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帰国
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夏樹の家に着くと、柚子から熱烈な歓迎を受けた。
「きゃーっ、時雨くんっ、久しぶりね!」
向こうでの生活は?体調は?ここにはいつまでいられるの?あー可愛いっ…etc
弾丸トークが止まらず、時雨もタジタジしていると
「柚子、そこまで。時雨もビビってるから。落ち着いて。」
夏樹がはぁとため息をつきながら止めてくれた。
「あら、ごめんなさいね。時雨くんに会えたのが嬉しくて、つい。」
「大丈夫だよ。僕も柚子さんに会えて嬉しい。2ヶ月くらいお世話になる予定だから、
よろしくね。」
微笑みながら、ほのぼのと話す2人は微笑ましい。
「ほら、いつまでも玄関にいないで、リビングいくぞ。柚子もシグも身体が冷えるのは良くないだろ。」
いったいったと夏樹が催促する。
「あ、シグ、洗面所そこな。」
廊下を進んで少しの所に洗面所があり、手洗いとうがいをしてリビングに移動する。
今は1月末で外は冷たいものの、室内は廊下を含め暖かく一定の温度となっている。
ソファに案内されて、柚子は隣に座り、夏樹は夕食を温め準備をしだす。
「あ、夏にぃ、手伝うよ。」
「いいから。柚子と話してな。温めるだけだから。」
そう言われ、柚子とアメリカでの話や、現在妊娠7ヶ月であること、児は男の子である事、夏樹の失敗談など、尽きることなく話をした。
「2人とも、ご飯出来たぞ。」
夏樹が2人を食卓に呼ぶ。
今日は肉じゃがにほうれん草の和物、サラダ、味噌汁、ご飯が並んでいる。
「シグのは薄味にしてるから。食べきれなかったら俺が食べるから無理せずに残して。」
「ありがと。いただきます。」
正直、あまり動いていないためか、お腹は空いていない。
小盛りに盛られた食事を半分程詰め込むと、胃が悲鳴を上げた。
「ん。もうお腹いっぱい。夏にぃ、後お願い。」
箸を置き、ご馳走様をする。
「もう食べれない?」
心配そうに夏樹が聞いてくる。
「ごめんね。すっごく美味しいんだけど、機内でもご飯食べてて。これ以上食べたら気持ち悪くなりそう。」
「そうか。わかった。水持ってくるな。」
薬用に水を持ってきてくれるらしい。その間に薬を準備する。
戻ってきた夏樹は、時雨の手に乗せられる薬の量が以前あった時より増えていることにやや表情を曇らせるも、時雨に気づかれないように、水だよ~っと渡した。
一息ついて、夏樹がついだ食後のお茶を飲みながらソファーで3人まったりする。
「そーいえば、明日は2人とも健診だよね?柚子もシグも同じ病院だし、社にいく前に一緒に送ってってあげるよ。」
明日は日本に来たという事もあり、アメリカに行くまでお世話になっていた主治医の下に検診に行くように言われている。
どうやら、柚子も定期健診があるようだ。
「ありがとう。柚子さん、多分僕帰れるのかなり遅いから、先に戻っててね。」
「わかったわ。なっちゃんいつもありがとう。私は9時から診察予約いれてるけど、時雨君は?」
「8時半からかな。30分くらい待ってもらう事になっちゃうね。大丈夫?」
「30分くらい問題ないわよ。」
「じゃあ、明日は8時10分には出るから、それまでに用意してな。」
はーいと2人で返事をして、お風呂を勧められ温まって出てくると、夏樹が髪を乾かしてくれた。
心地の良い手つきと安心する香りに包まれ、ウトウトとしている様子を見て、寝てても良いと夏樹から言われる。
抗うように目をパチパチとしていたが、やがてスゥスゥと寝息を立て始めた時雨に夫婦でクスッと笑う。
起こさないようにそっと抱き上げ、ベッドに寝かせ「おやすみ。」と額に口づけを落とし部屋を出たのだった。
「きゃーっ、時雨くんっ、久しぶりね!」
向こうでの生活は?体調は?ここにはいつまでいられるの?あー可愛いっ…etc
弾丸トークが止まらず、時雨もタジタジしていると
「柚子、そこまで。時雨もビビってるから。落ち着いて。」
夏樹がはぁとため息をつきながら止めてくれた。
「あら、ごめんなさいね。時雨くんに会えたのが嬉しくて、つい。」
「大丈夫だよ。僕も柚子さんに会えて嬉しい。2ヶ月くらいお世話になる予定だから、
よろしくね。」
微笑みながら、ほのぼのと話す2人は微笑ましい。
「ほら、いつまでも玄関にいないで、リビングいくぞ。柚子もシグも身体が冷えるのは良くないだろ。」
いったいったと夏樹が催促する。
「あ、シグ、洗面所そこな。」
廊下を進んで少しの所に洗面所があり、手洗いとうがいをしてリビングに移動する。
今は1月末で外は冷たいものの、室内は廊下を含め暖かく一定の温度となっている。
ソファに案内されて、柚子は隣に座り、夏樹は夕食を温め準備をしだす。
「あ、夏にぃ、手伝うよ。」
「いいから。柚子と話してな。温めるだけだから。」
そう言われ、柚子とアメリカでの話や、現在妊娠7ヶ月であること、児は男の子である事、夏樹の失敗談など、尽きることなく話をした。
「2人とも、ご飯出来たぞ。」
夏樹が2人を食卓に呼ぶ。
今日は肉じゃがにほうれん草の和物、サラダ、味噌汁、ご飯が並んでいる。
「シグのは薄味にしてるから。食べきれなかったら俺が食べるから無理せずに残して。」
「ありがと。いただきます。」
正直、あまり動いていないためか、お腹は空いていない。
小盛りに盛られた食事を半分程詰め込むと、胃が悲鳴を上げた。
「ん。もうお腹いっぱい。夏にぃ、後お願い。」
箸を置き、ご馳走様をする。
「もう食べれない?」
心配そうに夏樹が聞いてくる。
「ごめんね。すっごく美味しいんだけど、機内でもご飯食べてて。これ以上食べたら気持ち悪くなりそう。」
「そうか。わかった。水持ってくるな。」
薬用に水を持ってきてくれるらしい。その間に薬を準備する。
戻ってきた夏樹は、時雨の手に乗せられる薬の量が以前あった時より増えていることにやや表情を曇らせるも、時雨に気づかれないように、水だよ~っと渡した。
一息ついて、夏樹がついだ食後のお茶を飲みながらソファーで3人まったりする。
「そーいえば、明日は2人とも健診だよね?柚子もシグも同じ病院だし、社にいく前に一緒に送ってってあげるよ。」
明日は日本に来たという事もあり、アメリカに行くまでお世話になっていた主治医の下に検診に行くように言われている。
どうやら、柚子も定期健診があるようだ。
「ありがとう。柚子さん、多分僕帰れるのかなり遅いから、先に戻っててね。」
「わかったわ。なっちゃんいつもありがとう。私は9時から診察予約いれてるけど、時雨君は?」
「8時半からかな。30分くらい待ってもらう事になっちゃうね。大丈夫?」
「30分くらい問題ないわよ。」
「じゃあ、明日は8時10分には出るから、それまでに用意してな。」
はーいと2人で返事をして、お風呂を勧められ温まって出てくると、夏樹が髪を乾かしてくれた。
心地の良い手つきと安心する香りに包まれ、ウトウトとしている様子を見て、寝てても良いと夏樹から言われる。
抗うように目をパチパチとしていたが、やがてスゥスゥと寝息を立て始めた時雨に夫婦でクスッと笑う。
起こさないようにそっと抱き上げ、ベッドに寝かせ「おやすみ。」と額に口づけを落とし部屋を出たのだった。
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