甘い偽りも誤ちも (完結)

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包まれた夜に

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千尋は

ちゅっ、

ちゅっ…


ととても優しいキスを重ねる







口を少しだけ開き
わたしの唇に吸い付いて
何度も何度もキスを重ねる…




その濃厚なキスは
何度も行為を焦らされて
わたしを快感へと導く…




「莉奈息上がってるの」


「かわいいね」



今まで見たこともない表情で
そんな事を言うもんだから
わたしは恥ずかしくて目を背けた




「かわいい莉奈」


「俺だけの莉奈…」




千尋の濡れた唇が口から
耳から
首筋から…


あらゆる部位へ移動していく…

その度にいやらしい音が
部屋中へ行き渡る…




いつもは乱暴に扱うわたしの身体を
今日はとても優しく触れてくれた…


確かめるかのように
莉奈、
莉奈、
と囁いてくれた

わたしはそれもまた涙が出た。












千尋の指がまたわたしの体内を擦り
ぐちょぐちょとはしたない音をたてながら
わたしは潮をふく。

シーツがびしょびしょに濡れているのが
自分でもわかる。
とても恥ずかしい…


ただその度に千尋は嬉しそうに微笑んだ


「かわいいね莉奈…」


わたしは恥ずかしくて
両手で顔を塞いだ








塞いでいる両手のせいで
何も見えていない状態で
千尋がそのものを優しく当てる…



ビクンと身体が反応する
まるで身体が喜んでいるようだ

それもまた恥ずかしかった…






いつもならわたしの意見なんか聞かずに
容赦なく突き刺してくるのに
今日は違った




「莉奈、もう入れていい?」



千尋の息も少し荒い…






「…はや…く入れて…」


わたしが嘆願すると
千尋はニコリと微笑み
優しく挿入する…




「……あっ…んぁ……」



濃く吐息の混じった声が響く……








その瞬間だった






千尋が一変するのがわかった













「莉奈さーん、かーわい」

「最高に気持ちよくしてあげるねっ」













それは久々に見た
あの抗えない千尋の姿だった















痛い程強く1番奥を叩きつけられるような
鋭い動き…


わたしは泣きながら喘いだ

痛いのに気持ちよくて
身体が身震いするのがまた良かった


その姿に千尋も喜ぶ







千尋は笑ってる……










そして


その両手でわたしの首を絞めた








「…っかはっ………」


「……やっ……め」






声にならない



首を絞められる事は何度かあったが
その比じゃないくらいに強い力だった…

これは…やばいかもしれない……







「…莉奈さーん
首絞めた途端またぎゅうぎゅう絞まったよ」

「そんなに気持ちいの?」


千尋はわざと意地悪に聞くけれど
わたしは苦しくて答えられない…



息がしづらくて苦しいのに
痛みと共に快感を得る……

千尋よりもおかしいのはよっぽどわたしだ…
どうかしてる……






千尋の両手の力がさらに強まる
動きもさらに加速する


千尋も息が荒くなる






「痛くて苦しくて気持ちいねぇ?」

「かわいいね莉奈さん…」









 





「…ね、ぇ」

「このっ、ま、ま」

「殺してもいい?」




















その言葉に

ヒュッ…と

正常な意識が戻った







苦しい、

痛い、


けどわたしは力を振り絞って声を出す…

















「…わたしを殺したいなら殺してくれてもいい」







「…ただ」








「わたしは千尋の音がすき」




「まだあなたのトランペットを聴いていたいよ…」


















わたしはボロボロと泣いた



泣いて息がさらに苦しい……





目の前が
チカッチカッとして

これは本当にこのままで死んじゃうんだ…
と思った…


まだ千尋と演奏したいよ……
一緒に隣で歩んでいきたいよ……















もう無理か……


と思った矢先に
千尋の両手がスっと降りた



わたしはその瞬間
激しくむせ、嗚咽をしながら
息をどうにか整えた






涙目で視界はぼやけていたが
すぐにわかった









千尋は静かに…
ボロボロと大粒の涙を零して泣いていた……






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