ボーイミーツメイト

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終曲 -捻れ、絡まれど僕らは-

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第二ボタンの外れた制服で、俺は古川のいる美術室に向かった。扉を開けると、見慣れた景色がそこにある。
「なに、借り物?」
変わらずそこにある、ゲーム音と、だるそうな声。
「あのさ」
穏やかすぎる春の陽気が、逆に自分をいた堪らずさせてゆく。俺は耐えられずに、思い切って口を開いた。
「契約期間、もう少し延長しないか?」
握った拳がひんやりと緊張して、目のやり場をなくした俺は彼の後ろ姿を見る。
「契約?」
彼は振り向いた。
どくどくとうるさい心音が耳にひびく。なんて言われる?面倒だと、思われたら?

「何だっけそれ」

...そうきたか。
「何だっけって、お前...」
肩の力が抜けた。俺は分かりやすく呆れた顔をしていたと思う。いちいちクールなんだよ、お前は。
「え?」
余裕げに笑いかけてくる、そんな彼に今更追求するのも、今は面倒。
「いや、なんでもないよ」
窓際に並び、考えすぎていた自分の馬鹿らしさに頬が緩む。僕は一体、何をそんなに必死になっていたんだ。
「てかさ、来月見たい映画があるんだけど」
古川がスマホを取り出した。待ち受けがまた違うキャラクターに変わっている。
「どうせアニメ映画だろ?どんなやつだよ」
空っぽの教室はいつもより広くて、不自然に綺麗な黒板が静かに僕らを見つめている。
一生一緒なんて言うやつは嘘つきだ。だから僕はこれからもよろしくなんて言わない。人の縁はいつだって不安定だから、簡単に切れるし思いもよらないところで繋がるんだ。それなら難しいことは考えないで、思っていたより頑丈なこの糸が途切れてしまうその時までは、暇つぶしでもしていよう。
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