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第二章 運命の出会いと砂漠の陰謀

〈94〉砂漠の王子27

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「ハーリドッ!」
 ゼルがその名を叫ぶと、泣きそうな顔で、はい、と返事をした。

「なーにしに来たんかなー?」
 ナジャことリンジーが飄々ひょうひょうと尋ねるも
「……邪魔をするな」
 ハーリドは意に介さず、さらなる打撃を繰り出した。
 リンジーは二人を背にかばい、ハーリドの拳を冷静に叩き落とし続ける。
 鬼気迫るハーリドは、がむしゃらに攻撃を続けるが、精彩を欠いているようで、全てをいなされる。
 
 ゼルは、隙を見てジンライの様子を確かめ、演習場と客席を隔てている木壁に背をもたせかけて、座らせ直してやった。気絶しているが、呼吸に異常はなさそうだ。

「シュルークよ!」

 ぴくり。
 ゼルの眉が途端に吊り上がる。
 
「俺は……ゼルだ」

 振り返りながら、立ち上がり。
 闘気をみなぎらせ、叫ぶ。
 
「その名で、俺を、二度と呼ぶな!」
 
 怒りが周囲に満ち溢れて、今にも爆発しそうだ。
 
「ハハハハ! その姿こそ、まさに闘神!」
 ハーリドが、両腕を広げてじわじわ闇に包まれていく。
「あかんっ!」
 リンジーが、叫んだ。
 
 ――ぶおっ

 途端に熱い風が、巻き起こる。

「ぐ」
 ゼルが怯む。
 
 ハーリドが、内包する魔力を爆発させようとしていることを察して、さすがのリンジーも冷や汗をかいている。下手したら巻き添えを食って共倒れになる、背水の陣。
 これでは近づけないどころか、攻撃すらできない。
 
「わいってつくづく、防御苦手やねんな~タハー」
「どうすんだ!」
「逃げる時間もなさそやなあ。背中におり。耐えてみるわ~」
「くっそ!」
 ゼルが前に出ようとするが、
「やめとき」
 リンジーが止める。

 と、砂埃が一際強く舞い、目を開けられなくなった。

「ぐ、……」
「ちっ」

 徐々に視界が戻ってくる。
 ――と。
 
「ジンッ!!」
 いつの間にかハーリドが、気絶したジンライを、座ったままの姿勢で後ろから羽交い締めにし、首にナイフを当てていた。

「おやー? 別に目的があるってことかいねぇ」
 間延びした声でリンジーが尋ねると
「……ローゼン公爵邸へ連れて行け」
 ハーリドは、そう言った。
「分かった。ジンを離せ。俺が代わろう」
「あかん!」
 リンジーが止めるが、それを聞くようなゼルではない。
「下手な動きをしたら、いつでも呪うが良い!」
「……分かりました」

 遠くから、何名かの巡回の騎士が走ってきているのが見えた。ジンライの結界が破られ、緊急通信が発せられたのだろう。ジンライのことは彼らに任せられそうだ。

「はー、しゃあない。行こう。案内するわ」
 リンジーは、この際ちゃんと護衛術も習おうと、密かに心に決めた。

 

 ※ ※ ※



「似ておらんなあ」
 待望の世継ぎとして産まれたはずのザウバアが、父に初めて言われた台詞は、それだった。
 
 それもそのはず、アザリーの王族は褐色肌と鋭い碧眼が特徴だが、肌は透き通るかのような色白にぱっちり二重、ふさふさの睫毛。母である前王妃もまた褐色肌だったために、不貞を疑われて精神を病み、のちに自殺。ザウバアは、とりあえずの直系男子として、乳母に育てられた。

 それからの国王は、色狂いと揶揄やゆされるほど様々な人間をむさぼり尽くし、結果的に九人の王子が産まれた。

「あの豪族を籠絡ろうらくしてこい。堕姫だきの息子なら容易だろう」
 
 ある日初めて国王から呼び出されたザウバアは、喜び勇んで謁見するが、そのひと言で地獄に突き落とされる。
 成長するにつれ、男が惑うような陶磁の肌、異国の人形のように整った見目となった彼は

「お前の生きる道は、それだ」

 と、無慈悲に告げられたのだった。
 
 国王に会えるのは、成果報告の、その時のみ。
 従わなければ、恐らくは死。だがザウバアはそれとは無関係に、父に会いたい、認められたい一心で、躊躇ちゅうちょなくその道を進むことを決意する。

 ――が、目線すら合わないまま父王は年老い、やがて王位継承争いが勃発、苛烈を極めていく。
 発端は、血気盛んな第二王子。宮殿廊下でザウバアを娼婦とこき下ろして足蹴にし、側近のアドワがキレた。
 第二王子は、命を脅かされたと逆上し、あとはもう殺すか殺されるかの仲違なかたがいに発展した。
 それに刺激を受けた他の王子たちも――泥沼化するかと思われたが、ザウバアに狂っていた豪族たちの後押しで、二番から四番までは、あっという間に暗殺されるに至った。

「……お前は、強いな」

 何人目かの地方豪族の『協力』を取り付けた、と報告したザウバアに、父王は気まぐれに一言ぽろりとそう告げる。
 
「!!」
 父に、ついに褒めてもらえた!
 そうだ、これこそ僕の生きる道なんだ!

 周囲の豪族たちは『貴方様こそ王たるべき器』『今宵こそどうかお慈悲を』とザウバアに擦り寄り、金と権力を献上した。
 気づけば様々な有力者たちが、ザウバアの思い通りになっていった。

 ――ところがある日。

「なんと、闘神が生きておられるそうな!」

 アザリーの宮殿を、衝撃的な噂が駆け巡った。
 
 父王の黄金の瞳への執着は異常だった。権力者たちも、権威と信仰心のために生ける闘神を欲した。王子たちは、王位簒奪さんだつのために誅殺ちゅうさつを目論んだ。結果、既にこの世にいないと思われていた、九番目が。

 ――生きて、いる……?

 足元がガラガラと崩れ落ちるような感覚を味わったザウバアは、闘神がいると噂のマーカムを調べ尽くし、間諜として、あえて闘神信仰に狂っているハーリドを送り込むと。

 ――生きて、いた……

 その絶望感たるや、なかった。
 子飼いのナハラ部隊ですら、闘神に仕えたかった、などとヒソヒソ言う始末。
 
「ねえアドワ……シュルークが一体なんだって言うノ? 僕はこんなにも、アザリーのために頑張ってきたのニ! 黄金の瞳だからって……たったそれだけじゃないカ……悔しい……悔しいよ……うう、もう、みんな、大っ嫌い! ……大っ嫌いだヨ……ねえ、いっそのことサ、僕が王になってサ、みんな殺しちゃおうヨ! シュルークも、父王も、僕を邪魔する弟たちも! そうしよウ! それが良イ! ネ!?」
 
 自室で独りそう叫んだ後、むせび泣くザウバアの気持ちをおもんぱかり、アドワは彼の周辺全てに怒りを向け――独断で父王に死蝶を使うに至ったのだった。
 
 マーカム王国へ自ら赴いたザウバアに寄り添い、彼の望む通りに『障害』を排除し尽くしてから、責任を取って果てることを決意した上で。

 そしてそのザウバアは――鉱山を手に入れることも、宰相を暗殺することもできずに、ついに追い込まれた。はずだったのだが。

「ここ……どコ?」
 ローゼン公爵家の庇護を受けた闘神ゼルほふるため、公爵令息、はては当主にまで手を伸ばしてみたものの、大国の公爵家の壁は想像以上に分厚かった。
 ザウバアとて馬鹿ではない。ローゼンが本当に『』を所有していたのは誤算で、アドワの死蝶を防がれたのは、完全に予想外のことであったのだ。
 
 主戦力のアドワもハーリドも失くし、こうなったら闘神本人を殺そう、と自暴自棄になったところでマーカムの近衛が捕縛に来て……それでも足掻こうとしていた矢先――いつの間にかここにいた。

「あれ、僕……捕まったハズ……」

 騎士団本部に、八番も来ていることを知った。
 だから表面上は大人しく捕まっておいて、なんとか接触し――情に訴えるか取り込むか利用するかして――再度闘神ゼルを暗殺する機会を窺おうと思っていたのだ。

 が、気づくと木造の小屋の中で、ロッキングチェアに座らされていた。脇にはシンプルな木のダイニングテーブルと椅子が四脚。
 身体に異常がないかをさっと確かめてから、ザウバアは立ち上がる。

 ぎしっ、とロッキングチェアが揺れた。
 周りを見渡すが、無人。気配も、ない。
 ダイニングテーブルの上に、何かが乗っているのを見つけ、近づいて確認すると

「地図……? 現在地と……」
 
 ザウバアが欲しい情報が書き込んである。
 
「誰……? 一体何? 助けてくれたノ?」

 ブルルルッ

「?」
 ぴっちりと閉められたカーテンの隙間から、慎重に外を覗き見ると、木に馬が括り付けられていた。鞍も手綱もあり、すぐに乗れる状態で、ザウバアのために用意されたとしか思えなかった。
「フフ。誰か知らないけど、ありがト」

 椅子にかけてあった外套を羽織ると、ザウバアは外に出た。



 ※ ※ ※


 
「!」
 ヒューゴーは、テオに人差し指で合図を送る。
 テオから、了解、の合図が返ってきた。

 
 ――フィリ様の読み通りとは……


 フィリベルトは、最初からザウバアが全ての黒幕だとは思っていなかった。ピオジェやゲルルフを抱き込んだものの、その全てが。いわば、金と権力と欲に尽きる。アドワはともかく、ハーリドは、ザウバアだけでない、別の人間の指示を受けているはずと睨んでいた。

 冷たい美貌の公爵令息は、こうも言っていた。
「私や父上を狙うだなんて、真正面すぎると思わないかい? 多分、いいように踊らされているよ。私がアザリーの王子なら、マーカムに手は出さない。巻き込んで介入させる手段を取る。タウィーザのようにね」

 そして、とても悲しそうな顔をして。
 
「だからね、ヒューゴー。すまないが、もう一度あの小屋に行ってくれるかい?」
「あの小屋って……まさか」
「うん」
「!?」
「きっと彼らは、最後はに来る。だからそれを確認して欲しい」

 ヒューゴーは、目の前で馬に跨るザウバアをそのままやり過ごす。
 テオに風魔法で追跡させ、自分は小屋の中をあらためてから追従する手はずになっている。こういう時、テオが通信魔法を使いこなせるようになったのは、大きい。


「無茶だけはするなよ、テオ……」
 後ろ髪を引かれつつ、ヒューゴーは小屋に向かった。
 
 

 ※ ※ ※



 騎士団本部より、少し離れた場所にある地下牢に、アドワはいた。
 その身体は限界まで死蝶に侵食され、意識はもう途切れ途切れになっていた。
 聴取では「宰相暗殺は私の独断。単独です」とだけ言い残し、ただ静かに命がついえるのを待っていた。
 
 
 元々アドワは――肉体労働奴隷だった。
 ザウバアに入れ込んでいた地方豪族が、戯れに贈り物として献上した、生きてはいるものの、何の権利も持たない人間。

 ザウバアは、首と手首と足首を鎖で繋がれたアドワに対して
「僕、奴隷とか全然興味ないんだよネ。君は、何ができるノ?」
 と聞いてきた。
 侍女たちが、鎖を外していく。
 アドワは、これは夢か? と思った。

 俺に、何が出来る? 考えたことが、なかった……

「……丈夫……です」
「あハ! じゃあ強くなってヨ。護衛ってサ、いくらいても足りないんだよネ」
「っ、承知致しました」
 アドワに初めて、生きる価値が生まれた瞬間だった。

 

「あなたは、狂おしいほど、父王を愛されていた……」
 アドワの両目から、黒い涙が滴り落ちる。
「だから私の死蝶では、どうしても。どうかお許しを――愛しい人よ……」
 静かにイゾラへ祈りを捧げるアドワは、その姿勢のまま、動かなくなった。



 ※ ※ ※


 レオナは、ようやく立ち上がることができるまでに回復できた。
 死蝶からタウィーザを生還させたから、というよりは――
 
「ものすごく、強い魂だった……」
 思わず独り言が漏れる。
 闇の深淵で、レオナは自身の魂すら丸裸になる感覚を味わった。あまりにも深く潜りすぎた、と思う。生身で触れたタウィーザのそれは、まさに神と呼べるほどの、強い生命力を持ったもので――守護神、とは何か分からないが、自然と口をついて出て、タウィーザも認めたものだから、驚いた。

「シュルークの、守護神」
 創造神イゾラの九番目の息子シュルークを守護していた、八番目の兄は、確かに神話に存在している。まさか本当に生まれ変わりということ? と思考の海に潜り込んでいると。

 ――コンコン

 私室の扉をノックされた。
 
「レオナ? 入っても?」
「お兄様! どうぞ」

 心配そうな顔で、フィリベルトが入室してきた。

「体調はどうかな?」
「ええ、もう大丈夫ですわ!」
「それなら良かった」
「……お兄様」
「うん?」
 
 レオナは、その違和感に心がざわめいた。

「じゃない。あなたは、誰」
「レオナ、急に何を……」
「お兄様じゃない、と言っています」
「……どうしたんだい? 疲れているのかな。誰か呼ぼうか?」
 

 ああ、これは――使っても……良いわよね?

 
「ディスペル」
 強化魔法を解除する弱体魔法を、小声で唱えた。
「!」

 するとどうだろう、フィリベルトの姿が消え失せた代わりに、濃い紫の短髪、狐目で褐色肌の、見知らぬ男がそこにいた。
 
「……驚いたわぁ」
 邪気なくその男が言う。
「かすかになまりがあったわ」
「へえ」
「どなた?」
「さあてね」
「ナジャ君に似てる、けど、似てない」
「オカンが同郷らしいねん」
 と、無遠慮に近づいてくる。

「ナジャ君を知ってるのね……でも、部屋着のレディの部屋に、ズカズカと他人が入るものではなくってよ」
 レオナが冷たく言い放つと。

 シュッ、パァン!
 
 マリーが飛んで来た。
「……おっそろしいメイドちゃんやなあ」
 ヒューゴーがいつも涙目になるその蹴りを、難なく受け止めて見せた。

「……あなたは」

 レオナは、見透かす。

「ゼルのお兄様?」
「――!」
 
 男は、歩みを止める。

「なんで分かったんや?」
「どこか似ているわ」

 レオナは、するりとベッドから下りて、男に近づいていく。
「レオナ様っ!?」
 マリーが慌てるが、いとわずレオナは男の頬に触れた。

「……つらそうね」

「っ」
 男の顔が、途端に歪む。
「私にできることは、何?」
「……な、なん……」
「レオナッ!!」

 扉から飛び込んで来たのは、ルーカスとフィリベルト。

「待って!」
 戦闘態勢に入る二人を、レオナは制する。
「!?」
「話を聞いて欲しいのではなくって?」
 
 ――この人は、悪しきものではない。


 それよりも、もっと邪悪なものが、近づいて来ている。
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