【本編完結】公爵令嬢は転生者で薔薇魔女ですが、普通に恋がしたいのです

卯崎瑛珠

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第二章 運命の出会いと砂漠の陰謀

〈120〉進級なのです!

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 ――お馴染み、学生食堂の一角。
 午前講義を終えて、いつも通り昼食を取るレオナ達は、少しだけ様子が違っている。

「レオナ」
「はうっ」
「困らせたかったんじゃないぞ?」
「……(こくこく)」
「意識してくれるのは、嬉しいがな」
「うっ」
「ははは! いつも通りでな」
「うん……ありがとう、ゼル」

 デート翌日のレオナとゼルのそんなやり取りで、何があったのか一目瞭然であった。
 ヒューゴーが、ブツブツと「殺される前に殺すか……いや俺のが先か?  凍死か射抜かれるか斬られるか……」と言っていて、テオが慰めていた。

「ところで、ジンライは?」
 空気を変えるべく、シャルリーヌが尋ねる。
 
 ジンライは、欠席していた授業態度で留学が危ぶまれるのでは、と思いきや、フィリベルトが「学生の問題行動を黙認していた学院の、内部調査を願う」と、いつの間にか諸々の報告書を、行政大臣宛に送りつけていたのだとか。
 ジョエルいわく、朝議に呼び出された行政大臣に、宰相から「学院は行政の管轄だろう。ちゃんと管理監督しているのか? これは下手したら外交問題にもなるぞ」と突っ込まれ、震え上がっていたらしい。
 なにせ、ブルザーク皇帝が直々にスカウトするくらいの学生だ。平民だからとないがしろにしていたことは、案の定結構な大問題に発展し、その影響で来年から担任変更となったし、講師の査定も多少厳しくなったようだ。
 
 それでもジンライは課題提出に追われ、滅多に寮から出て来なかったのだが、晴れてすべて出し終わった。残すところ担任との面談、となったところでそれも特別免除され、進級確定。ようやく表に出てこれる! と思いきや、今度は出来る限り腕を磨いてから行け! と鍛治の親方に拉致されていった。

「仕方ないよ、トールにも行かなくちゃだし」
 テオが訳知り顔だ。
「トールって、北の湖よね?」
 シャルリーヌが聞くと
「うん。雷神様にご挨拶したいだろうし」
「「「「雷神様にご挨拶」」」」
「あっ、えっと、石碑があって! そこでお祈りするだけ!」
 なぜだかものすごく焦るテオ。

「なら、良かったわ。見かけないから心配していたの」
 シャルリーヌが食後のお茶を飲み始めると、
「じゃ、じゃあ私は進級面談に行ってくるわね」
 レオナはカミロとの面談のため早めに席を立ち……ヒューゴーが付き添った。

「……ゼル」
 二人を見送った、シャルリーヌの目が途端に据わる。
「大体何を言ったのか想像つくし、個人的なことだから聞かない。けど、レオナの気持ちはちゃんと」
「シャル。さっきも本人に言ったが、困らせたい訳じゃない」
 ゼルは、眉を下げて微笑む。
「だが、俺のことも知って欲しい、見て欲しいと願うのは、駄目なことなのか?」
「……っ」
「もう、後悔だけはしたくないのだ」
「ごめん……」
「シャルは優しいな。大丈夫だ、これでも
「……!」
「ゼルさん……」
「ははは! なぜシャルが泣きそうな顔をするのだ?」
「ご、ごめ」
「困ったな。だがまだ分からないだろう?」
 ゼルが、とっても悪い笑顔をする。
「今は俺の方が有利だ。思った以上に相手は臆病みたいだからな」
「あー……」
 テオが肩をすくめる。
 王都での追跡を思い出したのだろう。
 シャルは、大きく息を吐く。
「ゼル。勘違いしないで」
「ん?」
「私は、貴方が傷つくのも嫌なのよ」
「……そうか。嬉しい」
「ふん! さ、食べて。私も面談に備えないと」



 ※ ※ ※

 

「……大丈夫です?」
「う、うん、大丈夫よ!」
 カミロの研究室へ向かう途中、ヒューゴーが気遣う。
 レオナは、なんでこんなにバレバレになるの!? とパニック状態ではあるのだが、意外にも皆が温かい態度で戸惑っていた。
「ヒュー……」
「なんです?」
「そんなに私、わかりやすい?」
「っすねー」
「そっか」

 しばらく無言で、廊下を歩く。
 
「このままじゃ、良くないかしら」
「んなことねーすよ。ゼルだって言ってたでしょ」
「でも……どうしたら……」
「自分の気持ちに正直でいたらいいんす。誠実でいることが大事なのでは?」

 歩きながらヒューゴーは、頭の後ろで手を組んで、ふー、と大きく息を吐く。

「それに、第一歩、なんじゃないすかね?」
「第一歩?」
「夢なんでしょ、恋愛結婚」
 ニヤ、とする、兄貴の顔。
「何歳の時でしたっけかねー、誰だかに魔女って言われて泣きながら、絶対素敵な人と恋をとかなんとか」
「わー!」


 ――黒歴史を全て知られているのも、どうかと思う!


「あ! 今思えば魔法だったのね、あれ」
 レオナはふと思い当たる。
「……あー……そっすね」

 感情が高ぶって、その時部屋にあったティーカップが全部割れたのを思い出したレオナは、次の疑問が生まれる。
 
「なんで今まで忘れていたんだろう、そんな大事件……」

 パリンパリン、と高価な陶器が次々割れていく光景。
 幼心に怖くてショックで、その後――その後?
 
「あれ? 思い出せないわ……変ね」
「いーじゃないすか。小さい頃の記憶なんて、そんなもんすよ。ほら、着きましたよ」

 見慣れた、カミロ研究室の扉だ。

「俺も立ち会いますんで」
「あ、そうね」

 男性と密室で二人きりにはならないようにとの配慮。
 他の女子学生も、この面談時にはメイドや侍従の帯同が許可されている。

 コンコン……
 
「はい」
「レオナ・ローゼン、参りました」
 ヒューゴーが代わりに言い、
「どうぞ」
 返事を待って扉を開けると、中に誘導された。
 
 
「やあ、こんにちは」
 応接ソファに腰掛けていたカミロが、書類を持ったまま立ち上がり、目の前に座るよう促した。レオナは素直に従い、ヒューゴーはその背後に立つ。

「ごきげんよう、カミロ先生」

 お互いが座ったところでレオナが口を開くと、カミロは開口一番に
「留学おめでとう」
 と言った。
「へ」
「正直、レオナ嬢は面談の必要もないくらいに優秀だよ。特にこの経済学の『王国内流通の改善施策』は大変素晴らしい。是非続けて欲しいな」
「まあ! ありがたく存じますわ!」

 ダイモンイチゴの流通運搬についての計画を、課題として提出していた。

「僕としては、このような優秀な学生を他国に送り出すのはもったいないのだけど、ラースがちゃんと面倒見ると約束してくれたからね」
「!? 皇帝陛下と、お知り合いですの!?」
「「あ」」
 
 後ろでヒューゴーも、あちゃーの顔をしている。

「口が滑った……まいったな。内緒で」
 例の『しぃー』のポーズをされ、レオナはこくこくと頷く。


 ――だからそれ、セクシーすぎるんです!


「レオナ嬢は、相当ラースのお気に入りみたいだね。あの子は無茶なところがあるから、嫌なことはちゃんと断るんだよ」
「ふふ。はい。まるでラース様のお兄様みたいですわね」
「うん。兄だよ」

 パチリ、とどデカいウインク。

「……へ?」


 ――そういえば、その髪の色、同じだわ! ……だからラース様は見学の時、髪の毛をくくっていたのかも!  さすがに二人並んだら、同じ色って気づくかもだもの。実際は首周りのファーとか威厳とかで、全然目に入ってなかったけれども。


「えええええ」
「内緒だよ」
「もももちろんですわ!」
 顔立ちは似ていない。言われて初めて、そうと気づく。
「さて、何か他にご質問は? ……っい、た」
 カミロが、こめかみを押さえる。
「先生? 大丈夫ですの!?」
「あーごめんね、頭痛が」
 ずっと書類を見ているからね、と苦笑いをするカミロ。

「あ、あの」
「大したことはないから、心配しないで。最近忙しかったからね」
「良かったら、お茶を淹れさせてくださいませ。私も喉が乾きましたの!」
「あ、レオナ嬢のお茶は久しぶりだね。それは嬉しいな」
「はい!」

 ヒューゴーにもその意図は伝わったはずだ。
 さり気なく、カミロの様子を観察している。

「ヒューゴー君も、問題ないね」
「え、あ、自分ですか?」
「ん? 進級するんだろう?」
「へ?」
 
 ヒューゴーは、レオナの留学と同時に学院へ通う必要もなくなったと思っていたようだが、実際は――
 
「卒業させる、てフィリベルトからは聞いているけれど」
「ええっ!? あれマジだったんすか!?」
「くく。学院の卒業資格は、持っていた方が良いよ」
「マジすかー……」
「ジョエルも応援しているみたいだしね」
「うっげえ」
「フィリベルトの後任で魔道具研究をしてもらうね。だから、そこの部屋の所有者はヒューゴー君と共同になります」
「あー、承知致しました」
「え、お兄様、卒業後も学院に在籍されるのですか?」
「魔道具研究は続けたいみたいだからね。私の助手」
「まあ!」
「レオナ嬢は、来年には戻るのだろう?」
「ええ!」

 お茶を淹れながら答えるレオナは、ポットに念入りに『おまじない』を施す。
 カップをテーブルに置きながら
「帝国とマーカムでは、期間が異なりますから」
 と言うと
「そうだね。二回もプロムに出られるね」
 カミロが笑う。

 帝国は、日本で言う一月から十二月。
 マーカムは四月から三月、が学年の区切りだ。
 レオナは四月から十二月までを帝国で過ごし、帰国してマーカム王立学院で一月から三月を皆と共に過ごす予定にしている。
 そして、プロムとは卒業パーティのこと。
 パートナー同伴必須で、着飾って出る舞踏会なので、行きたくはないな、とぼんやり考えていたレオナである。

「フィリベルトは、出なかったと聞いているよ」
「ふふふ。そうでしたわね」
 パートナー争奪戦は、語り草になるほど物凄かったらしい。
「ふー。お茶ありがとう、相変わらず美味しいな……」
 レオナのお茶を飲んだ、カミロの眉間が緩んだのを見て、安心する。
「光栄ですわ」
「うん……ん?」
「? 何か?」
「え? ……私は……なぜ……」

 カミロが、急に何かに戸惑っている様子だ。
 
「カミロ先生」
 ヒューゴーが、冷たい声を出した。
「頭痛はいかがですか?」
「えっ、あ、ああ、大丈夫だよ」
「そうですか? 何かに戸惑っていらっしゃるようですが」
「……うん。ちょっと、うん」
「何かできることは」
「いや。私も年かな……さ、面談はこれでおしまいだよ。次の学生も来るだろうから」
「はい。ありがたく存じます」
「……ありがとうございました」
「二人とも、引き続き頑張ってね」
「「はい」」


 研究室を出て、レオナとヒューゴーは、顔を見合わせる。
「嫌な予感がするわ」
「同じくです」


 
 ※ ※ ※



 シャルリーヌ、テオ、ゼルも皆無事進級が確定し、後はアリスターの立太子式典に備えて、練習やドレスなどの準備を始めることとなった。
 今年新たに陞爵しょうしゃくしたり、初めて招待されたりなどでマナーが不安なテオのクラスメイトたちが、良かったら教えて欲しい、と言ってきたらしく、レオナとシャルリーヌはそれを快く引き受けることにした。マナーの講義だけでは、心もとないのだろう。そうこうしながら、さらにレオナは、毎日を忙しく過ごしていく。

 一方では、突如としてカミロの謹慎処分が発表され、ハイクラスの学生達に動揺が走った。
 
 理由は、表立っては明確にされていないが、フィリベルトいわく
「実力の伴わない学生の進級を、複数名認めたらしい。そのことで、贈賄ぞうわいの調査が行われたが、証拠はなくてね。謹慎で済んだ」
「そ、んなことって!」
「もちろん。カミロはそのようなことをする人間ではない」

 学生か講師か。
 カミロを陥れたのは、誰か。

「気にせず、レオナは自分のことをね。私がきっちり調査を続けるから安心して。カミロの名誉回復のためにも、ね」
「お願い致します」


 来月の立太子式典は、アリスターがいよいよ王太子になる、重要な行事だ。それに出席してからブルザークに発つレオナは、不安を胸に抱えたまま、粛々と準備を進めて行くのだった。
 
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