上 下
207 / 229
最終章 薔薇魔女のキセキ

〈194〉ゆるぎない覚悟を胸に

しおりを挟む


「王都民に避難命令を」
 静かに国王と向かい合って座る、マーカム王国宰相ベルナルド・ローゼンは、渋い表情を隠しもしない。

 王宮、朝議の間。
 国王の他、王国騎士団副団長ジョエル・ブノワ、魔術師団副師団長ラザール・アーレンツ、王太子アリスターが居る。
 
「避難といっても……」

 王都北の外れにあるトール湖。
 そこに出現した凶悪な存在については、既に情報が駆け巡りパニックを引き起こし始めている。
 そんな中開かれた緊急会議であるのにも関わらず、ただただ事態を呑み込めていない国王に、全員が苛立っていた。
 
「ゲルルフもピオジェも廃位となって、王国民は動揺しているだろう? そこにさらにとなると」
「陛下。迅速にマーカムとしてその存在を認め、友好国へ通達をしなければ、援軍要請ができません」
 無礼を承知で、ジョエルがその発言をぶった切った。

 緊急事態だ。一分一秒が惜しいのに、この国王は……と全員が歯噛みしている。

「援軍などと! まるで戦争のようではないか」
 ジョエルが思わず感情的にののしりそうになるのを
「陛下。いえ、父上」
 と、アリスターが毅然と遮った。
「アリスター?」
「どうか気持ちをお切替えください。これは、戦争です。我々の存亡をかけた」
「……」
「お辛いのであれば、この私めに全権委譲ください。この間だけで良い」
 
 その発言に、全員が目を見開いた。

「迅速かつ断固たる対処が必要です。王国民の、いえ、世界の命がかかっている!」
「アリー……」
「平和はもう、過去のものです。父上」
「!」

 ずっと平和だった。
 スタンピードですら、その被害はドラゴンスレイヤーたる英雄とそのパーティによって、北都周辺のみに留められた。実際に目にしてなど、いない。どんな問題も、優秀な宰相をはじめとした周りに言えば、全て解決してくれた。
 そんな中ぬくぬくと、穏やかに国王として過ごしてきたゴドフリーを、アリスターは早々に見切ったのである。
 
「はあ……アリー、いや、アリスター。有事だ。余は心神耗弱しんしんこうじゃくで政務がまかりならん。この緊急事態の間のみ、王太子に全権委譲しよう。皆も、よいな?」
 
 ゴドフリーの美点は、人の好さ。
 悪意でもって簒奪さんだつされるなど、考えもしないこの素直さである。
 
 そのことにイラつきもしたが、助けられもしてきたベルナルドは
「陛下。今だけですぞ。復興の折は、陛下の人徳がまだまだ必要です。しっかりとお休みください」
 と笑顔で促す。
「ベルナルド……余は」
「後のことは、平和を勝ち取ってから、ですぞ。必ずや勝利をもたらすことをお約束いたしましょう。ジョエル! ラザール! すぐさま戦力を整えよ!」
「「はっ!!」」
 
 アリスターが、王者の風格でもってその言を放つ。
 
「父上。母上とエドガーとともに、南方の避暑地へ。馬車を用意してございます」
「……わかった」
「ベルナルド。至急大陸四国へ通達と援軍要請を。また、私がマーカム代表として国王から勅命をたまわったと」
「! はっ!」
 
 対外的に国王が心神耗弱などと言ったものなら、そこを弱みとしてどんな勢力が出てくるかわからない。
 王太子が勅命を受けたとすれば、後継者としての第一歩であると解釈されるであろう。
 ベルナルドは、幼き日から成長を見守ってきたこの王太子の、為政者いせいしゃとしての度量と能力に内心舌を巻いた。


 ――次世代は、明るい! ならば、護るまでだ!


 ベルナルドは、恭しく礼をし、ジョエル、ラザールを伴って朝議の間を後にした。

 

 ※ ※ ※



 ジョエルとラザールが朝議の間から騎士団本部へ戻ると、トール湖から全力で退避してきたジンライ達が、会議室で待っていた。
 全員疲労感と焦燥感に包まれ、ゼルはうろうろと歩き回って、腹をすかせた獰猛な肉食動物のようだし、ディートヘルムは椅子に座ってはいるものの、貧乏ゆすりで床に穴が開きそうだ。テオは、手に持った黒く分厚い刃のナイフ――リンジーの黒蝶だ――を丁寧に拭いて手入れをしている。

「ごめん、遅くなってー」
「すまない、待たせ、た……?」
 
 部屋に入ったラザールが戸惑ったのも無理はない。
 ジンライのかたわらにはなんと成獣の姿に戻ったオスカーが居るのだ。
 この姿を見るや、本部はもちろん一瞬パニックに陥ったが、テオが「心配いりません! 雷神トールの守護獣グングニル様です!」と叫んで、オスカーも「そうだよー、オイラ何もしないよー」と言ったので、今度はわらわらと祈りにくる行列で大変だったらしい。
 
 ジンライは、そんなオスカーの隣の椅子に腰かけ、その背中にずっと顔をうずめている。
 今の過酷な状況を、とても受け止めきれていない。
 攻撃魔法実習からブルザークへ留学して、ダークサーペントと対峙して、王宮裏山の東の池で魔獣に襲われて――と矢継ぎ早に経験をしてきたが、見知った顔が目の前で命を失っていくその悲劇が、彼の精神をさいなんでいた。
 
「ほえー、グングニル様! すっごいなージン」
「まさかこの目で見ることになるとは」

 ジョエルとラザールの発言にも反応できず、ジンライはオスカーの背中に埋まったままだ。

「ジン? ペトラ嬢がさ、魔術師団本部にいるよ」
 ジョエルが優しく声を掛けると、ようやく顔を上げた。
「え、なん……」
「武器防具、魔道具、結界具の整備をさせて欲しいと、やってきたのだ」
 ラザールが補足すると、ジョエルも頷く。
「役に立ちたいって言ってくれてさ。安心して、魔術師団本部は鉄壁だから。どこにいるより安全だよ。護衛もつけてる」
「!! おれ、おれ、情けないっ。みんな、そやって、がんばって……でも、つら、つらいんだ!」
 ジンライが、涙を溢れさせた。
「こわい! こわいよ! たてない! おれ、おれ……!」

 ジョエルが、眉尻を下げて慰めようとした、その時――

「ジンのバカ!!!!」

 テオが突然立ち上がったかと思うと、ジンライの胸倉を掴んだ。

「こわいのなんて、当たり前だ! みんなそうだ!」
「!!」
「けど、戦わずに死ぬのか! 守らずに逝くのか! 違うだろ!? あらがわないと! 今やらないと! おしまいなんだよ!」
「テ、オ……」
「僕が、平気だと思うの!? たとえ魔獣だって、切りたくなんかないよ! 殺したくもない! でもやらないと! だめなんだよっ、死んじゃうんだよ! 自分だけじゃない、みんなだ! 大好きな、みんながっ……」
「テオッ」
「大好きなんだよ、僕、守りたいんだよ……頼むよジン、親友だろ? 立ってよ、一緒に……」
「テオごめん、テオ……」
「……私も、怖いぞ、ジンライ」

 ラザールが、静かに同調する。

「当たり前に、死ぬのも、死なれるのもだ。だが、守りたいのだ。一緒だよ」
「そうだよー! 僕だってやっと婚約できたのにー! 可愛いシャルと心ゆくまで、なんなら、朝から晩まで毎日愛し合いたいんだからさー。ジンもでしょー?」

 ジョエルがぽんぽんと、テオ越しにジンライの肩をたたきながらニヒ、と笑うと。
 
「「生々しい!」」
 
 ゼルとディートヘルムが、そろって真っ赤になった。
 
「いやだってー、生きてるもーん!」
「いき……てる……」
「そうだぞジン。それに、前線にいるだけが戦いではないのだぞ」
 ゼルが笑って言い、
「そそ。物騒なのは俺らに任せとけ。魔弾の残りがそろそろヤバいんだよ。すげーやつ、作ってくれないか?」
 ディートヘルムが、ウインクする。
「はい……はい……俺に、やれる、ことを!」
「じゃーオイラは、ついてってあげるね。ペトラも守ってあげなくちゃ」
 すり、とオスカーがジンライに身体をすりつけてきたので
「うん……ありがと、オスカー」
 柔らかな毛で覆われた額を撫でながら、ジンライはようやくその涙を止めた。

「助かります、グングニル様」
 ジョエルが、騎士礼をし、
「魔術師団本部は、王国結界のかなめでもあります」
 ラザールもそれにならった。
「うん。オイラの結界も重ねた方がいいね。せめて奴を外に出さないように……こっちに向かってきてるよ。あのゴリラみたいな人を取り込んだから、全部知ってるんだね」

 オスカーの発言に、今度はジョエルとラザールの表情が凍った。
 
「え?」
「今、なんと……」
「恐らくゲルルフを取り込んだのだ」
 ゼルが、静かに言うと、
「ぼく、も、最後に団長が、残ってたのを、ずず、見ました」
 テオも同調した。
 
 
 ――ゲルルフを!


 戦慄が走った。
「その情報は、すぐに共有した方がいいな!」
 ジョエルが親指の爪を噛む。
「ちっ、最悪だな! やつめ、戦闘能力が低いのが救いだったのだが……」
 ラザールが半眼鏡はんがんきょうを細かく何度も人差し指で押し上げる。
 ――二人とも、相当焦っている仕草だ。

 そこへジャンルーカがやってきた。
「副団長。国王陛下、王妃殿下、エドガー殿下の退避準備完了いたしました。私はそちらの護衛へ」
「ジャン! わかった! だがその前に至急近衛から全団員に通達!」
「はっ」
「海神は、ゲルルフを飲み込んだ!」
「っ!!」
「総員、マーカム戦力の全てを把握されているものとして対処! 戦闘力も桁違いのはずだ! ラザール!」
「はあ。……弱点属性の見直しと、回復魔法部隊に比重を移そう。再編を考える」
「テオ! 至急第三にも情報共有!」
「はい。一度公爵邸に戻ります」
 
「副団長、俺は?」
「俺も」
 にか、と笑うゼルとディートヘルムに、ジョエルは
「死地、なんだけどー?」
 と苦笑する。
 アザリー王子と、ブルザーク帝国陸軍大将子息だ。
 マーカム王国騎士団副団長が、指示を出せる相手ではないのだが。
「「望むところだ」」
 と胸を張られたので、さらに苦笑を返す他ない。
「はあ。あとで叱られても、僕のせいじゃないって言ってねー?」
「「よかろう!」」

 ぶは、息ぴったりー! と笑いながら、ジョエルはディートヘルムにカミロの護衛を、ゼルにはジャンルーカへの同行を依頼した。

「正直助かるー。ガルアダ南方にきな臭い気配がござましてー。アザリーの摂政派が、ねー?」
 未だタウィーザは戴冠していないのだ。アザリーの政変には、気が抜けない。
「あとー、混乱に乗じて、カミロをさらいにくるやからも、いそうだしー」
 カミロは、ブルザーク帝国皇帝の異母兄だ。

 それぞれの国の重要人物が対応すれば、というジョエルの目論見もくろみは、二人にも通じたようだ。

「任された。ジャン殿に従おう」
「カミロも魔術師団本部に連れてくることにする」

 全員が頷きあい。
 ――それぞれの死地へ。

 
 
 ※ ※ ※


 
「……滅ぼ、す……」
 
 ずろろろろ、とを引きずりながら、ゲルルフはつぶやく。
 それだけで、周辺の草花が黒く腐っていく。

 自身の腕を見やると、黒い鱗でびっしりと覆われている。
 先ほどから、言葉が発しづらい。口角から、唾液が垂れる。口が閉じられない。――長い歯牙しがが、邪魔をしている。
 ブーツも破れ、鋭い鉤爪で地面を刺しながら、のしのしと歩いている。足裏に刺さる砂利や枝葉が、鬱陶しいが痛くはない。

 手を開いたり閉じたり。
 腕を回したり、膝を上げたり、首を回してみたり。
 尾を持ち上げたり、肘を持ち上げたりしながら。
 ゆっくりと着実に、王都に向かっている。
 
 はじめは身体の感覚に慣れなかった。
 見つけた森の獣を何匹か狩ってみて、ようやく慣れてきた。
 爪も、牙も、尾も、全てが強靭きょうじんな武器だ。
 
「ぐるる」

 喉を鳴らすと、喉奥がけるように熱くなる。
 
「はっ」

 試しに吐いてみると、黒い炎が眼前の木々をあっという間に焼いて――瞬時にすすが舞った。
 視野が広くなった。鬱蒼とした森の一部が、跡形もなくなったのだ。

「は、は、は」

 溢れんばかりの力を、段々もてあまし始めている。

「殺したい」

 殺気が垂れ流される。
 だが、その自我に執着している。そのことが、元の姿を保たせている。
 
「ぜんぶ、ころしたい」

 呪詛じゅそが天に昇っていくと、雲が黒く染まった。昼前だと言うのに、日が陰る。
 すると、陰鬱いんうつとした気が、立ち昇り始めた。

「終末は、俺の手で」


 この世界の膿んだもの全てを取り込んだ海神、リヴァイアサンが。

 すぐそこまで、迫っている。



-----------------------------

お読み頂き、ありがとうございました!
テオ……(´;ω;`)
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~

黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※ すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

私はウルフ沙織。王子お一人だけを見つめるのはお預けのようです。

西野歌夏
ファンタジー
天敵はガッシュクロース公爵夫人。だけど、後半になるまでほとんと登場しません……。 主人公は23歳のものすごく貧乏な女子で、ガッシュクロース公爵夫人に執拗に狙われています。上司の命令で王子に会いに行くところから物語がスタートします。 基本的にはシンデレラストーリーにしています。 好きなのに、嫌いなフリをしてしまう沙織と、クーデーターを起こされる危機と常に背中合わせの王子の『恋と冒険の物語』を基軸として、思うようにならない状況が続きます。 ガッシュクロース公爵夫人:23歳の沙織が命を狙われたことになった因縁の相手。真麻、サテン、シルク、彼女は思うがままに高級な素材を駆使してファッションをリードしていた。1512年の公爵夫人。 ※完成した作品のパラレルワールドのアナザーラインを書いてます。キャラ設定など微妙に違います。気軽にお読みくださればと思います。

闇黒の悪役令嬢は溺愛される

葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。 今は二度目の人生だ。 十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。 記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。 前世の仲間と、冒険の日々を送ろう! 婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。 だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!? 悪役令嬢、溺愛物語。 ☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

処理中です...