80 / 110
79話 出発
しおりを挟む
陽が昇る少し前。夜と朝が一色他に混ざり、一日の中で一番不安定な時間。
青暗い静かな中、俺たちは校門の前に集まっていた。
「全員揃ってるわね?」
アリアは見逃しがないかと指を折りながら人数の確認をする。
「ふわあ~。なんだってこんな時間に出発なんてするんだい?」
大きく欠伸をしながら、気だるそうにリュミールが俺に寄りかかって眠ろうとする。
いや、重たいんだけど。
「こらリュミール、うらやま……じゃない、だらしないですよ!」
アニスはそう注意すると俺に寄りかかっていたリュミールを引き剥がして姿勢をピシッと正させる。
「ありがとうなアニス」
「いえ、当然のことをしたまでです!」
馬鹿をどけてくれた事に感謝をして皆の様子を伺う。
リュミールの様に口には出さないがローグやマキア達にもいつものような覇気は無く、目尻を下げてとても眠たそうな様子だ。
「うん、大丈夫ね。それじゃあみんな荷物を持って馬車に乗って!」
全員問題なくいることを確認してアリサの指示で馬車に乗り込んでいく。広さの関係上、アニス達は武器の姿になってもらう。
自分たちの荷物以外の野営などに必要な荷物だったり食料はギガルドが先に馬車に積み込んてくれていたようで、俺たちは自分たちの荷物を持って乗り込むだけだ。
なんて気の利くやつなんだ、ギガルド……。
今回の旅で俺たちが使う馬車は利便性を考えて乗り心地のいい乗用馬車ではなく、人や荷物がたくさん乗ることの出来る大型の荷馬車だ。乗用馬車と比べると乗り心地はお世辞にもよろしいとは言えたものでは無いがこれ一つで大量の荷物と人を運べるのでまあ納得の選択だろう。
キガルド曰く、最初は俺たちが乗る馬車と荷物を乗せる馬車で分けようと思ったらしいがそれでは馬の手綱を握る人が二人になってしまうし、非常事態の時に対処が遅れるなど、色々な理由で今回はこの形になったらしい。
「ふわあ、まだ眠いよ。それにアリスさんにお別れの挨拶ができなかった……」
「アハハ……あまりこの時間から行動することなんてありませんもんね」
「………」
のんびりと馬車に乗り込みながら悔しそうにそう呟くローグと苦笑いしかできないマキア、そんな二人のやり取りを無言で静かに見ているラミア。
やはりあれからラミアは俺たちとの接し方や距離の取り方が遠くなった。彼女自身、まだ気持ちの整理などがついていないせいなのだろうか、仕方の無いこと言えばそうなのだがローグやマキアもかなり気にしているようだ。
「ラミアも眠いよね?」
馬車に乗り込んで自分の座る位置を決めて荷物を置くとローグが他愛のない質問をラミアにする。
「え? あ、うん、まあ、そうだね」
突然話を振られて驚いたのだろうかラミアはそんなしどろもどろな返事しかできずオロオロとしている。
「やっぱりそうですよね、私もまだ目がしばしばしますもん。あ、そうだ、ラミアさんこれどうぞ。昨日買い物をしている時に美味しそうだったので買っておいたんです」
マキアもその会話に混ざってラミアにポケットから取り出した飴を手渡す。
「ありがとう……」
照れながらもラミアは飴を受け取るとゆっくりとそれを食べる。
「あ、いいなー! 僕にも一つくださいな!」
「はい、もちろんいいですよ」
それを見ていたローグは幼い子供のようにマキアから飴を催促して美味しそうに頬張る。
そんな三人のやり取りを見て俺は少し安堵していた。というか完全に杞憂だったと思う。二人の性格を考えたらマキアを放っておくはずもないだろうし、またいつものような関係に戻れるだろう。
「あまり、心配しなくても良さそうね」
「ん? ああ、そうだな」
そんな事を考えていると俺の横に座ったアリアがラミア達を見つめてそう言う。
その瞳はどこか羨ましそうで、仲間に入りたそうな感じだ。
「……混ざってくれば?」
俺の気の所為かもしれないがアリアがそんな感じでソワソワとしている様子だったので一つ提案してみる。
「え!? いや! 私はその、まだみんなと会ったばかりだしそんないきなり………」
すると彼女は俺のなんてない提案にビックリと大きな声を上げて首をブンブンと横に振りながら慌てる。
「いや、だからこそコミニケーションが必要なんじゃないの?」
なぜ彼女がこんなに慌てているのかは分からないがそう返答して様子を伺うっていると……。
「そうかな? ……そうよね? やっぱり親睦を深めるなら自分から行かないといけないわよね……うん、そうよ、そのはずよ……。大丈夫、いけるわ。初めての誰かとの旅で緊張しているけどやっぱり私も皆と仲良くなりたいもの、やってみせるわ」
なんてブツブツと何を自分に言い聞かせるように呪文が聞こえてくる。
………会ってまだ数日。
俺のアリアに対する第一印象は誠実で誰とでも分け隔てなくすぐに交友関係を広げられるような印象だったが、意外とそれは間違いのようで元の彼女は結構な恥ずかしがり屋のようだ。
「よ、よし、行けるわ!」
「あ、はい」
ブツブツとアリサは呪文を止めるとひとつ意気込んでマキア達の方へ歩み寄る。それはなんともぎこちなく、見ているこっちがハラハラしてくるむず痒いモノだ。
しかし、そんなことを気にした様子もなくマキア達はアリアを迎え入れるとすぐに楽しそうな話し声が聞こえてくる。
「あまり心配しなくても良さそうだろ?」
その様子を見て誰に言うでもなくそう独り言を放ち、何となく馬の手綱を任されているギガルドの方へ行く。
「おや、どうかしましたかレイルさん?」
地図を広げて目的地の場所を確認していたギガルドは俺の方を向くとニッコリと男前な笑顔を向ける。
「いや、誰か一人ぐらいは大事な御者の話し相手になってもいいんじゃないかなー、と思って」
かなり余裕のある前の御者台の方に腰をかけて冗談交じりにそう言う。
「ハハハ! なんとも嬉しい申し出ですね、ぜひお願いします」
場所の確認が済んだのかギガルドは地図をしまうと男前な顔をさらに破顔させて嬉しそうに俺を助手席に迎え入れてくれた。
「それでは準備も整いましたし、出発しましょうか」
ギガルドはそう言うと、手綱で馬車を引く二頭の馬に指示を出して馬車を動かし始める。
ガタガタと歯車の軋む音や小石の弾ける音が聞こえてきて同時に不規則な揺れもやってくる。
久しぶりの馬車のこの感覚に気分も少し高揚して、魔王と戦う旅だと言うのに不謹慎にもワクワクしてくる。
ゆったりとした速さで荒くはあるが整備された道を馬車は進んでいく。
「マーディアルにはどれくらいで着きそうなんだ?」
少しづつ流れていく景色を眺めながら俺はギガルドに質問をする。
「そうですね、いくつか町や村などの中継地点を経由してマーディアルまで行くので到着は四日程でしょうか。とりあえず今日はサラン村まで行こうと思います」
今日までにしっかりと道筋を考えてきてくれたのだろう、ギガルドは迷いなく言うと手網を握る手を締め直す。
「四日ね、了解。サラン村ってどんな所かギガルドは知ってる?」
時間に納得して俺は今のギガルドの言葉の中で出てきたサラン村について聞いてみる。
「はい、サラン村は人口およそ500人程度の小さな村です。そこで取れる作物はとても美味しいらしく王都でも有名らしいのですが、あまり数は多く出回らないそうでかなり値が付いているという噂が───」
スラスラと村の事を話し始めるギガルド。
「ほ、ほう」
旅の途中に寄る場所とは言え、どうしてそこまで知ってるの?と思うほどの情報の多さに軽く驚きつつ話を聞いていく。
もう、わかんないことがあったら何でもギガルドに聞けば答えが返ってきそうな気がしてくる。
物知りギガさんと呼ぼう。
……いや、やめよう。
先程まで薄暗かった辺りはゆっくりと登り始めてきた太陽の陽射しによって照らされ、景色が鮮明になっていく。
心地よい風に吹かれながら、馬車は今日の目的地へと向かうべく順調に走り出した。
青暗い静かな中、俺たちは校門の前に集まっていた。
「全員揃ってるわね?」
アリアは見逃しがないかと指を折りながら人数の確認をする。
「ふわあ~。なんだってこんな時間に出発なんてするんだい?」
大きく欠伸をしながら、気だるそうにリュミールが俺に寄りかかって眠ろうとする。
いや、重たいんだけど。
「こらリュミール、うらやま……じゃない、だらしないですよ!」
アニスはそう注意すると俺に寄りかかっていたリュミールを引き剥がして姿勢をピシッと正させる。
「ありがとうなアニス」
「いえ、当然のことをしたまでです!」
馬鹿をどけてくれた事に感謝をして皆の様子を伺う。
リュミールの様に口には出さないがローグやマキア達にもいつものような覇気は無く、目尻を下げてとても眠たそうな様子だ。
「うん、大丈夫ね。それじゃあみんな荷物を持って馬車に乗って!」
全員問題なくいることを確認してアリサの指示で馬車に乗り込んでいく。広さの関係上、アニス達は武器の姿になってもらう。
自分たちの荷物以外の野営などに必要な荷物だったり食料はギガルドが先に馬車に積み込んてくれていたようで、俺たちは自分たちの荷物を持って乗り込むだけだ。
なんて気の利くやつなんだ、ギガルド……。
今回の旅で俺たちが使う馬車は利便性を考えて乗り心地のいい乗用馬車ではなく、人や荷物がたくさん乗ることの出来る大型の荷馬車だ。乗用馬車と比べると乗り心地はお世辞にもよろしいとは言えたものでは無いがこれ一つで大量の荷物と人を運べるのでまあ納得の選択だろう。
キガルド曰く、最初は俺たちが乗る馬車と荷物を乗せる馬車で分けようと思ったらしいがそれでは馬の手綱を握る人が二人になってしまうし、非常事態の時に対処が遅れるなど、色々な理由で今回はこの形になったらしい。
「ふわあ、まだ眠いよ。それにアリスさんにお別れの挨拶ができなかった……」
「アハハ……あまりこの時間から行動することなんてありませんもんね」
「………」
のんびりと馬車に乗り込みながら悔しそうにそう呟くローグと苦笑いしかできないマキア、そんな二人のやり取りを無言で静かに見ているラミア。
やはりあれからラミアは俺たちとの接し方や距離の取り方が遠くなった。彼女自身、まだ気持ちの整理などがついていないせいなのだろうか、仕方の無いこと言えばそうなのだがローグやマキアもかなり気にしているようだ。
「ラミアも眠いよね?」
馬車に乗り込んで自分の座る位置を決めて荷物を置くとローグが他愛のない質問をラミアにする。
「え? あ、うん、まあ、そうだね」
突然話を振られて驚いたのだろうかラミアはそんなしどろもどろな返事しかできずオロオロとしている。
「やっぱりそうですよね、私もまだ目がしばしばしますもん。あ、そうだ、ラミアさんこれどうぞ。昨日買い物をしている時に美味しそうだったので買っておいたんです」
マキアもその会話に混ざってラミアにポケットから取り出した飴を手渡す。
「ありがとう……」
照れながらもラミアは飴を受け取るとゆっくりとそれを食べる。
「あ、いいなー! 僕にも一つくださいな!」
「はい、もちろんいいですよ」
それを見ていたローグは幼い子供のようにマキアから飴を催促して美味しそうに頬張る。
そんな三人のやり取りを見て俺は少し安堵していた。というか完全に杞憂だったと思う。二人の性格を考えたらマキアを放っておくはずもないだろうし、またいつものような関係に戻れるだろう。
「あまり、心配しなくても良さそうね」
「ん? ああ、そうだな」
そんな事を考えていると俺の横に座ったアリアがラミア達を見つめてそう言う。
その瞳はどこか羨ましそうで、仲間に入りたそうな感じだ。
「……混ざってくれば?」
俺の気の所為かもしれないがアリアがそんな感じでソワソワとしている様子だったので一つ提案してみる。
「え!? いや! 私はその、まだみんなと会ったばかりだしそんないきなり………」
すると彼女は俺のなんてない提案にビックリと大きな声を上げて首をブンブンと横に振りながら慌てる。
「いや、だからこそコミニケーションが必要なんじゃないの?」
なぜ彼女がこんなに慌てているのかは分からないがそう返答して様子を伺うっていると……。
「そうかな? ……そうよね? やっぱり親睦を深めるなら自分から行かないといけないわよね……うん、そうよ、そのはずよ……。大丈夫、いけるわ。初めての誰かとの旅で緊張しているけどやっぱり私も皆と仲良くなりたいもの、やってみせるわ」
なんてブツブツと何を自分に言い聞かせるように呪文が聞こえてくる。
………会ってまだ数日。
俺のアリアに対する第一印象は誠実で誰とでも分け隔てなくすぐに交友関係を広げられるような印象だったが、意外とそれは間違いのようで元の彼女は結構な恥ずかしがり屋のようだ。
「よ、よし、行けるわ!」
「あ、はい」
ブツブツとアリサは呪文を止めるとひとつ意気込んでマキア達の方へ歩み寄る。それはなんともぎこちなく、見ているこっちがハラハラしてくるむず痒いモノだ。
しかし、そんなことを気にした様子もなくマキア達はアリアを迎え入れるとすぐに楽しそうな話し声が聞こえてくる。
「あまり心配しなくても良さそうだろ?」
その様子を見て誰に言うでもなくそう独り言を放ち、何となく馬の手綱を任されているギガルドの方へ行く。
「おや、どうかしましたかレイルさん?」
地図を広げて目的地の場所を確認していたギガルドは俺の方を向くとニッコリと男前な笑顔を向ける。
「いや、誰か一人ぐらいは大事な御者の話し相手になってもいいんじゃないかなー、と思って」
かなり余裕のある前の御者台の方に腰をかけて冗談交じりにそう言う。
「ハハハ! なんとも嬉しい申し出ですね、ぜひお願いします」
場所の確認が済んだのかギガルドは地図をしまうと男前な顔をさらに破顔させて嬉しそうに俺を助手席に迎え入れてくれた。
「それでは準備も整いましたし、出発しましょうか」
ギガルドはそう言うと、手綱で馬車を引く二頭の馬に指示を出して馬車を動かし始める。
ガタガタと歯車の軋む音や小石の弾ける音が聞こえてきて同時に不規則な揺れもやってくる。
久しぶりの馬車のこの感覚に気分も少し高揚して、魔王と戦う旅だと言うのに不謹慎にもワクワクしてくる。
ゆったりとした速さで荒くはあるが整備された道を馬車は進んでいく。
「マーディアルにはどれくらいで着きそうなんだ?」
少しづつ流れていく景色を眺めながら俺はギガルドに質問をする。
「そうですね、いくつか町や村などの中継地点を経由してマーディアルまで行くので到着は四日程でしょうか。とりあえず今日はサラン村まで行こうと思います」
今日までにしっかりと道筋を考えてきてくれたのだろう、ギガルドは迷いなく言うと手網を握る手を締め直す。
「四日ね、了解。サラン村ってどんな所かギガルドは知ってる?」
時間に納得して俺は今のギガルドの言葉の中で出てきたサラン村について聞いてみる。
「はい、サラン村は人口およそ500人程度の小さな村です。そこで取れる作物はとても美味しいらしく王都でも有名らしいのですが、あまり数は多く出回らないそうでかなり値が付いているという噂が───」
スラスラと村の事を話し始めるギガルド。
「ほ、ほう」
旅の途中に寄る場所とは言え、どうしてそこまで知ってるの?と思うほどの情報の多さに軽く驚きつつ話を聞いていく。
もう、わかんないことがあったら何でもギガルドに聞けば答えが返ってきそうな気がしてくる。
物知りギガさんと呼ぼう。
……いや、やめよう。
先程まで薄暗かった辺りはゆっくりと登り始めてきた太陽の陽射しによって照らされ、景色が鮮明になっていく。
心地よい風に吹かれながら、馬車は今日の目的地へと向かうべく順調に走り出した。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?~穀潰しのための奮闘が賞賛される流れに~
果 一
ファンタジー
リクスには、最強の姉がいる。
王国最強と唄われる勇者で、英雄学校の生徒会長。
類い希なる才能と美貌を持つ姉の威光を笠に着て、リクスはとある野望を遂行していた。
『ビバ☆姉さんのスネをかじって生きよう計画!』
何を隠そうリクスは、引きこもりのタダ飯喰らいを人生の目標とする、極めて怠惰な少年だったのだ。
そんな弟に嫌気がさした姉エルザは、ある日リクスに告げる。
「私の通う英雄学校の編入試験、リクスちゃんの名前で登録しておいたからぁ」
その時を境に、リクスの人生は大きく変化する。
英雄学校で様々な事件に巻き込まれ、誰もが舌を巻くほどの強さが露わになって――?
これは、怠惰でろくでなしで、でもちょっぴり心優しい少年が、姉を越える英雄へと駆け上がっていく物語。
※本作はカクヨムでも公開しています。カクヨムでのタイトルは『姉(勇者)の威光を借りてニート生活を送るつもりだったのに、姉より強いのがバレて英雄になったんだが!?~穀潰し生活のための奮闘が、なぜか賞賛される流れになった件~』となります。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる