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78話 買い出し
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「ハッハーー! 起きたまえレイルー!!!」
朝から元気極まりない声で何処ぞの馬鹿精霊が俺の心地よい眠りを妨げようとやって来た。
ドスッ、と腹筋のあたりに勢いよく馬鹿精霊が尻からのしかかってくる。
「ふぐっ!?」
その突然の衝撃に別に重たいわけではないのに、思わず奇妙な声が自分の口から漏れ出るのは仕方のないことであろう。
「アハハハハ!! 今の聞いたかいアニス?『ふぐっ!?』だってさ!!」
何が面白いのか馬鹿精霊は主人の間抜けな声を聞いてケタケタと楽しそうに爆笑する。
……このとても嬉しそうにしている精霊をどうすれば黙らせることができるのだろうか?
ふつふつと沸き上がる怒りを何とか押さえ込みながらついそんなことを考えてしまう。
「こらリュミール! もう少し優しく起こしてあげなさい!!」
そんな楽しそうな精霊を見て俺の信頼すべき悪魔の少女の叱る声が聞こえてくる。
最悪な目覚めだと言うのに彼女の俺を気遣う声を聞くだけで心が穏やかな気持ちになる。
本当にアニスは優しいなあ~。
「アハハ! 何言ってるんだいアニス、レイルにはこれぐらい過激な方がちょうどいいのさ!!」
それに比べこの馬鹿精霊は……おっといけないわざわざ思い出して怒りが再燃焼するところだった。
というかさっさと人の腹から降りろ。
馬鹿精霊は俺の腹に跨りそのままバネのように上下に跳ねながら俺が目覚めるのを待っている。
「リュミール!!」
それを見てまた悪魔の少女は再び声を上げる。
……さて、このまま腹の上を跳ねられるのは癪だし、アニスにこれ以上迷惑をかけないためにもそろそろ目を開けて性根の腐った精霊に焼きを入れなければあるまい。
一度は許そうと思ったリュミールの朝の行動もここまで来るともう目を瞑ることはできない。
「おい、いつまで人の腹の上で寛いでるつもりだリュミール?」
目を開けて少しドスの効いた声で威嚇の意味も込めて精霊を睨みつける。
「お! やっとお目覚めかい? ほらほら、可愛い金髪美少女の精霊リュミールさんが起こしに来たぞっ!」
精霊は気にした様子もなく、目元でピースをしながら上擦った声で思いきり可愛こぶる。
「………」
客観的に見ればそれは大変可愛らしい仕草なのだが今までの行動を鑑みるにその行動は逆効果で俺の神経を逆撫でているようにしか思えない………腹が立って仕方がない。
「おはようアニス」
俺はバカを腹の上からどけてベットから降り、優しく微笑みかけながらアニスに朝の挨拶をする。
「おはようございますマスター」
アニスは丁寧に挨拶を返してくれる。
うん、今日もいい一日だ。
「あ、あっれぇ~? 私には朝のご挨拶はないのかな~?」
何処ぞのバカの声が聞こえるが無視しよう。
「さてアニス、今日は明日の準備をしないといけないから街に出て色々と買い物をする。朝食を食べたら直ぐに行くから準備しといてくれ」
「はい、わかりました」
着替えながらアニスに今日の予定を簡単に伝える。
「私もわかったよ~?」
何処ぞのバカの声が聞こえるが無視しよう。
「それじゃあ食堂にいってくる」
「はい、行ってらっしゃいませマスター」
扉まで見送りをしてくれるアニスに手を振りながら食堂へと足を向ける。
「行ってらっしゃーい」
何処ぞのバカの声が聞こえるが無視しよう。
「……………すみませんでした!!!」
扉を出る瞬間に精霊の大きな声が背中越しに聞こえる。
……よし、その言葉が聞きたかった。
・
・
・
簡単に朝食を済ませて王都の街の方まで出てくる。
無駄に朝早くリュミールに起こされたおかげで陽はまだ登り始めたばかりだ。
「あんなに怒らなくてもいいと思わないかいアニス!?」
「あれは完全にリュミールの悪ふざけがいけません」
「そんなに二人して私のことをいじめなくてもいいじゃないか~!」
刺激的な起こし方をしてきた張本人の反省はほんの一瞬で、何とか自分の非を正そうとアニスに意見を求めている。
……無駄なことを。
そのやり取りを横目で見ながら俺は今色々と道具を買い揃えるために商業区の方へと向かって歩いていた。
お金の方は学園を出る前に学長から少し多めに貰ったため問題は無い。
道すがら街の様子を見ていると、魔王襲撃で壊れた道や建物を急いで直すべくたくさんの人が忙しなく動いている。その中にはバルトメアの学生もいた。
誰もが一日でも早くいつも通りの生活を目指そうと王都全体が復興で慌ただしい雰囲気だ。
普通ならば自分も他の学生と同じように復興を手伝うべきなのに、こんなのんびりと買い物なんてしていていいのだろうか。ふと、そんな考えが頭を過ぎる。
「それでいいのよ。今日がレイルにとって最後の日常なんだから」
「え?」
自然と立ち止まって街の様子を眺めていると後ろから凛とした落ち着いた声が聞こえてくる。
「アリアとギガルド」
後ろを向いて声の主を確認するとそこには陽に照らされて光る柑子色の髪の少女と巨漢の男が立っていた。
「おはようレイル」
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
振り向くとすぐに二人に挨拶をされたので反射で返事をする。
「明日の買い出しかしら?」
「え、ああうん」
二人に会うとは思っていなかったので驚いて答えがぎこちなくなる。
「気にしなくてもいいと思うわよ。あなたはこれから世界のために戦うのだから」
いつ俺の考えを読み取ったのかアリアは街を眺めながら言う。
「さ、行きましょ?」
「え? 行くってどこへ?」
アリアは前の方へ振り返り歩き始める。
「買い物でしょ? なら目的地は同じじゃない。一緒に行きましょ?」
不思議そうにアリアは首を傾げる。
「お、おう」
それもそうだな、と納得して俺はアリアの後をついて行く。
しばらく歩いて商業区へと着くとすぐに見知った顔を見つけた。
今日はよく顔見知りに会うな~と薄っぺらいことを考えていると相手側もこちらに気づいたようなので声をかける。
「おはようラミア、ガーロット」
そこには剣術大会以来、少し雰囲気が変わったラミアと久しぶりに見るガーロットの姿があった。
「あ、おはようレイル君……」
「よう」
いつもの掴みどころのない雲のような雰囲気ではなく弱々しくオドオドとした落ち着かない様子だ。
「ラミアも買い物かしら?」
アリアが微笑みかけながらラミアに聞く。
「は、はい」
「私達もちょうど買い物をしに来たの。……そうだ!良かったら一緒にお店を見て回らない?」
手を叩いてアリアは名案と言わんばかりに提案をする。
「い、いいんですか?」
ラミアはキョロキョロと俺とアリアを交互にチラ見し仲間ら手をもじもじさせる。
「もちろんよ! ね、レイル?」
「ああ。一緒に回ろうラミア」
まあ別に断る理由もない。
三人で回れば買うものも分担できるし良いだろう。
「あ、ありがとう」
「いいのよ。さ、行きましょ!」
「うん……」
ラミアは頬を赤く染めながら嬉しそうに笑ってアリアと一緒に出店の方に歩いていく。
「はあ……」
その二人の微笑ましく見ていると隣で深いため息が聞こえてくる。
「どうしたんだよガーロット?」
ため息をしたのはガーロットで彼がこんな深く疲れたため息をつく姿は新鮮だ。
「………お前も気づいていると思うがあの大会以来ラミアの様子が変わっただろ?」
「うん」
少しの間、何かを考えてガーロットは話し始める。
「前の自由奔放、我侭さと真逆にとっても大人しくなって、周りの人間は愚か俺にまで変な気を使い始めてそれがとてつもなくむず痒いと言うか、前と性格の違いがありすぎてこっちまで変に気を使っちまって疲れてるというか……」
何かが溢れ出すようにガーロットはつらづらと思いの丈を話していく。
「な、なるほど」
確かにラミアはあれ以来、様子がガラリと変わった。それは彼女が成長しているということなんだろうけど、ガーロットはその変化に戸惑っているということか。
「それは少しづつになりますがゆっくりと慣れていくしかないでしょう」
ガーロットに何と声をかけるべきか迷っていると横から話を聞いていたのかギガルドがそう言って入ってくる。
「やはりそれしかないのか?」
珍しく弱気なガーロットがギガルドに聞く。
「ええ。私達の主はちょうどそういった心の変化が起こりやすい時期でもあります。なので私達からどうこうするのではなく──」
何やらギガルドの熱弁が始まりガーロットも真剣に相槌を打ちながら話を聞き始める。
「……」
何となくその輪に入るのは無理だと察して俺は横で黙って歩きながら出店を眺めることにした。
「見てくれよレイル、この変なお面!」
すると横から彫りの深い口を異常なくらいとんがらせたお面を被ったリュミールが脅かすようにしてこちらに顔を出す。
「こらリュミール! 勝手に商品を持って行ってはいません!」
小さい子供を叱る母のようにアニスがリュミールを追いかけてお面を元あった場所に戻すように言う。
「リュミール、あまりお母さんを困らせるなよ……」
なんだか怒る気もなくなり呆れて冗談交じりにそう言う。
「……わかったよお父さん!」
少し考えてリュミールは俺に向かって言う。
誰がお父さんだ、誰が。全く減らず口め……。
「お母さん!? お父さん!?」
アニスは俺達のやり取りを見て顔をリンゴのように真っ赤に染めて驚いていた。
……そりゃあお母さんなんて言ったら失礼だよな。見た目的にアニスとリュミールは同い年ぐらいだし、顔を真赤にして怒るよ。
怒ったアニスも可愛らしいなあ~、なんて考えながら買い出しを続ける。
朝から元気極まりない声で何処ぞの馬鹿精霊が俺の心地よい眠りを妨げようとやって来た。
ドスッ、と腹筋のあたりに勢いよく馬鹿精霊が尻からのしかかってくる。
「ふぐっ!?」
その突然の衝撃に別に重たいわけではないのに、思わず奇妙な声が自分の口から漏れ出るのは仕方のないことであろう。
「アハハハハ!! 今の聞いたかいアニス?『ふぐっ!?』だってさ!!」
何が面白いのか馬鹿精霊は主人の間抜けな声を聞いてケタケタと楽しそうに爆笑する。
……このとても嬉しそうにしている精霊をどうすれば黙らせることができるのだろうか?
ふつふつと沸き上がる怒りを何とか押さえ込みながらついそんなことを考えてしまう。
「こらリュミール! もう少し優しく起こしてあげなさい!!」
そんな楽しそうな精霊を見て俺の信頼すべき悪魔の少女の叱る声が聞こえてくる。
最悪な目覚めだと言うのに彼女の俺を気遣う声を聞くだけで心が穏やかな気持ちになる。
本当にアニスは優しいなあ~。
「アハハ! 何言ってるんだいアニス、レイルにはこれぐらい過激な方がちょうどいいのさ!!」
それに比べこの馬鹿精霊は……おっといけないわざわざ思い出して怒りが再燃焼するところだった。
というかさっさと人の腹から降りろ。
馬鹿精霊は俺の腹に跨りそのままバネのように上下に跳ねながら俺が目覚めるのを待っている。
「リュミール!!」
それを見てまた悪魔の少女は再び声を上げる。
……さて、このまま腹の上を跳ねられるのは癪だし、アニスにこれ以上迷惑をかけないためにもそろそろ目を開けて性根の腐った精霊に焼きを入れなければあるまい。
一度は許そうと思ったリュミールの朝の行動もここまで来るともう目を瞑ることはできない。
「おい、いつまで人の腹の上で寛いでるつもりだリュミール?」
目を開けて少しドスの効いた声で威嚇の意味も込めて精霊を睨みつける。
「お! やっとお目覚めかい? ほらほら、可愛い金髪美少女の精霊リュミールさんが起こしに来たぞっ!」
精霊は気にした様子もなく、目元でピースをしながら上擦った声で思いきり可愛こぶる。
「………」
客観的に見ればそれは大変可愛らしい仕草なのだが今までの行動を鑑みるにその行動は逆効果で俺の神経を逆撫でているようにしか思えない………腹が立って仕方がない。
「おはようアニス」
俺はバカを腹の上からどけてベットから降り、優しく微笑みかけながらアニスに朝の挨拶をする。
「おはようございますマスター」
アニスは丁寧に挨拶を返してくれる。
うん、今日もいい一日だ。
「あ、あっれぇ~? 私には朝のご挨拶はないのかな~?」
何処ぞのバカの声が聞こえるが無視しよう。
「さてアニス、今日は明日の準備をしないといけないから街に出て色々と買い物をする。朝食を食べたら直ぐに行くから準備しといてくれ」
「はい、わかりました」
着替えながらアニスに今日の予定を簡単に伝える。
「私もわかったよ~?」
何処ぞのバカの声が聞こえるが無視しよう。
「それじゃあ食堂にいってくる」
「はい、行ってらっしゃいませマスター」
扉まで見送りをしてくれるアニスに手を振りながら食堂へと足を向ける。
「行ってらっしゃーい」
何処ぞのバカの声が聞こえるが無視しよう。
「……………すみませんでした!!!」
扉を出る瞬間に精霊の大きな声が背中越しに聞こえる。
……よし、その言葉が聞きたかった。
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簡単に朝食を済ませて王都の街の方まで出てくる。
無駄に朝早くリュミールに起こされたおかげで陽はまだ登り始めたばかりだ。
「あんなに怒らなくてもいいと思わないかいアニス!?」
「あれは完全にリュミールの悪ふざけがいけません」
「そんなに二人して私のことをいじめなくてもいいじゃないか~!」
刺激的な起こし方をしてきた張本人の反省はほんの一瞬で、何とか自分の非を正そうとアニスに意見を求めている。
……無駄なことを。
そのやり取りを横目で見ながら俺は今色々と道具を買い揃えるために商業区の方へと向かって歩いていた。
お金の方は学園を出る前に学長から少し多めに貰ったため問題は無い。
道すがら街の様子を見ていると、魔王襲撃で壊れた道や建物を急いで直すべくたくさんの人が忙しなく動いている。その中にはバルトメアの学生もいた。
誰もが一日でも早くいつも通りの生活を目指そうと王都全体が復興で慌ただしい雰囲気だ。
普通ならば自分も他の学生と同じように復興を手伝うべきなのに、こんなのんびりと買い物なんてしていていいのだろうか。ふと、そんな考えが頭を過ぎる。
「それでいいのよ。今日がレイルにとって最後の日常なんだから」
「え?」
自然と立ち止まって街の様子を眺めていると後ろから凛とした落ち着いた声が聞こえてくる。
「アリアとギガルド」
後ろを向いて声の主を確認するとそこには陽に照らされて光る柑子色の髪の少女と巨漢の男が立っていた。
「おはようレイル」
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
振り向くとすぐに二人に挨拶をされたので反射で返事をする。
「明日の買い出しかしら?」
「え、ああうん」
二人に会うとは思っていなかったので驚いて答えがぎこちなくなる。
「気にしなくてもいいと思うわよ。あなたはこれから世界のために戦うのだから」
いつ俺の考えを読み取ったのかアリアは街を眺めながら言う。
「さ、行きましょ?」
「え? 行くってどこへ?」
アリアは前の方へ振り返り歩き始める。
「買い物でしょ? なら目的地は同じじゃない。一緒に行きましょ?」
不思議そうにアリアは首を傾げる。
「お、おう」
それもそうだな、と納得して俺はアリアの後をついて行く。
しばらく歩いて商業区へと着くとすぐに見知った顔を見つけた。
今日はよく顔見知りに会うな~と薄っぺらいことを考えていると相手側もこちらに気づいたようなので声をかける。
「おはようラミア、ガーロット」
そこには剣術大会以来、少し雰囲気が変わったラミアと久しぶりに見るガーロットの姿があった。
「あ、おはようレイル君……」
「よう」
いつもの掴みどころのない雲のような雰囲気ではなく弱々しくオドオドとした落ち着かない様子だ。
「ラミアも買い物かしら?」
アリアが微笑みかけながらラミアに聞く。
「は、はい」
「私達もちょうど買い物をしに来たの。……そうだ!良かったら一緒にお店を見て回らない?」
手を叩いてアリアは名案と言わんばかりに提案をする。
「い、いいんですか?」
ラミアはキョロキョロと俺とアリアを交互にチラ見し仲間ら手をもじもじさせる。
「もちろんよ! ね、レイル?」
「ああ。一緒に回ろうラミア」
まあ別に断る理由もない。
三人で回れば買うものも分担できるし良いだろう。
「あ、ありがとう」
「いいのよ。さ、行きましょ!」
「うん……」
ラミアは頬を赤く染めながら嬉しそうに笑ってアリアと一緒に出店の方に歩いていく。
「はあ……」
その二人の微笑ましく見ていると隣で深いため息が聞こえてくる。
「どうしたんだよガーロット?」
ため息をしたのはガーロットで彼がこんな深く疲れたため息をつく姿は新鮮だ。
「………お前も気づいていると思うがあの大会以来ラミアの様子が変わっただろ?」
「うん」
少しの間、何かを考えてガーロットは話し始める。
「前の自由奔放、我侭さと真逆にとっても大人しくなって、周りの人間は愚か俺にまで変な気を使い始めてそれがとてつもなくむず痒いと言うか、前と性格の違いがありすぎてこっちまで変に気を使っちまって疲れてるというか……」
何かが溢れ出すようにガーロットはつらづらと思いの丈を話していく。
「な、なるほど」
確かにラミアはあれ以来、様子がガラリと変わった。それは彼女が成長しているということなんだろうけど、ガーロットはその変化に戸惑っているということか。
「それは少しづつになりますがゆっくりと慣れていくしかないでしょう」
ガーロットに何と声をかけるべきか迷っていると横から話を聞いていたのかギガルドがそう言って入ってくる。
「やはりそれしかないのか?」
珍しく弱気なガーロットがギガルドに聞く。
「ええ。私達の主はちょうどそういった心の変化が起こりやすい時期でもあります。なので私達からどうこうするのではなく──」
何やらギガルドの熱弁が始まりガーロットも真剣に相槌を打ちながら話を聞き始める。
「……」
何となくその輪に入るのは無理だと察して俺は横で黙って歩きながら出店を眺めることにした。
「見てくれよレイル、この変なお面!」
すると横から彫りの深い口を異常なくらいとんがらせたお面を被ったリュミールが脅かすようにしてこちらに顔を出す。
「こらリュミール! 勝手に商品を持って行ってはいません!」
小さい子供を叱る母のようにアニスがリュミールを追いかけてお面を元あった場所に戻すように言う。
「リュミール、あまりお母さんを困らせるなよ……」
なんだか怒る気もなくなり呆れて冗談交じりにそう言う。
「……わかったよお父さん!」
少し考えてリュミールは俺に向かって言う。
誰がお父さんだ、誰が。全く減らず口め……。
「お母さん!? お父さん!?」
アニスは俺達のやり取りを見て顔をリンゴのように真っ赤に染めて驚いていた。
……そりゃあお母さんなんて言ったら失礼だよな。見た目的にアニスとリュミールは同い年ぐらいだし、顔を真赤にして怒るよ。
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