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番外編3 天さんへ二十の質問

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 ある、なんでもない日の便利屋ブルーヘブン。
 ブランチを終えた天が事務机でダラダラと新聞を読んでいると――ちりりん、とドアベルが鳴った。
 客か? と顔を上げた天は、入って来た人間の顔を見るや「なんだよ」と眉尻を下げる。

「こんにちは、麻耶です! ――お前誰だよとか思いました? 『階層ジレンマ』で初登場し、『恋と沼』で大活躍した……」
「おいマヤ。わざわざ俺の店まで来て、なぁにしてんだ?」
「暇」
「ひま?」
「そう! ひーまー! 構って欲しくて来ました。奏斗くんは?」

 天、意味が分からず絶句する。

「おいおい、なんだそのドヤ顔はよ……奏斗は大学だ。ケーキ屋はどうした」
「ショウね、別の用事があるんだって」
「会社は」
「有休消化です!」
「有休……もっと有意義に使えよ」
「え、遊びに来ちゃだめだった?」

 麻耶が潤んだ瞳で見てくるので、天は降参とばかりに両手を挙げた。

「わーったよ……んで俺は何をどうすりゃいいんだ? 今日は頼まれごとはねえけど、店からは出られねぇぞ」
「やった! 天さんって、見た目こんな怖いのに優しいですよね」

 ガシャガシャと麻耶は勝手にパイプ椅子を引きずり、天の座る事務机の脇に置いてからドンと腰を下ろす。バッグから手帳を取り出して――

「……すげー嫌な予感がする」
「じゃーん! というわけで、質問ターイム!」
「あ?」
「天さんのこと、もっとちゃんと知りたくて」

 メモページを開いて事務机の端に置き、それを左手で押さえつつ右手はカチンとペンをノックして、ペン先を出す。完全に記者かインタビュアーだな、と天が溜息を吐く一方、麻耶はキラキラの目で天を見つめた。

「色々聞きます!」
「……聞いてどうすんだよ」
「? どうもしないです。嬉しいだけ」
「なんだそれ」
「天さんて、大切なことはから」

 天は、ガシガシと後頭部をかいた。
 
「わーった。際限ねぇのも嫌だし、十だけな」
「十!? 少ない! 百!」
「ひゃくう!? やだよ。せめて十五」
「えー! 無理強いも嫌だし……じゃあ二十」
「はは。わーった。二十だけな」



 ◇ ◇ ◇

 

 ――天さんのプロフィールを教えてください。

「プロフィールて……青井あおいてん、千三百歳ぐれぇか? 便利屋店主で、大天狗」
「大天狗! ただの天狗じゃない! 崇徳院すとくいんて名前はなんですか?」
「……人間だった頃の名前だ、忘れとけ」
「人間から天狗になれるんです?」
「どうやったか忘れたなぁ。修行しまくって恨みまくって一周したらこうなってた。わはは」
「その一周が果てしなく重いですね」
「そうかぁ?」

 天は首を傾げ頭頂をぽりぽりとかきながら、自身の毛をぷちんと一本抜いた。
 ふ、と息を吹いてそれを床に捨てたかと思うと、
「そんなん、気づいたら~てやつだ」
 にやりと笑った。


 ――なんで便利屋を?

「昔この店やってた爺さんから、縁あって譲り受けたのさ。戦争終わって帰って来たら家族も親戚も誰も居ねぇ、体は元気、つってご近所さん助けて回ってるうちに商売になってた、て笑っててな。大往生見送ってやったんだけどさ、そういうのもなんか良いなって思ってな」


 ――そうだったんですね……天さん、年取らないの不思議に思われません?

「天狗っつーのは、色んな力があんのさ。神通力じんつうりき人心掌握じんしんしょうあく折伏しゃくぶく縮地しゅくちとかだな。まぁあんまり人の頭いじくるの好きじゃねぇから、最低限おかしく思われないように、ぐらいか。ちなみにダイキチの飼い主の田中の爺さんは、昔は有名商社勤務の超絶イケメン」
「田中の爺さんやば! 縮地って瞬間移動ですよね。便利!」
「いやぁすんげえ疲れるのよ。車とか電車のが楽。人間すげえ」


 ――おほん。お話を戻しまして。奏斗くんを引き取ったのもやっぱり縁ですか?

「……正直、因果を感じたのはある。けど、ロクデナシなら助ける気はなかった。あいつは自分より弱いやつを優先しちまう不器用で心優しいやつだから、ほっとけなかったんだよなあ」

 ぎしり、と天は椅子の背もたれに背を預けながら、天井を見上げる。


 ――今では嫁ですしね! でもカナミツは譲れませんので。そこんとこ、どうお考えですか!

「ふはは! カナトの好きにすりゃいいさ。みっちーにもあいつが必要だ。なんであろうと、想い合うてえのは良いことだしな」

 な、と麻耶の顔を横目で見ながら、天は自身の後ろ髪をくるくると指先でもてあそぶ。
 からまって抜けた毛をまた、ふっと吹く。
 

 ――みっちーさん……普通に考えたら、調伏ちょうぶくされてしまうのではないですか? それよりもっと奏斗くんを必要としている人がいるみたいですよ?

「あ? それこそ昔に奴と会ってたなら、そうなってたかもしれんけどな。けど万物流転よ。憎しみは愛になるし、愛は怨みになるものさ。だろ?」


 ――難しいことは、分かりません! 好きな食べものはなんですか!

「おま、誤魔化したな? んー……好きな食べもの……酒」
「食べものじゃない!」
「じゃあ、米」
「そうでしたね、天狗は食べなくても平気なんでしたね! では、奏斗くんの料理で一番好きなのは、に変更します!」
「ううーん……味噌汁……厚焼き玉子……いや、きんぴら……肉じゃが……生姜焼きも捨て難い……」
「はいはい、完全に嫁ですね!」
「だろぉ。靴下は洗濯かごに入れろとか、風呂の換気扇忘れんなとかさぁ。口うるさいくせに、風呂上がりに冷たいビール出してくれんだよな」
「……うっかりキュンとするので、ノロケはやめてください!」
「ワッハッハ」


 ――ねこしょカフェに入り浸っているのは、なぜですか? それこそ玉藻前たまものまえのことは怨んでいるのではと思っていましたが、仲良いですよね。

「近いしコーヒーがうまいから、だな。仲良くはねえけど、奴も俺も、なんだかんだ人間のことが好きだから、ああやって人間を接する場所に居るってだけなんだよ。昔は激しく怨んだり奪ったり、殺したりしてきたけどなぁ。長いこと生きてると、命の感覚が麻痺してくる。だからこそ、一瞬のものを大事にしねぇとな」


 ――難しくて良く分かりませんね……ところで、神通力っていつも使ってるんです?

「難しいか? 神通力なんかいっつも使ってたら疲れるだけだぞ。ここぞの時だけだな」
「やっぱり疲れるんですね」
「おう。何回か俺、ぶっ倒れてるだろ」
「さくらちゃんのために倒れたのは、萌えでした」
「燃え? 燃やしてはいねえ。消しただけだぞ?」
「……台風、消した? 台風って消せる……?」
「あと百年はやりたかねえな」
「さくらちゃんのためだったら、やりそうですけどね」
「言うな。あの目は駄目だ。見たら負けるぞ」

 麻耶、天の肩をバシバシ叩く。
 
「いだだだ、なんだよ!?」
「すみません、ちょっと萌えが荒ぶったので」
「お前……何言ってんだ?」

 天、涙目で肩をさすった。


 ――人の心を読んだりするのって、嫌じゃないですか。

「こんだけ長く生きて、色々見てたらまあ慣れる。俺が見られるのはそいつの心の周りだけだしな」
「あ~なるほど、『人心掌握』ということですもんね」
「そう。だけだ。そいつ自身の希望や恐れは、本人が言ってくれないと分からん。気づいたのは最近だけどな」
 
 
 ――天さんの『最近』って何年ぐらいなんです?

「そらぁ百年やそこらだろ」
「いやいや。めっちゃ昔!」
「そうかぁ? てかそんなんで質問使っていいのか?」
「うぎゃー! しまったーーー!! じゃ、好きな本はなんですか! なんかいっつも本読んでますよね!」
「あ~大体妖怪出てくるやつ選んじまうな。話は面白ぇし、なるほど人間から見たら俺はこうなのか、てな」
「天狗が、天狗の伝承を読む……?」
「うはは。改めて言われると照れるな」
「ちょっとトキメキが収まらないですね」
「なんでだよ。これ何問目だ?」
「十一問目ですね」
「……まじかよ」
「まだです」
「……」
「そんな顔してもダメです」

 はあ~と大きく息を吐きつつ、天は両肘を机の天板に突いて頭を抱えた。


 ――ところで天さんの好きなタイプってどんな?

「好きなタイプてなんの?」
 
 顔だけ起こした天が、麻耶へ恨めしそうな顔を向ける。顎は手に乗せたままだ。
 
「恋人にするなら、です!」
「えぇ~もういらねぇ」
「……もうって言いましたね? さては、過去に色々ありましたね!」
「色恋沙汰は、散々な思い出しかねえんだよ」
「さすが崇徳院んんんん!! ちなみにどんな思い出?」
「だーから呼ぶなっつの。よくあんのが、私だけを見てとか? 見てるつもりだったんだけどなぁ。俺はどうにも信用ならんらしい。はは」
「ふぐぅ! 心臓にぶっ刺さりますね! ハァハァ!」
「……お前、何言ってんだ?」
「ティッシュどこですか!」
「……」

 天、肘を突いて顎を乗せた姿勢のまま、無言で箱を差し出す。
 麻耶が鼻栓を作り始めたので、さすがに止めた。


 ――すみません。鼻血が出そうだったので……好きな映画は?

「映画は、すんげえ古いのが好きだな。こないだ見たのは殺し屋と女の子の。あれはちょっと胸に来たなあ」
「〇オンですね!」
「それそれ。単純にドカーン! みたいなのも好きだぜぇ。今見てんのは、考古学者が鞭持って走り回るやつ」
「インディ・ジョー〇ズですね。さては天さん、アマ〇ラ契約してますね?」
「……よくわかったな」
「わたしもですから! 店番しながら見てますね?」
「……」
「俗物天狗め!」
「おい、なんで急に罵倒すんだよ?」
「そういうとこかなって」
「おめぇのテンションが全然わからん」


 ――休日の過ごし方を聞きたかったんですが、大体分かっちゃったので……今までの便利屋の仕事で一番印象に残っているものってありますか?
 
「どうせダラダラ映画見てるだけだよ。悪かったな。一番、て決めらんねぇよ。それぞれ楽しかったし、麻耶みてぇに新しく知り合って、こうして話ができんのってすげえよな」
「天さんって本当に人間が好きなんですね……皆さんと未だに仲良いのもすごいですよね。羽奈ちゃんたちとか、プロレスラーの人とか」
「コタローは律儀だからなぁ」
「こないだバラエティ出ててびっくりしましたよ!」
「無人島から脱出するやつだろ? クウガがすぐぶちギレんのが面白かったよなぁ。短気すぎる」
「え、ちょ、天さん、バラエティも見るんですね!?」
「カナトが一緒に見ようって言うからさぁ」
「ノロケぶち込むのやめてもらっていいですか」
「これ、ノロケかぁ?」
「ノロケです」


 ――嫌いな人はいないんですか?

「ん~嫌いって感情がもうよくわかんねぇな。迷惑とか、困るとかはあっけど」
「例えば奏斗くんに危害を加えられたとしたら、嫌いになるのでは?」
「それは嫌うというより、おしおきだなぁ」
「おしおきしても、また来たら?」
「何度でもおしおきしてやらぁ。ま、俺みてぇに長く生きてるやつぐらいは、そいつの相手してやらんとな。大抵構って欲しいか、手に入れたいか、自分の心を無くしてるかだもんな、そういうの」
「心を、無くしているとは?」
「本当に欲しいものは他にあってもそれが分からんから、手に入りそうなものを力づくで奪う。けどこれじゃないっつって捨てての繰り返しだ」
「……深いですね」
「そうかぁ? 単純だろ」

 ふー、と天は大きく息を吐く。

「十五問終わったな。もう充分なんじゃねえの?」
「いえ! あと五問!」
「へえへえ」

 
 ――いつも柄シャツと白Tシャツとデニムなのは、なぜですか?

「サイズがねぇんだよ!」
「えーっと、なるほど。身長百九十越えでしたっけ」
「カナトが測ったら百九十五だった」
「巨人!」
「天狗だっつの」
「行きつけの古着屋さんがこの近くにあるんですよね」
「おう。ある。でも店主が人見知りでな」
「洋服屋なのに、人見知り?」
「おう」
「やっていけてるんです?」
「いけてなかったな」
「なるほど、だから天さんが買ってる、と」
「おう。けどよぉ、こないだ遊びに来たカナトの友達に『古着屋で服買ってる、百九十越えでもサイズある』って教えたら、そいつが俺の写真付きで呟いた? らしくてな。あ、もちろん顔は隠して」
「ほうほう」
「ぷちバズ? って、すげえ客増えたらしい」
「え! すごい!」
「なんでも金がねぇ若いアスリートたちが、こぞって買いに来るんだと。特にデニム」
「天さん……インフルエンサーにまでなってしまった……」
「インフル? 風邪ひいてねえよ」
「ふぐう!」
 
 
 ――天さんが思う自分の長所ってなんだと思います?

「俺の長所? 長生き」
「ぶっ」
「マヤのことも看取ってやっから安心しろ」
「……それ、切ないです」
「それでいんだよ。出会って別れる繰り返しだ。かけがえのないもんを、たぁくさんもらってる」
「天さんは、天狗になったことを後悔していないんですね」
「してねえ。俺はなんていうか、生き物っていうより因果律そのものになってっからな」
「好き、という感情が消えないまま法則になるのって辛くないですか」
「はは。言うねぇ。でもそれが『修行』ってもんだろう。限られた生を全力で生きる方がしんどいさ。俺には時間があるから、甘やかされてるぞ」
「……」
「なんでおめぇが泣きそうな顔するんだよ」
「天さんが優しいからです」
「そうかぁ? 変な奴だな」


 ――じゃあ逆に天さんの短所ってなんですか?
 
「厄介ごとに、すぐ首突っ込むとこだろうなぁ」
「ぶふ。いつも奏斗くんに怒られていますね」
「そうなんだよ。あいつ俺のおかんか何かだよな」
「おかん!」
「勝てる気がしねぇ。こないだも、靴下片方なくして怒られたし、バスタオル使った後ぐしゃぐしゃにして置いてたら臭くなったって愚痴られたし」
「おかん!!」
「近所のおっさんに誘われて居酒屋で一杯飲んでたら、『飯いらねえなら連絡ぐらいしろボケカス』ってライ〇きてさ……」
「おか……いやそれ、嫁!!!!」
「はは! 嫁だな」
「はぁ~尊い~カナミツもよきだけどテンカナもよき~」
「なんだよテンカナって」
「別解釈です!」
「意味わからん」

 天が、ガシガシと後頭部をかくとまた髪の毛が抜けたようだ。
 指にからまったものを、ふっと吹く。
 
 
 ――これからも便利屋さんをやっていくんですか?

「そら、飽きるまでやるさ」
「飽きるまで?」
「おー。ダイキチの散歩も、ジジババん家の掃除も、庭の雑草抜きも飽きそうにねえけどな」
「彼氏のフリとか、学校の用務員さんとかも?」
「ふはは、そうだったな。俺は、この仕事をかなり気に入ってる。人間てぇのは大体金のために仕事するだろ? やりてぇから仕事するって奴は実際、少ないと思うんだよ。食ってけなかったら生きられねぇしな。割り切って金を稼ぐ。だから、そういう風に好きな仕事をしてるやつを見る機会すらねぇだろ。俺ぐらいは『楽しく便利屋やってるぜ~』のスタンスは変えないでいく」
「それが天さんのポリシーで、どんな依頼も断らないっていうブルーヘブンの決まり事なんですね」
「うん。そうだな」
 
 
 ――じゃあ、最後に一言どうぞ!

「一言っつったってよぉ……わざわざマヤのふりまでして、何がしたかったんだ? 酒呑しゅてん
「え」
「バレバレだっつうの」

 ふわわわわんと白い煙が立ち込めたかと思うと、天の脇に座っている麻耶が、酒呑童子になった。
 ゆるいシルエットの黒いトップスに、ベージュのチノパンを身に着けた好青年は、胸まで伸びた緩やかなウェーブの青い髪をかき上げる。外を歩けば確実に目を引くであろう彫りの深い整った顔が、眉を寄せた。
 
「いつから気づいてた?」
「ハナっから。崇徳院すとくいんだの調伏ちょうぶくだの、マヤは知らねぇことだっつの」
「え~! なあんだ、付き合ってくれただけか」
「狙いが分からなかったからな」

 にたぁ、と酒呑童子は笑いながら立ち上がる。

「知りたかっただけだよ」
「……ふぅん」
「なるほど、髪の毛で結界を作ったんだね。さすが」
「バレたか」

 酒呑童子が言うや、赤い縄のようなものが空中に浮かび、店内の壁づたいに四方を囲んでいるのが分かった。

「うん。見事だなあ」
「余裕だな酒呑」

 酒呑童子はにっこりと口角を上げると、手元にある手帳のページをびりびりと破り、さらに細かい紙片になるまでちぎった。
 それを手のひらに乗せて、ふぅ~と吹くと――ばちん、ばちん。ばちん、ばちん。乾いた音がそこかしこで鳴って、縄がはじけ飛んでいく。

「ことのはちりぢり ちぎりにけり」

 その美声でうたうように言うと、たちまちゴーッと風が起こる。
 紙片が渦を巻いてその体を囲むや半透明になっていき――やがて消え去った。
 
「あーあ。破られちまった」

 じく、と左手首が痛む。
 破られたしゅは、自身に刃となってかえるのがことわりだ。

「散らかしていきやがって。カナトにまた怒られるかなぁ」

 床に散乱した紙片をぼんやりと眺めながら、天は大きな溜息をく。
  

 ――痛んだ部分に、青い蛇のタトゥーが増えた。



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 お読み頂き、ありがとうございました。
 
 初チャレンジの分野でしたが、いかがでしたでしょうか。
 私は、天さんに出会えて本当に良かったなとしみじみと感じているところです。
 
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