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学園入寮編
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※申し訳ありません!
予約日を間違えて1日遅く設定しておりました!!
気がつくのが遅くなり申し訳ありません。
土曜の朝、いつもの様に櫂斗の深い口付けで起こされ、果物だけ口にいれられる朝食を終え、迎えに来てくれた車に乗り込んだ。
運転手は一昨日も送迎してくれた高橋さんだ。
「では、終わりましたらご連絡下さい。待機しておりますので、車をまわします。」
「ああ、ありがとう。」
「ありがとうございました。」
「いってらっしゃいませ。」
高橋さんの綺麗なお辞儀に見送られながら病院内に入る。
土曜日で平日に仕事などで受診できない会社員世代が多く訪れているのか、待合室は椅子に座れない程ごった返している。
仕方がないので、後ろの壁に並んで立つ。
「予約してるとはいえ、呼ばれるのに時間がかかりそう。ご実家には何時くらいに着いた方がいいのかな?」
「顔が見れれば満足するはずだから、遅くなっても大丈夫だ。病院に行く事は伝えてあるしな。」
「ならいいけど…。」
初対面での印象は今後においても重要だ。時間にルーズであると思われるのは良くない。
30分程経ってもまだ人の多さは変わらない。流石にずっと立っているのが辛くなってきた。
体がふらふらと揺れ、思わず近くの手すりに掴まる。
「シグ、一度座ろう。」
「うん…。」
櫂斗に背中を支えてもらい、その場にゆっくりしゃがむ。
「ふぅ…」
「ちょっと待ってろ。飲み物買ってくるからキツくない体制で壁にもたれてな。」
「うん、ありがと。」
ぼぉっとしながら櫂斗が帰ってくるのを待っていると研修医だろうか、近くに白衣を着た若い男性が近づいてきた。
「どうされました?」
「…あ、、少しクラクラしただけなので…大丈夫です。」
「顔色が少し悪い気がします。処置室に案内するので移動しましょう。」
「今、連れが飲み物を持ってきてくれているので、本当に大丈夫です…。もうそろそろ、呼ばれると思いますし…」
人見知りからか、緊張によりまた顔色が悪くなっていくのがわかる。
「今日は誰先生の診察を受けにきたんですか?」
何この人~名前も名乗らないし…
担当医を告げたら診療科が分かるし個人情報保護を信頼している人以外にペラペラ話す趣味はないんだけど…!もうおほっておいてほしい…
仕方無しに質問に答える。
「…城せんせ、です。」
「城先生?じゃあ君かなり重度の心疾患じゃないんですか⁈何か起きても大変ですし車椅子持ってくるので移動しますよ。」
「だ、だから、連れがいるのでっ。」
「何をしている。」
アタフタとしていると、後ろから水を手に櫂斗が戻ってきた。
「カイっ」
「顔色が悪かったので処置室で休んでもらおうと声をかけただけですよ。」
部が悪いと感じたのか、両手を上げて降参とする。
『月見里時雨様、2番診察室へお入り下さい。』
やっと呼ばれた。立とうとするも力が入らずへなっとなる所を櫂斗が腰を支えて立ち上がらせる。
「では。」
スタスタと歩きながら腕の力だけで時雨を支えており、半分身体が浮いた状態で診察室の中に入る。
「おう、どういう状況?」
「とりあえず座りたい。」
事情を説明すると、今日は特別患者が多い日らしい。椅子に座れない時は看護師にお前は声をかけろと言われてシュンとなる。
研修医の事は頭から離して、城の診察を受ける。
「あれから変わった事は?」
「うーん、一回αの威圧フェロモンを受けて不安定になったくらい…?」
「大丈夫だったのか?」
聴診器を移動させながら顔だけ時雨の方をみる。
「うん。」
「そうか…。今までと異なる雑音がかすかに聞こえる。何も起きていないなら問題ないが、少し注意しといてくれ。出来れば今日検査してやりてぇんだが、検査室がいっぱいなんだ。」
次回の1週間後に検査の予約を入れて診察が終わる。
「ああ、後あれだ。メシ。なるべく食えよ。集団生活で色々貰ってきやすくなるからな。今食欲は?」
「果物とか雑炊とかならちょっとは口に入れてる。カイに言われて食べる感じで食欲事態はそんなに無いかな。」
「栄養が不足しすぎだ。塩分とか、お前の食事量じゃ食堂で食っても量は食えんからおかずになるような飯を食え。」
「うー。」
「わかったな。じゃないと栄養指導で入院だからな!はい、おわりっ」
「むー。がんばる…。今日もうこれで終わりだよね?」
「ああ、緊急用の薬を処方しておくから、肌身離さず持っとけよ。来週また同じ時間でいいか?」
「はーい」
「ああ、坊ちゃん渡したいもんがあるから、ちょっときてくれ。」
処置室に準備してあるから、と半ば無理矢理引っ張っていく。
「坊ちゃん?威圧を受けたったぁどういう事だ?」
扉が閉まるなり、すぐに尋問される。
「寮に住んでいる先輩が、シグが1人でいた所を不法侵入者だと思って訳も聞かずに放ったんです。白屋先生にも診て頂きましたし、先輩とも和解しているので。」
「シグの体にあまり負担をかけんでほしい。前もいったが、ただ発作が軽くなる、少なくなるくらいの変化で大元はそこまで変わらないんだ。」
「今回はイレギュラーだったので、今後はこんな事はさせませんよ。」
「頼むな。ああ、薬持っときたいって希望だが、一錠だけ携帯許可を出す。但し、紛失したりシグの発作以外に利用したら次からは渡さんし、法的に罰せられると思え。」
「わかっています。ありがとうございます。」
その場で受け取り、ピルケースの中に入ったのを確認する。
「後食事だが、ずっと果物と雑炊ばかりは不味い。さっきも言ったが、食堂で出されてるもんでもいいから飯をもっと食わせてくれ。」
「わかりました。」
「じゃ、帰って良いぞー。」
「ありがとうございました。」
「カイ、城先生とお話終わった?」
シグが会計を終えて座って待っていた。だいぶ患者ははけたらしい。
「ああ、発作時の薬を一錠もらって、注意時事項を聞いた。」
「その話だったんだね。じゃあ、高橋さんに来てもらおう。時間が思いの外取られちゃったから、急がないと。」
「はは。本当にそんなに急がなくて大丈夫だ。」
高橋に櫂斗が連絡を取り、正面ロビーに車をつけてもらう。
エスコートで乗り込み、高速道路を利用し途中昼食と休憩を挟みながら櫂斗の実家へと向かった。
予約日を間違えて1日遅く設定しておりました!!
気がつくのが遅くなり申し訳ありません。
土曜の朝、いつもの様に櫂斗の深い口付けで起こされ、果物だけ口にいれられる朝食を終え、迎えに来てくれた車に乗り込んだ。
運転手は一昨日も送迎してくれた高橋さんだ。
「では、終わりましたらご連絡下さい。待機しておりますので、車をまわします。」
「ああ、ありがとう。」
「ありがとうございました。」
「いってらっしゃいませ。」
高橋さんの綺麗なお辞儀に見送られながら病院内に入る。
土曜日で平日に仕事などで受診できない会社員世代が多く訪れているのか、待合室は椅子に座れない程ごった返している。
仕方がないので、後ろの壁に並んで立つ。
「予約してるとはいえ、呼ばれるのに時間がかかりそう。ご実家には何時くらいに着いた方がいいのかな?」
「顔が見れれば満足するはずだから、遅くなっても大丈夫だ。病院に行く事は伝えてあるしな。」
「ならいいけど…。」
初対面での印象は今後においても重要だ。時間にルーズであると思われるのは良くない。
30分程経ってもまだ人の多さは変わらない。流石にずっと立っているのが辛くなってきた。
体がふらふらと揺れ、思わず近くの手すりに掴まる。
「シグ、一度座ろう。」
「うん…。」
櫂斗に背中を支えてもらい、その場にゆっくりしゃがむ。
「ふぅ…」
「ちょっと待ってろ。飲み物買ってくるからキツくない体制で壁にもたれてな。」
「うん、ありがと。」
ぼぉっとしながら櫂斗が帰ってくるのを待っていると研修医だろうか、近くに白衣を着た若い男性が近づいてきた。
「どうされました?」
「…あ、、少しクラクラしただけなので…大丈夫です。」
「顔色が少し悪い気がします。処置室に案内するので移動しましょう。」
「今、連れが飲み物を持ってきてくれているので、本当に大丈夫です…。もうそろそろ、呼ばれると思いますし…」
人見知りからか、緊張によりまた顔色が悪くなっていくのがわかる。
「今日は誰先生の診察を受けにきたんですか?」
何この人~名前も名乗らないし…
担当医を告げたら診療科が分かるし個人情報保護を信頼している人以外にペラペラ話す趣味はないんだけど…!もうおほっておいてほしい…
仕方無しに質問に答える。
「…城せんせ、です。」
「城先生?じゃあ君かなり重度の心疾患じゃないんですか⁈何か起きても大変ですし車椅子持ってくるので移動しますよ。」
「だ、だから、連れがいるのでっ。」
「何をしている。」
アタフタとしていると、後ろから水を手に櫂斗が戻ってきた。
「カイっ」
「顔色が悪かったので処置室で休んでもらおうと声をかけただけですよ。」
部が悪いと感じたのか、両手を上げて降参とする。
『月見里時雨様、2番診察室へお入り下さい。』
やっと呼ばれた。立とうとするも力が入らずへなっとなる所を櫂斗が腰を支えて立ち上がらせる。
「では。」
スタスタと歩きながら腕の力だけで時雨を支えており、半分身体が浮いた状態で診察室の中に入る。
「おう、どういう状況?」
「とりあえず座りたい。」
事情を説明すると、今日は特別患者が多い日らしい。椅子に座れない時は看護師にお前は声をかけろと言われてシュンとなる。
研修医の事は頭から離して、城の診察を受ける。
「あれから変わった事は?」
「うーん、一回αの威圧フェロモンを受けて不安定になったくらい…?」
「大丈夫だったのか?」
聴診器を移動させながら顔だけ時雨の方をみる。
「うん。」
「そうか…。今までと異なる雑音がかすかに聞こえる。何も起きていないなら問題ないが、少し注意しといてくれ。出来れば今日検査してやりてぇんだが、検査室がいっぱいなんだ。」
次回の1週間後に検査の予約を入れて診察が終わる。
「ああ、後あれだ。メシ。なるべく食えよ。集団生活で色々貰ってきやすくなるからな。今食欲は?」
「果物とか雑炊とかならちょっとは口に入れてる。カイに言われて食べる感じで食欲事態はそんなに無いかな。」
「栄養が不足しすぎだ。塩分とか、お前の食事量じゃ食堂で食っても量は食えんからおかずになるような飯を食え。」
「うー。」
「わかったな。じゃないと栄養指導で入院だからな!はい、おわりっ」
「むー。がんばる…。今日もうこれで終わりだよね?」
「ああ、緊急用の薬を処方しておくから、肌身離さず持っとけよ。来週また同じ時間でいいか?」
「はーい」
「ああ、坊ちゃん渡したいもんがあるから、ちょっときてくれ。」
処置室に準備してあるから、と半ば無理矢理引っ張っていく。
「坊ちゃん?威圧を受けたったぁどういう事だ?」
扉が閉まるなり、すぐに尋問される。
「寮に住んでいる先輩が、シグが1人でいた所を不法侵入者だと思って訳も聞かずに放ったんです。白屋先生にも診て頂きましたし、先輩とも和解しているので。」
「シグの体にあまり負担をかけんでほしい。前もいったが、ただ発作が軽くなる、少なくなるくらいの変化で大元はそこまで変わらないんだ。」
「今回はイレギュラーだったので、今後はこんな事はさせませんよ。」
「頼むな。ああ、薬持っときたいって希望だが、一錠だけ携帯許可を出す。但し、紛失したりシグの発作以外に利用したら次からは渡さんし、法的に罰せられると思え。」
「わかっています。ありがとうございます。」
その場で受け取り、ピルケースの中に入ったのを確認する。
「後食事だが、ずっと果物と雑炊ばかりは不味い。さっきも言ったが、食堂で出されてるもんでもいいから飯をもっと食わせてくれ。」
「わかりました。」
「じゃ、帰って良いぞー。」
「ありがとうございました。」
「カイ、城先生とお話終わった?」
シグが会計を終えて座って待っていた。だいぶ患者ははけたらしい。
「ああ、発作時の薬を一錠もらって、注意時事項を聞いた。」
「その話だったんだね。じゃあ、高橋さんに来てもらおう。時間が思いの外取られちゃったから、急がないと。」
「はは。本当にそんなに急がなくて大丈夫だ。」
高橋に櫂斗が連絡を取り、正面ロビーに車をつけてもらう。
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