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11話 王都到着
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旅はなんの問題もなく進み、順調に行けば今日の昼頃には王都バリアントに着くという距離だった。
「いやー、こんなに安全な旅久しぶりだったな~。まさか1回も魔物に会わないなんてあんたらついてるぜ!」
御者の人が手網を握り直しながら言ってくる。
「ええ、本当に。運が良かったです」
ぎこちない造り笑顔をしながら答える。
本当は偶然でもなんでもないとわかっていたからだ。
それも全部アニスの便利なスキルのお陰である。
魔物には下級、中級、上級、神話級と種類がある。その中でアニスは中級、短時間になってしまうが上級までの魔物なら周囲200mまで近づけさせないというパッシブスキルを持っている。ちなみに村を襲ってきたあの魔猪は上級の魔物だ。
そのおかげで今回の旅は無事だったというわけだ。
まだアニスは色々なスキルを持っているが俺はそれを把握しきれていないし全て使える訳では無い。
3ヶ月の鍛錬でまともに使えるようになったスキルといえばせいぜい3つが限界だった。それでも多い方だとガーディアは驚いていたが俺はまだ全然アニスの力を引き出せていない。
「これからの努力次第だな」
「何がでしょうか?」
「いや、これから頑張ろうなってこと」
「はい……?」
アニスはいまいち話の流れがわからず首を傾げている。
「お二人方! 王都の入口が見えてきましたよ!」
御者の人のそう言われ前の方を見る。
「おお!!」
そこには大きな門がそびえ立ち、その門をくぐるために関所の前には大勢の人が列を為していた。
王都バリアント、パールメル大陸の中心に位置する国王ジョン=バリアントが治める国。この国が所有するバルトメア魔法騎士学園は大陸一の教養と設備を備えており大陸中の騎士や魔法士を目指す金の卵たちが毎年数十万人と集まる。
定員数は定めてられてなく、ある一定の能力を超えれば身分関係なく入学することができる。が定員数が決まっていないのにも関わらず毎年の入学者はおよそ800人、多い年で1000人ほどと言われ、試験の内容はとても難しいものとなっている。
そこから3年間の教育課程を経て卒業生はバリアント魔法騎士団に入隊し栄誉ある騎士となるのだが、たまに冒険者になる変わり者がいたりもする。
さらに卒業生の中で成績優秀者上位9名は王直属の精鋭部隊アルバーンに配属され、将来を約束される。
俺の目標はその上位9名に入ってアルバーンに入ること。
アルバーンは全国民の誇りであり、子供の頃なら誰もがアルバーンの部隊に入りたいと憧れるものだ。ちなみに俺もその一人。
「今回はどういったご用件での入国でしょうか?」
自分の番が来たらしく馬車から降りて入国審査を一人で受ける。
「バルトメア魔法騎士学園の入学試験を受けに来ました」
門番をしている騎士に説明をする。
「証明書はお持ちですね?」
「はい、どうぞ」
村を出発する前に入国するために必要な証明書をラインに書いてもらっていたのでそれを門番の人に渡す。
「はい、確かに。それでは試験頑張ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
入国が認められ門番の人に声援をもらう。
そうして一人で大きな門をくぐり王都の中へと入る。
御者の人とは関所のところで別れ、アニスは色々と聞かれては面倒なので剣の姿になってもらい腰につけた黒い鞘に納刀している。
「おお!!」
街はたくさんの人と出店などでお祭りのような賑わいを見せていた!
「マスターすごい数の人ですね!!」
「ああ! まさかこんなにとは……驚いたよ!」
アニスは気がつくと悪魔の姿に戻っており興奮した様子だった。
「色々と気になるところだけど、観光はやる事やったあとだ。とりあえず入学試験の手続きをしないとな」
「はい! わかりましたマスター!」
アニスと街の風景を楽しまながら試験会場がある中央広場へと向かう。
・
・
・
「うわ~、すごい人だなこれ……」
中央広場に着くと俺と同じ年の少年少女でごった返していた。
「入学試験を希望するものは試験官の指示に従い受付をしなさい!! 繰り返す!………」
試験管の人が大きな声をだして広場にいる受験生たちに指示をだして列を作っていく。
「また並ぶのか~」
"これはまた時間がかかりそうですね"
頭の中でアニスの声がする。
「うお! やっぱりまだこの頭の中で声が聞こえるっていうのはなれないな」
腰に付いている鞘を見るとアニスが剣の姿になって収まっていた。
"そろそろ慣れてくださいマスター"
「頑張ります……」
剣の時はこうしてアニスは俺の頭の中に直接話してくるようにした。
これが意外とビックリして未だになれない。
俺は普通に口で喋っているので傍から見れば大きめの声で独り言を喋ってるただの変人だ。一応俺も口に出さなくてもアニスと会話はできるのだがついつい口に出して話してしまう。自重しなければ……。
「誰と話してるの?」
のんびりとした声が聞こえ後ろの方から肩をとんとん叩かれる。
「え?」
振り返って見るとそこには俺と同じくらいの身長で綺麗な黒髪をポニーテールでまとめた少女がいた。
「ねーね、誰もいないのに誰と話してるの?」
可愛らしい顔で不思議そうにこちらを見つめてくる。
ほら!さっそく変なやつだと思われた!!
「え、えーと……そのあれだ、そう! 人と話す練習をしてたんだよ!! あは、あはははははは………」
我ながら酷い言い訳である。
「そっか~、あなたコミュ障なんだね!」
花が咲いたような笑顔でとても酷いことを言ってくる。グサッと心にくる。
「そ、そーなんだよー。俺の住んでた村には同い年の友達がいなかったから練習してたんだよ~」
何とか誤魔化せた?ことに安堵する。
「それでそんなコミュ障さんの名前はなんて言うの?」
「おれ? 俺はレイル、ガリスの村から来たんだ。君は?」
「私はね~、ラミア=アンネット。バリアントから見て南にあるオールレイの街からきたんだ~」
お互いに簡単に自己紹介をする。
「ガリスって初めて聞く名前だな~、どこにあるの?」
ラミアは首を傾げて聞いてくる。
「えーと、バリアントから見て東の最果てにある小さな村だよ」
「へー、そうなんだ!」
あまり興味は無さそうだ。
「それよりレイル君の持ってる剣、黒くて綺麗だね~」
俺の腰に付いているアニスを凝視してくる。
「ガリスの村にはそんな綺麗な剣があるんだね?」
「う、腕のいい鍛冶師がいて作ってもらったんだ!」
さすがに森で偶然拾ってきましたとは言えないので適当に誤魔化す。
「ふーん、今度私もその鍛冶師の人に何か作ってもらおうかな~」
「こ、今度帰ったら聞いてみるよ」
「本当に? 楽しみだな~。それじゃ、私はここらへんで、お互い試験頑張ろうね」
どこか含みのある笑顔でそう言うとラミアは広場から離れていく。
「なんか不思議な女の子だったな……」
名字があるということはいいとこのお嬢様なのだろう、独特の雰囲気に緊張し、気づくと大量の冷や汗をかいていた。
その後、時間はかかったが無事に試験の登録は終わり、限りがある学園側が無料で提供してくれる宿泊施設を運よく借りれることができた。
試験は明後日なので明日はアニスと一緒にゆっくりと街を散策することにしよう。
・
・
・
少女は一人の少年と話を終えると広場を颯爽と離れていく。
「あれがあなたと同じ武器だって言うのガーロット?」
「ああ、あれは間違いなく魔王に作られた武器……魔装機だ、俺と同じ匂いがした。他にも感じたが近くにいたのはあいつぐらいだ」
どこからともなく赤色の逆立つ毛が特徴的な赤いジャケットを着た長身の男が現れる。
「そう、あなたと同じ……。ふふっ、面白いことになりそうね」
少女は不敵に笑い、暗い路地裏へと消えていく。
「いやー、こんなに安全な旅久しぶりだったな~。まさか1回も魔物に会わないなんてあんたらついてるぜ!」
御者の人が手網を握り直しながら言ってくる。
「ええ、本当に。運が良かったです」
ぎこちない造り笑顔をしながら答える。
本当は偶然でもなんでもないとわかっていたからだ。
それも全部アニスの便利なスキルのお陰である。
魔物には下級、中級、上級、神話級と種類がある。その中でアニスは中級、短時間になってしまうが上級までの魔物なら周囲200mまで近づけさせないというパッシブスキルを持っている。ちなみに村を襲ってきたあの魔猪は上級の魔物だ。
そのおかげで今回の旅は無事だったというわけだ。
まだアニスは色々なスキルを持っているが俺はそれを把握しきれていないし全て使える訳では無い。
3ヶ月の鍛錬でまともに使えるようになったスキルといえばせいぜい3つが限界だった。それでも多い方だとガーディアは驚いていたが俺はまだ全然アニスの力を引き出せていない。
「これからの努力次第だな」
「何がでしょうか?」
「いや、これから頑張ろうなってこと」
「はい……?」
アニスはいまいち話の流れがわからず首を傾げている。
「お二人方! 王都の入口が見えてきましたよ!」
御者の人のそう言われ前の方を見る。
「おお!!」
そこには大きな門がそびえ立ち、その門をくぐるために関所の前には大勢の人が列を為していた。
王都バリアント、パールメル大陸の中心に位置する国王ジョン=バリアントが治める国。この国が所有するバルトメア魔法騎士学園は大陸一の教養と設備を備えており大陸中の騎士や魔法士を目指す金の卵たちが毎年数十万人と集まる。
定員数は定めてられてなく、ある一定の能力を超えれば身分関係なく入学することができる。が定員数が決まっていないのにも関わらず毎年の入学者はおよそ800人、多い年で1000人ほどと言われ、試験の内容はとても難しいものとなっている。
そこから3年間の教育課程を経て卒業生はバリアント魔法騎士団に入隊し栄誉ある騎士となるのだが、たまに冒険者になる変わり者がいたりもする。
さらに卒業生の中で成績優秀者上位9名は王直属の精鋭部隊アルバーンに配属され、将来を約束される。
俺の目標はその上位9名に入ってアルバーンに入ること。
アルバーンは全国民の誇りであり、子供の頃なら誰もがアルバーンの部隊に入りたいと憧れるものだ。ちなみに俺もその一人。
「今回はどういったご用件での入国でしょうか?」
自分の番が来たらしく馬車から降りて入国審査を一人で受ける。
「バルトメア魔法騎士学園の入学試験を受けに来ました」
門番をしている騎士に説明をする。
「証明書はお持ちですね?」
「はい、どうぞ」
村を出発する前に入国するために必要な証明書をラインに書いてもらっていたのでそれを門番の人に渡す。
「はい、確かに。それでは試験頑張ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
入国が認められ門番の人に声援をもらう。
そうして一人で大きな門をくぐり王都の中へと入る。
御者の人とは関所のところで別れ、アニスは色々と聞かれては面倒なので剣の姿になってもらい腰につけた黒い鞘に納刀している。
「おお!!」
街はたくさんの人と出店などでお祭りのような賑わいを見せていた!
「マスターすごい数の人ですね!!」
「ああ! まさかこんなにとは……驚いたよ!」
アニスは気がつくと悪魔の姿に戻っており興奮した様子だった。
「色々と気になるところだけど、観光はやる事やったあとだ。とりあえず入学試験の手続きをしないとな」
「はい! わかりましたマスター!」
アニスと街の風景を楽しまながら試験会場がある中央広場へと向かう。
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「うわ~、すごい人だなこれ……」
中央広場に着くと俺と同じ年の少年少女でごった返していた。
「入学試験を希望するものは試験官の指示に従い受付をしなさい!! 繰り返す!………」
試験管の人が大きな声をだして広場にいる受験生たちに指示をだして列を作っていく。
「また並ぶのか~」
"これはまた時間がかかりそうですね"
頭の中でアニスの声がする。
「うお! やっぱりまだこの頭の中で声が聞こえるっていうのはなれないな」
腰に付いている鞘を見るとアニスが剣の姿になって収まっていた。
"そろそろ慣れてくださいマスター"
「頑張ります……」
剣の時はこうしてアニスは俺の頭の中に直接話してくるようにした。
これが意外とビックリして未だになれない。
俺は普通に口で喋っているので傍から見れば大きめの声で独り言を喋ってるただの変人だ。一応俺も口に出さなくてもアニスと会話はできるのだがついつい口に出して話してしまう。自重しなければ……。
「誰と話してるの?」
のんびりとした声が聞こえ後ろの方から肩をとんとん叩かれる。
「え?」
振り返って見るとそこには俺と同じくらいの身長で綺麗な黒髪をポニーテールでまとめた少女がいた。
「ねーね、誰もいないのに誰と話してるの?」
可愛らしい顔で不思議そうにこちらを見つめてくる。
ほら!さっそく変なやつだと思われた!!
「え、えーと……そのあれだ、そう! 人と話す練習をしてたんだよ!! あは、あはははははは………」
我ながら酷い言い訳である。
「そっか~、あなたコミュ障なんだね!」
花が咲いたような笑顔でとても酷いことを言ってくる。グサッと心にくる。
「そ、そーなんだよー。俺の住んでた村には同い年の友達がいなかったから練習してたんだよ~」
何とか誤魔化せた?ことに安堵する。
「それでそんなコミュ障さんの名前はなんて言うの?」
「おれ? 俺はレイル、ガリスの村から来たんだ。君は?」
「私はね~、ラミア=アンネット。バリアントから見て南にあるオールレイの街からきたんだ~」
お互いに簡単に自己紹介をする。
「ガリスって初めて聞く名前だな~、どこにあるの?」
ラミアは首を傾げて聞いてくる。
「えーと、バリアントから見て東の最果てにある小さな村だよ」
「へー、そうなんだ!」
あまり興味は無さそうだ。
「それよりレイル君の持ってる剣、黒くて綺麗だね~」
俺の腰に付いているアニスを凝視してくる。
「ガリスの村にはそんな綺麗な剣があるんだね?」
「う、腕のいい鍛冶師がいて作ってもらったんだ!」
さすがに森で偶然拾ってきましたとは言えないので適当に誤魔化す。
「ふーん、今度私もその鍛冶師の人に何か作ってもらおうかな~」
「こ、今度帰ったら聞いてみるよ」
「本当に? 楽しみだな~。それじゃ、私はここらへんで、お互い試験頑張ろうね」
どこか含みのある笑顔でそう言うとラミアは広場から離れていく。
「なんか不思議な女の子だったな……」
名字があるということはいいとこのお嬢様なのだろう、独特の雰囲気に緊張し、気づくと大量の冷や汗をかいていた。
その後、時間はかかったが無事に試験の登録は終わり、限りがある学園側が無料で提供してくれる宿泊施設を運よく借りれることができた。
試験は明後日なので明日はアニスと一緒にゆっくりと街を散策することにしよう。
・
・
・
少女は一人の少年と話を終えると広場を颯爽と離れていく。
「あれがあなたと同じ武器だって言うのガーロット?」
「ああ、あれは間違いなく魔王に作られた武器……魔装機だ、俺と同じ匂いがした。他にも感じたが近くにいたのはあいつぐらいだ」
どこからともなく赤色の逆立つ毛が特徴的な赤いジャケットを着た長身の男が現れる。
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