16 / 61
カタルシス
しおりを挟む
犬は匂いを「くんくん」とかぎわけて食べる。―「これはいい」、尾っぽを振って食べる。
「これはダメだ」知らん顔して行き過ぎる。犬の食の文化は匂いの文化だ。
人? 人も匂いのなかで生きている。特に香り(いい匂い)の中で、、、 。
香りの効用もある。カタルシス効果もある。《あぁ香り、居心地がいいのだ》。
「若返りの方法は魅力的な女性に近づき、匂いをかぐコト」テレビを見ていたらこんなこと言っていた。犬になれってことかよぉ~ 。ちがう、ちがう、野生になれ、ゴーワイルドだ。
電車の中なら痴漢と間違えられるし、つけまわしたらストーカー扱い、社内ならセクハラ110番間違いなし。ちょっと怪しそう。
難しい、「どうしたらええねん」。
僕が若い頃、ひとりの女性が入社してきた。彼女はいい匂いがした。近付かなかったっていい匂いは、いい匂い。僕にとっては「絶対的な香り」っていうやつ、距離感なんて関係ない。彼女の匂いは僕の中で全てを凌駕する。恋の匂いは香りだ。1年程過ぎた頃、僕と彼女は親しくなっていた。
ある日、社内エレベーターに乗った。僕ひとりなのにエレベーター内に彼女の香りがした。《きっと彼女が乗っていたんだ》。
僕はポジティブに昇っていく。止まる、ドアが開く。エレベーターの前に、
「あっ! 」、彼女がいた。「あっ! 」彼女も。
「先程、エレベーターに乗っていた? 」
「ええ、乗っていましたけど」彼女は答えた。
「やっぱり」、「君の匂いがしていた」僕は続けて言った。
「えっ! 」、彼女は半笑いだった。
「突然やけれど、タマゴの白身と黄身、どちらの匂いが好き?」彼女はしばし戸惑う。
すかさず、「僕は君(黄身)の匂いが好き」彼女は、全部笑いをした。
それから、僕は彼女の虜になっていった。
「これはダメだ」知らん顔して行き過ぎる。犬の食の文化は匂いの文化だ。
人? 人も匂いのなかで生きている。特に香り(いい匂い)の中で、、、 。
香りの効用もある。カタルシス効果もある。《あぁ香り、居心地がいいのだ》。
「若返りの方法は魅力的な女性に近づき、匂いをかぐコト」テレビを見ていたらこんなこと言っていた。犬になれってことかよぉ~ 。ちがう、ちがう、野生になれ、ゴーワイルドだ。
電車の中なら痴漢と間違えられるし、つけまわしたらストーカー扱い、社内ならセクハラ110番間違いなし。ちょっと怪しそう。
難しい、「どうしたらええねん」。
僕が若い頃、ひとりの女性が入社してきた。彼女はいい匂いがした。近付かなかったっていい匂いは、いい匂い。僕にとっては「絶対的な香り」っていうやつ、距離感なんて関係ない。彼女の匂いは僕の中で全てを凌駕する。恋の匂いは香りだ。1年程過ぎた頃、僕と彼女は親しくなっていた。
ある日、社内エレベーターに乗った。僕ひとりなのにエレベーター内に彼女の香りがした。《きっと彼女が乗っていたんだ》。
僕はポジティブに昇っていく。止まる、ドアが開く。エレベーターの前に、
「あっ! 」、彼女がいた。「あっ! 」彼女も。
「先程、エレベーターに乗っていた? 」
「ええ、乗っていましたけど」彼女は答えた。
「やっぱり」、「君の匂いがしていた」僕は続けて言った。
「えっ! 」、彼女は半笑いだった。
「突然やけれど、タマゴの白身と黄身、どちらの匂いが好き?」彼女はしばし戸惑う。
すかさず、「僕は君(黄身)の匂いが好き」彼女は、全部笑いをした。
それから、僕は彼女の虜になっていった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
病窓の桜
喜島 塔
現代文学
花曇りの空の下、薄桃色の桜の花が色付く季節になると、私は、千代子(ちよこ)さんと一緒に病室の窓越しに見た桜の花を思い出す。千代子さんは、もう、此岸には存在しない人だ。私が、潰瘍性大腸炎という難病で入退院を繰り返していた頃、ほんの数週間、同じ病室の隣のベッドに入院していた患者同士というだけで、特段、親しい間柄というわけではない。それでも、あの日、千代子さんが病室の窓越しの桜を眺めながら「綺麗ねえ」と紡いだ凡庸な言葉を忘れることができない。
私は、ベッドのカーテン越しに聞き知った情報を元に、退院後、千代子さんが所属している『ウグイス合唱団』の定期演奏会へと足を運んだ。だが、そこに、千代子さんの姿はなかった。
一年ほどの時が過ぎ、私は、アルバイトを始めた。忙しい日々の中、千代子さんと見た病窓の桜の記憶が薄れていった頃、私は、千代子さんの訃報を知ることになる。
世界の端に舞う雪
秋初夏生(あきは なつき)
現代文学
雪が降る夜、駅のホームで僕は彼女に出会った
まるで雪の精のように、ふわりと現れ、消えていった少女──
静かな夜の駅で、心をふっと温める、少し不思議で儚い物語
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春秋館 <一話完結型 連続小説>
uta
現代文学
様々な人たちが今日も珈琲専門店『春秋館』を訪れます。
都会の片隅に佇むログハウス造りの珈琲専門店『春秋館』は、その名の通り「春」と「秋」しか営業しない不思議な店。
寡黙で涼しい瞳の青年店長と、憂いな瞳のアルバイトのピアノ弾きの少女が、訪れるお客様をもてなします。
物語が進む内に、閉ざされた青年の過去が明らかに、そして少女の心も夢と恋に揺れ動きます。
お客様との出逢いと別れを通し、生きる事の意味を知る彼らの三年半を優しくも激しく描いています。
100話完結で、完結後に青年と少女の出逢い編(番外編)も掲載予定です。
ほとんどが『春秋館』店内だけで完結する一話完結型ですが、全体の物語は繋がっていますので、ぜひ順番に読み進めて頂けましたら幸いです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
鬼母(おにばば)日記
歌あそべ
現代文学
ひろしの母は、ひろしのために母親らしいことは何もしなかった。
そんな駄目な母親は、やがてひろしとひろしの妻となった私を悩ます鬼母(おにばば)に(?)
鬼母(おにばば)と暮らした日々を綴った日記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる