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24話 やはり少年は……
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今日であの人に心を奪われてから一週間だ。朝昼晩、どんな時でも彼女の笑顔が頭から離れない。
僕に食事を配ってくれる時のあの深みのある優しく明るい笑顔が……。
「ローグまたアリスさんのことを思い出してたのか?」
僕の唯一の同士が呆れた顔をして聞いてくる。
「ああ、目を閉じるたびに思い出してしまってね……」
「わかるぜ~、俺も人間だったらイチコロだぜありゃ」
うんうんと激しく首を動かし同意してくれる。
「さて、今日こそはあの人の心を射止めてみせる!」
「その意気だローグ!!」
学園指定の制服をきっちりと着て、愛しの人のところへ会いにいく。
同じ歳ぐらいの女の子なんて別にどうでもいい。
そう思い始めたのはいつ頃だったのかもう忘れてしまった。気がつけば僕は熟女にしか興味がなかった。
友達からはその事でいじめられもしたけど僕は一度も熟女好きを恥じたことなんてない。
アッシュとの出会いはとても不思議なものだったと思う。僕はいつも街の路地裏にあるゴミ捨て場でいじめられていた。罵声をあびせられ殴られ蹴られ、ボロボロにされて、反撃なんて考えもしなかった。やり返したら僕をいじめてた奴らとは一緒になる気がしたから。
みぞおちに一発いいパンチをくらいお腹を抱えながら地面に突っ伏していると声が聞こえてきたんだ。
"お前は間違ってなんかいない!!"
ってそんな声がどこかから。
気がつくと僕を思う存分甚振って飽きのか、いじめっ子達はどこかへ行ってしまい1人になった。
「お前は間違ってなんかないぜ!」
今度ははっきりとそう聞こえて声の主を探す。
声は大量のゴミの中から聞こえて僕は興味本位でそのゴミを掻き払っていった。
しばらくすると中から一本の大きな斧が出てきてその斧から声がするのだ。
「お前の男気見せてもらったぜ!!」
「……君はなんなの?」
普通、喋る武器なんて見つければビックリしてすぐにその場を離れるはずなのだがその日は何故か好奇心がそうさせなかった。
「俺?俺の名前はアッシュ。お前と同じ熟女を愛する、まあ同士みたいなもんだ!」
「武器なのに喋るし女の人が好きなの変だね……」
つんつんと斧を指で突っついてみる。
「別に変じゃないさ、俺は武器であり悪魔だからな!」
斧が大きな声でそう言うと突然目の前にひょろひょろの緑髪の人が現れる。
「うわ!」
ビックリして思わず尻もちをついてしまう。
「そういえば、まだお前の名前を聞いてなかったな。なんて名前なんだ?」
いきなり目の前に現れた人は地面に座り込む僕を見て手を貸してくれる。
「き、君は……?」
「おいおい、さっき自己紹介したろ。俺の名前はアッシュ、覚えたか?」
ひょろひょろの男の人はさっきまでいたはずの斧と同じ名前を名乗る。
「で、お前は?」
ひょろひょろ男、アッシュの腕をつかみ勢いよく立ち上がる。
「ぼ、僕の名前はローエングリン、みんなからはローグって呼ばれてる……」
いまいち状況が掴めない中、自己紹介をした。
「そうか、よろしくなローグ!!」
アッシュは太陽のように笑い僕の名前を呼んだ。
これが僕とアッシュの出会いだった。
・
・
・
「ふう……」
いつも彼女と会う時は緊張していまう。彼女を見た瞬間、心臓が飛び跳ねそうでたまらない。
でもこの気持ちを胸の中に閉まっている方が心臓が飛び跳ねることよりも気持ちが悪く感じてしまって変な感覚だ。
これが恋なのだろう。
よし。
心を決めて彼女が待つ食堂の中へと入る。
今日も食堂には朝から熟女にナンパをするイケメンが愛を囁いていた。
僕に食事を配ってくれる時のあの深みのある優しく明るい笑顔が……。
「ローグまたアリスさんのことを思い出してたのか?」
僕の唯一の同士が呆れた顔をして聞いてくる。
「ああ、目を閉じるたびに思い出してしまってね……」
「わかるぜ~、俺も人間だったらイチコロだぜありゃ」
うんうんと激しく首を動かし同意してくれる。
「さて、今日こそはあの人の心を射止めてみせる!」
「その意気だローグ!!」
学園指定の制服をきっちりと着て、愛しの人のところへ会いにいく。
同じ歳ぐらいの女の子なんて別にどうでもいい。
そう思い始めたのはいつ頃だったのかもう忘れてしまった。気がつけば僕は熟女にしか興味がなかった。
友達からはその事でいじめられもしたけど僕は一度も熟女好きを恥じたことなんてない。
アッシュとの出会いはとても不思議なものだったと思う。僕はいつも街の路地裏にあるゴミ捨て場でいじめられていた。罵声をあびせられ殴られ蹴られ、ボロボロにされて、反撃なんて考えもしなかった。やり返したら僕をいじめてた奴らとは一緒になる気がしたから。
みぞおちに一発いいパンチをくらいお腹を抱えながら地面に突っ伏していると声が聞こえてきたんだ。
"お前は間違ってなんかいない!!"
ってそんな声がどこかから。
気がつくと僕を思う存分甚振って飽きのか、いじめっ子達はどこかへ行ってしまい1人になった。
「お前は間違ってなんかないぜ!」
今度ははっきりとそう聞こえて声の主を探す。
声は大量のゴミの中から聞こえて僕は興味本位でそのゴミを掻き払っていった。
しばらくすると中から一本の大きな斧が出てきてその斧から声がするのだ。
「お前の男気見せてもらったぜ!!」
「……君はなんなの?」
普通、喋る武器なんて見つければビックリしてすぐにその場を離れるはずなのだがその日は何故か好奇心がそうさせなかった。
「俺?俺の名前はアッシュ。お前と同じ熟女を愛する、まあ同士みたいなもんだ!」
「武器なのに喋るし女の人が好きなの変だね……」
つんつんと斧を指で突っついてみる。
「別に変じゃないさ、俺は武器であり悪魔だからな!」
斧が大きな声でそう言うと突然目の前にひょろひょろの緑髪の人が現れる。
「うわ!」
ビックリして思わず尻もちをついてしまう。
「そういえば、まだお前の名前を聞いてなかったな。なんて名前なんだ?」
いきなり目の前に現れた人は地面に座り込む僕を見て手を貸してくれる。
「き、君は……?」
「おいおい、さっき自己紹介したろ。俺の名前はアッシュ、覚えたか?」
ひょろひょろの男の人はさっきまでいたはずの斧と同じ名前を名乗る。
「で、お前は?」
ひょろひょろ男、アッシュの腕をつかみ勢いよく立ち上がる。
「ぼ、僕の名前はローエングリン、みんなからはローグって呼ばれてる……」
いまいち状況が掴めない中、自己紹介をした。
「そうか、よろしくなローグ!!」
アッシュは太陽のように笑い僕の名前を呼んだ。
これが僕とアッシュの出会いだった。
・
・
・
「ふう……」
いつも彼女と会う時は緊張していまう。彼女を見た瞬間、心臓が飛び跳ねそうでたまらない。
でもこの気持ちを胸の中に閉まっている方が心臓が飛び跳ねることよりも気持ちが悪く感じてしまって変な感覚だ。
これが恋なのだろう。
よし。
心を決めて彼女が待つ食堂の中へと入る。
今日も食堂には朝から熟女にナンパをするイケメンが愛を囁いていた。
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