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最終章 薔薇魔女のキセキ

〈186〉卒業パーティ 前

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「お嬢様、ドレスはこちらに」
「ありがとう、マリー……えっ、これ!」
「奥様が、ご用意されていました」
「お母様が……」
「あとで見せに行きましょうね」
「うん……マリーは? 大丈夫なの?」
「はい。大丈夫ですよ」
「無理しちゃだめよ」
「ふふ、はい」

 別のことで頭がいっぱいで、自分の卒業パーティのドレスなどスコン! と頭から抜けていたことを、アデリナはとっくにお見通しだった。
 かなわないな、とレオナは胸が熱くなる。

「私も、お母様みたいになれるかしら」
「なれますよ」

 いつだって、明るく、強く、黙って背中を押してくれるのだ。
 どこの世界に、ドラゴンを倒しに行く! という娘を笑顔で送り出す母親がいるのだろうか。

「お嬢様、とお呼びできるのも、あとわずかかもしれませんわね?」
「マリー……私は……」
「どうか御心のままに。良いではありませんか。世界の滅亡の危機だろうが、災禍の神が居ようが、わたくしたちは、こうして生きているのです。おそばにおります。ずっと」
 
 そしてマリーも、こうやって背中を押してくれるのだ。

「お嬢様から言わないと、絶対動きませんわよ、あの方」
「まあ! うん、でもまあ、そうね」
「ほんっと黒ポンコツ」
「ひどいー! うふふふふ」

 その後、ドレス姿を見たアデリナは
「よく似合っているわ。私の自慢の娘。さ、婚約はいつなのかしら?」
 とほほ笑んだ。
「お母様!」
「あらやだ、あの黒ポンコツったら、まだ動かないの? んもー」
「ちょっ」
「もうレオナから言っておやりなさいな」
「へっ!?」
 
 この世界の誰が、女性から婚約を申し込むなどという発想があるのか。
 
「貴族女性の留学、の次は、女性から婚約の申し込み! これね。また革命だわ~王妃殿下に進言しなくっちゃ。楽しいわ!」
「お母様……」
「いいじゃない、レオナ。あなたの思うがままに、よ?」

 ひし、と抱き着いた。

「幸せに、おなりなさい」

 じんわりと、アデリナの言葉が胸に染みていく。

「さ! いってらっしゃい。卒業おめでとう、レオナ」
「ありがたく存じます、お母様。いってまいります」
 
 レオナが部屋から出て行った後で、アデリナは作った笑顔を壊して、ひとしきり涙を流した。

「あと何度、これがレオナとの最後かもしれないって、覚悟しなくちゃならないのかしらね……」
 
 母として、背中を押すことしかできない、ふがいなさ。
 静かに床に膝を突いて、胸の前で両手を交差させる。

「イゾラよ……どうか愛する我が娘をお守りください……」

 つよくつよく、祈った――
 

 ※ ※ ※



「事実上の更迭こうてつ(身分の高いものの任を解き、別の人間をその役職に充てる)です」
「だが、これは影響が大きすぎるぞ」
「陛下。ゲルルフを庇われる、その理由をお聞かせ願いたい」

 卒業パーティ当日の早朝、王宮朝議の間。
 
 マーカム国王ゴドフリーとの密談を設けた宰相のベルナルド。
 その手にジョエル・ブノワを騎士団長へ推薦する書状(各師団長の連名入り)と、先日の卒業実習における報告書がある。

 ブルザーク産の強力な催眠弾を四発叩き込まれたゲルルフは、後遺症のせいか意識が戻るのが遅れ、また体力の快復も遅く、ようやく先日任務に復帰したばかり。

 ベヒモスという最凶にして最悪な『終末の獣』を前に、ゲルルフは現場の指揮をするどころか、単独での戦闘しなかった。
 これは、「騎士団長」としての資質を問われるに値する、重大な任務放棄であった。
 
 ジョエルは、これを機とばかりに――前々から準備を進めていた、シャルリーヌとの婚約とそれによるバルテ侯爵家の援助、近衛筆頭および各師団長たちの合意形成、魔術師団との連携、を一気に押し出し、ベルナルドを動かした。
 さらには。

「陛下。学院には高位貴族のご子息、ご息女様も多数在籍しております。そちらの証言もございます。このままでは、騎士団への資金援助も滞るのでは」

 東の池に集結させた彼ら学生たちを守り抜いたのは、近衛筆頭ジャンルーカをはじめとする騎士たちと魔術師団員たちだ。そしてその彼らの連絡係をしたのは、なんと同級生のテオで――「ジョエル副団長が来てくださった! 我が国の誇るドラゴンスレイヤーが、たくさん増援連れてきてくれたよ! ほら見て、結界が強まった! もう安心していいよ!」と鼓舞してまわったのだ。ジャンルーカとテオの連携も皆の目にするところであり、そこにゲルルフが全く関与していないのは周知の事実である。

「ゲルルフは、よいのだがその……」

 言い淀むゴドフリーに、ベルナルドは悟った。
 

 ――ピオジェ、か。あの白狸め……
 
 
 ピオジェ公爵家は、はるか昔に王女が降嫁して作られた、正統な王族の血筋である。
 多大なる功績でもって陞爵しょうしゃくしたローゼンとはその系列が異なり、対立してきた。ピオジェしか持たない『力』があり、国王はそれを恐れているのだ。
 
「ならば、あちらが納得するだけの材料を集めましょう」
「! 頼む……」

 国王とて馬鹿ではないのだ。
 ゲルルフを団長に据え続けることによって失われる利益が大きいことは、十分にわかっている。
 
 
 ――これは、の仕事だな。

 
 ベルナルドは、決意を新たに朝議の間を後にした。
 
 

 ※ ※ ※

 

 王立学院の卒業パーティ、通称『プロム』は、卒業生たちがタキシードやドレスに身を包み、卒業祝いとして行われる学院最大の行事である。
 国王はもちろん、宰相や名だたる王宮の重鎮も出席して祝辞を述べる公の場であり、学生たちの卒業後の進路にとって重要な自己アピールや、人脈形成に一役買うための場でもある。
 
 ジンライは、ブルザーク留学前に作ってもらったタキシードで、ペトラをエスコートしていた。
「はあ……」
「はあ……」
 ふたりとも浮かない溜息をついているのは、テオの協力で材料を集めて、何度も試作しているゼルの義肢がうまくいかなかったためだ。
 
「一緒に出たかった……ゼルさん……」
 装着するのも大変(かなり痛いらしい)、ましてやそれを付けて歩くのも無理。
 前例のない魔道具だ、失敗はつきものなのだが。
「そうね……」
 マーカムに来てはじめて接した、人見知りのペトラでさえ取り込んでしまう、ゼルの人となりや天性の明るさ。
 なんとか力になりたいと頑張ったし、プロムに一緒に出たいと思っていたが……

「俺のことは、気にするな。遠慮なく楽しんでこい! 出なかったら逆にぶっ飛ばすからな」

 ベッドの上から、そう送り出してくれた彼に、早く報いたいと焦る気持ちがあるせいか、なかなかどうしてうまくいかないのだ。

「ジン。あきらめずに、また作ろ? ね?」

 ペトラが声をかけ、ようやく会場へとやってきた。
 きらびやかな会場は、学院の誇るダンスホール。
 天井はとても高く、いくつもの豪華なシャンデリア。
 ステージ近くには、王国お抱えの楽団が楽器を構え、数々のテーブルの上にはおいしそうな食事の皿が並ぶ。
 ステージ上には、国王らが座ると思われる派手で大きな椅子がいくつも設置されており、その周囲には容姿端麗な近衛騎士たちが配備されている。ジンライは、その中にジャンルーカを見つけて、ぺこりと頭を下げると――目で微笑まれた。

 レオナとシャルリーヌは、身分的に最後にやってくるので、ジンライとペトラはそれまで軽食を嗜むことにした。
 周囲では、ぽそぽそと
「ゼル様にお会いしたかった」
「お怪我がひどいらしいわ」
「まあ……」
 などと噂話がされていて、胸がきゅう、と引き絞られるような感覚になる。
 
「うぅ……」
 ジンライは、涙がじんわりと浮いてきてしまった。
 なんて自分は無力なのだろう。ゼルにはたくさんのことを助けてもらったのに、恩返しできないのか。
 
 いじめっ子たちに囲まれた時「こいつは俺の友達だ」と言ってくれて、誰もジンライに手を出せなくなった。
 講義内容に追いつけなくて頭を抱えていたら「俺もわからん! だはは! 一緒にやろう!」と誘ってくれた。
 逆に追い越したら「くそう! 教えろ! 腹減った!」と駄々をこねて……留学も「なんだ、行けばよいだろう? 選ばれぬ者の方が多いのだぞ。名指しされる者の責務だ」と真面目な顔をして、背中を押してくれた。そんな、楽しい思い出ばかり浮かんできてしまう。

 入学した当初の自分が、こんなに楽しく卒業できるだなんて、想像できただろうか?

「あうううう」
 こんなに泣いたら、また相変わらず泣き虫だな! て笑われるよね、と唇を引き絞って、耐える。
「ジン……!」
 するとペトラが、その背中を突然バシバシとたたいてきた。
「ジンってば!!」
 バシバシ、バシバシ!
 
 タキシードを汚さないように、ポケットに入れたハンカチーフを取り出して必死で涙をぬぐっていたジンライは、たたかれて揺れるせいで指が目の中に入りそうになって
「ちょ、ペトラ! あぶないよ!」
 逆切れして振り返ると、そこには――

「だはは! 相変わらず泣き虫だな! もう泣いてるのか!」

 ゼルが、笑っていた。
 


 ※ ※ ※
 

 
「大丈夫ですか? レオナ様。無理されているのでは」
 会場へと移動する馬車の中で、ヒューゴーが気遣う。
 
 今日のエスコートは、ヒューゴーにお願いした。フィリベルトには「残念だけど別件があってね」と眉を寄せて謝られた。王国騎士団第三師団長であり、公爵領経営の一部も担っているのだ。当然毎日多忙だろう。そんな中、しっかりとレオナのワガママも聞いてくれるのだから、頭が上がらない。
 
 
 百薬ひゃくやくの魔石を持ってゼルに会いに行く! と、王宮の国賓向け休養室を訪れたレオナたち。
 ゼルには、「ホワイトドラゴンから獲たもので、誰も使ったことがない。危険かもしれない」とフィリベルトから入念に説明した。
 はじめは面食らったゼルだったが「存分にやってくれ。死んでも文句は言わん」と笑顔でにかり、と言い切った。
 
「ゼル……」
 と心配するヒューゴーに、
「あの時俺は死んでいておかしくなかったのだ。感謝こそすれ、恨むことなど何もないのだよ」
 改めてベッドの上から言うゼルは、毅然としている。
「う……ぐ……」
「ヒューゴー! お前は、ほんっとに……いいか、忘れるな。お前は俺の命の恩人なんだ! 悔やむな! 誇れ! お前が落ち込むのが……本当に……本当に辛い!」
「!」
 
 そうしてゼルは、ぼたぼたと涙を流した。

「つらいのだぞ! 背負わせる気は、なかったんだからな!」
「……!」

 頷くヒューゴーに、満足して笑うと。
 
「さ、やってくれ。大丈夫だ、どんなことになっても。俺は、信じているから」

 そうして、ベッドに横になったゼルの手を取って。
 レオナは片手に百薬の魔石を握って――祈った。

 
 ――どうかどうか、ゼルの脚を元に戻してください。
 大切な人なのです。お願いします。
 
 ――うん。聞こえたよ、レオナちゃん!

 ――!? リサ様!?

 ――ふふ。その人のこと、大好き?

 ――ええ!

 ――そっか……その人も、レオナちゃんのこと、大好きだね。素敵だね。いいよ! リサ、レオナちゃんのこと好きだもん。優しいし、助けてくれたしね。

 ――そんな、助けるだなんて!

 ――ふふ。リサね、今度は、治したいって思ったの。だから、こういう力、もらったんだと思うの。だから、治してあげるよ! その代わり、今度お菓子作ってね。レオナちゃんの手作りおいしいって、みゆちゃんに聞いたの。

 ――はい! たくさん作ります! 焼き菓子作ってお送りしますね!

 ――やった! 待ってるね。えーとえーと、ゼルくんの脚、なおれー!
 
 
 まぶしい光が、部屋中を覆って。
 全員が、息を呑んで。
 再び目を開けると。

 
 ――はー! 疲れた! その人も神様なんだね、すっごい力! つーかれたーーーーー! お菓子いっぱい待ってるね! じゃーね!
 
 
「は、ははは……感覚が……足が……あるぞ……ははは……」
 ゼルが静かに泣きながら、立っていたのだった――
 

「大丈夫よ。今頃ジンライ、びっくりしているわね」
「そっすねえ。まさかプロムに出るって言うとは」
「ふふ、さすがゼルよね」
 
 治ったばかりの足は、まだ感覚が鈍いらしく、歩くのは実はまだまだな段階なのだが。
 魔導義肢を作ろうと頑張ってくれていたジンライを、安心させたいのだそうだ。
「美女をエスコートしたかった」
 ぶーぶー言いながらも、ディートヘルムは、それに付き添っているはずだ。こんなガタイの良いゼルに肩を貸せるのは、残念ながら俺だけだと笑って。
 
「それより、よかったんですか。俺で」
「なにが?」
「なにがって……エスコートですよ」
「だって、一緒に卒業したいじゃない?」
「だー! そういうことじゃ!」
「わかってるわよ。ただ、勇気が出なかっただけ!」

 プロムのエスコートは、特別なもの、という慣習がある。
 婚約者、もしくはそれに準ずるパートナーと一緒に出るしきたりなのだ。
 
 馬車から降りたところで、会場から「わー!」「きゃー!」「ジョエル様ー!」の声が聞こえて、レオナは思わずヒューゴーと顔を見合わせた。
「ジョエル兄様、相変わらずの人気ね」
「あー、シャル様、大変だって言ってましたよ。女性の嫌がらせはえげつないとか」
「まじ?」
「まじ」
「ふふ。さ、いきましょうか」
「はい。マイレディ。お手をどうぞ」

 馴れたヒューゴーの手を取って。
 レオナは、一歩一歩、会場へと歩いて行った。
 


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お読み頂き、ありがとうございました。
ゼルー!!!(´;ω;`)
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