217 / 229
最終章 薔薇魔女のキセキ
〈204〉終末の獣10
しおりを挟む
※とてもとても、残酷な表現があります。
-----------------------------
「ククク、なかなか心地良いな、絶望の味は」
バキバキバキバキ。
ヴリトラを握り壊しながら、ゲルルフが、にやにやと出てきたのだった……
右肩から先を失ったヒューゴーが、どさりと地面に倒れる。
びくびくと、体が波打っている。ショック状態だ。
「っ、ジョエル! はよ連れてこいやっ!」
「は!」
ナジャの叫び声で、ジョエルが放心状態からようやくハッとした。
急いで抱きかかえるが、
「無駄だ。即死だぞ? クックック」
ゲルルフの言に心が折れかけている。立ち上がれない。
「うそ、うそだ……」
テオが、ナジャの隣でぶるぶると震えている。
「信じない! 信じない!」
ダッと走り出した。
「テオ!」
「あかん!」
レオナとナジャの制止を振り切り、テオは全速力でヒューゴーの体をジョエルから奪い取るようにして抱き、また戻ろうと振り返る。
「クハハハ、死ね、ちびっこ」
ゲルルフが指を差すと、その背中から黒く太い針が、体を串刺しにした。
「が、ふ……」
「いやああああああああああああ!」
だがテオは、歩みを止めず、全速力で戻ってきた。
「レオナ……さん……なおし……」
「あああああああああああああああ」
レオナの絶望が、身から溢れ出る。
「アハアー! うまいなあ! 最高だなあ!」
それに呼応するかのように、ゲルルフがさらに力を増していく。
「ぐ、くそ……」
ゲルルフの間近にいるルスラーン、ジョエル、ラザールは、闇の威嚇で行動を縛られ、立て直すことができない。
「今度はそうだなあ、お前だなあ」
「いや! やめてええええ!」
「ゴハ」
ラザールが、串刺しになった。
「次はあ、お前ぇ」
「ギャッ」
じゅわあ、と肩から上を焼かれる、ジョエル。
ふたりとも、無残に倒れた。
「……そう来たか……」
ナジャは一人、唇を噛み締める。
薔薇魔女の闇堕ち。リヴァイアサンは、それを誘っている。
「どないせえっちゅうねん。こんなん、絶望やんか……」
隣で泣き叫ぶレオナに掛ける言葉が、思いつかない。
「最後はぁ、くくく、なーにが英雄の息子だ……いい気になりおって……」
「く、そ……」
「ハハハハハ! その首を、ヴァジームに届けてやろう!」
ゲルルフが、長い爪を振りかざした。レオナはもう狂気の一歩手前だ。叫んでイヤイヤと首を振るしかできない。
「……ええ加減にせえ」
その時、冷たく鳴り響いたのは。
「この、駄々っ子が」
いつの間にかジズが、三人を抱えて飛びながら、上空で羽ばたいていた。
「全部、見せろ」
「あ? やめ、やめろ」
「その脆弱な心、さらけ出せ」
「やめろおおおおおおおお!」
ばさり、ばさり、と羽であおられると、ゲルルフは悶絶した。
突然頭を抱えて苦しみだす。
「見るな! 見るなああああああ!」
顔の周りに、黒い霧があふれ出す。
ジズはそれを見下ろしてから、そのままナジャとレオナのそばまで飛んで来ると、ヒルバーアに戻った。
「間に合わんくてすまん……最強の精神汚染、かましたった。けど、最後の力、使い切ってもうた……なんとかこれで、こらえてくれ……」
三人を下ろしてナジャの肩をぽん、と叩くと、地面に倒れこみ、そのまま目を閉じた。――気絶している。
「レーちゃん」
「いや、いやよ」
ナジャが優しく呼ぶが、届かない。
唯一無事だったルスラーンが、ばっと立ち上がった。
「……レオナ!」
「うああああ! いやあ! みんな、みんなが!」
「俺の目を見ろ!」
ルスラーンが、レオナの肩を掴んで強引に引き寄せる。
「いやああああ!! 死んじゃった! 死んじゃったよおおおおお!!」
「レオナァッ! 戻ってこい! まだだ! まだやらねえとっ」
だがレオナの深紅の瞳は、焦点が合わない。半分黒ずんでいる。
「戻ってこい! 頼む――くそっ、愛しているんだ!」
「……!?」
「レオナ。聞いてくれ。俺はレオナを愛している! 頼む。一緒に生きたいんだ」
「愛? 生き、る……」
「レオナ。そうだ! 俺と一緒に生きて欲しい」
「ル……ス……?」
「そうだ、ルスラーンだ。レオナ。愛している。この世界の誰よりも」
「う、うそ! うそよっ! ……わた、し……わたし……こんな、おそろしい……!」
「誰よりも、愛していると言っただろう?」
ぎゅう、と抱きしめる。
「レオナがいいんだ」
耳元で、心から告げる。
「俺は、ずっとレオナだから、大好きなんだ」
また離れて、目を覗きこんで、微笑む。
「大好きだ。何もかも含めて、全部愛している。何回でも言う。愛している」
「ああ……ルス……」
「まだ足りないか?」
「……いいえ」
深紅の瞳が、瞬いた。
涙で濡れて、まるで朝露の中で咲きたての、美しい薔薇のような――
「わたしも……わたしも――愛しているわ!」
ぶわ、と大きな光がレオナを包んだ。
「ぐ」
眩しさにルスラーンが思わず目をつぶると、
「戦いが終わったら、ちゃんと言い直してね?」
いたずらっぽく、耳元で言われた。その後で。
「すべてを! いやせ!」
凛としたレオナの声が鳴り響く。
レオナを中心とした、巨大で力強い光の波動が、円状に広がっていった。
ドン! とレオナの頭上に光の円柱ができ、暗雲を突き刺したかと思うと、どんどん青空が見えていく。
「光――や」
いつぶりなのだろう?
ほんの一日の出来事のはずが、そう思わせた。
「ギャアアアアア! やめろ! 照らすな!」
ゲルルフの肌が光に当たると、焼けただれる。じゅわ、と音がして、のたうち回る。
ヒューゴー、テオ。
ラザール、ジョエル。
元の姿に戻って、ナジャの足元でスヤスヤと眠っている。
「みんな無事や。治っとる……失くした腕まで……まさに奇跡やな……」
「レオナ。ありがとう。――いってくる」
「ええ。ルス。貴方にイゾラの加護のあらんことを」
七色の光が、ルスラーンを包んだ。
「……ニーズヘッグ」
七色の竜騎士が、すらりと漆黒のクレイモアを構える。
「寄るな! 見るな! やめろおおおおお!」
※ ※ ※
「はあ、せめて見目さえよければなぁ……」
「あなた、言っても始まりませんよ……」
――おまえらが、こう産んだんだろうが!
「うわ、きもちわるい。目が合っちゃったわ」
「逃げましょう。こわいわ」
――見ただけだろう! 誰も襲おうとなんてしていない!
「うちはもうダメだ。商売もうまくいかないし」
「ごめんね。田舎で細々、畑でも耕すわ」
――俺はどうなるんだ! くそ、こうなったら体格を生かして騎士団に行くしかない……
「ごーりらー」
「よっわ!」
「さっさとやめれば?」
――やめても行く場所がないのだ。耐える。耐えるぞ。絶対にこいつらを見返してやる……
「英雄にしっぽ振ってるるだけじゃねえか」
「あいつが副団長だなんて、終わりだな」
――実力だ! 何が悪い!
「スタンピードのおかげで団長になったくせに」
「いやあの、過去のことはさ、ほら、水に流してさ」
「クビにだけはしないでくれ! 田舎の家族が!」
――ふはははは! 媚びへつらうがよい! だが、退団だ! ばかものども!
「げはは、団長~さすがっすね~」
「団長強い!」
「団長かっこいいすねー!」
――ほめろ! ほめろ!
「だ、だいじょうぶですよ、騎士団長なら女だって、寄ってきますって」
「どっかりしときゃいいんすよー」
「あー。娼館なら? ほら、えっと手軽っすよ?」
――くそう、なぜだ! 身分さえあれば良いのではないのか!
「ドラゴンスレイヤーでもないのに、いつまで団長なんだろ」
「ジョエル様が団長ならなあ」
「あれが団長って、恥ずかしいよな」
――どいつも、こいつも……殺す! 皆殺しにしてくれる!
※ ※ ※
「少なくとも親父は、あんたのこと、認めてた」
ルスラーンは、静かに構えて言う。
太陽光を浴びて、黒い皮膚がぐしゃぐしゃに爛れてきたゲルルフは、地団駄を踏んでいる。
仕草だけを見れば、ただ駄々をこねる子供のように思える。
「ゲルルフなら、実力もあるし、下の人間たちとうまくやるだろうって思ったって。真面目に修行してただろう?」
「嘘おぉ、つくなあああああああ!」
とびかかってきた爪を、剣で防ぎ、ルスラーンは凄んで言う。
「嘘じゃねえ!」
「ぐるああああ! 俺は! どうせ嫌われ者だ!」
「そうか。なら、好かれる努力は? 嫌われても、誇れるものはあったか? 愛する人は?」
脳裏に浮かぶのは――人形のような、冷たい目をした令嬢。
彼女も自分と同じように、自分を殺していると思ったから、手に入れたかった。
だが愛する? 愛ってなんだ?
「欲して、殴ってばかりじゃ、誰も近寄れねえよ!」
「うるさい! 拒絶したのは、おまえらだ!」
「てめえもだよ!」
ぎりぎりと、ルスラーンをその大剣を押し込めていく。
ゲルルフが、初めて後ずさりをした。
「気に食わないやつらなんてなあ、誰にでもいるんだよ! けどなあ、それでも譲れないもん、愛する人、大事に抱えて生きるのが人間だろうが!」
ルスラーンの闘気が膨れ上がる。
ニーズヘッグの真骨頂だ。ゲルルフが、じりじりと押されていく。
「ぐ」
「勝手に全員悪者にすんな! 滅ぼしたら終わりじゃねえだろ!」
「うるさい! 殺す!」
「……馬鹿野郎がっ」
ルスラーンは、剣を振り切って再び間合いを取る。ぼろり、とゲルルフの爪が落ちた。
「殺せば、満足なのかよ! その後何もない世界で、ひとりで! 生きていくのか!」
「うるさい! おまえに何がわかる!」
「わかんねえから、聞いてんじゃねえか!」
ゴン、バキ、ゴキャッ!
言葉と同様、激しい戦いが繰り広げられている。
鈍い戦闘音が、こだまする。
レオナとナジャはただ祈るように、二人を見ている。
「何をして欲しかったんだよ! 本音は!」
ルスラーンが、叫びながら剣を大きく振り下ろした。
ズガン! と剣先が土に埋まる。
ぱきい、とゲルルフの額が、割れる。
「!」
――サビ……シイ……
何かが、漏れ出た。
――ああ、そうだ……ただ……認めてほしかった……
「ふは、ふははは。なんとくだらん……くだらんな……そうか……だが、認めたくはない……」
ゲルルフは、グオン、と魔力を膨らませた。
「あかん!」
「ルスッ」
爆発した魔力が、ルスラーンを巻き込んだ。咄嗟に腕で顔を覆ったのは見えたが、無事かどうか、ここからは定かではない。
黒く大きな炎が燃え上がり、竜巻状になって空を貫いている。
おそらくゲルルフとルスラーンは、その中心にいる。
ナジャは目を見開いた。
その黒い炎は、リヴァイアサンが吸い上げた命たちの、怨念の声が渦巻いているものだと分かったからだ。
「……ちい、最後に余計な仕事残しよってからに……」
えっこらしょ、とナジャは立ち上がった。
「ナジャ君?」
「あんなん、冥界へ帰ってもらうしかないねん。急やけどお別れや、レーちゃん」
「ナジャ君、いやよ」
「ま、死んだ後か生きてるうちかの違いしかないやん? ちょっと早まっただけやって」
「いや。いや」
「黒ポンコツと、レーちゃん賭けた勝負できへんのが、残念やなあ」
「いや! いや! いやよ!」
ぎゅう、とレオナがナジャに抱き着く。
「わいもな、レーちゃんのこと愛してるんやで」
「うん。うん! だから、ずっとそばにいて!」
「……おるよ。心の近くに、ずっとおる」
「いやよ、離れたくない!」
ふ、とリンジーの体から力が抜けた。
「あ!? ナジャ!? まてや! 逝くな! わいも!」
――あほやなあ。幸せになれって、言うたやろ。
十分楽しかったで。おおきにリンジー。残りの人生、その子についてあげーや。な。
「まてえ! ナジャ!」
――ほんま優しいやっちゃなあ。ゼブブがな、還ってええて言うとるから、安心しい。せやから……そのうちまた会おな!
「還るて……うそやろ……」
すっとリンジーから抜け出た何かが、黒炎の竜巻に向かって飛んでいく。
「ぐす、いいよ、だって」
リンジーに抱き着いたまま、レオナが泣きながら告げた。
「ゼブブが、もういいよって。魂休めもいらないから、還ればいいよって」
リンジーは、開かない右目からも温かい涙が流れてきたのを感じた。
「ほっか……ほなら、最後の仕上げだけ、一緒にしよか。レーちゃん」
「うん!」
二人並んで、手をつないだ。
すう、と息を大きく吸うと、リンジーが唱える。
「闇よ。我が真名を受け取れ。ナーガ・リンジー」
この時のためにずっと施してきていた名封じが、今、解かれた。
レオナは、ただただ、祈る。
「どうか、安らかに」
リンジーから溢れる魔力は、闇。だがどこか優しい。
柔らかく包み込むような、夜の静寂。母の胎内のように、安心する、暗さ。
「輪廻へ還れ。孵れ。帰れ」
それがリンジーとレオナの身体を取り巻いたかと思うと、竜巻の方へ向かっていった。
「「オーム」」」
パア、と竜巻の中心に光が現れたかと思うと、天空に向かって一筋の軌跡を描いて、駆け抜けていく。
彷徨える魂たちを引き連れていくかのように。
そして黒炎が、かき消えていく。――ルスラーンが、だらりと首をもたげたまま、宙に浮いているのだけが残った。
どさり。
やがて、その身体は無重力を失って、落ちてきた。
「ルスッ!」
叫んで飛び出そうとするレオナ。だがリンジーは、握っている手を離さずに止めた。
「待て、レーちゃん」
「行かせて、リンジー! お願い!」
リンジーは、躊躇したが、周りを見回すと……静かだ。
驚くほど音がない。
「……気を付けるんやで」
「ええ!」
リンジーにはもう、歩けるほどの気力がない。
どしゃり、と膝を地に突いた。
自身の影が、大きく伸びていく。
「夕方――夕焼け、か」
赤い太陽が、首筋を焼く。リンジーは、疲労感で立てなくなり、スヤスヤと寝ている全員の寝顔を眺めながら――自身も壁にもたれて、やがて目を閉じた。
「ルス! ルス!」
レオナは、ルスラーンの肩を揺すって声を掛ける。
ぴったりと閉じられているその瞼は、ぴくりともしない。
「嘘よ……やめて……いやよ……」
騎士服の胸元をつかんで、ぐらぐらと揺すってみる。
「起きて……ルス……」
ルスラーンの頬に、触れてみる。冷たい。
肌が、硬い。
動かない。
「ねえ、起きて? 一緒に生きよう? 私の夢、叶えてよ。どうか、私のもとに帰ってきて……」
固い胸元に覆いかぶさって、顔はルスラーンの方に向ける。
「ね。笑って? また一緒に本を読みましょう? おいしい紅茶を飲むの。それから、たくさん焼き菓子を焼くわ。そうだ、イチゴもね」
胸の音が、しない。上下も、しない。
「ねえ。ねえ。ちゃんと、言い直してって言ったじゃない……ちゃんと、聞かせてよ……」
レオナの両眼から涙があふれる。
――温かい雫が、ルスラーンの騎士服を濡らす。
と。
何かが光った気がした。
ルスラーンの懐に、何か固いものが入っている。
レオナは身を起こして、手で触れて、取り出してみる。
「あ……これ……」
レオナが渡した、復興祭交流試合優勝記念の贈り物。願いを込めて刺繍をした、黒い布巻きのナイフケースだ。
「持っててくれてたのね……うれしい……」
優しく手で撫でる。
すると、ダイモンの家紋が光を放った。
その光は、小さな光の玉となって浮き上がり、ルスラーンの胸に吸い込まれていく。
ぴくり、と体が動いて。
ゆっくりと瞼が開いて。
少しだけ上体を持ち上げたルスラーンは。
「ぐ、は。あー? え? おはよ?」
優しい紫の瞳で、笑った。
-----------------------------
お読み頂き、ありがとうございました。
多分あと二話で完結します。
-----------------------------
「ククク、なかなか心地良いな、絶望の味は」
バキバキバキバキ。
ヴリトラを握り壊しながら、ゲルルフが、にやにやと出てきたのだった……
右肩から先を失ったヒューゴーが、どさりと地面に倒れる。
びくびくと、体が波打っている。ショック状態だ。
「っ、ジョエル! はよ連れてこいやっ!」
「は!」
ナジャの叫び声で、ジョエルが放心状態からようやくハッとした。
急いで抱きかかえるが、
「無駄だ。即死だぞ? クックック」
ゲルルフの言に心が折れかけている。立ち上がれない。
「うそ、うそだ……」
テオが、ナジャの隣でぶるぶると震えている。
「信じない! 信じない!」
ダッと走り出した。
「テオ!」
「あかん!」
レオナとナジャの制止を振り切り、テオは全速力でヒューゴーの体をジョエルから奪い取るようにして抱き、また戻ろうと振り返る。
「クハハハ、死ね、ちびっこ」
ゲルルフが指を差すと、その背中から黒く太い針が、体を串刺しにした。
「が、ふ……」
「いやああああああああああああ!」
だがテオは、歩みを止めず、全速力で戻ってきた。
「レオナ……さん……なおし……」
「あああああああああああああああ」
レオナの絶望が、身から溢れ出る。
「アハアー! うまいなあ! 最高だなあ!」
それに呼応するかのように、ゲルルフがさらに力を増していく。
「ぐ、くそ……」
ゲルルフの間近にいるルスラーン、ジョエル、ラザールは、闇の威嚇で行動を縛られ、立て直すことができない。
「今度はそうだなあ、お前だなあ」
「いや! やめてええええ!」
「ゴハ」
ラザールが、串刺しになった。
「次はあ、お前ぇ」
「ギャッ」
じゅわあ、と肩から上を焼かれる、ジョエル。
ふたりとも、無残に倒れた。
「……そう来たか……」
ナジャは一人、唇を噛み締める。
薔薇魔女の闇堕ち。リヴァイアサンは、それを誘っている。
「どないせえっちゅうねん。こんなん、絶望やんか……」
隣で泣き叫ぶレオナに掛ける言葉が、思いつかない。
「最後はぁ、くくく、なーにが英雄の息子だ……いい気になりおって……」
「く、そ……」
「ハハハハハ! その首を、ヴァジームに届けてやろう!」
ゲルルフが、長い爪を振りかざした。レオナはもう狂気の一歩手前だ。叫んでイヤイヤと首を振るしかできない。
「……ええ加減にせえ」
その時、冷たく鳴り響いたのは。
「この、駄々っ子が」
いつの間にかジズが、三人を抱えて飛びながら、上空で羽ばたいていた。
「全部、見せろ」
「あ? やめ、やめろ」
「その脆弱な心、さらけ出せ」
「やめろおおおおおおおお!」
ばさり、ばさり、と羽であおられると、ゲルルフは悶絶した。
突然頭を抱えて苦しみだす。
「見るな! 見るなああああああ!」
顔の周りに、黒い霧があふれ出す。
ジズはそれを見下ろしてから、そのままナジャとレオナのそばまで飛んで来ると、ヒルバーアに戻った。
「間に合わんくてすまん……最強の精神汚染、かましたった。けど、最後の力、使い切ってもうた……なんとかこれで、こらえてくれ……」
三人を下ろしてナジャの肩をぽん、と叩くと、地面に倒れこみ、そのまま目を閉じた。――気絶している。
「レーちゃん」
「いや、いやよ」
ナジャが優しく呼ぶが、届かない。
唯一無事だったルスラーンが、ばっと立ち上がった。
「……レオナ!」
「うああああ! いやあ! みんな、みんなが!」
「俺の目を見ろ!」
ルスラーンが、レオナの肩を掴んで強引に引き寄せる。
「いやああああ!! 死んじゃった! 死んじゃったよおおおおお!!」
「レオナァッ! 戻ってこい! まだだ! まだやらねえとっ」
だがレオナの深紅の瞳は、焦点が合わない。半分黒ずんでいる。
「戻ってこい! 頼む――くそっ、愛しているんだ!」
「……!?」
「レオナ。聞いてくれ。俺はレオナを愛している! 頼む。一緒に生きたいんだ」
「愛? 生き、る……」
「レオナ。そうだ! 俺と一緒に生きて欲しい」
「ル……ス……?」
「そうだ、ルスラーンだ。レオナ。愛している。この世界の誰よりも」
「う、うそ! うそよっ! ……わた、し……わたし……こんな、おそろしい……!」
「誰よりも、愛していると言っただろう?」
ぎゅう、と抱きしめる。
「レオナがいいんだ」
耳元で、心から告げる。
「俺は、ずっとレオナだから、大好きなんだ」
また離れて、目を覗きこんで、微笑む。
「大好きだ。何もかも含めて、全部愛している。何回でも言う。愛している」
「ああ……ルス……」
「まだ足りないか?」
「……いいえ」
深紅の瞳が、瞬いた。
涙で濡れて、まるで朝露の中で咲きたての、美しい薔薇のような――
「わたしも……わたしも――愛しているわ!」
ぶわ、と大きな光がレオナを包んだ。
「ぐ」
眩しさにルスラーンが思わず目をつぶると、
「戦いが終わったら、ちゃんと言い直してね?」
いたずらっぽく、耳元で言われた。その後で。
「すべてを! いやせ!」
凛としたレオナの声が鳴り響く。
レオナを中心とした、巨大で力強い光の波動が、円状に広がっていった。
ドン! とレオナの頭上に光の円柱ができ、暗雲を突き刺したかと思うと、どんどん青空が見えていく。
「光――や」
いつぶりなのだろう?
ほんの一日の出来事のはずが、そう思わせた。
「ギャアアアアア! やめろ! 照らすな!」
ゲルルフの肌が光に当たると、焼けただれる。じゅわ、と音がして、のたうち回る。
ヒューゴー、テオ。
ラザール、ジョエル。
元の姿に戻って、ナジャの足元でスヤスヤと眠っている。
「みんな無事や。治っとる……失くした腕まで……まさに奇跡やな……」
「レオナ。ありがとう。――いってくる」
「ええ。ルス。貴方にイゾラの加護のあらんことを」
七色の光が、ルスラーンを包んだ。
「……ニーズヘッグ」
七色の竜騎士が、すらりと漆黒のクレイモアを構える。
「寄るな! 見るな! やめろおおおおお!」
※ ※ ※
「はあ、せめて見目さえよければなぁ……」
「あなた、言っても始まりませんよ……」
――おまえらが、こう産んだんだろうが!
「うわ、きもちわるい。目が合っちゃったわ」
「逃げましょう。こわいわ」
――見ただけだろう! 誰も襲おうとなんてしていない!
「うちはもうダメだ。商売もうまくいかないし」
「ごめんね。田舎で細々、畑でも耕すわ」
――俺はどうなるんだ! くそ、こうなったら体格を生かして騎士団に行くしかない……
「ごーりらー」
「よっわ!」
「さっさとやめれば?」
――やめても行く場所がないのだ。耐える。耐えるぞ。絶対にこいつらを見返してやる……
「英雄にしっぽ振ってるるだけじゃねえか」
「あいつが副団長だなんて、終わりだな」
――実力だ! 何が悪い!
「スタンピードのおかげで団長になったくせに」
「いやあの、過去のことはさ、ほら、水に流してさ」
「クビにだけはしないでくれ! 田舎の家族が!」
――ふはははは! 媚びへつらうがよい! だが、退団だ! ばかものども!
「げはは、団長~さすがっすね~」
「団長強い!」
「団長かっこいいすねー!」
――ほめろ! ほめろ!
「だ、だいじょうぶですよ、騎士団長なら女だって、寄ってきますって」
「どっかりしときゃいいんすよー」
「あー。娼館なら? ほら、えっと手軽っすよ?」
――くそう、なぜだ! 身分さえあれば良いのではないのか!
「ドラゴンスレイヤーでもないのに、いつまで団長なんだろ」
「ジョエル様が団長ならなあ」
「あれが団長って、恥ずかしいよな」
――どいつも、こいつも……殺す! 皆殺しにしてくれる!
※ ※ ※
「少なくとも親父は、あんたのこと、認めてた」
ルスラーンは、静かに構えて言う。
太陽光を浴びて、黒い皮膚がぐしゃぐしゃに爛れてきたゲルルフは、地団駄を踏んでいる。
仕草だけを見れば、ただ駄々をこねる子供のように思える。
「ゲルルフなら、実力もあるし、下の人間たちとうまくやるだろうって思ったって。真面目に修行してただろう?」
「嘘おぉ、つくなあああああああ!」
とびかかってきた爪を、剣で防ぎ、ルスラーンは凄んで言う。
「嘘じゃねえ!」
「ぐるああああ! 俺は! どうせ嫌われ者だ!」
「そうか。なら、好かれる努力は? 嫌われても、誇れるものはあったか? 愛する人は?」
脳裏に浮かぶのは――人形のような、冷たい目をした令嬢。
彼女も自分と同じように、自分を殺していると思ったから、手に入れたかった。
だが愛する? 愛ってなんだ?
「欲して、殴ってばかりじゃ、誰も近寄れねえよ!」
「うるさい! 拒絶したのは、おまえらだ!」
「てめえもだよ!」
ぎりぎりと、ルスラーンをその大剣を押し込めていく。
ゲルルフが、初めて後ずさりをした。
「気に食わないやつらなんてなあ、誰にでもいるんだよ! けどなあ、それでも譲れないもん、愛する人、大事に抱えて生きるのが人間だろうが!」
ルスラーンの闘気が膨れ上がる。
ニーズヘッグの真骨頂だ。ゲルルフが、じりじりと押されていく。
「ぐ」
「勝手に全員悪者にすんな! 滅ぼしたら終わりじゃねえだろ!」
「うるさい! 殺す!」
「……馬鹿野郎がっ」
ルスラーンは、剣を振り切って再び間合いを取る。ぼろり、とゲルルフの爪が落ちた。
「殺せば、満足なのかよ! その後何もない世界で、ひとりで! 生きていくのか!」
「うるさい! おまえに何がわかる!」
「わかんねえから、聞いてんじゃねえか!」
ゴン、バキ、ゴキャッ!
言葉と同様、激しい戦いが繰り広げられている。
鈍い戦闘音が、こだまする。
レオナとナジャはただ祈るように、二人を見ている。
「何をして欲しかったんだよ! 本音は!」
ルスラーンが、叫びながら剣を大きく振り下ろした。
ズガン! と剣先が土に埋まる。
ぱきい、とゲルルフの額が、割れる。
「!」
――サビ……シイ……
何かが、漏れ出た。
――ああ、そうだ……ただ……認めてほしかった……
「ふは、ふははは。なんとくだらん……くだらんな……そうか……だが、認めたくはない……」
ゲルルフは、グオン、と魔力を膨らませた。
「あかん!」
「ルスッ」
爆発した魔力が、ルスラーンを巻き込んだ。咄嗟に腕で顔を覆ったのは見えたが、無事かどうか、ここからは定かではない。
黒く大きな炎が燃え上がり、竜巻状になって空を貫いている。
おそらくゲルルフとルスラーンは、その中心にいる。
ナジャは目を見開いた。
その黒い炎は、リヴァイアサンが吸い上げた命たちの、怨念の声が渦巻いているものだと分かったからだ。
「……ちい、最後に余計な仕事残しよってからに……」
えっこらしょ、とナジャは立ち上がった。
「ナジャ君?」
「あんなん、冥界へ帰ってもらうしかないねん。急やけどお別れや、レーちゃん」
「ナジャ君、いやよ」
「ま、死んだ後か生きてるうちかの違いしかないやん? ちょっと早まっただけやって」
「いや。いや」
「黒ポンコツと、レーちゃん賭けた勝負できへんのが、残念やなあ」
「いや! いや! いやよ!」
ぎゅう、とレオナがナジャに抱き着く。
「わいもな、レーちゃんのこと愛してるんやで」
「うん。うん! だから、ずっとそばにいて!」
「……おるよ。心の近くに、ずっとおる」
「いやよ、離れたくない!」
ふ、とリンジーの体から力が抜けた。
「あ!? ナジャ!? まてや! 逝くな! わいも!」
――あほやなあ。幸せになれって、言うたやろ。
十分楽しかったで。おおきにリンジー。残りの人生、その子についてあげーや。な。
「まてえ! ナジャ!」
――ほんま優しいやっちゃなあ。ゼブブがな、還ってええて言うとるから、安心しい。せやから……そのうちまた会おな!
「還るて……うそやろ……」
すっとリンジーから抜け出た何かが、黒炎の竜巻に向かって飛んでいく。
「ぐす、いいよ、だって」
リンジーに抱き着いたまま、レオナが泣きながら告げた。
「ゼブブが、もういいよって。魂休めもいらないから、還ればいいよって」
リンジーは、開かない右目からも温かい涙が流れてきたのを感じた。
「ほっか……ほなら、最後の仕上げだけ、一緒にしよか。レーちゃん」
「うん!」
二人並んで、手をつないだ。
すう、と息を大きく吸うと、リンジーが唱える。
「闇よ。我が真名を受け取れ。ナーガ・リンジー」
この時のためにずっと施してきていた名封じが、今、解かれた。
レオナは、ただただ、祈る。
「どうか、安らかに」
リンジーから溢れる魔力は、闇。だがどこか優しい。
柔らかく包み込むような、夜の静寂。母の胎内のように、安心する、暗さ。
「輪廻へ還れ。孵れ。帰れ」
それがリンジーとレオナの身体を取り巻いたかと思うと、竜巻の方へ向かっていった。
「「オーム」」」
パア、と竜巻の中心に光が現れたかと思うと、天空に向かって一筋の軌跡を描いて、駆け抜けていく。
彷徨える魂たちを引き連れていくかのように。
そして黒炎が、かき消えていく。――ルスラーンが、だらりと首をもたげたまま、宙に浮いているのだけが残った。
どさり。
やがて、その身体は無重力を失って、落ちてきた。
「ルスッ!」
叫んで飛び出そうとするレオナ。だがリンジーは、握っている手を離さずに止めた。
「待て、レーちゃん」
「行かせて、リンジー! お願い!」
リンジーは、躊躇したが、周りを見回すと……静かだ。
驚くほど音がない。
「……気を付けるんやで」
「ええ!」
リンジーにはもう、歩けるほどの気力がない。
どしゃり、と膝を地に突いた。
自身の影が、大きく伸びていく。
「夕方――夕焼け、か」
赤い太陽が、首筋を焼く。リンジーは、疲労感で立てなくなり、スヤスヤと寝ている全員の寝顔を眺めながら――自身も壁にもたれて、やがて目を閉じた。
「ルス! ルス!」
レオナは、ルスラーンの肩を揺すって声を掛ける。
ぴったりと閉じられているその瞼は、ぴくりともしない。
「嘘よ……やめて……いやよ……」
騎士服の胸元をつかんで、ぐらぐらと揺すってみる。
「起きて……ルス……」
ルスラーンの頬に、触れてみる。冷たい。
肌が、硬い。
動かない。
「ねえ、起きて? 一緒に生きよう? 私の夢、叶えてよ。どうか、私のもとに帰ってきて……」
固い胸元に覆いかぶさって、顔はルスラーンの方に向ける。
「ね。笑って? また一緒に本を読みましょう? おいしい紅茶を飲むの。それから、たくさん焼き菓子を焼くわ。そうだ、イチゴもね」
胸の音が、しない。上下も、しない。
「ねえ。ねえ。ちゃんと、言い直してって言ったじゃない……ちゃんと、聞かせてよ……」
レオナの両眼から涙があふれる。
――温かい雫が、ルスラーンの騎士服を濡らす。
と。
何かが光った気がした。
ルスラーンの懐に、何か固いものが入っている。
レオナは身を起こして、手で触れて、取り出してみる。
「あ……これ……」
レオナが渡した、復興祭交流試合優勝記念の贈り物。願いを込めて刺繍をした、黒い布巻きのナイフケースだ。
「持っててくれてたのね……うれしい……」
優しく手で撫でる。
すると、ダイモンの家紋が光を放った。
その光は、小さな光の玉となって浮き上がり、ルスラーンの胸に吸い込まれていく。
ぴくり、と体が動いて。
ゆっくりと瞼が開いて。
少しだけ上体を持ち上げたルスラーンは。
「ぐ、は。あー? え? おはよ?」
優しい紫の瞳で、笑った。
-----------------------------
お読み頂き、ありがとうございました。
多分あと二話で完結します。
0
お気に入りに追加
886
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました
黒木 楓
恋愛
旧題:悪役令嬢に転生するも魔法を使えることの方が嬉しかったから自由に楽しんでいると、王子に溺愛されました
乙女ゲームの悪役令嬢リリアンに転生していた私は、転生もそうだけどゲームが始まる数年前で子供の姿となっていることに驚いていた。
これから頑張れば悪役令嬢と呼ばれなくなるのかもしれないけど、それよりもイメージすることで体内に宿る魔力を消費して様々なことができる魔法が使えることの方が嬉しい。
もうゲーム通りになるのなら仕方がないと考えた私は、レックス王子から婚約破棄を受けて没落するまで自由に楽しく生きようとしていた。
魔法ばかり使っていると魔力を使い過ぎて何度か倒れてしまい、そのたびにレックス王子が心配して数年後、ようやくヒロインのカレンが登場する。
私は公爵令嬢も今年までかと考えていたのに、レックス殿下はカレンに興味がなさそうで、常に私に構う日々が続いていた。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる
雨野
恋愛
難病に罹り、15歳で人生を終えた私。
だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?
でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!
ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?
1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。
ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!
主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!
愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。
予告なく痛々しい、残酷な描写あり。
サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。
小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。
こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。
本編完結。番外編を順次公開していきます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる