11 / 110
10話 その破壊力たるや
しおりを挟む
馬車に乗って3時間ほどたっただろうか、衣類や食料と一緒に揺られながら王都へと続く道を進んでいた。
「いいお母さんですね~」
御者の人が話しかけてくる。
「はい、自慢の母です」
自分で言ってはずかしくなる。
ガリスの村から王都までは1週間ほどかかる、かなりの長旅だ。
王都には小さい頃1度だけ行ったきりでその時の記憶も曖昧だ。実質今回が初めてのようなものである。
「アニス、これから長旅になるけど大丈夫? 疲れたら剣の姿になってもいいんだぞ?」
アニスは悪魔の姿より剣の方が疲れないとこの3ヶ月で分かった。なんでも悪魔の姿の時は余分に魔力を使うそうで負担が大きいのだ。
「いえ、旅というのは初めてなのでとても楽しみです! 外の世界がどうなっているのかこの目で見れる時が来るなんて思いもしませんでした!」
目を輝かせてアニスはずっと外の風景を眺めている。
「ま、そうだよな。なんせ300年もあの森にいたんだ、外の世界がどんなものか気になるよな」
アニスや御者の人と他愛のない話をしながら旅路をたのしむ。
「そういえばお母様は何をくださったのですか?」
俺の持ってる小さな布の袋が気になるのかアニスはジーッと見てくる。
「開けてみるか」
布の結び目を解き中身を開けてみるとそこには幸運を呼ぶと言われるホワイトサーペントの皮で作られた白いブレスレットが二つ入っていた。それぞれのブレスレットには磨かれた石も一緒に付いており、ひとつは紺色の石、もうひとつは金糸雀色の綺麗な石が付けられていた。
「2つあるな、俺とアニスのぶんってことか。アニスどっちがいい?」
2つのブレスレットをアニスに見せる。
「いえ、私はどちらでも……マスターが先に好きな方をどうぞ」
「いいからいいから、こういうのは女の子が先に選ぶもんなの! 遠慮しないで好きなほうとって」
先ほどよりさらにブレスレットをアニスの方に近づける。
「う……それでは私はこちらにします。ありがとございますマスター」
アニスは金糸雀色の磨かれた石がついたブレスレットを取り右腕につける
「お礼は今度村に帰った時に母さんに一緒に言おう」
俺も紺色の磨かれた石がついたブレスレットを右腕につける。
「うん、いい感じだ!」
「はい!」
お互いにブレスレットをつけた腕を見て笑顔になる。
「ん?」
布の中を見るとまだ小さな紙切れが入っていた。
「なんだこれ?」
手に取って呼んでみる。それにはこう書かれていた。
たまには連絡ぐらいしなさい
ステラより。
簡潔にそれだけ書かれていた。
「母さんらしいな」
思わず笑ってしまう。
「そうですね」
アニスも優しく微笑む。
今日の空は少し雲があるがいい天気だ。冬とは違いもうすっかり春の暖かさが訪れてきている。
「ふわあ……」
この感じ、とっても気持ちいいんだけど眠くなってくるんだよな~。
大きく口を開けて欠伸をする。
「眠いんですか?」
アニスがこちらの顔を覗き込んでくる。
「今日は天気も良くて暖かいからね、ついつい欠伸が出ちゃうよ」
「それでしたらこちらをお使いください」
ポンポンとアニスは自らの太ももを叩く。
「膝枕……だと……!!」
「嫌……でしょうか?」
悲しそうな顔をして俯いてしまう。
「いえそんなことないですよ、是非お願いしたいくらいです!」
「そうですか、よかったです! それではどうぞ」
膝に置いていた手を避けてスペースを作ってくれる。
「し、失礼します……」
頭をアニスの太ももへとのせる。
ぽふっ。
ふぉおおおおおおおおおお、こいつヤバい!
何がヤバいってもう言葉では言い表せないぐらいヤバい。太もも柔らかすぎんだろーよー。しかし柔らかすぎず程よく弾力もあり病みつきになってしまう。
「ど、どうでしょうか?」
「最高です……」
もうこのまま死んでもいいまである。
「よかったです」
そう言って俺の頭をさりげなく撫でてくる。
あぁあああああああああぁああああああああ
そいつはいけないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
もう戻れなくなりゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
脳内は絶叫の嵐だ。
「うふふふ」
アニスは笑いながら頭を撫で続ける。
だんだん瞼が重くなっていき本当に眠くなってくる。
ああ、もうこれはあれですわ。寝ますわ。
てかこれで寝れないやつはどうかしてますわ。
さよなら。
そうして深い眠りにつく。
「いいお母さんですね~」
御者の人が話しかけてくる。
「はい、自慢の母です」
自分で言ってはずかしくなる。
ガリスの村から王都までは1週間ほどかかる、かなりの長旅だ。
王都には小さい頃1度だけ行ったきりでその時の記憶も曖昧だ。実質今回が初めてのようなものである。
「アニス、これから長旅になるけど大丈夫? 疲れたら剣の姿になってもいいんだぞ?」
アニスは悪魔の姿より剣の方が疲れないとこの3ヶ月で分かった。なんでも悪魔の姿の時は余分に魔力を使うそうで負担が大きいのだ。
「いえ、旅というのは初めてなのでとても楽しみです! 外の世界がどうなっているのかこの目で見れる時が来るなんて思いもしませんでした!」
目を輝かせてアニスはずっと外の風景を眺めている。
「ま、そうだよな。なんせ300年もあの森にいたんだ、外の世界がどんなものか気になるよな」
アニスや御者の人と他愛のない話をしながら旅路をたのしむ。
「そういえばお母様は何をくださったのですか?」
俺の持ってる小さな布の袋が気になるのかアニスはジーッと見てくる。
「開けてみるか」
布の結び目を解き中身を開けてみるとそこには幸運を呼ぶと言われるホワイトサーペントの皮で作られた白いブレスレットが二つ入っていた。それぞれのブレスレットには磨かれた石も一緒に付いており、ひとつは紺色の石、もうひとつは金糸雀色の綺麗な石が付けられていた。
「2つあるな、俺とアニスのぶんってことか。アニスどっちがいい?」
2つのブレスレットをアニスに見せる。
「いえ、私はどちらでも……マスターが先に好きな方をどうぞ」
「いいからいいから、こういうのは女の子が先に選ぶもんなの! 遠慮しないで好きなほうとって」
先ほどよりさらにブレスレットをアニスの方に近づける。
「う……それでは私はこちらにします。ありがとございますマスター」
アニスは金糸雀色の磨かれた石がついたブレスレットを取り右腕につける
「お礼は今度村に帰った時に母さんに一緒に言おう」
俺も紺色の磨かれた石がついたブレスレットを右腕につける。
「うん、いい感じだ!」
「はい!」
お互いにブレスレットをつけた腕を見て笑顔になる。
「ん?」
布の中を見るとまだ小さな紙切れが入っていた。
「なんだこれ?」
手に取って呼んでみる。それにはこう書かれていた。
たまには連絡ぐらいしなさい
ステラより。
簡潔にそれだけ書かれていた。
「母さんらしいな」
思わず笑ってしまう。
「そうですね」
アニスも優しく微笑む。
今日の空は少し雲があるがいい天気だ。冬とは違いもうすっかり春の暖かさが訪れてきている。
「ふわあ……」
この感じ、とっても気持ちいいんだけど眠くなってくるんだよな~。
大きく口を開けて欠伸をする。
「眠いんですか?」
アニスがこちらの顔を覗き込んでくる。
「今日は天気も良くて暖かいからね、ついつい欠伸が出ちゃうよ」
「それでしたらこちらをお使いください」
ポンポンとアニスは自らの太ももを叩く。
「膝枕……だと……!!」
「嫌……でしょうか?」
悲しそうな顔をして俯いてしまう。
「いえそんなことないですよ、是非お願いしたいくらいです!」
「そうですか、よかったです! それではどうぞ」
膝に置いていた手を避けてスペースを作ってくれる。
「し、失礼します……」
頭をアニスの太ももへとのせる。
ぽふっ。
ふぉおおおおおおおおおお、こいつヤバい!
何がヤバいってもう言葉では言い表せないぐらいヤバい。太もも柔らかすぎんだろーよー。しかし柔らかすぎず程よく弾力もあり病みつきになってしまう。
「ど、どうでしょうか?」
「最高です……」
もうこのまま死んでもいいまである。
「よかったです」
そう言って俺の頭をさりげなく撫でてくる。
あぁあああああああああぁああああああああ
そいつはいけないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
もう戻れなくなりゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。
脳内は絶叫の嵐だ。
「うふふふ」
アニスは笑いながら頭を撫で続ける。
だんだん瞼が重くなっていき本当に眠くなってくる。
ああ、もうこれはあれですわ。寝ますわ。
てかこれで寝れないやつはどうかしてますわ。
さよなら。
そうして深い眠りにつく。
10
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

半神の守護者
ぴっさま
ファンタジー
ロッドは何の力も無い少年だったが、異世界の創造神の血縁者だった。
超能力を手に入れたロッドは前世のペット、忠実な従者をお供に世界の守護者として邪神に立ち向かう。
〜概要〜
臨時パーティーにオークの群れの中に取り残されたロッドは、不思議な生き物に助けられこの世界の神と出会う。
実は神の遠い血縁者でこの世界の守護を頼まれたロッドは承諾し、通常では得られない超能力を得る。
そして魂の絆で結ばれたユニークモンスターのペット、従者のホムンクルスの少女を供にした旅が始まる。
■注記
本作品のメインはファンタジー世界においての超能力の行使になります。
他サイトにも投稿中

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる