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5.秘密の××
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チャイムが昼休みの始まりを告げる。輪を囲み花を咲かせる者、中庭に赴き、お弁当を広げる者、各々がこの時間を楽しんでいるようだ。いつもなら直ぐに教室を後にする僕だが、あの鬱気な(心の底では楽しみにしているのだが)約束のせいで、此処から動けずに心がぐらぐらする。
「おまたせー!ごめんね、遅くなって」
「別に、待ってはないけど…」
釣れない僕の返事にも彼は嫌な顔をしようとしない。
「じゃ、一緒ご飯食べよ、どこがいい?」
「えっ、そんな…」
「美島君、いつもどっか行ってるでしょ、お気に入りの場所、俺にも教えてほしいなー」
全く…しょうがないな。
「じゃあ…僕についてきて」
彼はすぐにほほ笑んだ、表情をコロコロ変えて…まるで犬みたいだ。
僕のお気に入りの場所、屋上、のドア横に乱雑に置かれた椅子と一つの机。屋上は閉鎖されているので基本誰も来ることがない、一人になるのにぴったりの場所だ。僕は椅子を指さして鷹野を見る。
「ここ…とても静かでいいね。ほら、小窓から見える景色もすごく綺麗だし。わぁ、アジサイも見えるよ」
褒められてまた口元が緩んでしまう。
「あ、今笑ったでしょ。マスクで隠してても目元で分かっちゃうんだから、無駄だよー?」
そんなことないよ、と抗議する代わりに僕は冷たい目で彼を見た。
「分かりやすいなぁ、さ、お腹すいたしご飯食べよっか」
そういうと彼は、丁寧に包まれた紺色の風呂敷から木目の弁当を取り出した。僕も手提げからスチールの弁当箱を取り出し、その横に並べた。
「おまたせー!ごめんね、遅くなって」
「別に、待ってはないけど…」
釣れない僕の返事にも彼は嫌な顔をしようとしない。
「じゃ、一緒ご飯食べよ、どこがいい?」
「えっ、そんな…」
「美島君、いつもどっか行ってるでしょ、お気に入りの場所、俺にも教えてほしいなー」
全く…しょうがないな。
「じゃあ…僕についてきて」
彼はすぐにほほ笑んだ、表情をコロコロ変えて…まるで犬みたいだ。
僕のお気に入りの場所、屋上、のドア横に乱雑に置かれた椅子と一つの机。屋上は閉鎖されているので基本誰も来ることがない、一人になるのにぴったりの場所だ。僕は椅子を指さして鷹野を見る。
「ここ…とても静かでいいね。ほら、小窓から見える景色もすごく綺麗だし。わぁ、アジサイも見えるよ」
褒められてまた口元が緩んでしまう。
「あ、今笑ったでしょ。マスクで隠してても目元で分かっちゃうんだから、無駄だよー?」
そんなことないよ、と抗議する代わりに僕は冷たい目で彼を見た。
「分かりやすいなぁ、さ、お腹すいたしご飯食べよっか」
そういうと彼は、丁寧に包まれた紺色の風呂敷から木目の弁当を取り出した。僕も手提げからスチールの弁当箱を取り出し、その横に並べた。
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