「世界一お美しいです!」
 マリーは、ローズマリーを別のメイドに預けてまで来てくれ
「ついに、私の夢が叶いました」
 と泣きながらウェディングドレスを着せてくれた。
「マリー……」
「普通に恋をして、恋愛結婚する。レオナ様の夢が叶って、本当に嬉しいのです」
「やめて! 泣いちゃうから!」
「ぐす、ふふふ」
 
 この世界では、花嫁のドレスは何色でも良い。
 だがレオナはやはり、純白を選んだ。
 
 パニエたっぷりのプリンセスラインのドレスは、ハートカットラインのビスチェから首元まで繊細なレースが覆っていて、過剰な露出にならないような配慮がされた。
 数メートル引きずるほどのロングトレーンは、長ければ長いほど身分の高さを示すだけあって、さすがに取り回しが大変そうだがユイとスイが担ってくれている。ドレス全体に、いつものオートクチュールのマダム渾身の薔薇の刺繍と、きらめくホワイトダイヤがこれでもかと施されており、歩くたびにキラキラと光る。
 
 レオナの耳には、ガルアダに住むホワイトドラゴンのリサが「あげる!」といきなり内緒で持ってきた、大粒のパープルレッドのカラーダイヤが揺れていた。
「この色だけど、ダイヤなんだ~すっごい貴重で、たぶん世界にこれしかないよ! じゃーねー!」
 と相変わらずの勢いであっという間に羽ばたいて行ってしまい、ぽかんと見送るしかできなかったのが悔やまれる。後日必ずリサの「白竜殿」を訪れて、手作りの焼き菓子をたくさん振る舞おうと心に決めている。
 
「すごいな、レオナと俺の色だ」
 受け取った石を見たルスラーンがそう言って、感激していた。
「もし授かれたらの話だが……子供たちに引き継いでいきたいな」
「ええ。お母様の指輪と一緒に」
「! そうだな!」

 
 ――バージンロードと見立てた、王宮中庭の石畳の道。レオナはさまざまな思いを胸に、ベルナルドと共に歩き出す。宮廷楽団が脇に控えていて、静かに音楽を奏でだした。
 
 
「はあ。ついにこの日が来てしまったな」
「お父様……」

 そっと手を添えるベルナルドの腕は、いつもと違って体温が高い。

「ああ。素晴らしい。美しい、自慢の娘だ」

 耳にはリサ・ガルアダのカラーダイヤ。胸にはラドスラフ・ブルザークの皇帝の赤。そして頭にはアザリー国王タウィーザから贈られた、金のティアラ。
 
 文字通り、大陸四国が彩るレオナのドレス姿を確かめてから、前を向いてゆっくりと歩き出す父の横顔は――ベール越しに見ても力強く、晴れ晴れとしていた。
 
「ありがたく存じます。私にとっても、自慢の家族であり、自慢の仲間たちです」
 
 芝生の上にいくつも並べられた、凝った装飾の白いベンチ。
 その前に立って待っている、たくさんの人々が笑顔で迎えてくれる。
 最奥でひとり待つルスラーンにゆっくりと近づいて――ベルナルドはレオナを託した。

「……任せたぞ」
「はっ」

 レオナの希望で、ルスラーンは近衛筆頭の礼服ではなく、タキシードを仕立ててもらった。
 白光沢の細身のジャケットに、黒紫のベストとタイを合わせて、パンツも靴も白。胸ポケットには深紅の薔薇を基調とした大ぶりのコサージュを付けている。
 てっきり騎士服で来ると思っていた男性陣には、意外と大好評で、特にブルザークの受けが良かった。やはり祝いの席にまで軍服で出るのは、抵抗感が多少あるらしい。
 
「なんと、洒落ている。我が国でも早速取り入れたいな」
 とラドスラフが絶賛し
「素晴らしいですね。男性もこのような装いでとは……これは楽しい」
 マクシムも同意して、
「ああ。すぐにでも流行りそうだ! さすがレオナ」
 ディートヘルムも頷く。

 それを見たペトラが
「でも全員、今んとこ結婚の予定ないじゃん」
 と無慈悲なことを言って、なぜかキーラとサシャが慌てふためいている。
 ジンライは、それをフォローするどころか
「あはは! ほんとすね!」
 と笑うだけという肝の座りっぷり。すっかりペトラに毒されているな、とゼルが密かに溜息をつく。
 そんなブルザーク一行を脇から護衛するオリヴェルとヤンは
「うあー、まじキレイっすね」
「ああ。女神のようだな」
 と感嘆の息。同時に
「陛下たち、これでレオナ様のこと吹っ切れられますかねぇ」
「はは。大丈夫だろ、見ろあの表情」
「うん。幸せそっす! あーあ、俺も幸せになりたーい! アダッ」
 ヤンの頭頂には、いつも通りオリヴェルの拳骨が降った。
 

 フィリベルトは、ジョエルとともに新婦側のベンチに立っていた。もちろんそれぞれフランソワーズとシャルリーヌを伴っている訳だが……大粒の涙をボタボタ落とすジョエルとシャルリーヌ、唇を引き結んだままプルプル震えて動けないフィリベルトを、フランソワーズ一人で面倒見る羽目になったのは、後の笑い話だ。
 特にフィリベルトは、感極まりすぎて涙が氷の大粒になり、頬がしもやけで真っ赤になって、しばらく大変なことに。
 ジョエルとシャルリーヌはというと、お互い涙を拭きあっていて、ルスラーンやレオナの挨拶をほとんど聞けていなかった。後日「もう一回やって」と鬼のアンコール公演を、騎士団長邸でやらせたとかなんとか。

 
 ベルナルドが新婦側最前列のベンチへ移動すると、ルスラーンがレオナをエスコートし、ふたりそろって深い礼をした。
 ドーム型のガラス天井に白い柱の、アンティーク調パーゴラドーム・ガゼボを背にした新郎新婦は、緑の芝生と白のコントラストで、より輝かしく清らかに見える。
 
 やがて、二人は挨拶を始めた。
 
「皆さま! 本日は私ルスラーン・ダイモンと」
「わたくし、レオナ・ローゼンの」
「結婚式にご参集くださり、感謝申し上げる。大変珍しい趣向だと驚かれたと思うが――世界の危機においても、多大なるお力添えをいただいた皆様にこそ、ふたりの結婚を見守っていただきたい。その思いで、このような形にさせて頂いた!」
「みなさまなくして、わたくしたちは存在しておりません。ましてやわたくしは、薔薇魔女と忌み嫌われてきた身。にも関わらず、温かく手を差し伸べ、言葉をかけ、時には厳しく接していただいたこと。心から感謝致しております」
「私も、このまま起き上がれないのでは? と思いながらも何度も鍛えて頂いたこと、感謝申し上げる!」

 このルスラーンの発言には、
「何を言うかっ! まだまだじゃぞーお!」
 と、少し体調の思わしくないヴァジームが、新郎側最前列のベンチに座ったままで、声を張り上げた。
「はは! 雷槍の悪魔もまだまだ!」
 これには、満面の笑顔で手を挙げて応えてくれた。
 
「今日のこのめでたき日に、私ルスラーン・ダイモンは、レオナ・ローゼンを心から愛し、慈しみ、生涯を共に過ごすことを、皆様の前で誓わせて頂く!」
「わたくし、レオナ・ローゼンも、ルスラーン・ダイモンを心から愛し、病める時も健やかなる時も、一生を添い遂げることを誓います!」

 わあ! と皆が拍手でその宣言を了承し、ふたりは――向かい合って、ルスラーンが丁寧にベールを上げ――口づけを交わした。

「おめでとう!」
「おめでとう!」
「めでたい!」
「お幸せに!」

 たくさんの祝福の声に、ふたりは再び、深く礼をして応えた。

「さあ。宣誓は確かに、このローゼン公爵ベルナルドと」
「ダイモン伯ヴァジームが」
「「受領した」」

 拍手をしながらベルナルドが進み出て、新郎新婦の横に立ち、皆を見渡す。
 
「ルスラーン。レオナ。結婚、おめでとう!」

 その言葉を合図に、ガーデン全体に色とりどりの光が舞った。まるで花火のような大輪の花が、いくつも青空ではじけてキラキラと散っていく。そして再び楽団が、音楽を奏でる。
 

 ――わあああ!
 ――すごいな
 ――こんなの初めて見た
 ――魔法? 魔法!
 
 
 驚く出席者たちを尻目に、裏方で地味な作業をしているのは、

「ちょっと、トーマス! やりすぎ!」
「さーせんブリジットさーん! だって、師団長がド派手にやれって……」
「まったくもう」
「そういうブリジットさんも、やりすぎですってー! イダッ! だから角はヤメテッ」
「私はいいの」
「りふじーん!」
「はは。怒られない日ないんじゃね?」
「ブランドンさん、助けてえ」
「むり」

 ――相変わらずの、魔術師団の面々である。

 レオナもまた、打ち合わせ以上の派手さに瞳を輝かせていた。見上げる視線を左右に動かすと、中庭を見下ろすバルコニーに人影がいくつか見えて――思わず手を振った。

「あちゃー、見つかってもーた」
「あは、レオナさんほんと綺麗!」
「ほんまやなぁ。ゼブブも喜んでんの分かるわぁ」
「お美しいですね……おや? ラジ、泣いているんですか?」
「ふぐ……放っておいてくれ」
 
 リンジー、テオ、ヒルバーア、ジャンルーカ、ラザール。並んで、ルスラーンとレオナにそれぞれ手を振って応える。
 
 リンジーが
「ほな、ワイも参加しよ」
 とニヤッと青空にたくさんの黒霧で作った蝶を放つ。
 それらはテオの風に乗って会場を一周すると、ふわりと消えていく。その様は、まるで冥界からも祝福されているようだった。
 
「はあ。本当に素晴らしいわね、マーカムは」
 その空を、感動しながら見上げるタミーマに、ゼルは
「そうだろう。ここで俺は生き返ったのだ」
 と笑う。
「アザリーも、もっともっと、盛り立てたいわね」
「ああ。だが、タミーマ。その……国のために嫁ぐ必要はない。俺が頑張るから」
「ありがとう。ヒル兄様も同じことをおっしゃっていたわ」
「そうか」
「血が繋がっていなくても、兄妹だって。嬉しい」
「あぁ……あ? 今なんて言った?」
「血が繋がっていなくても。……あ。私、タウィーザ兄様とは異父妹なの。だからゼルとも血は……ゼル?」
「!?!?!?」
「ごめんね、言う機会がなくって」
「だあああ! 俺のこの苦悩は一体!」
「え?」
「タミーマっ! 俺と結婚しろ!」
「……は?」
「ああああ! ちがう! いやっ、ちがくない! あー! その、えーっと」
「……さいってー」
「うぐ」
「知らない。今の、聞いてなかったことにするから」
「すまん、すまんって! あああああ……」

 何かを悟ったらしいディートヘルムが、呆れ顔で寄ってきて
「こいつまたなんかやらかしたんだろ? とりあえず回収してくわ」
 と首の後ろをむんずとつかんで引きずっていった。
「ふふ。完全に子ライオンね」
 それを笑うタミーマは、きっと、満更でもないに違いない。
 
 ヒューゴーは最後列でマリーの肩を抱いて、皆へ輝く笑顔を向けるレオナをただただ、見つめていた。
「綺麗だなぁ、レオナ様。なあマリー」
「ええ、ヒューゴー」
「あーダメだ、涙とばんねえ、グス」
「ずび、うん。今日だけは、良いわよね」
 その二人の後ろではもっと激しく、執事のルーカスが泣いていた。
「ううう。もうダメです。歳を取ると涙脆い……うううう」
「はは!」
「ふふふ」
「はー。お美しい。レオナ様、本当に良かった……ううう」

 また、流れ落ちる涙を拭こうともしないヴァジームは
「死ぬ前に晴れ姿を見られて、満足じゃわい」
 と椅子に座ったまま、ふたりを飽きることなく眺めていた。新婦側ベンチにいたベルナルドが、その肩をバシバシと叩く。
「何を弱気な」
 アデリナも近寄り、ハンカチでその頬をそっと拭ってやりながら、微笑む。
「そうですよ。あの子たちの人生はこれからなんですよ。まだまだ見守ってやってくださいな」
「だが寄る年波には……」

 そんなヴァジームの言葉を、前方のレオナが遮る。

「では、皆様に感謝をこめて――薔薇魔女の、祝福を!」

 手に持っていた、深紅の薔薇で作られたブーケを掲げると、レオナを中心に光の円柱が発生し、周囲を七色の光がいくつも走り、やがて出席者全体を包み込むまで拡がってから霧散した。

「おぉ……」

 ヴァジームは、あまりの驚きに息を呑んだ。
 体の芯を蝕んでいた何かが、癒されたような感覚があったからだ。

「立て……る。立てるぞ……」
「ほらな、まだまだ現役でおらにゃ。孫を抱かねばならんしな!」
「うるさいわい、ベルナルド。貴様は孫ぐらいの子をこさえよってからに」
「羨ましいか!」
「羨ましいわい! リナルドは、わしが鍛えてやるからな!」
「それだけはやめろっ」
「おい親父、こんな日まで羽目外すなって!」

 そう苦笑するルスラーンの背後で、レオナがブーケトスをしたら……タミーマではなくディートヘルムが取ってしまい、しかもそれを恭しく片膝を突いて献上したものだから、ゼルと一触即発になっていた。

「ああ!? ったく、あいつら好み一緒だからな……おい、ゼル! ディート! 喧嘩すんなら追い出すぞ!」

 やべ! と言いながら走って逃げ出す大男二人を、新郎が追いかける。
 それをゲラゲラ笑いながら見る全員が、幸せそうで……レオナも笑いながら、空を見上げた。

「私は、なんて幸せなんだろう……生まれ変わって、本当に良かった」
 
 薔薇魔女の結婚式は、また人々の心を強く結びつけたのだった。



 ◇ ◇ ◇

 
「わーん! 全然出番なかったー!」
 と近衛詰所で泣くシモン。ごめんね。君ほら、通常任務のフォローで忙しかったからさ。
 他にも、私の推しが出てない! といった苦情はですね、感想コメントにて承ります笑
 
 
 というわけで、お読みいただき、ありがとうございました!m(__)m
 二か月ぶりに戻ってまいりました薔薇魔女の世界、いかがでしたでしょうか。
 ゼル君の想い人や、ザーラの婚約相手の予想、当たりましたでしょうか?
 
 個人的なことですが、某所で心ない(というか暴言?)感想コメントを頂いてしまい、もう書くのをやめてしまおうかと思ったりもしていました。
 けれども、みなさまの温かい応援メッセージや、こうして動き出すレオナ達に勇気づけられ、また書く気力が湧いてまいりました。
 
 キーラやレナートたちは、「ワケあり?事務官は、堅物騎士団長に徹底的に溺愛されている」からのゲスト出演です。
 未読の方にはだいぶネタバレですが笑、気になって頂けましたら、そちらもお読み頂ければ嬉しいです。
 
 連載中の「もふもふ通訳」と並行して、新作執筆も再開しておりますので、どうぞお楽しみにお待ち頂ければと思います。
 いつも応援してくださり、本当にありがとうございます。
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感想 44

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みんなの感想(44件)

めいんくーん

こんばんは。お久しぶりです。
なが〜いGWを持て余し、また最初から読み出した薔薇魔女🌹 今回はヒューゴーとナジャ君推しで読む❤️ よき🥰
カクヨムさんでも、読んでいるのですが、あちらではコメントの仕方がよくわからないので、こちらでごめんなさい💦
ほんとにね、瑛珠さんの書かれるお話のキャラクター達が、ことばの使い方が大好きです👏何度読み返しても新鮮なんですよ。 
毎回どのお話もワクワクしながら読んでいます。
お陰で、この1週間ニュースしか見てない(笑)ドラマ見るなら,読んでたい😊
ときどきいろんなことを言われる方もいらっしゃるようですが、ここにもファンがいますから、瑛珠さんの無理のないペースで、お好きなお話をお好きなように書いてくださいね。楽しみに待ってますから♪
私も好きに書いてしまいましたが💦
読んでいただけるとうれしいです。
ではまた🕊️

2024.05.06 卯崎瑛珠

>めいんくーん様

お久しぶりです!お元気そうで嬉しいです✨
また温かいコメントをありがとうございます‼️m(_ _)m
しかも、何度目の再読でしょう⁉️もはや私より詳しいのでは……😳

ヒューゴーとナジャは良いですよね🥷💖
どんなお話を書いても、このふたりを超えるコンビはなかなか書けないなぁってなります😅

また読みたいなと思っていただけるほど幸せなことはありません😭貴重なお休みに薔薇魔女を選んでいただき、ありがとうございます‼️
カクヨム様でもお読みいただいているだなんて、びっくりです。嬉しいですー‼️

言葉の使い方だったり、セリフ回しだったりは、そのキャラの性格はもちろん、背景や感じ方を意識して書いているので、それを好きと言っていただけるだなんて、喜びしかないです。

色々言ってくる方も悲しいことに居るのですけれど、こうして応援してくださるとまた頑張ろう🔥てなれました。パワーをありがとうございますm(_ _)m

筆力が上がったら、薔薇魔女を改稿するのが、私の夢です。
今よりももっともっと素敵な物語にしますので、待っていてくださいね🌹

またいつでもお声お聞かせください☺️
これから暑くなってきますので、お身体気をつけてくださいね💕︎

解除
めいんくーん

こんにちは。まだまだ雨が続きますねぇ💦洗濯物が乾かないったら😠
もう何回読み返したかわからない🌹🧙‍♀️ファンです!ルスとの出会いやハラハラした戦闘の場面。なんど読み返してもワクワクします。紙の本だったら結構ボロボロになってるかもー😅
そして最近わたしの一押しのサブキャラ様はヴァジーム様だと気がつきました。強くてお茶目なおじさま❤️ルスやレオナとの掛け合いも最高✨おかしいもっと若くて美形なジャン様とかジョエル様とかいるのに(笑) そーいえばわたしは時代劇の殿様好き。関連あるのかしら😓 他でのもふもふも 楽しませていただいてます。銀狼さんすきです!ダンさんも!また台風が近づいてます。雨もひどくなりそうです。気をつけてお過ごしください。ではまた

2023.06.10 卯崎瑛珠

>めいんくーん様
いつも温かいコメントありがとうございます!m(_ _)m
梅雨の季節は憂鬱ですね……洗濯は大変ですし、頭痛持ちには辛い時期です😭
薔薇魔女🌹を何度も読み返して頂き、めちゃくちゃ嬉しいです‼️私自身、番外編を書く度に読み返すのですけど、これ書いたの誰だっけ?私か‼️てなります。笑
それぐらいのめり込んじゃうお気に入りのお話です(自画自賛)✨✨
ヴァジームを気に入ってくださってありがとうございます💕ああいうお茶目オヤジだから、ルスは真面目に育ったんだと思います😆
美形キャラももちろんですが、癖のあるオヤジたちも好きなので、もっと活躍の場を考えたかったです〜

もふもふ通訳🐺も読んでくださり、とっても嬉しいです❤️引き続き、楽しんで頂けるよう、執筆がんばりますね💪
めいんくーん様も、どうぞお気を付けてお過ごしください🍀✨

解除
めいんくーん

おはようございます☀
瑛珠さん!罪をなすりつけて良いでしょうか? ワタクシ目が腫れました!😵 
頑張って頑張って!我慢して。
3話まとめて読みました。
なんだか感極まってポロポロ泣きながら読んでました。感謝です!
ちょっとまだ感想が書けません!
落ち着きましたらまた書かせて下さい。
やっぱり大好きなお話です❤️
お忙しいのにこんな読み応えのある素敵なお話を生み出してくれた瑛珠さんに今週1週間(短っ!笑)ハッピーがくる呪いのおまじない。チュッ💋💖
すいません ハイテンションです。😅

2023.05.27 卯崎瑛珠

めいんくーん様

おはようございます!
いつも素敵なコメントをありがとうございます!m(_ _)m
目が腫れてしまいましたか‼️それはそれは、とっても嬉しいですが……ちゃんと冷やしてくださいね🥹
私も書いていて何度もウルウルしました。
大好きな物語を、大好きと言って頂けるのはほんと幸せです✨
今週1週間ハッピーな気持ちで過ごせるの、めっちゃハッピーですね‼️ありがとうございます❤️
是非また熱い感想をお聞かせください💕
お待ちしております‼️

お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m

解除

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