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出会い
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「ひっ!」
急に声をかけられてびっくりする。
「ああ、すまない。月見里時雨で合ってるか?」
声の先には高村先生がいた。
「あ、すみません。はい、月見里です。」
「君とはちょっと話があるからグループには入らずに待っててくれ。」
「わかりました。」
グループに入らなくていいと聞いて思わずほっとしてしまう。
ワイワイと皆がグループを作り、先生がザックリと寮か採寸かを振り分け退出していった。
ひとりポツンとなった後、20分程して、教室に高村先生ともう1人の大人が入室してきた。
「すまない、待たせたな。ああ、こっちは保健医の白屋先生。」
「白屋です。ごめんね。ちょっと先生含めてお話させて貰いたくて。放課後によってもらうつもりだったんだけど、職員会議が入っちゃって。」
ふんわりとした雰囲気でどことなく落ち着く。
「いえ、大丈夫です。体の事ですね。」
「うん。城先生からカルテと現在の状態は聞いてるよ。ちょっとでも身体に違和感を持ったら保健室に来てね。あ、これ僕の連絡先。登録しておいて。」
「はい、ありがとうございます。」
「月見里、俺のも登録しておけ。こいつに連絡がつかなかった時は俺にかけろ。
で、活動制限だが、今こっちで聞いてる内容は、体育はレポートでって事と、移動教室時に距離がある際の遅刻免除って事だが、他に何か希望はあるか?」
「あの、案内して頂いた先輩に聞いたんですが、エレベーターの日常的な使用は許可があるんですよね?一階上がるくらいなら問題無いのですが、1年生の教室は3階なんですよね?出来れば、使用させて頂きたいのですが…」
「ああ、わかった。それは問題無いだろう。
講義は1日参加するのは難しいと主治医が言っていたそうだが本当か?」
「あー、それも聞いたんですね。うーん。正直わからないって言うのが本音です。学校に通うのは初めてなので身体がどこまでついてくかわかりません。」
城先生め、チクったな。と内心怒りながら、困り顔で回答する。
「月見里の入試の成績と、先程の試験結果だが両方とも満点だったんだ。それで、さっき学園長と話をしてきた。本来、出席日数というものがある。ウチでは8割以上の出席が各教科求められる。
が、きっと月見里は落とす科目も出てくるだろう。」
確かに、万が一入院する羽目になれば出席日数はないだろう。
「そこでだ。成績優秀である事を鑑みて、定期試験で10位以内を維持出来れば出席日数は考慮する事にした。どうだ?」
「えっ⁈良いんですか?是非、お願いします。でも他の10位以内になった学生は出席が足りないと落ちるんですよね…」
特別扱いされなければ卒業は厳しいが、周囲の努力を無いものとする特別扱いは嫌である。
「ああ、そこは心配しないでくれ。他の学生も同様だ。まぁ、サボる様子があるようならこの制度も廃止だがな。」
「はい。サボりはしないと約束します。ありがとうございます。」
「まぁ、あの夏樹の弟だしな。変な事はせんだろう。」
「兄をご存じなんですか?」
「同級生だ。卒業後はほぼ会ってないがな。あいつは色んな意味で有名だったから。」
ウンザリといった顔で吐露する。
その後、緊急時の対応について再度3人で確認をした。
「んじゃ、俺からはこれくらいか?」
「待って下さい、高村先生!挨拶!挨拶!」
「んぁ?挨拶?ああ!月見里、お前他に満点がいなかったら首席入学って事で入学式に代表挨拶する羽目になるが、やるか~?」
「えっ⁈無理、無理無理無理です!!辞退します!緊張しすぎて発作が出そうです!」
人前に出るのはただでさえ苦手なのに、壇上に立つなんてとんでもない。
全力で拒否しなければ……。
「わかった、わかったから。じゃあ次席に回すぞ~。」
じゃあ、俺は戻るから、白屋に制服採寸の場所まで送ってもらえと言い残し出て行った。
急に声をかけられてびっくりする。
「ああ、すまない。月見里時雨で合ってるか?」
声の先には高村先生がいた。
「あ、すみません。はい、月見里です。」
「君とはちょっと話があるからグループには入らずに待っててくれ。」
「わかりました。」
グループに入らなくていいと聞いて思わずほっとしてしまう。
ワイワイと皆がグループを作り、先生がザックリと寮か採寸かを振り分け退出していった。
ひとりポツンとなった後、20分程して、教室に高村先生ともう1人の大人が入室してきた。
「すまない、待たせたな。ああ、こっちは保健医の白屋先生。」
「白屋です。ごめんね。ちょっと先生含めてお話させて貰いたくて。放課後によってもらうつもりだったんだけど、職員会議が入っちゃって。」
ふんわりとした雰囲気でどことなく落ち着く。
「いえ、大丈夫です。体の事ですね。」
「うん。城先生からカルテと現在の状態は聞いてるよ。ちょっとでも身体に違和感を持ったら保健室に来てね。あ、これ僕の連絡先。登録しておいて。」
「はい、ありがとうございます。」
「月見里、俺のも登録しておけ。こいつに連絡がつかなかった時は俺にかけろ。
で、活動制限だが、今こっちで聞いてる内容は、体育はレポートでって事と、移動教室時に距離がある際の遅刻免除って事だが、他に何か希望はあるか?」
「あの、案内して頂いた先輩に聞いたんですが、エレベーターの日常的な使用は許可があるんですよね?一階上がるくらいなら問題無いのですが、1年生の教室は3階なんですよね?出来れば、使用させて頂きたいのですが…」
「ああ、わかった。それは問題無いだろう。
講義は1日参加するのは難しいと主治医が言っていたそうだが本当か?」
「あー、それも聞いたんですね。うーん。正直わからないって言うのが本音です。学校に通うのは初めてなので身体がどこまでついてくかわかりません。」
城先生め、チクったな。と内心怒りながら、困り顔で回答する。
「月見里の入試の成績と、先程の試験結果だが両方とも満点だったんだ。それで、さっき学園長と話をしてきた。本来、出席日数というものがある。ウチでは8割以上の出席が各教科求められる。
が、きっと月見里は落とす科目も出てくるだろう。」
確かに、万が一入院する羽目になれば出席日数はないだろう。
「そこでだ。成績優秀である事を鑑みて、定期試験で10位以内を維持出来れば出席日数は考慮する事にした。どうだ?」
「えっ⁈良いんですか?是非、お願いします。でも他の10位以内になった学生は出席が足りないと落ちるんですよね…」
特別扱いされなければ卒業は厳しいが、周囲の努力を無いものとする特別扱いは嫌である。
「ああ、そこは心配しないでくれ。他の学生も同様だ。まぁ、サボる様子があるようならこの制度も廃止だがな。」
「はい。サボりはしないと約束します。ありがとうございます。」
「まぁ、あの夏樹の弟だしな。変な事はせんだろう。」
「兄をご存じなんですか?」
「同級生だ。卒業後はほぼ会ってないがな。あいつは色んな意味で有名だったから。」
ウンザリといった顔で吐露する。
その後、緊急時の対応について再度3人で確認をした。
「んじゃ、俺からはこれくらいか?」
「待って下さい、高村先生!挨拶!挨拶!」
「んぁ?挨拶?ああ!月見里、お前他に満点がいなかったら首席入学って事で入学式に代表挨拶する羽目になるが、やるか~?」
「えっ⁈無理、無理無理無理です!!辞退します!緊張しすぎて発作が出そうです!」
人前に出るのはただでさえ苦手なのに、壇上に立つなんてとんでもない。
全力で拒否しなければ……。
「わかった、わかったから。じゃあ次席に回すぞ~。」
じゃあ、俺は戻るから、白屋に制服採寸の場所まで送ってもらえと言い残し出て行った。
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